FC2ブログ

plumeria

plumeria

「はーい!それじゃあお兄さんからプレゼントがあるわよ~!いらっしゃーい」

子供達を呼んだら橋本さんがお菓子の入った袋を持って1人ずつに手渡した。
ここで類は私も知らないうちに何か別の袋を用意していて、その中から子供達に1つずつプレゼントを渡してた。子供によって大きさも色も違うもの・・・不思議な顔してたら「後で教えてあげるね」って。

「先生、お兄さん、お姉さん、さようならぁ!」
「また来年ねぇ!」

「今日はありがとうございました。私も人に聴いてもらえるようにもっと頑張ります!」
「ん、頑張って。いつか聴かせてね」

子供達は私達に声を掛けてくれて両手を振って、笑顔一杯で帰って行った。
そして教室には大人達だけ・・・ここで類はさっきのプレゼントの事を教えてくれた。

「母さんから子供達にだよ。小さな子にはおもちゃや人形。大きな子達には音楽CDとオーケストラのニューイヤーコンサートのチケットだって」
「・・・お母様から?」

チラッとお母様をみたら可愛らしくウィンクされた。あははっ、流石、お母様!


西門さんと美作さんは花沢のお父様達と挨拶を交わして、その後私達の所にやってきた。

「牧野、なかなかやるじゃん!久しぶりに類のヴァイオリンも聞けたし、牧野の可愛い格好も見られたし良かったわ!」
「うん、結構感動した。今度はうちに来てリサイタルでもしてもらおうかな。お袋、喜びそうだし」

「「類お兄様、つくしお姉様、今度は是非うちでお願いしますぅ~♪」」

「ありがとう~!今度遊びに行くからおば様に宜しくね!」
「双子にはこれ・・・はい、どうぞ」

類が渡したのは色違いのコスメポーチ。勿論これもお母様からだけど。


管理人さんと守衛さんはお父様とお母様にカチンコチンになって挨拶して、こんな場所なのにお辞儀ばかりして帰って行き、前田さんは今日は東京の親戚の家に泊まると言って嬉しそうに帰って行った。
「若奥様、宜しゅうございましたね・・・」そうお母様に声を掛けると、お母様も「ありがとう」と涙を浮かべていた。

加代さんもお父様達と一緒に帰るわけにはいかないと、1人先に帰ってしまった。


「おじ様、おば様、お久しぶりです」
「・・・社長、副社長、お疲れ様です。忙しい時に休暇を取りまして申し訳ございません」

今度はアリスさんとジルベールさんがお父様とお母様に挨拶をした。
彼は今でもお父様を恐れてるみたい。難しい立場に立たされているのに無視されてると思ってるから、少し顔を合わせにくいのか視線は外したまま話しかけていた。

「うむ・・・いや、君の努力はフランス本社の担当者から聞いてるよ。毎日遅くまで頑張ってくれてありがとう。休みもあまり取ってないと言うことだったからいい機会だろう。のんびりして帰りなさい」

「え?・・・社長?」

「ちゃんと君の働きぶりは聞いているが・・・その、なんだ・・・特別扱いしては君の為にもならんと思ってるから口出ししないだけでな。まぁ、自分の力1つでのし上がった方が社員達も君を認めるだろうからな。・・・そういうことだ」


くすっ、そんなこと言って照れ臭いもんだからわざと怖い顔してる。
そしたら類まで「素直じゃないよね」って冷めた声。「親子だね」って囁いたらムッとされた。


「会長のお身体が心配だわ。もうお元気になられたのかしら?」

「はい、随分良くなりました。もう完全に引退して療養するそうですわ。父もあれからお婆さまにお説教されて、随分と静かにしておりますのよ」

4人は暫く談笑して、アリス達はこれからホテルでクリスマスディナーを楽しむと言って帰っていった。
帰る時のジルベールさんのホッとした顔・・・これで楽しいクリスマスになるわね、アリスさん!


1番の問題はうちの両親・・・恐ろしいほど身支度に差がある類のご両親と対面したけど、流石に2人のオーラに負けて完全に固まっていた。

「は、初めましててございました!ま、まま・・・牧野つくしの母でございまする!」
「違うでしょ、お父さんっ!日本語も出来ないの?!」

「こんな格好でお恥ずかしいっ!この子が寝間着で来るように言うもんですから!」
「そうじゃないでしょ!着飾らなくていいって言ったのにそんなコンビニに買い物に行くような格好して、お母さんったら!」

「コンビニなんか行かないわよ、高いんだもん」
「だからそうじゃなくてーっ!!」


類を含めて花沢家は私達親子の会話には絶句してた。
お父様は眉間に寄せた皺が取れなくて、お母様は口元に当てた手が震えてるし、類はポカンと口開けてるし。


「申し訳ありません・・・牧野家はいつもこんな感じなんです。でも私の大事な両親で、私の大好きな場所を作ってくれた2人なんです。驚きました・・・よね?ははは!」

「「申し訳ございませんッ!!こんな親でっ!!」」


くすっ・・・って笑い声が聞こえたのはお母様。そして類も笑い出して、まさかのお父様まで口元がヒクヒクと・・・!
そしてだんだん可笑しくなって残ったみんなで笑って、最後にはうちのお父さんとお母さんが泣き笑いしてた。


「じゃあ、つくし。元気で頑張りなさい!」
「また時間が出来たら戻っておいで。食べるものは持参だからね~!手ぶらで帰ってくるんじゃ無いわよ~!」

「2人とも気をつけて帰ってね~!今日はありがとう~!」
「手土産持って今度行きます・・・」


小さな雪が降る中を、仲良く手を繋いでお父さんとお母さんは帰っていった。
「俺達もあんな風になりたいね」・・・類がそう言ったけど、お父さんと類を重ねてしまって大笑い!

「やだよ!家の中でステテコ姿の類なんて想像できない!」
「ステテコって何?」

「あははは!」



これで最後に残ったのは陽翔と陽翔のお父さん、そして花沢のご両親だった。



*************



牧野の両親を見送った後、教室では橋本さんとマリア達が片付けをしていて、うちの両親と齋藤親子が残っていた。

父さん達はこの親子が何故自分たちに厳しい目を向けてるかなんて知らない。
大企業のトップなんてそんなもの・・・系列会社、子会社、孫会社の社長の顔全部を覚えられるわけがないし、齋藤工業はうちの子会社の下請け業者だから面識なんてあるわけが無い。

齋藤と違って小柄で大人しそうな父親は、かつて世話になった親会社に対しての礼儀としてだろうか、深々と頭を下げた。


「父さん、そんな事しなくていいんじゃないの?此奴らは何とも思っちゃないんだから」
「陽翔、そんなことはもう言うなと言ってるだろう!・・・それまではお世話になった方達だから挨拶しただけだ」

「・・・はて?申し訳ないがお目に掛かったことがあるのかな?」

父さんはそんな言葉を出して本気で考え込んでいた。母さんも齋藤親子を交互に見た後で俺の方を振り向いた。


「この人達は今はもう倒産してしまった齋藤工業の社長と、その息子で牧野の同級生です。お忘れですか?3年前にうちの子会社が起こしたトラブルで大規模な下請工場の切り捨てを行ったでしょ・・・その時に切り捨てられた会社です。その切り捨てには内部で裏取引があって、完全に被害を被った人達ですよ」

「・・・あの時の?報告書だけ上がって来たから直接は知らないんだけど」
「そんな事があったな・・・だが今では本社からの支援であの会社は立ち直ったが・・・」


「うちは救済されるはずだったらしいけど、あんたんとこの子会社の社長が裏金もらって別の会社を救済してうちを捨てたんだってさ!おかげで父さんは・・・」
「陽翔!やめなさい!花沢社長には関係の無いことだ・・・もういいんだ」

「父さん!でもこのままじゃ・・・!」


父さんを見たら忘れかけていた怒りが蘇ったのか、齋藤は真っ赤な顔して父さんに怒鳴り声を上げたが、それを止めたのは齋藤の父親だった。
母さんは齋藤が怒鳴りだしたので慌てて父さんを庇うように前に出て守ろうとした。俺はその行動に驚いた。

牧野はそれを黙って見ていた。
とても落ち着いて・・・齋藤親子の行動を黙って見ていた。


「花沢社長、私の会社は本当に長い間そちらの子会社に世話になりました。あの商品トラブルの事件の時にまさかうちが切られるとは思わずに、その時には随分と花沢グループを恨んでしまいましてね、この子にも愚痴を溢したのでこのような態度に出てしまって申し訳ない。どうか、お許しを・・・」

「いや、構わないが・・・今は何を?」

「私は今は知り合いの会社で営業をしております。ははは、3年もやれば最近は慣れてきましたよ。
でもね、あの事件の時に裏工作をした会社に私の妻も絡んでおりましてねぇ・・・それの方が苦しかったんです。たった3人しかいない家族なのに裏切られるなんて思わなかったですから。でも今は息子も私の所に戻って来て弁護士の勉強をしているんです。子供の頑張りは親にとって1番の喜びですからな。私は今は幸せです」

「ほう・・・弁護士に」

「はい、応援しております。そちらの息子さんも今日はとても素晴らしかった・・・いや、いい演奏会でしたねぇ。久しぶりに感動しましたよ、ありがとうございました」

「・・・こちらこそ、どうもありがとう・・・」


あの父さんが僅かでも頭を下げた、その事にも驚いた。

齋藤は口を尖らせたまま頭をぐしゃぐしゃっと搔き、その後ゆっくりと牧野の前に行って一言だけ・・・

「お前、ホントにお節介なヤツだな!でもまぁ・・・親父がいいなら俺ももういいわ。花沢は許さねぇけど、それ抜きで弁護士になって金稼いで、いつか親父の会社を再建してやる。そん時には花沢をオープンセレモニーに招待してやるよ!」

「・・・ぷっ!あっははは!その時は私も呼んでよ、絶対に行くから!」

「ばーか!そん時はお前も花沢なんだろうが!」

「・・・へ?」
「勿論そうだよ。でも何年先になるんだかわかんないね。司法試験、受かってから言えば?」

「喧しい!!」




Twas grace that taught my heart to fear,And grace my fears relieved,
How precious did that grace appear,The hour I first believed.

神の恵みこそが 私の恐れる心を諭しその恐れから心を解き放ち給う
信じる事を始めたその時の神の恵みのなんと尊いことか

Through many dangers, toils and snaresI have already come.
'Tis grace hath brought me safe thus far,And grace will lead me home.

これまで数多くの危機や苦しみ、誘惑があったが
私を救い導きたもうたのは他でもない神の恵みであった




アメイジンググレイスの音楽は、今日来た人達の中に何かを残してくれただろうか。





19a6d37ca48211a7601ad0b8123dbe70_t.jpg
関連記事
Posted by

Comments 2

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/12/25 (Tue) 07:32 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、MerryChristmas~♪

コメントありがとうございます。
類パパ、少しは柔らかくなったでしょ?これで本編の「憎まれ役」は少し払拭されたでしょうか?(笑)

明日はこのお話のラストでございます。

25日中に終われなかったことが悔しいのですが💦
そして「隣の部屋の彼」もこれで完全終了・・・本当に応援ありがとうございました♡



2018/12/25 (Tue) 10:19 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply