FC2ブログ

plumeria

plumeria

暖を取るため休憩を挟みながらバイクを走らせ、西門が持っている別荘に着いたのは元旦の午前3時・・・海の真横にあるから真っ暗だが波の音が凄かった。
入り口前にバイクを停めて中に入り、すぐに暖房を入れた。

「はぁっ・・・寒かったねぇ!手が悴んで痛いぐらい。西門さん、大丈夫?」

「お前が希望したんだろうが!大体この時期にバイクで海に行く方が馬鹿なんだっての!ハンドル握る俺のことを考えてみろ!後ろには命乗っけてるし、暗いし寒いし・・・マジ、辛かったわ」

「あはは!ごめんって。バイクの後ろに1回乗ってみたかったのよ。西門さんしかいないじゃない」

「・・・あいつだって乗ろうと思えば乗れるはずだ。免許ぐらい持ってるだろ」

「そうなの?そんな話しないから知らなかった」


ライダーズスーツの前を少しだけ開けて巻いてたマフラーを外し、ヘルメットで押さえ込んでた髪を掻き上げた。
その時に見えた白い項・・・俺の目がそこを捉えるとドクッ、と心臓の音か鳴った。

「こっちがベッドルームだから」って教えると顔だけ覗かせて部屋を確認。
でも「寝るかどうかなんて判んないし」って言ってリビングに戻ってきた。


窓際に行くと結露した窓を指で拭いて外を見ようとしていた。
月明かりで波が光ると目の前が海だとわかるぐらいの真夜中・・・牧野の瞳が少し悲しそうに見えたのは何故だ?


「何か飲むか?身体が冷えただろ。それともやっぱり休むか?日の出に目が覚めるかどうかわかんねぇけど」

「あはっ・・・確かに寝ちゃったら起きないかもね。今日は根性で起きとくわ。どうしても初日の出、見たいもん」

「来年だって見ることは出来るだろ。アメリカじゃ日が昇らねぇとかないんだから。あいつがいい場所見つけて連れてってくれるんじゃねぇの?こんな小さな別荘じゃなくてさ」

「・・・どうかなぁ。そんなことしてくれるのかしら。くすっ・・・その前に一緒に居るのかな・・・あいつ、いつも忙しいからさ」


「牧野?」


泣いてはいないけど泣いてるように見えた。
行かなきゃいけないけど、行きたくないと言ってるように思えるのは・・・俺の勝手な想像だろうか。

俺はいつの間にか牧野の後ろに立っていた。
牧野はそれを窓硝子で確認・・・そこに映っている俺と目が合った。


どうしてそんな目をしてる?どうして助けを求めるような目を俺に見せるんだ?
実際に見えるこいつのやけに姿勢のいい後ろ姿と、それとは反対に窓硝子に映る哀しそうな目・・・ここに来た本当の理由は初日の出なんかじゃないような気がしてきた。


「お前・・・何考えてんだ?向こうに行くのはお前が決めたんだよな?」

「そうだよ。あいつの所に行くって決めたのは私だよ。無理矢理じゃない・・・行くって言ったら驚いてたけど喜んでくれたよ」

「お前はどうなんだ?行くことが嬉しいのか?・・・そんな風に見えねぇのは気のせいか?」

「嬉しいに決まってるじゃん。恋人の・・・恋人のところに行くんだもん。誰だって嬉しいでしょ?」


「言葉と心が離れてんじゃねぇの?もしそうなら止めた方がいいぞ」
「離れてなんかないってば!もう言わないでよ・・・やっと決めたんだからもう変えられないのよ」

もう変えられないと言った後、眉を顰めて俯いた。
やっと決めたって何だ?・・・惚れたヤツのところに行くのに「やっと」っておかしくねぇか?



「やだやだ!西門さんが変な事言うからやっぱり寝ようかなぁ~!2時間ぐらいなら寝られるでしょ?」

そう言って窓のカーテンをサッと閉めたら、俺に顔を見せないようにして向きを変え背中を向けた。
そっと指が目頭に向かう・・・俺はそれを見逃さなかった。


何かが俺の中で音を立てて弾け飛んだ感覚。

それを感じた瞬間、俺は牧野の後を追うようにしてベッドルームに入り、俺に驚いた牧野を抱きかかえるとすぐ側のベッドに放り投げるようにして押し倒した!

「きゃああぁーっ!何をするの?!止めて、西門さん!!」
「・・・止めねぇ。牧野・・・お前、自分に素直になってねぇだろ?俺は今、自分に素直になってんだけど」

「なっ、何言ってるの?!意味がわかんない・・・やだ、西門さん!離して!」
「だから離したくねぇの・・・牧野、黙って俺に抱かれとけよ。あいつに言わなきゃいいんじゃね?」

「そんな事出来ない・・・出来るわけないじゃない!!」
「正直になってみろよ!本当の自分の気持ちは何処にあんだよ!」

「言えないのよ!!もう何年も待たせたのに今更言えないのよ・・・わかってよっ!・・・馬鹿!」


「・・・・・・牧野?」


「言えないよ・・・その言葉を出すのに時間がかかりすぎたもん。もう・・・行ってやらなきゃヤバいでしょ?」


大声で叫んだ後は涙が止まらなくなって俺の胸を拳で殴りながら泣き続けた。
「なんで西門さんまであんな家に生まれたのよ・・・!」・・・それこそ「やっと」口から出せた本心。

