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plumeria

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佐々木さんを黙らせるためについた西門さんの嘘・・・
それなのに、まさかその嘘を本当にするために私と付き合うって・・・俺も探してたって・・・私を?

そんな事出来るわけないのに・・・だって西門さんの好きな人は私じゃないでしょう?
卒業式の夜に一緒にいた綺麗な人・・・あの時の人がそうじゃないの?
西門さんのあの人へのキスは優しかったじゃない・・・

西門さんは佐々木さんが帰っていく姿を黙って見ている。


「西門さん。とりあえずはお礼言っとく。確かにあの人はしつこかったから・・・でも、この嘘をわざわざ本当にしなくて
いいの。そんな必要はないから・・・じゃあ、私は帰るね」

すぐにでも西門さんから離れないと、次に何かを言われたらもう自分も何を言い出すかわからない。
私の気持ちはこのまま隠しておきたかったから、足をバス停の方へ向けた。

「待てよ、牧野!そんな必要ないってなんだよ。俺は至って真面目だけど?」

私は西門さんに背中を向けたまま、顔を見ずに話した。

「そんなわけないじゃない・・・私は西門さんの好みとは全然違うもの。友達以上の関係になんかなれるわけないよ。
ごめんね・・・助けてもらったのに。・・・じゃあね」

西門さんが私の名前を呼んだけど、もう振り向かずに走って帰った。
すぐに来たバスに飛び乗って・・・バスの中から小さくなっていく西門さんを見た。
久しぶりに会えて嬉しかったのに・・・何故か涙が止まらない。

人が少なくなったバスの中で、窓に映る泣き顔の自分を見ている。



1人で住んでる小さなアパート・・・重たい気持ちを引きずりながら階段を上がって部屋に向かう。
電気のついてない部屋なんて慣れているのに、今日は特に寂しかった。
カバンを落として、部屋の隅にある鏡を見た・・・今日の私、いつもより暗いんじゃない?

24にもなって幼い顔、化粧だって全然上手くない。可愛くもないグレーのスーツに痩せた身体・・・
一度だってカラーもしたことない黒い髪。

いまだに開けられないピアスホール・・・。

「こんな私があの人の恋人になんてなるはずがないじゃない。だから、会いたくなかったのに・・・
また夢を見ちゃうから・・・」


スーツを脱いで部屋着に着替えた。温かいお茶を入れて1人で飲む。

「3年も経てば忘れるとを思ったのになぁ・・・」

自分の部屋のテレビの横に今でも西門さんの写真を飾っている。
大学の時に取った写真・・・美作さんも花沢類も道明寺も写ってる写真。
それと高校の時にもらった西門さんが1人で写ってる写真・・・これは私の宝物なんだ。
そもそもこんなの飾ってる時点で忘れるわけないのにね。

その横にはいまだにつけられないラピスラズリのピアス・・・

『お前が大人になったらこれつけたところ、見せてくれよ』


今でも時々思い出すんだ。あの時の西門さんの笑顔。
何度も開けようと思ったのに、結局何故か開けるのをためらっている。
大人にはなったんだけどね・・・


******


次の日、普段どおりに会社に行って仕事をした。
外に出たときにはつい、後ろを振り向いてしまう。昨日会ったからって今日も会えるわけじゃないのに。
そして、やっぱり耳を澄ましてしまう。昨日のように声が聞きたくて。


「お疲れ様でした」

同僚に挨拶をして通用口から通りに出る・・・また、周りを見渡してしまう。そんな自分にため息をついた。
そして、帰ろうと思って一歩出たら・・・待っていたのは佐々木さんだった。

「ちょうど帰る時間だと思ったから。少し時間いい?」

半ば強引に近くの公園へ連れて行かれた。
昨日のことだろうけど・・・どうしよう。あれは嘘だって言ったらまたつきまとわれそうで怖いし・・・。

「あの・・・昨日はすみませんでした。西門さんが変なことを・・・でも、やっぱり、佐々木さんとは・・・」
「そう・・・やっぱりあの男は君の恋人じゃないんだろう?どう見てもそんな感じには見えなかったよ」

やっぱりそうだよね・・・あの西門さんと私じゃ恋人だなんて誰も思わないよね。


「そうだろ?あの男は牧野さんのことを想っているんだろうけど、君の方が違うんじゃないのか?
牧野さんの片思いの相手があんな男だなんてとても信じられなくてね」


「え?今、なんて?」

「あの西門って男が一方的に牧野さんのことを想ってるんだろ?迷惑してるんなら僕の方から言ってあげるよ。
結局、牧野さんには片思いの相手なんていなかったんじゃないの?そんなに僕を警戒してたの?」

途中から佐々木さんの言葉が耳に入ってこなかった。
入ったのは西門さんが私のことを想っているって言うところだけ・・・。

一度しか会ってないのにどうしてわかるの?
私は昨日長い時間一緒にいたけど、そんなの何にも感じなかったんだけど?

公園の隅で佐々木さんと向かい合って立っていた。何かを言われてるけど耳には届かない・・・
私が呆然としてたから、頭にきたのか佐々木さんは急に私の腕を掴んできた!

「何をするんですか?!」

そう叫ぶと同時に私の後ろから少し低めの・・・彼の声が聞こえた。



「手を離せよ・・・そいつは俺の女だって言っただろ?」

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