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クリスマス当日、父さん達は自社のパーティーに、俺と牧野は招待されてた美作のパーティーに出掛けることになっていた。
だから牧野はキュイジーヌに「花沢の行事に参加」ってことで休暇願いを出して休ませた。

「まだ有休は無いんですけど」って笹本が不満気に連絡してきたけど「欠勤で構わないよ。業務評価なんて俺は気にしないから」って言えば渋々了解してた。
牧野の給料が下がるけど・・・そこは黙っとこう。


「それじゃあ私達もパーティーに行ってくるから、類達も楽しんでね~!つくしちゃん、類にしっかりエスコートしてもらってね♥」

「はーい、行ってらっしゃーい!」

タキシード姿の父さんがルビーレッドのドレスを着てる母さんをエスコートして車に乗り込み、俺達に手を振ってる。
一体何歳だと思ってるんだろう。その歳でそんな派手なドレス着てパーティーに行くなんて母さんだけじゃないの?って思うんだけど。まぁ、似合ってるし父さんが選んだんだろうからいいんだけどね。


「牧野、俺達も支度しよう?もうヘアメイクの担当者が部屋で待機してるから」
「自分でするんじゃないの?メイクもしてもらえるの?」

「・・・その方がいいと思うよ」


普段からメイクしないのにパーティーメイクは無理でしょ。


部屋に戻ると専属のスタイリストが準備していて、牧野はそこでメイクをしてもらい、ドレスに着替えて髪を結ってもらった。
普段は何もしないから軽くウエーブをつけてサイドアップして、そこで少し揺れる髪留めをつけてラメスプレーを掛けて「お姫さまみたい!」って・・・こっちも何歳だと思ってるんだろう。

ちょっと動くとダイヤの飾りとクルクル巻いた髪が揺れて、それが照明で輝くから大はしゃぎ。
何回もその場で回ってるから髪が乱れてスタイリストに怒られていた。

くすっ・・・ホント、面白い。
ただ、これが彼奴らの前で出なきゃいいけど。


「おいで、牧野。ネックレスつけてあげる・・・ピアスもね」
「え?自分で出来るよ?」

「これは俺の仕事だから。パートナーの仕上げは俺がするって決めてるから。さ・・・俺の前に来て?」
「・・・うんっ!」

俺の前に来て不安気に振り向いて見上げてる。
だからメイクが落ちない程度に頬にキスしたら茹で蛸みたいに真っ赤になって、手で顔を隠すからネックレスが付けられない。
今度はピアスをって言ったら肩を竦めるから付けられない・・・ここで凄く時間を取って、加代に「遅れますよ!」と怒られた。

ドレスの上に真っ白なコートを羽織って、10センチもあるシルバーのヒールに蹌踉めきながら、階段の降りる時には完全に俺にしがみついてる。
「そんなんじゃ会場で転んじゃうよ?」って言ったけど「その時は類も転けてね?」って泣きそうな顔して頼まれた。


「牧野様、食べながらのお喋りはいけませんよ?それから類様とはぐれませんように。知らない男性についていかないようにしてくださいませね?」

「はい、だ、大丈夫だと思います」
「知らない人だらけだから迷子にだけはならないでね?ホテルだってこの時期は色んなパーティーがあるから違う会場に入らないでよ?」

「類の腕、離さないから大丈夫!」


加代が心配そうに見送る中、リムジンに乗り込んで俺達も会場に向かった。



*****************



都内でも最高級と言われるMホテルに着いたら、類が先に降りて私の乗ってる席の方に移動してきた。
ここでは車のドアでさえ開ける係の人が居るらしく、開けてもらったら類が手を差し出してくれる・・・その手を取って車から出ると目の前には豪華で煌びやかなホテルのエントランス・・・そこには10メートルぐらいあるクリスマスツリーが輝いてて、それが周りのマジックミラーに反射して凄く綺麗だった。

思わず見惚れてコートの襟を掴んだままツリーを見上げてたら、類がクスクス笑って私の背中を軽く押した。

「行こう・・・もうすぐ始まるから」
「う、うん・・・類、絶対に離れないでね?」

「お姫さまを1人にはしないよ。それが俺の役目だから」


ロビーに入る前から類の姿を目で追う人が沢山居る。
何処かの雑誌記者みたいな人や、パーティーの招待客みたいな人、普通の宿泊客も通行人も・・・類の注目度の高さに今更ながら驚いて、彼の腕を掴んでオドオド歩いてた。
「誰かしら、隣のお嬢様」・・・なんて声も聞こえてくる。そっちを見るのが怖くて顔を下に向けたら「ちゃんと前を見て?」って類がニッコリ笑った。


ドアまで行くと今度はドアマンの男性が格好良くドアを開けてくれた。

「いらっしゃいませ、花沢様」

・・・こんな係の人まで類の事を知ってるんだ?って思わず振り返ってドアマンのおじさんを見たら、自分のドレスの裾を踏んで転けそうになった!
勿論、類が片腕に全神経集中させて止めてくれたけど、見上げたら「こら!」って小さな声で怒られちゃった・・・。


♪~~♪~~

「あっ・・・もう!藤本からメッセージだ。パーティーだって知ってるクセに・・・牧野、少し待ってて。電話掛けてくるけどここじゃ五月蠅いから静かな所に行ってくる。絶対に動かないでよ?いいね?」

「はーい・・・」

類のスマホが鳴って、それが秘書の藤本さんだからって私をロビーの片隅に置いて何処かへ行ってしまった。
「絶対に動かないで」・・・心配しなくてもこんなホテルで私が1人で何処かに行けるわけないもの。
今日の会場も知らないし、ここだって初めてだし。

