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西門城の朝は想像以上に喧しい声で始まる。

コケコッコー!!!コケー!コケー!
コケコッコー!!!

ピィーーー!ピィーーー!!


「…………朝か」

チラッと窓の外を見たけど……まだ暗くね?
もう少し寝かせて欲しいんだけど……昨日の夜、遊びすぎたし。


コケコッコー!!!コケコッコー!!!


「…………わかった。起きれば良いんだろ」


……ったく!なんでこの俺が毎朝餌撒きに行かなきゃいけねぇんだよ!
こんなの庭師がやっても同じだろうに。

って、思うけどこいつら俺以外の人間が近寄ったら足蹴りするからな…。
マジ、凶暴で困る。
やっぱり半年前に興味本位で孵化させるんじゃなかったな…。


<半年前>

執事の山西がニコニコしながら竹籠の中に入れた玉子を持って来た。

「総二郎様、こちらは農家の娘さんが持ってきた玉子なんですが随分と美味しいらしいですよ」
「玉子?そっか。じゃ、料理長にでも渡したらいいんじゃね?」

「はい!早速そうしましょうね。なんでも有精卵だそうですから」
「…有精卵?…って事は……」

「はい、このまま温めたらひよこになると思います。そう考えたら可哀想ですかねぇ💦」
「……ひよこ?」

ひよこが産まれたらニワトリになる。
ニワトリがいれば毎日卵を産む。
毎日卵があれば料理好きのつくしちゃんに届けられる……。

これ、よくね?

…………これなら類も文句ねぇよな?
つくしちゃんが喜ぶんだ。くくっ、つくしちゃんのお強請りにはめっちゃ弱いからな!


**


「だからって何も全部孵化させるんじゃなかったなー!
まさかもらった玉子が200個だとは思わねぇじゃん!」


確かに全部が孵らないし雌じゃねぇから良いけど、無事ひよこになった奴らは半年経てば立派なオトナ。
今では西門城の一画には養鶏場が作られている。

「申し訳御座いません💦私共で与えてもいいのですが近寄ると足蹴りが……」

山西の手の甲には見事にニワトリの爪の跡……蒼穹並みに鋭いんだな、此奴ら。

俺が食われるのを助けて本来のニワトリにさせたとでも思ってんのかな……。
ヤケに俺に懐いてて怖いんだけど。


「総二郎様、馴れていると言っても充分に気をつけてくださいませ!
お顔に傷など作られると召使いが仕事になりませんので!」

「……あぁ、判ってるって。心配すんな」

そう言いながら俺は今日も餌をやった後には卵の回収に精を出す。
そして今日、初めてつくしちゃんに卵を送ろうとしてるって訳。


ピューーーーー!!

指笛を鳴らせば蒼穹が疾風を従えて俺の所にやってくる。
左腕を出せばそこに真っ直ぐ降りてきて精悍な顔を見せてくれる。

同じように疾風も来るが疾風の指定席は俺の肩。
俺の顔に傷付けそうな勢いで擦り寄ってくんだよな、これが!


「蒼穹、今日も配達頼むわ!つくしちゃんのところにな!」

ピィーーー!ピィーーー!


さて、どのぐらい送ってやろうかな♪

この日の為に、三週間の玉子運搬の訓練を要した。
チーズとは勝手が違うし、一度チーズを落とした経験のある蒼穹は、真剣だった。
俺への忠誠心なのか、つくしちゃんへの愛なのか、鷹の矜持なのか…兎に角真剣だった。
そして、今日だ!

いつもより、凛々しく見えるのは気のせいだろうか?やる気が漲っている。

軽量且つコンパクトな特注のバスケット型玉子入れに、我が西門の朝取り玉子を五個。
発注した時は「宝石でも運ばせるのですか?」と聞かれたくらいだ。
流石に「玉子です」とは、言いそびれた。


「よしっ!行ってこいっ!!」


ピィーー!ピィーーー!!



