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牧野が部屋を出て行ってから、総二郎とあきらと3人でシャンパンを飲みながら話していた。

久しぶりと言ってもあきらはこの前会ったし、総二郎も日本にいるんだからたまには会ってるし、ホントに数年ぶりなのは司だけ・・・だから今の道明寺ホールディングスの話でも聞こうかと思ったのに、今度は司の姿もなかった。


「司、何処に行ったの?」

「司?さぁ、その辺ウロウロしてんじゃね?あいつ目立つからな・・・会場には居ないのか?」
「ん・・・居ないみたいだな。騒がれるのが嫌いだから会場の外にでも行ったんじゃないのか?」


会場の外って廊下?・・・牧野もそっちに行ったんじゃなかった?

たったそれだけの事で胸騒ぎがして、自分も会場から出てみようと思った時に総二郎とあきらがクスクス笑いだした。此奴らがいつも人をからかう時の笑い方・・・俺の行動がそんなに可笑しいのかとムッとして睨み付けた。


「なに・・・?そんなに可笑しい?」

「いいや、可笑しいって言うかさ・・・お前は相変わらずこういうの、奥手だなって思ってさ」
「そうそう!分かり易いよな。それなのに同棲してんだぜ?考えられねぇよな!」

「・・・どういう意味?」

一瞬ドキッとしたけど・・・そんなこと、此奴らにバレるはずないし。
そうしたら総二郎が俺の真横にやってきて片手を俺の肩に・・・そしてグイッと耳に顔を近づけてボソッと呟かれた。


「お前ら・・・まだ可愛い関係だろ?類、つくしちゃんに手を出してねぇよな?」


それだけ言うとまた笑いながらあきらの横に戻って、2人がニヤニヤしてる。

どうして・・・何処でそんなことが判るのさ!って言葉には出さなかったけど、反論しない時点でバレバレだったみたい。
びっくりした顔の俺に向かって、先輩面して語り始めた。

「お前って言うよりつくしちゃんで判る訳よ」
「だな!まだ男を知らないからあの程度で真っ赤になって狼狽えて、身体なんてガクガクしちゃって可愛いよな。類がそこに居るのに他の男を目で追うなんて、居場所が定まってないって証拠じゃないのかな」

「そうそう!もしかしたら類よりいい男がいるかも、なんて思ったり?」
「そこが関係の出来上がってる恋人との違いかな・・・俺は話を聞いた時に類もやるじゃん!って思ったけど、やっぱり違ってたんだな。友人としては悲しいような、類らしくてホッとするような不思議な気持ちだわ・・・」


「・・・・・・牧野の気持ちを大事にしただけだよ。怖がったから待ってるんだよ!」


経験豊富な此奴らと比べられても悔しくはないけど、俺よりも他の男を見てるとか、居場所が定まらないとかって言葉には腹が立って言い返した。
でもこの手の話で総二郎とあきらに敵うわけもなく、馬鹿にした笑いは止まんない。だから無視して部屋を出たら、そこで見たのは牧野と司が話してる場面・・・。

司は背中を向けてるけど、チラッと見えた牧野の顔・・・凄く可愛く笑ってた。


「あ~あ!今度は司か。珍しくね?司が知らねぇ女の子と話してるなんて」
「そうだな・・・無視するのは毎度だけど、あんな風に並んで話すだなんて俺、初めて見るかも」

「・・・・・・」

「司もこういうの苦手だからさ、案外あんな素朴な子が好きだったりして」
「あぁ、やたら飾りまくって積極的にアピールしてくる子は大っ嫌いだもんな。アイツなら親友の彼女だろうが関係ないかも・・・ヤバいんじゃないか、これ」

「・・・牧野がそんなことを考えないよ。馬鹿馬鹿しい!」


確かに司が自分の知らない人間に簡単に近寄るとか俺も知らない。
大抵寄って来られる方だから、それを嫌がって威嚇してる司しか知らない。あんな風に近い距離で女性と話すとそれだけで経済誌を賑やかすから絶対にしないと思っていたのに。

何を話してるかは聞こえなかったけど、そのうち司が腰を屈めて、牧野が司の髪に手を伸ばした!

それに驚いて総二郎もあきらも言葉が出なくて、俺は我慢出来なくて2人に近づき牧野に声を掛けた。


「牧野・・・あんた、何やってんの?」



**************



「あっ・・・類、ごめん・・・」
「謝らなくてもいい。何やってんのって聞いたんだけど」

私に向けられた類の本気で怒ってる顔・・・それは初めて見る表情で、怖いと言うより驚いた。


類が来た時、私の指は道明寺さんの髪の毛を触ってて、彼もすぐに身体を起こしたから自然と手はそこから離れた。だけど私の手は固まったかのように宙に浮いてて動けない。
ゆっくり近づいてきた類はその手を軽く掴んで私の顔をジッと見つめた。

いつも優しい薄茶の瞳が怒ってる・・・私はどうしてそこまで怒ってるのか判らなくて唇が震えた。


「・・・司と何話してたの?」
「え?何も・・・あのね、道明寺さんは私を助けてくれたのよ」

「助けた?司があんたを?」
「うん、そうなの。誰か判らないけど私に『誰と来てるのか』って怖い顔して問い詰めてきた女の人達がいてね、その人達を追い払ってくれたの。それでお礼言ってね・・・」

「そんなの俺の名前出せばいいでしょ。それで解決するはずだよ。どうして助けてもらわなきゃいけなかったのさ」
「えっ?あの・・・こ、答えられなくて・・・」

答えられなくて・・・そういった時に類の手の力が強くなって私の手首に跡が残るかと思った。
「類、痛いよ・・・」って小さな声で言ったらハッとして離してくれたけど、それでも今度は道明寺さんを睨み付けた。私を自分の後ろに回して道明寺さんから離すように・・・それを少し離れた場所であの2人が面白そうに見ていた。


「司、どうして牧野に近づいたの?お前がそんな事するなんて信じられないんだけど」

「あぁ?なんだ、その言い方・・・俺から近づいたような言い方すんじゃねぇよ。そいつが言ったように知らねぇ女に絡まれてたから声掛けてやったんだろうが!」

「・・・それ、偶然なの?それとも・・・」
「類!何言ってるの?道明寺さんは助けてくれたんだってば!どうしてそんな言い方するの?」

後ろから類の片腕を掴んで言葉を遮ったら、私の顔を見て「あんたは黙ってな!」って眉を顰めたまま叱るように言われた。


「類が怒るようなことはしてないよ?なんで急にそうなったの?」
「怒ってなんかない。事実を確かめてるだけでしょ」

「だからちゃんと話したじゃない!何処が信じられないの?何が気に入らないの?」
「牧野が簡単に他の男に触れたりするから・・・!」

「・・・え?」

「・・・なんでもない。もういいよ」


軽く持ってた私の腕を振り払われて、類は会場の中に戻って行った。
私をその場に置いたまま・・・それに今度は凄く悲しくなって彼の背中を見つめていた。

簡単に他の人に触れる?道明寺さんの髪の毛に触ったことを言ってるの?それともあの2人に抱き留められたことを言ってるの?でも両方とも私が蹌踉けたからで・・・それが許せなかったの?


煌びやかな部屋の人混みの中に類の姿が消えていった。
それと入れ違うように西門さんと美作さんが近寄って来て、私の肩をポンッと軽く叩いて「行ってやりな」って・・・。

だからゆっくり私も会場に向かって歩いて行った。
多分、今凄く泣きそうな顔してる・・・こんな可愛いドレス着て綺麗にメイクしてもらったのに情けない顔してる。

そんな顔のまま類を追って会場に戻った。


**


「なんなんだ!アイツは!俺が何したってんだよ!!」

「まぁまぁ、司、落ち着けって。類が1つ成長するための材料だと思ってさ」
「このぐらいしなきゃ進まねぇだろうからな。でも見てて面白くね?あの類が感情丸出し!マジで惚れてんだな!」

「あぁ?どういう事だ?」

「司は普通にしてていいんだよ」
「そうそう!一番効果ありだぜ?俺達じゃ本気だと思われねぇから」





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次回の更新は1月5日です。
それまではNEWYEAR STORY 「Je t'aime à la folie」をお届け致します♡
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2018/12/31 (Mon) 07:31 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

ははは!完全に遊ばれておりますね(笑)
今度は司君が起爆剤になってくださったので、バッチリ火がつくと思います!!
そして司君も何もわかっていない(笑)鈍感コンビでございました。

まぁ、元はと言えばこんなつくしちゃんを1人にした類君が1番ヤバいんですけどね💦


ビオラ様、毎日コメント下さいましてありがとうございました。
お話は毎日更新してますが、お正月はコメントなど気にせずごゆっくりお過ごし下さいね♥

それでは、来年も宜しくお願い致します。

2018/12/31 (Mon) 11:50 | EDIT | REPLY |   
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2018/12/31 (Mon) 15:31 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ミキッp様 こんばんは。

お忙しい中、コメントありがとうございます。
大変なんですね💦急に冷え込んできましたのでお身体には気をつけて下さいませ。
地域によってはインフルも流行ってるみたいだし(毎年かかるヤツに言われたくはないでしょうが・笑)


お話の方はお時間ある時に是非♥
ふふふ、この後の類君、どうするんでしょうかね?
お正月のお話は短編ですが楽しんでいただけたら嬉しいな♥


こちらこそ1年間大変お世話になりました。
沢山のコメントもいただき、大変励みになりました。

おおっ!今は午後八時・・・今年もあと4時間!来年もどうぞ宜しくお願い致します。

よいお年をお迎え下さいませ。

2018/12/31 (Mon) 19:57 | EDIT | REPLY |   

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