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plumeria

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店に入ると早速メニューに釘付けになった牧野に大笑いした。

「お前そんなところは全然変わってねーな!ちゃんと食ってんのか?もう少し太れないのかよ!
女がそんなんじゃ可哀想になるじゃん。相変わらずのビンボー生活してんの?」

「失礼な!今はもう1人で暮らすには十分な貯金だって出来てますからっ!」

「じゃあ、外食ってのをしないんだろ?そんなに穴が開くほどメニュー見るヤツ見たことないぜ?」

そう言ってからかうとメニューをパタンと閉じた。
そしてちょっと怒ったような顔をして口を尖らせた・・・言い過ぎたんかなってドキッとする。

「じゃあ、西門さんに任せる!実はメニュー見たってわかんなかったの。西門さんの言うとおり外食なんてしないから。
頼んでもいいかな・・・ごめんね」

へぇ・・・こんな所も大人になったんだな。昔なら真っ赤になって怒鳴って反撃してきたのに。


「別に俺もそれが悪いなんて意味で言ったんじゃねーよ。じゃ、今日はここのシェフに任せようぜ?
好き嫌いなんてないだろ?絶対にうまいもんしか出てこないから心配すんな!」

ホール担当を呼んでシェフにすべて任せると伝えた。
メインの料理が来るまでにアンティパストと食前酒を飲みながら今までの事を話した。


「お前、ちゃんと就活ってのをやったんだな。今の会社はきちんと試験受けて入ったんだろ?」

「当たり前でしょ!どうやって入るのよ、それ以外で!でも、大手でもないしそんなに大変じゃなかったよ」

「何となく美作か花沢にでも入るのかと思ってたからさ。あいつらも誘ってただろ?連絡は取ってないのか?」

牧野に夢中だったあいつらが何らかのモーションを掛けてもおかしくはないってずっと思ってた。
特に類は絶対に花沢に牧野を入れると思ったのに・・・。
俺のような家は間違っても就職なんて薦められないからな・・・たとえ事務局でもだ。


「誰とも取ってないよ。桜子とは時々電話で話すかな。でも、あの子は自分で起業したから大変そうなの。
優紀も新婚さんだからね、なかなか会えないの。私だけが暇なのよね・・・。そっちはどうなの?
あの3人とは会わないの?あれだけ毎日一緒にいたじゃない」

「あいつらは日本にいることの方が少ないからな。戻ってきても前みたいに会う時間なんてないし、俺もこう見えて
忙しいわけ。今日はたまたま打ち合わせが早く終わったからブラブラしてたんだ。ラッキーだったな、牧野!」

「ご飯が食べられたから?うん。ラッキーだね!」

俺に会えたからって意味なんだけど、メシ食えたって・・・それは俺じゃなくても良かったって事か?
もう少し気の利いた一言が出ればいいのに。この俺を目の前にしてメシの方がそんなに大事かよ!


牧野がグラスを口に運んだ。少し目を細めたその顔に一瞬見とれてしまった・・・なんだ?この感じは・・・
こんなに女っぽい仕草を見せてたか?

髪をハーフアップにしていたからその耳元に目がいった。まだ、ピアスホールが開いてない・・・
あのラピスラズリのピアスはまだ出番が来てないらしい。

そもそもまだ持っているのか?
プリモ・ピアットでパスタが出されるとその配色の美しさに軽く手をたたいて喜ぶ牧野・・・
3年前のこと、お前はちゃんと覚えてんのか?そう心の中だけで問いかけた。


*******


さっき西門さんに声を掛けられた時は本当にびっくりした。
まさか、こんな所で会うなんて・・・思ってもみなかったから。
出来たら会社の制服なんかじゃなくて、もっとお洒落している時だったら良かったのに・・・。

そして食事に誘ってもらったのは嬉しかったけど、今日の私・・・どうして今日だったんだろう!
今日は全く可愛くないスーツなのよ?もっと春らしいワンピースとかだったら良かったのに。
こんなグレーのスーツなんて選んだ日に再会するなんて、自分にガッカリしちゃう・・・。

それにしても相変わらず格好いい・・・ううん、前よりもっと素敵になってる。男っぽくなったのかしら・・・?
3年も経つと結構変わるんだ・・・私はこの人にどう映ってるんだろう。
ドキドキしすぎて赤くなってないかな・・・心臓の音が自分に跳ね返ってくるんだけど。

花沢類達と連絡を取ってないのかって・・・とらないわよ。
あなたのことを必死で忘れようとしてたんだから・・・忘れられなかったけど。そしてこうして再会したけど。

確かに花沢類からは何度も連絡はあるし、美作さんからもそれは同じ・・・。
道明寺ですら別れたとはいえ、何故か贈り物は届いている。
クリスマスとか誕生日とか・・・返事はしなかったけどね。

だってその人達と繋がってたら西門さんと会うかもしれないんだもの。
そしたらあの雨の日に見た光景を思い出してしまうから。


お料理が並べられたけど、西門さんを前に緊張しすぎて味がわからない・・・。
昔からだけど本当に綺麗な手先で食事をしている・・・女の私よりもずっと綺麗なしぐさ。


見とれてしまって手が止まる・・・。


「なに?どうかした?そんなに見つめられると気になるんだけど?」

「あっ!ごめんなさい!つい・・・懐かしかったのよ!それだけだから!」

慌てて自分のお皿に視線を戻したけど・・・
西門さんはニヤッとその綺麗な顔で見つめ返してきた。


「はっきり言ったら?俺に見惚れてたって・・・」




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