今日も穏やかな花沢城


「……あっ!今日も蒼ちゃんと疾ちゃんが来た♪」
「またなの?昨日も来てたよね?」

「……あれ?何か持って来たみたい」
「チーズじゃないの?」

「バスケットみたいなの持ってる」
「…ぁ…本当だ…」


「…見て♪玉子が入ってる…西門さん家の朝取り玉子だって♪」
「総二郎のとこ?いつの間にニワトリも飼ったんだろ?」
「有精卵だから栄養満点だって♪♪」
「ふ~ん」


二日目、三日目、四日目……、五日目のランチタイムの事。


「西門さんの玉子、本当に美味しいわね♪」
「そうかな?つくしが愛情たっぷりで料理してくれるからじゃない?」

「…////もうっ類ったら……あ、あのね」
「ん?」
「この玉子って有精卵って言ってたじゃない?」
「……ん…」
「って事は…これ温めたら産まれるのよね?……ひよこが……可愛いだろうなぁ~」

「……………つくし……」
「うん?」

「あのさ……確かにひよこは可愛いよ?でも、直ぐに大きくなっちゃうよ?」
「そっかぁ~でもでも、ひよこ……」


コンコン


「……お食事中に失礼いたします」
「ん?どうした 田村」
「……あの……西門様が……」


ピィーーー♪


「ツクシチャーン♪♪」
「おいっ、朝陽!待てっ!」


はぁ。
またうるさいのが増えちゃった……。


「きゃー、朝陽ちゃん!久しぶりね~♪」
「アサヒ、イイコ♪ツクシチャン、ダイスキ♪♪」

「よっ!急に悪いな。
おっ、うちの卵か?美味いだろ~!」

「うん、すっごく美味しいよ~!
いつもありがとね♪♪」


「で、何しに来た訳?」
「まぁそう急かすなよ。こっちで待ってるからゆっくり食えよ」


勝手にソファーに座って寛いでるけど、ここうちなんだけど?
ま、言っても無理か……。


「あれ?こんなやついたっけ?新入りか?」

もうっ!
待ってるんじゃなかったの?
こんなんじゃゆっくりご飯も食べられないじゃん!!

「あっ、その子ね、桜三郎っていうの。西田さんに貰ったんだ~♪」
「へ~、西田さんから…ねぇ……」

つくしの足元にいたはずのハルは何故か総二郎の足元に移動して、ふんふん言いながら匂いを嗅いでる。

ハル…そいつは天敵だからね!
ちゃんと匂いを覚えておくんだよ!!
なんなら噛みついちゃっても怒らないからね♪



「で、どうしたの?」

結局食事をしている間、ハルはずっと総二郎と遊んでた。今も総二郎の隣にちょこんと座ってる。
ずっと隣に寄り添うハルを見て、「犬もいいもんだな」なんて、総二郎もハルを気に入ったらしい。

「ねぇねぇ、西門さん!
あの卵って有精卵なのよね?温めたら孵化するのよね?」

「ちょっ、つくし!その話はさっき終わったでしょ!」

あんたが入ってくるとややこしくなるから!
早く追い返さないと、この顔は何か企んでるんだってば!!

「ん?つくしちゃんはニワトリに興味あるんか?
けど孵化はやめといた方がいいんじゃね?
雄雌どっちが産まれるか分かんねぇし、何羽孵るかも分かんねぇからな」


「え~……。でも、そうよね…選べないのよね……」

もうっ、つくしってば!
どう言ったら諦めてくれるのさ?!

「つくしちゃん!そんなにほしいならうちの貰ってくんねぇか?
ひよこからってのは無理だけど、選び放題だぜ?」

「ちょっと総二郎!余計なこと」
「えっ!いいの?!」

「ちょっ、つくし?!
分かってる?
ひよこじゃないんだよ?ニワトリだよ?大きいんだよ?」

「でも例えば…雄雌一羽ずつならいいんじゃない?
採れたて玉子を食べれるんだよ?」

「…………」

城にはたくさんの動物がいるっていうのに、この上まだ増やすの?
それに!
ニワトリだよ?ニワトリ!!
朝うるさいでしょ!

「ねぇねぇ、西門さん!
飼いたいんだけど、ニワトリってよく分からないし選んでもらってもいい?一羽ずつ♪♪」

「ああ、おやすい御用だ。
近いうちに連れてくるよ」


なんなのさ……。
俺の意見は無視?
俺…これでも王様なんだけど……!

言っても虚しくなるだけの言葉はぐっと飲み込んだ。
せめて…せめて……!

「総二郎…。卵をよく産む子にして…」

そうじゃないとまた来るでしょ!

「あー…了解!
ただな、環境も変わるし、絶対なんてのもねぇし?
心配すんな!これからも蒼穹達に届けさせっから」

「えー、いいの?うれしーい♪
西門さんありがと~!」


………。
だからそれがイヤなんだってば!!

つくしと話す総二郎の視線がこっちを見てニヤリと笑った。

「類、可愛がってくれよな!」

あっ……やられた…?
もしかして始めからうちに鶏を押しつけるつもりだったんじゃ……?
ユキちゃんっていう前科もあるじゃん!

「どんな子が来るんだろう?
類、楽しみだね~!」

「そう…だね」

つくしがそんな企みに気づく訳……ないよね…。



後日、総二郎は二羽のニワトリを引き連れてやってきた。
つけられた名前は「玉ちゃん」と「ゴッチ」……うん、いいんだけどね。

つくしは毎日楽しそうに玉ちゃんが産む卵を取りに行ってて、食卓に玉子料理を並べてる。

俺はといえば。

毎日どうしたら総二郎を出入り禁止に出来るのか考えてた。



おしまい




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皆様、こんにちは~!plumeriaでございます。

今日は総ちゃんでニワトリさん!
これもお二人に内緒で書いてボンっ!と投げさせていただきました!(笑)

いやぁ、五月蠅そうですねぇ💦西門城!
しかも総ちゃんが餌を与える係・・・想像出来ませんねぇ(笑)

てか、総ちゃんは西門城ではお茶・・・点てないんでしょうね。今更ですが気になりました。
(もしや・・・茶室付きの洋館?)


そしてここで問題になったのが「卵」と「玉子」

P 「出してから悩むのも変だけどどっち?」
G 「どっちだろう」
S 「どっちだろう」

★生物学的な意味での「たまご」=卵=子孫を残すために孵化して育つことを前提としたもの
★食材としての「たまご」=玉子 =特に鳥類のたまご

大きな概念として「卵」があり そのなかで料理などに使用される鳥類のたまごの総称が「玉子」と表現されます・・・ネットで調べたらそう書いてありました。

S 「ニワトリが産むのが卵で食べるときになったら玉子?」
G 「だね~」

つまり、総ちゃんが回収するのは「卵」で蒼穹が運ぶときには「玉子」?

何やらこんがらがって本文中も「玉子」と「卵」が入り乱れております(笑)
後で考えたら「タマゴ」って書けば良かった?


まぁ、そんなこんなで意外とお勉強にもなる花沢城・・・まだまだ続きます!!
(もう5ヶ月目に入るのね・・・)


それでは本日のお遊び~♥

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S様、この字体がお気に入りのご様子♥でも、ひよこじゃ防衛してくれそうにないが(笑)

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うん・・・多分1羽だと可愛いのよ。でも、これが200羽居たら・・・怖いですよね💦


それではまた来週の火曜日にお会いしましょう~♥
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2019/04/11 (Thu) 13:40 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

嬉しい女様(爆笑っ!!)こんばんは。

あはは!判りました?
総ちゃんに夜遊びさせたのも餌やりさせたのも私でございます♥

えぇ!勿論夜遊びの相手はPlu千代・・・じゃなかったPluチューでございます。
たーーーーーっぷり楽しませていただきました♥

え?聞きたい?聞きたい場合はチーム類にお入り下さい♥

あっ!西門城は洋城ですから着物ではございませんよ?
着物だと「殿様」じゃありませんか!(爆)

ここは全員カボチャパンツに白タイツの王子様です(よく知らないけどリボンの騎士っての?あれあれ!)
・・・あっ、王様だった(笑)
ニワトリは200羽近いから養鶏場が作られています。

ええ!G様にも言われましたよ(笑)

「総ちゃん自ら卵回収に餌やり!!」

純粋な総ちゃん書きさんですからねぇ💦驚いたんでしょうね・・・ははは!



そしてあまりあの方に喧嘩を売ってはいけませんよ(笑)
勝てませんからね・・・はい!

大根は・・・えぇ、結構長いこと怒っていらっしゃいましたから(笑)

2019/04/11 (Thu) 20:17 | EDIT | REPLY |   

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