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英徳学園高等部・・・バッカみたいに忙しくて燃えるような恋もして、密かに憧れたり優しく包まれたりして夢を見た高校生活。

その大型ハリケーンみたいな人達が卒業してシーンと静まりかえった学園内。
漸くイジられることも除け者にされることも無くなって、極僅かな友達と平和に最終学年を過ごした。

そして私が進路に選んだのは英徳大学じゃなかった。
学費のこともあったけどそれだけじゃない・・・もうあんな生活に戻りたくないってのが1番の理由。


道明寺って言う強烈な恋人を持ったせいで普通の人間が味わうことの無い苦労も楽しさも、辛さも面白さも知った。こんな貧乏な私が世界中を飛び回るあいつに連れられて何カ国も・・・。
一生働いても買えないようなアクセサリーもドレスも受け取って、私の1年分のバイト代が1回の食事で消えるんじゃ無いの?って言う時もあったっけ。

最終的には家に負けて貫き通せなかった恋・・・でも、悔いも無いし未練も無い。
今では友達に戻ったあいつはさっさとアメリカに行ってしまった。


花沢類・・・寝てばかりの不思議な人だったけど私の1番の理解者だった。
黙ってても気持ちが伝わってて、独りで泣いてたはずなのに気が付いたら横に居るような人。それが凄く自然で温かくて・・・「好きだ」って言われたけど上手く返事が出来なかった。
卒業の時には「いつも笑ってて・・・俺は何処に居てもそれが判るから」って言われて、本当にバレてそうで怖かった。

だから今でも気にしてる。
独りで居ても空を見上げて「笑ってるから安心してね~花沢類!」って言う・・・その後、何故かキョロキョロして彼が居ないか探す自分も居る。
急に現れて抱きつかないでしょうね?・・・いやいや、この人はフランスに行ったんだって。


美作さんはとにかく私の保護者兼お兄ちゃんだった。
結構怒ったりするくせに泣きそうな顔したら慌てて頭を撫でて「悪かった!」って・・・。
私より女子力が高かったからいつも注意されてたよね。髪やお肌の手入れの仕方も教えてくれたし、プレゼントはいつも美容用品・・・ホントにあなたは男ですか?って何度も思ったわ。

ニキビが出来たら美作さんには会わないようにしたものよ。
その後のお話が長いから・・・「青春だよな!」じゃ終らないんだもん。ニキビ1つで皮膚科に行けるほどの余裕があったらあれだけバイトしないっての。

この人はイギリスに行った。
たまに来る「いい美容液あるぞ?」って言うメール・・・「試供品ならちょうだい」って言うのが最後の連絡かな?


そして日本に残るのはただ1人。


この人から逃げるために英徳大学には行かない。
クリスマスで味わった苦い思いも、慣れない手編みで頑張ったバレンタインも・・・あんなに胸が苦しくなって死にそうになるのはもう嫌だ。どうせ私なんてあの人の取り巻きの女の子とは比べものにならないのよ。

煌びやかすぎる男となんて2度と恋なんてしない。
でも、本人に会ってしまえば閉じ込めた想いが目を覚ますかもしれない・・・だから、今は会いたくなかった。


「行ってきます・・・ホント、いつでもお調子者の笑顔だね」

話しかけるのはローボードの上にある彼の写真・・・私の1番好きな彼の笑顔の写真。
完全に思い出に変わるまではこれを毎朝見るだけで良かった。ホントにそれだけで良かったのに・・・。




**



A大学・・・この大学に入ってからもうすぐ1年が経とうとしている1月のある日の夕方。
この大学で出来た友達の陽子に誘われた飲み会・・・所謂「合コン」ってヤツだった。

それを知ったのが飲み会当日で、私はてっきり女の子だけのワイワイした集まりだと思っていたのに「お坊ちゃま達との合コンよ?もしかしたらお金持ちの彼が出来るかも♥」なんて言われた。


「あのさ、パスしていい?」

校門を出て僅か50歩・・・めっちゃお洒落してウキウキしてる陽子の背中に向かってそう言った。

「何でぇ?つくしも入れて人数合わせてんのよ?行かないならあと1時間の間に代わりの人連れて来てよ!」

クルリと振り向いて怒った顔を見せるけど、この私の格好を見なさいっての!
可愛くもなんともないジーンズに、余計寒そうに見えるグレーのセーター。巻いてるマフラーは温かさ優先で買ったキャメルの無地。あんたみたいにヴィヴィアンのチェック柄とかじゃないし!
おまけにいつものクリーム色のダッフルコートにバーゲンの鞄。

何処がお坊ちゃま達との合コン仕様なのよ!!