だからほんの少しだけ移動して、ロビーでも受付に近い大きなお花が飾ってある所で類を待つことにした。


類が消えて行った方を見ていたら、そこから5人の外国人が入って来てワイワイ何かを話してる。
これは英語でもフランス語でもない。ドイツ語やイタリア語でもなくて・・・ロシア語?珍しいなぁって聞いていたら、その人達はフロントで女性2人に向かって強い言葉で捲し立てていた。

どうやら予約した部屋の案内を頼んでるみたいだけど、受付の人がロシア語を理解出来ないのかしら?
もしかしたら私でわかるかも・・・そう思って類がまだ来ていないのにフロントに行って困ってる女性に声を掛けてみた。

実は私の得意分野には語学もある。
アメリカの為替サイトを見ていたけどそれ以外にも主要国のサイトは閲覧していたから。今のところ英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、中国語、ロシア語は殆どの会話が出来るし、挨拶や日常会話ならスペイン語やポルトガル語、韓国語。

これ、いつか花沢で役に立つことがあるかしら・・・。


「何かあったんですか?ロシア語でしょ?」

「あっ、大変申し訳ございません。お騒がせしております。実は本日ロシア語がわかる者が急病で休んでおりまして、こちらのお客様が何を仰っているのかがわからなくて・・・もしかしてお客様はロシア語がお判りですか?」

「少しなら出来ます。聞いてみましょうか?」
「助かります!」


この人達がすごく酷い方言を使わないなら何とかなるかも・・・顔を真っ赤にさせて怒ってるロシアのお客さんに、頑張って笑顔を向けてみた。
こういうのは働き出してから少し上手くなったかも・・・?


『こんばんは。今日、ロシア語が出来る人が急病で居ないらしいんです。何かお困りのことがありましたら私が代わりに聞きましょう。お話下さい』

『あら!そうだったの?ロシア語が大丈夫ってあったから来たんだもの、通じなくて困っていたのよ。ここの何処かに宇宙技術研究事業団の懇親会をしてる会場があると思うんだけど」

『う、宇宙技術研究事業団?少し待って下さいね』



それをフロントに聞いたら南3階の1番奥、中ホールの横にある「サファイアの間」だそうだ・・・それが何処にあるのか私には判らないけど、その通りを伝えたら私にそこに案内しろと・・・?!


『いや!私はここから動くことが出来ないから!』

『でもこの人達じゃ聞きたいことがあっても聞けないんだもの。悪いけどそこまで同行してちょうだいな』

『だからそれが出来ないって・・・あのっ!?』


「お客様、大変申し訳ございませんがお願いできませんか?そこまで遠くはございません。急ぎますのでお願い致します!」
「は、はぁ・・・でも、私、人を待ってて・・・」

断わってるのにロシア人の女性が強引に私の腕を掴んで、嬉しそうにエレベーターに向かって行った。
それをホッとしたような顔でフロントの女性が案内しながら小走りで進んでく・・・どっ、どうしよーっ!!類がロビーに戻って来たら怒られる~!!

急いで自分のバッグからスマホを出して連絡しようと思ったら・・・スマホ忘れた。


『エレベーター来たわよ!さぁ、行きましょう!』
『あぁっ!ちょ、ちょっとーっ!!』




******************



「牧野、お待たせ・・・あれ?牧野?」

藤本からの電話は取引先の役員からの緊急の伝言で、少しだけ手間取ってしまった。
だから急いで戻って来たのに、さっきの場所に牧野が居ない?

ロビーを見渡してもあの目立つミント色のドレスが見当たらない。


時間を見たらパーティー開始の10分前。
美作のクリスマスパーティーは2階の大広間を貸しきってのものだから、確かに2階に行けばすぐにわかるとは思うけど、心細そうにしてた牧野が1人で向かうだろうか。


でも他には考えられなくて、俺も急いで2階に向かった。




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2018/12/28 (Fri) 01:44 | EDIT | REPLY |   
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2018/12/28 (Fri) 08:29 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんばんは

はい!お約束のように別れてしまいました(笑)
事件は起きませんけど類君の居ない処でちょっとした揉め事が?

あはは~♥

語学ねぇ・・・3カ国語とかは聞きますが数カ国語なんてどうやって覚えられるんでしょ?
因みにうちの娘は中学の時に英語の他に中国語と韓国語が授業であったので一時期喋ってましたよ。

でもすぐに選択科目になって韓国語だけになったら中国語は忘れましたし、韓国語はかなり長いこと習っていましたがフランス語に変わったら忘れたそうです(笑)

フランス語で何やら文章書いてますが、おそらくこれも卒業したら忘れるんでしょうね・・・。

美しい日本語が話せたらいいか!って思うけど・・・そこもね(笑)現代っ子ですから。


今日はつくしちゃんお誕生日・・・何も出来ないと思っていましたが、それも凄く気になったので急いでお話書きました(笑)

2018/12/28 (Fri) 18:22 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

本人はこれを才能だとは思ってなかったんでしょうね(笑)
類君だって知らないでしょうし。

でも今回の事で類君が知ったら・・・それもありですね!
専務秘書には藤本がいますけど彼はどうしましょ?つくしちゃん、第2秘書ですか?(笑)

そうなると1番大変なのは藤本のような気がしますが💦

それも面白そうですけどね~。


誰が助けてくれるのか・・・将又だれも助けないのか(笑)
類君が慌てて探してるのでつくしちゃん、早く帰らなきゃ!(笑)

小さな事件の匂いがします?

2018/12/28 (Fri) 18:27 | EDIT | REPLY |   

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