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花沢類と付き合い始めたのは3年前・・・私が大学を卒業した時だった。


すぐにフランス赴任をせずに暫くは日本の本社で経験を積んでからって話になったらしく、それを聞いた時には私よりも彼本人が喜んでいた。
「まだあんたの横に居られるみたい」、そんな言葉をストレートに言われて心臓がバクバクしたっけ。


就活の相談には毎回乗ってくれたけど、返ってくる言葉は「花沢に来ない?」だった。
「それだけは嫌だ」って言うと怒ったような顔したけれど、それは近すぎる距離に私が怖がったから。そう話すと納得してくれたけど、結局花沢類が紹介してくれた系列会社の事務に決まった。

その内定を祝う食事会の時、「俺の隣の永久指定席、まだ空いたままなんだけど?」って遠回しな言い方されて、私がピンと来なかったら「俺と恋をしよう?」って。
私は花沢家の大きさに戸惑いがあったからすぐには返事が出来なかった。


大騒ぎした高校生の時の恋・・・あの時に心に負った傷はすぐには癒えなかった。
何度も大泣きして周りを困らせ、それでも立ち向かっては倒れて心に怪我をして・・・身体を壊したこともあるし、怯えて踞って顔を上げられない日もあったっけ。

その相手はあいつじゃ無くて「家」だった。頑張ってもどうにもならないことがあるんだなって思い知った高校時代。

今度はそれを花沢類で味わうのは嫌だ。
もう1度同じ事が起きたら今度こそ私は立ち直れないもん。そう思ってナイフもフォークも止まってしまった。


そんな私の手をふわっと覆ってくれた花沢類・・・昔の事を思い出していた私はハッと顔を上げた。
そこには何もかもお見通しの瞳が私を見てた。

優しくて温かくて、それでいて不思議な色の瞳。


「無理はさせないし、押し付けたくはない・・・牧野が決めて良いよ」
「・・・花沢類。私、この世界の事を何にも知らないよ?」

「この世界?同じ場所に居るじゃん。あんたが何かを変える必要はないし、俺もこのまま・・・でも、名前を友達から恋人に変えたいんだよね。ただそれだけでいいんだけど」
「でも、ご両親は?きっと私の事を知ったら反対するよね?」

「どうだろ。反対しない気がするけど。反対したらそれに反抗する。俺、両親に勝つ自信ならあるし」
「・・・くすっ、反抗って子供じゃないんだから!そんなに簡単な事じゃないのに」

「簡単だよ?牧野は頷いたらいいんだもん。守るのは俺・・・それじゃ不満?」


不満なんで有るわけが無い。ただ怖いだけ・・・それを伝えるとちょっとだけ哀しそうな顔になった。


「気持ちは判るよ。辛い思いしたもんね。ねぇ、牧野・・・あんたが抱えるかもしれない怖さ、半分俺が持ってあげる。
そうしたら少しは楽にならない?それでも怖い?俺はあんたを失う方が怖いから、それ以外ならなんだって平気かも」

「・・・花沢類」

「だから・・・恋、始めよう?」
「・・・うん!」


この日、花沢類が初めて恋人としてのキスをくれた。




それから3年間。
会えなくても毎日掛ける電話に、休日にはデートだし長期のお休みには海外までバカンス。凄く楽しくて幸せで、周りからも嫌みを言われるほど仲が良かった。

ただ、この時期になっても出てこないのはちゃんとした将来の話。

確かに花沢家を恐れたけど、そっちは彼の言う通り問題なかった。
「両親には話したよ」って言われたのは付き合い始めて半年後だったけど、明るくなった彼の変化の方を喜んでたみたい。

「今もフランスに居るからそのうち帰国したら一緒に食事にでも行こう?楽しみにしてるみたいだけどあの人達、忙しいからいつになるか判んないけど」
「う、うん・・・緊張する・・・」

「今、緊張してどうすんのさ。くすっ、変な牧野!」

それもいまだに実現していない。ご両親がなかなか日本に戻って来ないし、戻って来てもプライベートな時間なんて殆どないみたいだったから。


毎年迎えるお誕生日やクリスマスの度に「もしかしたら・・・」って期待を込めてデートをしたけど、1度もそんな話にはならなかった。豪華なディナーに誘われても、その後素敵なホテルの部屋で過ごしても、その「言葉」は出ない。

だから少し不安・・・もしかしたら私とは恋人にはなれても、その先には進めないのかなって。
私達は26歳と25歳・・・そろそろって思うのは私だけ?花沢類はこのままでいいのかしら・・・悶々としてるのは私の方で、今日も隣の彼は飄々としてた。




そして1月の初め。
もうお正月気分も抜けて普通に仕事に行き、長期休暇で呆けていた頭も元に戻った頃に花沢類から衝撃的な話を聞かされた。


「えっ?こんな時期にフランスに?」

「うん、中途半端だけど2月からね。本当はまだ先だと思っていたんだけど父さんから赴任命令が出たんだ。だから1月の末にはフランスに行かなきゃいけなくなってさ」

「急すぎない?いや、お仕事だから仕方ないんだけど。でも、あの・・・私達は・・・どうなるの?」

「俺達?俺達は変わんないよ。牧野・・・フランスに来れる?」
「はっ?私もフランスに?」

「・・・ダメ?」

「そ、そんな事すぐに答えるなんて出来ないよ。か、会社あるんだし!」

そこ・・・「来れる?」って言葉だけなの?
その他に言うことあるんじゃないの?次の言葉をずっと待ってたけどやっぱり出ない・・・もう、これ以上待ってもこの人はその「言葉」を出さないんだって思った。


言わなくても判るよね?なんて、そんなの嘘だから。
女の子はみんな、頭の中じゃ判っててもその「言葉」が欲しいんだもん・・・意地悪、花沢類。


だからわざと逆の事を言ってみた。

「そっかぁ!海を越えての遠距離恋愛ってなかなか聞かないよね。大丈夫かなぁ、そんなので。浮気しちゃわない?」

「牧野、浮気するつもりなの?」
「そんなわけないでしょ?でもさ、会いたくなってもすぐには会えないんだよ?海外だもん、パスポートが必要な遠恋は長続きしないって思わない?」

「そう?飛行機が飛べばその日のうちには会えるでしょ?」
「・・・そ、そうだけど」


いや!そうじゃないっつーの!
そうじゃなくて、私から次のひと言が出しやすいように話を振ってるのよ?どうして乗って来ないかなぁ!

天使のような微笑みで私を見てるけど、そんな場面じゃ無いから!






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類君のValentineStoryです♡
更新は偶数日を予定しています。ズレたらごめんなさい💦

Ensemble pour toujours (アンサンブル プール トゥジュール) フランス語で「ずっと一緒」という意味です♡
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Comments 4

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2019/02/06 (Wed) 13:34 | EDIT | REPLY |   
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2019/02/06 (Wed) 13:47 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは!

えみりん様、こんにちは!

そうそう!早いけどバレンタインなんです♡
10話程度あるので過ぎちゃいますけどね💦

あはは!その台詞は類君の作戦?ですかね(笑)
今年は類君も総ちゃんもラブラブしてなくて、どっちかって言うとコメディですね♡

総ては12時の反動ですけどね・・・ははは。

まぁ、暫くは2人のValentineStoryをお楽しみください。
(今回は大変だったわ・・・何が大変か?そのうち判ると思います・・・)

2019/02/06 (Wed) 17:06 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

はい。始まっちゃいました(笑)
前後編ぐらいで終わらせればいいのにどうしても長くなる・・・💦
よって本日より早々と公開しちゃいました!!


さて、その中のどの類君でしょう・・・すぐに判ると思いますよ♡

こんな始まりですが悲しい部分はそんなにないので(あるんだ?WW)安心してくださいね!
だってValentineStoryですものねっ!

楽しんでいただけたらと思います。

2019/02/06 (Wed) 17:12 | EDIT | REPLY |   

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