自分でも気が付かなかった気持ちの変化、俺とあいつの関係を崩したくなかったこいつの優しさ、西門っていう伝統の重さ。
その総てが重なって答えが出せなかった自分の弱さ・・・それを、アメリカに行くことで白紙に戻し、新しいスタートを切るんだと自分に言い聞かせたらしい。



「バーカ・・・遅くなんてねぇよ。今からでもいいから断わって来いよ。そのあとの事は俺がどうにかしてやるから」

「・・・もう遅いって。いいんだよ、これで・・・」
「良くねぇだろ?自分に嘘ついてこの先生きていくのかよ」

「西門さん、1つ勘違いしてるよ。私ね・・・あいつの事、嫌いじゃないのよ?」

「・・・許せねぇな・・・」



この日、俺は初めて牧野を抱いた。

固いシーツの上で、色気もクソもねぇ別荘のベッドの上で、冷え切った空気の中で牧野の身体が折れるぐらい抱き潰した。
初めて男に抱かれる牧野の怖がる声も無視して、荒れ狂った波みたいな動きでこいつの中を掻き乱し、身体中に痕が残るんじゃないかってぐらい噛み付くように白い肌に吸い付いた。

その度に牧野の悲鳴が上がる。
それがどんどん甘く艶っぽい矯声に変わり、こいつも俺を食い千切らんばかりに締め上げる。

「はぁはぁ・・・っ、あぁっ、西門さんっ・・・お願い、やめ・・・」
「なに?もっと強請れよ。どうして欲しい?何処がいいんだ・・・ここか?」

「いゃあぁーっ・・・!そ、そんなっ、ゃあっ・・・!」
「もっと俺を欲しがれよ、牧野・・・!」


体勢を変えて牧野を上に乗っけると、力が入らないのかガクンと俺の上に倒れ込んでくる。
俺の前で露わにした胸を鷲掴みにして身体を起こさせると、こいつの最奥で俺自身が更に固さと大きさを増し、それを締め付ける牧野の力も強くなった。

俺の身体に跨がってる牧野と両方の手の指を絡め、こいつの身体が跳ね上がるのを視覚で捉え、それに興奮した。
これをやがて彼奴が感じるようになるかと思うと・・・それが許せなくて総てを壊してしまいたい程の嫉妬に駆られ、自分の力を抑えることすら出来なかった。


「はぁ、はぁ・・・に、しかどさっ・・・もう、もうっ・・・」
「このぐらいで止める訳ねぇだろ?お前の記憶の中に残してやる・・・俺の身体を忘れねぇようにな!」

「ダメ・・・だよ。もう・・・もう、私は・・・あぁーっ・・・!」


牧野が意識を飛ばしたのはもうすぐ日の出だという頃・・・空が白み始めた頃だった。
俺達は同時に果て、同時に眠りについた。

だが、俺が目を覚ました時には牧野の姿はもう何処にもなかった。


どうやって帰ったかはわからない。
ただ別荘のテーブルに「バイバイ、西門さん」と書かれたメモだけがあった。


その後、噂で牧野が予定通りアメリカに向かったと聞いた。




a17044ad3a769f429a236c7e2daff05d_t.jpg
関連記事
Posted by

Comments 4

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/01/01 (Tue) 12:24 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

みわちゃん様、明けましておめでとうございます。

昨年は沢山の応援コメントありがとうございました。
今年も出来る限り・・・ってことで頑張りますので宜しくお願い致します。

そうなんですよ・・・バックアップを取ろうと思ったら1119話もあったんですよね。
イベントなんかもあるので私のお話だけだと1050話ぐらいでしょうか。まぁ、どっちにしてもよく書きました(笑)

子供の進路・・・ちゃんと生活出来るようになるまでは何かと不安ですよね💦
まだまだ世の中を知らないので甘く考えてて困りますが、夢だけはデッカいので本人は楽しそうです・・・。やれやれ。
ドキドキの春になりそうです。


お話の方は・・・2周年までは頑張ろうかな!(笑)
なーんて思いますが連載が終らないって感じです。

クリスマスと新年のお話が打ち込み完了なので、次はバレンタインか・・・!むむっ!

おせち食べながら頭の中では妄想が・・・(爆)
もう病気ですよね💦

こんなポンコツな私ですがこれからも宜しくお願い致します。
みわちゃん様にとって、良いお年となりますように・・・。


2019/01/01 (Tue) 21:36 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/01/03 (Thu) 00:39 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様 明けましておめでとうございます。

あっはは!去年の向日葵(爆)
祥兄ちゃんの「休業案内」でしたっけ?そんな事書きましたねぇ💦
すっごくシリアスな場面でしたよね?

総ちゃんとつくしちゃんが別れるんだっけ、別れたんだっけ?みたいな(笑)
蒼が産まれるとき?なんかそんな重大な場面でお正月になった覚えがあります!

今回は・・・年越しいきなりの大人の話♥

まーたバイクに乗っけてしまいました!
あははっ!でも注意書きもいらないほどのシーンだったでしょ?

いやだもん・・・元旦から注意書きとか(笑)


現実はねぇ・・・何かとありますよね。
我が家もあります・・・現在闘い中なのは娘です。
世の中の厳しさが判ってないのに言うことだけは一人前!!💢昨日から喧嘩中ですわ!

声を大にして言いたい!!

「うちは西門流でも花沢物産でもないんだよっ!!お金なんて使ったらなくなるんだよっ!!」

・・・・・・・・・はぁ!(ここで言ってどうする!笑)


イライラしながらお正月という地獄を過ごしているplumeriaでございます。
こんなポンコツですけど今年も宜しく・・・(笑)

2019/01/03 (Thu) 18:29 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply