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西門さん達が卒業する日・・・その日も雨が降っていた。

そんな日はあんまりいい事がないような気がして嫌いだったけど、その日なぜか西門さんに呼ばれた。
瞬間、ドキッと心臓が高鳴る・・・。こんな事は初めてだから。
少し遅れて待ち合わせたカフェに行ったら、先に来ていた西門さんはいつもの笑顔で待っててくれた。
その笑顔も、学校で見るのは今日で最後かと思うと胸が痛い・・・。


「お前にこれ、やるよ!」

ポンと投げられるようにして渡された小さな箱を見たときには勘違いしそうになって、思わずふざけてみた。

「まさか、指輪?いきなりだね!西門さん」

だって本当にそう思ったんだもの・・・いきなり指輪を渡されたのかと思って・・・。

「バカか、お前!中を見てから言え!何年か分の誕生日プレゼントだ!」

誕生日プレゼントって今3月なのに・・・?ただ、指輪だなんて口走ったことに真っ赤になってしまった。
箱の中に入っていたのはラピスラズリっていう石のピアス?
でも、私はピアス穴は開けてない・・・今時珍しいと思うけど、ピアス穴をあけると運命が変わるなんて
迷信のような言葉が引っ掛かってて開けることが出来なかった。

せっかく貰っても、つけられないよ・・・って思ってたら

「大人になったら、それつけたとこ見せてくれよ」

大人になったら?もう21なんだけど?十分大人なのよ!これでも。

貰ったピアスはすごく嬉しかった。ラピスラズリなんていう石は初めて見たけど、西門さんはこれを12月の誕生石だって。
・・・それじゃあ、西門さんと同じだね。私と同じ12月生まれだから。

「ありがとう、大事にするね!」


きっと、一生の宝物になる。西門さんからのプレゼントなんて多分これが最初で最後・・・。
泣きそうになるのを我慢して、その小さな箱を握りしめた。


******


西門さんは気が付いていない。私がいつも西門さんを見ていたことなんて・・・
いつの頃からか、気が付いたら彼を眼で追っていた。

いつも女の人に囲まれていて、その中の誰かと帰っていく西門さんを悲しい思いで見ていた。
なんで、あんなことをするんだろう・・・その人のこと、好きなんじゃないんでしょう?なのに・・・どうして?

それは、花沢類達に言わせれば、西門さんのささやかな抵抗なのだという。
西門流という大きな家の後を継がなくてはならない重責と重苦しい家族関係から逃げているんだって。

あまりに特殊な環境だから私には全然想像できないんだけど、この先はそれらと戦っていかなきゃならないから
今は羽を伸ばしているんだって・・・。

「女の方から寄ってくるんだよ!俺が呼んだんじゃねーよ!」

その言葉がどれだけ私に突き刺さったか・・・
寄っていける女の人はまだいい・・・私にはその勇気すらなかったんだから。
全然知らないそんな派手な人の肩を抱いて、私の知らない世界に消えていかないで・・・何度もそう思った。



「牧野って男の趣味、悪くない?司の後に総二郎?それって絶対に泣くよ?」

「花沢類に言われなくってもわかってるよ、そんな事・・・でも、仕方ないじゃない」

「また泣いたって今度は助けてあげないよ?今のうちに引き返しておいでよ」

花沢類のあきれ顔に、私は苦笑いで返すしかなかった。
美作さんも悲しそうに笑うだけ・・・私のことを妹のように思ってるからお兄ちゃんのような気分で心配を
してくれてるんだろうな・・・。

いつの間にか・・・本当にいつの間にかだったんだもの。
あのさらさらした黒髪に、切れ長の鋭い瞳に、男の人なのにすごく綺麗な仕草に眼が離せなくなったのは・・・。
気が付いたときは自分が一番びっくりした。


******


「やっぱり雨は嫌い・・・悲しいことばっかりだから」

そう呟いたのは、このピアスに意味はないってわかったから。ただの誕生日プレゼント・・・。
私はやっぱり好きになった人とは結ばれないんだなってわかったから。

卒業式が終わってみんな帰ってしまったけど、いつまでも大学のカフェから窓の外の雨を眺めていた。

「道明寺の時も雨だったよね・・・ほんと、雨って・・・」



その日の夜に、滅多に行かない夜の街に1人で出かけた。
雨はまだ降り続いてたけど、1人でいたら嫌なことばかり考えそうで部屋にいたくなかっただけ。
西門さんはいつもこんな感じの夜の街の景色を見てるんだなって・・・そんな事を考えながら沢山の人が
行き交う街をブラブラしてた。

そして本当に偶然、お店から出てくる西門さんを見つけた・・・!


「うそ・・・!あれって西門さんだよね?」

足が勝手に西門さんの方に向いてしまったけど、その後すぐに私は止まってしまった。
西門さんのすぐ後ろにすごく綺麗な女の子がいたから・・・。

その子はいつも連れてる派手なタイプの女の子じゃなくて、いかにもどこかのお嬢様みたいな感じだった。
流れるような長い髪、西門さんとよく似た面差しの上品な人・・・もしかしたら家が決めた人?そんなふうに見えた・・・。

西門さんは私に気が付いてなかったけど、その女の人は一瞬私を見た気がする・・・。
つい、眼を反らしたけど・・・その人が軽く笑ったのも見えた。まさか・・・私を見て笑ったの?

次の瞬間、その人は西門さんの耳元で何かを囁いて・・・そして西門さんはその人にキスしてた。


2人は腕を組んだまま、私の前方を歩いて行って・・・人混みの中に消えて行ってしまった。
私は傘を差したまま、通っていく人に怒鳴られながらその場から動くことが出来ずにいた。


「ほらね・・・やっぱり雨の日ってこうなのよ・・・。ホントに嫌い・・・」

西門さんの卒業式の日・・・また雨の降る中、失恋ってものをしたんだ。
もう、あの人達のことは全部忘れてしまおう・・・この雨と一緒に流してしまおう。
そう自分に言い聞かせて残りの大学生活を終わらせ、卒業後は小さな会社に就職をした。

花沢類とも、美作さんとも連絡を取るのをやめた。



そして西門さん達と会わなくなってから3年・・・それは突然の出来事だった。

ame3.jpg
ここはつくしちゃんの回想シーンです。
何かとわかりにくいですが・・・。

次回からが本編です。
ちょっと2人とも大人になってます。
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Comments 2

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2017/04/27 (Thu) 13:33 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様、こんばんわ~!

え?どうだろう( ̄∇ ̄)
切ないといえば・・・そうなのかな?

なんと言っても私の妄想ですからねぇ・・・。
普通の恋人が書きたかった・・・けど。なかなかそうならない。
タイトルが切なそう?なのかもしれないですね。
RoyalBlue書きながら作ったんで、ちょっと
引きずったかもしれません。

どっちかって言うと楽しいお話しが好きなんですけどね!
期待薄で!お願いします。

これからも宜しくです!





2017/04/27 (Thu) 19:50 | EDIT | REPLY |   

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