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plumeria

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くっそー!
今日もかよ!!

池付近を見渡せど静司郎の姿はない。

静司郎も闘司郎も二日と空けず花沢城に通ってくのに、何で肝心の俺が出入り出来ねーんだよ?!
大体あいつ等もそれまでは居るのか居ないのか分かんねーくらい静かだったってのに、静司郎が通うようになって煩くなったよな?!
ったく…どーしてくれんだよっ!


「司様、どうかなさいましたか?
眉間に皺が寄ってらっしゃいますが…また花沢城の事をお考えですか?」

「まーな。
どうにかあいつ等の目を盗んで出入り出来ねーのかよ?」

「それは…難しいでしょうね。
相手は鼻が利きますから」

んなこと言われなくたって分かってんだよ!
その上で聞いてんだろーが!!


「一つだけ手が無いわけではございませんが…どう」
「なんだよ、それは?それをしたら花沢城に自由に出入り出来んのか?」

「確信は持てませんが…おそらくは…出来るのではないかと思います…」
「西田!!早速それ実行しろ!」

「……本当にそれでよろしいでしょうか?」
「いいから言ってんだろ!」

「はい、畏まりました」

ふふふっ。
これで俺もいつでも花沢城に出入り出来んだな!
つくし、待ってろよ!!



その日の午後、西田に言われてやってきたのは静司郎と闘司郎の部屋の隣。
まぁ、部屋って言ってもあいつ等用に建てた家で、中もあいつ等使用になってる。

つーか西田のやつ、こんな所に一体何の用があるっつーんだ?
確か闘司郎の左隣の部屋っつってたよな?

訳も分からずその扉を開けば、この部屋の中は屋敷とそう変わらねーし、特に何の気配もねー。
そのままリビングまで行くと、テーブルの上に本とメモが置いてあった。

まどろっこしい事しやがって!
口で言えばいいだろうが!!

なんだか嫌な予感がしたもののそのメモ書きを手に取った。


『司様

まずは名前をつけてあげてください。
相手は親と離れたばかりの子供です。優しく接してあげてください。

司様に懐くよう、私共は一切関知致しません。
必要な物は全て部屋にご用意致しました。一緒に置いてあります本とそれを纏めました物を参考にお世話をお願い致します。

これも全て花沢城へ通う為の道のりでございます。
どうかよろしくお願い致します。

西田』


名前?本?世話?
………あいつ、何考えてんだ?

嫌な予感が益々深まる中、本に手を伸ばした。


『初めての躾』


…………。

……はっ………まさかっ………?!



クーン…クーン………


?!

それまで静かだった部屋に……鳴き声らしき音が響いたと同時に、足元に何かが当たった。そっと下を見ればちっちぇー白い塊が足にまとわりついてくる。

逃げようとドアに向かえば、それはびくともしねー。仕方なく窓に向かっても中からは開かない作りらしい。
スマホは置いて来ちまったし、部屋には電話もねー。

くっそーっ!!
けど、タカが犬の為に硝子を割るのも大人気ねーよな………。
時間が経てば誰かしら来るだろうし、文句はそれからにするか…。


腹を括って向き合う事を決め、改めてそいつを見て思わず噴いちまった。

「くくくっ。
お前…その顔なんだよ?」


クーン……

しゃがみ込んでそいつを見たら丸っこい白い身体に潰れた鼻。
なのにめちゃくちゃデカい黒い目をしてなんとも情けねぇ顔…こう言っちゃなんだが何処かつくしに似てねえか?

さりげなく尻振ってんのか?どこからが尻だ?

触ってみるか?
いや……待て!こう見えて実は噛んだらすげぇ痛いとか?!

いやいや、待て!こんなに小せぇんだ……俺が負けてどうする!
類んとこの茶色いヤツより絶対小せぇぞ?

恐る恐る手を伸ばしたその時、この小せぇのが急に嬉しそうに「キャン!」ってな声出して飛びついて来やがった!


「うわあああぁーっ!何しやがんだ、てめぇ!
急に動くなーっ!!」



驚いて後ろに飛び退いて、そこにあったソファーに身体をぶつけたら……今度は首の下が熱い。
ぐにゃりとした柔らかいものがあって、何故かそれが動いてる。


…………待てよ?この感覚はなんだ?
俺の下に何か「生き物」が居る?マジで?

目だけを動かしたら真横で真っ黒な物体が……こっちもすげぇデカい目を俺に向けていた!


「ぎゃあああーっ!今度はなんだっ!
一匹じゃねぇのかよ!!お前は誰だっ!!」



またそこから飛び退いて、横の壁にへばりついて両手を広げたまま座り込む俺……!
左に白くて丸っこいの、右には黒くて太いヤツ……!

そいつらがゆっくりと俺の方に向かって歩き出した。
やべぇ……もう逃げられない。

「わかった!わかったから止まれ!止まれって言ってんだろうがっ!来るな……来るなーっ!」

クーン…クーン……
クーン……

「だから来んなって!!落ち着けっ、落ち着け……なんて呼べばいいんだよっ!!」


そ、そうか!
何か書いてあったな。名前をつけろ、と……なんだっけ?
優しくしろってのと本!本を読めって?!


「名前……名前か?」


まずは1番始めに見た白いの……マジで小せぇな。
って事はチビ……いや、そんなのは面白くねぇ。

静司郎、闘司郎ってのが既に居るんだから……こいつは小司郎?(こじろう)
で、こっちの黒いのは小司郎よりはデカい。デカい……大きい…大司郎?(だいじろう)


「よ、よし!決めた!!
お前は小司郎、お前は大司郎だ!
いいな?俺がつけてやったんだから覚えろよ!判ったな!」


クーン!クーン!!


「うわあぁっ!まだ来んなっ!
それ以上は近寄るなっ、小司郎に大司郎っ!待てーっ!!」



な、名前は決めた。次はなんだっ!

俺は此奴らが登って来られないテーブルの上に上がって西田が置いていった本を読んだ。
読めねぇ字があるが……何とか読んだ。

「なんだと?……
『飼い主としてさまざまな責任を負う必要があります』?
馬鹿言うな!自分の事は自分で何とかするもんだ!

『犬が問題行動を起こせば他人に迷惑を掛け、それは飼い主の意識が低く躾を怠ったという見方をされます』?
今の時点で俺が迷惑掛けられてるが?」


何が何だかさっぱりだったが、要は今のうちから鍛えろって事だな?


「躾の第一歩として名前を覚えさせる……てめぇって呼んじゃいけねぇのか?
しかも目を合わせる?此奴らと……?
名前を呼んで振り向いたら褒めてやる?そんぐらいで褒めてどーすんだよ!
呼んだら来るようにする?そこまで来なくていいけどよ……。
はっ?!呼んだら叱ってはイケナイだと?意味わかんねぇっ!」


今まで習ったどの勉強よりも難解な文章を読み、
とにかく「てめぇ!」と呼ばないことだけで1日目が終った。

それからは白いのが小司郎、黒いのが大司郎と覚えさせることには成功。
来た時には此奴らの「おやつ」ってもんを渡して「よく来たな!」と褒めてやった。

意外と早く覚えたのは「待て!」
俺の動きが恐ろしかったのか、これはすぐに覚えたらしい。

問題は撫でるまでに数分間心の準備が要ること……撫でられるようになったら抱っこってのに挑戦した。


「待て!!俺の心の準備が出来るまで待て!
そこを動くなよ?……俺が動くまで待て!いいか?いいか……?」



俺が初めて小司郎を抱っこ出来たのは、この部屋に閉じ込められてから10日後だった。

そして、大司郎を抱っこ出来たのは、
それから5日後の事。


何だよ俺、やれば出来るじゃねぇーか!
小司郎の半分の時間で、出来たぜっ!!

名前を呼ぶと寄って来る♪
有るんだか無いんだか判んねぇ、ちんちくりんのシッポを千切れんばかりに振って♪♪


くっそおぉぉぉーーーめちゃくちゃ可愛いじゃねぇかっ!


ヤれば出来るじゃん、俺!
気が付けば、小司郎と大司郎とソファーで絡まる様に昼寝するまでになっていた。

この部屋に、閉じ込められてから三週間強、
23日目の事だった。


「……司様………す、す、素晴らしい…」


かっちりとアイロンがあてられてる真っ白なハンカチで、目頭を抑える西田。
そんなにまで……と、23日前の事を思い出すと俺様まで、目頭が熱くなった。


─これで、花沢城のフリーパスを手に入れたも同然!!


「西田、このちっこい方が小司郎でデカイ方が大司郎だ、宜しくな」
「はい、畏まりました。本当によう御座いました」

「処で、こいつ等は何と言う犬なんだ?」
「あぁ、小司郎の方が パグ。大司郎の方が フレンチブルドッグで御座います」

「ほう……この潰れてるっぽい鼻と丸くて真っ黒な瞳が堪んねぇよな……」
「……あの、司様…」
「なんだ?」

「同様の犬種ボストンテリアがもう一匹おりますが…」
「……………」

「あの……どう…いた…」
「いや、二匹で充分だ」
「……そう…で、御座いますか…」

「……なんだ、残念そうだな」
「花沢城には、三匹おりますので…如何かと思いまして…」

「…………………」
「…………………」

……ここに、もう一匹?冗談じゃねぇぞ!
始めからやり直すのか?あれから既に三週間だぞ?
時間も十分かけた、犬も十分だ。

「……いや、充分だ」
「承知致しました」

「よしっ!西田」
「はい」

「花沢に行くぞっ!」
「お供致します」


*****


花沢城 執務室


「………で、今日は?何しに来たの?静司郎も
闘司郎だっけ?も来てないけど?」

「見れば判んだろ、俺の相棒達を紹介に来たんだよっ!」

「………へぇ……それ 司の相棒なの?」
「おぉ、可愛いだろ♪相性は最高だ」

「ふーーん『待て』は出来るみたいだね…」
「あ、当たり前だろっ!こいつ等の待てはすげえぞっ!」
「……へぇ…」

「これからは……」

「……司……、あのさ『これからはこいつ等がちょくちょく遊びに来ると思うから 宜しくな♪俺も寄らせて貰うぜ♪』とかじゃないよね?総二郎と同じ手を使おうなんて、思って無いよね?司がそんな姑息な筈ないもんね?まさかとは思うけど、その為にその二匹を相棒にした訳じゃないよね?本当に可愛いがってるんだよね?
それから、我が家のメンバーは司の相棒と仲良くなれるかもだけど、
司を受け入れるかは、判んないよ?」


「………………………………………………………………」


コンコン

不思議な沈黙の続く執務室に、SP三匹を連れてつくしが顔を出した。


「あら、道明寺 いらっしゃい♪」
「きゃあ~、その犬 道明寺のわんちゃん♪まだ、子供じゃない!」


流石、凄腕と呼ばれるだけはある。
さっ!と、つくしの両脇と前に陣取る 桃、菊、珀。
『大丈夫よ』の言葉の代わりに三匹の頭をクリンと撫でて、司の相棒に向かって手を広げた。

クゥ~ン クゥ~ン

飼い主の『待て』を振り切り、つくしにすり寄る司の相棒 二匹。

その二匹を……では無く、司から目を離さない三匹。
その様子から、司の相棒とやらの二匹に害は無いらしい。

類は『 待て。 はどうした?』の言葉を飲み込み、肩を揺らした。


「ねぇ、道明寺この子達の……」
「パグとフレンチブルドッグだ」

「犬種じゃなくて 名前よ、名前っ!」
「あ、あぁ、ちっこい方が小司郎でデカイ方が大司郎だ、良いだろ?」

「いゃ~ん♪君が小司郎くん?で、君が大司郎くんなのね♪♪♪」
「な、な、なっ♪可愛いだろ?」

「あら?大と小なの?中は?中は居ないの?」
「俺様に中は似合わねぇ、中途半端は真っ平ごめんだっ!!」
「えぇ!中も居たら可愛いのに……」


『まぁ、司に三匹は無理だよね?』も同様に飲み込み、肩を揺らし続ける類。

その様子を静観していた西田が、一歩踏み出した。


「……あの花沢様…」
「ん?西田さんどうかした?」

「大変言いにくいのですが、お願いが御座います」
「……何かあった?」


西田は、ここ数週間の事の顛末と、中司郎になる筈だったボストンテリアの話をした。
類とて鬼では無い、司の涙ぐましい努力を否定する積もりもないが、

それは、それ。
これは、これ。

司の出入りに関しては、桃、菊、珀に一任する事を条件に、ボストンテリアを花沢で引き取る決定をした。



数日後。

花沢城門前で騒ぐ 隣国王 道明寺 司を、睨み付けるつくし付きSP 桃、菊、珀の三匹。


「どけっ!そこの三匹っ!!」

「大司郎ぉーー!小司郎ぉーー!てめぇ等 戻って来いっ!お前達の主人はここだぁーー!!!」


今日も花沢城は、とても平和です♪





おしまい♪



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こんにちは、plumeriaでございます。

今日は司君でわんこです♡

よくよく考えたら1番ポピュラーな犬を出してないよね?って事になりまして。
花沢城がわんこでスタートしたのですが「他にもわんこを出そう!!」と燃え上がりました(笑)

勿論ここはわんこ大好きG様、トップをお任せしました!!
わんこになると生き生きするG様、面白かったです♡

鳥担当Pはわんこがよく判らない💦S様は何でもご存じなのでいいんですけどね。

わんこと言っても犬種が多いからどれにする~?って言えばまさかのこの子達(笑)
私の中のわんこは柴犬とかシェパードとかだったので、この潰れた感じはイメージに無くて驚きました~!


でも、司君は動物が苦手なはず・・・
それを克服させないと花沢城では生きていけない!と言う事で今回は修行していただきました(笑)
是非皆様もわんこと添い寝する司君を想像しながらお読みいただきたいと思います。

いや、司君の横で寝るわんこの方が勇気あると思うんですけどね・・・。
犬も人間も子供はチャレンジャーだと言う事ですかね・・・。


それでは今回のお遊びコーナー!

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やっぱり「待て!」は大事なんですね。飛び付くのが餌では無くつくしちゃんだという事に驚きですが(笑)

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こう言う顔を見るとわんこも可愛いなぁ、なんて思います♡

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潰れてる鼻が余計潰れてる!!どうやったらこんな所に入るんだろう?(笑)


それではまた来週~♡
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