「何言ってんの!内容も教えずに飲み会だって言ったクセに!合コンでしょ?やだよ、そんなの面倒臭い」
「はぁ?!あんた、そんな事言ってる場合じゃ無いでしょ?1年間誰とも付き合ってないじゃない。そんなので楽しい大学生活送れるの?ほらほら!行くよ!」

「この格好で?自分だけお洒落して・・・それって酷くない?」
「あんたみたいな素朴な子も1人は居ないとダメなのよ。そういうのが好きって男性もいるんだからさ!全員が同じイメージだったら面白く無いでしょ?」

「うわっ・・・強引なんだからっ!」
「友達思いって言って欲しいわ♪」


時間がないだなんて言われて陽子が呼んだタクシーに投げ込まれ、私の言葉なんて無視されて予約したって言うお店に向かった。


着いたのはイタリア国旗が翻るリストランテ・・・「il melograno」(イル メログラーノ )


「・・・ここ?」
「そう、ここ。大丈夫よ、見た目はこんな感じだけど服装規定なんてないから追い出されないって」

いや、このお店・・・見覚えがあるんだけど。
確かホール担当者がイケメンで揃えられてて、カウンター内の女の子も可愛いさ優先で選ばれたような、それでいて一流シェフが居るお洒落なイタリアンレストランでしょ?
あの人達と何度か食事に来て、当然だけど毎回奢ってもらったような?・・・そのぐらい高い店じゃないの!!

慌てて今日、いくら財布の中に入ってるのかと考えたけど・・・1万円もない。しかもこれは生活費・・・こんなお店に全額払ったら明日からのご飯がないじゃない!
やっぱり帰ろうと思ったけど、陽子にコートの襟を引っ張られて席まで案内された。


「は~い!お待たせ・・・って、あれ?男性陣は?」
「それがまだみたい。でもまだ時間じゃないのよ。私達の方が気が早かったのかも!」

「だからゆっくり化粧直ししてからって言ったのに亜由美が急げって言うから・・・」
「あはは!ごめんって。何なら今から直しに行く?」

「つくし!どうして今日はお洒落しなかったの?あんたが1番頑張らないとダメじゃん!」

「・・・合コンだなんて聞いてなかったし、興味ないもん」


席は男性達が来てからまたくじ引きだってキャアキャア大騒ぎ・・・それをめっちゃ冷めた目で見る自分の可愛くないこと!

これじゃあまた1人で浮いちゃうよね。
万が一4カップル出来たとしても、1組だけ不成立・・・そうなったら残った男性1人が気の毒だわ。


「ごめんね、待った?」

爽やかな声が私の後ろから聞こえてきて、友達の表情が一気に乙女になった。
「いいえ、全然♥今来たばかりです~!」ってさっきまでと声のトーンが違ってる。バッカじゃないの?って自分の同級生を睨んだ顔のまま私もクルッと振り向いた。

こっちに向かってくるイケメン集団は周りのお客さん達の目も釘付けにして、先頭のチャラそうな人が片手を振りながらウィンク。すぐ隣のイケメンはわざわざ通路で出会ったウエイトレスにも極上の笑顔。
こんな光景何処かで見たことあるような・・・なんて考えていたら集団の1番後ろから面倒臭そうな顔した人がポケットに手を突っ込んでやってきた。


「・・・あれ?」


何だろ・・・凄く嫌な予感がする。
あの黒髪、あの歩き方・・・あの目付きに左耳に光るピアス。

ポケットから手を出して髪を掻きあげる色っぽい仕草に綺麗な指の形・・・その人がゆっくり歩いてきて私と目があった。


「・・・あれ?」


絶対に会いたくないと思った男・・・西門総二郎が目の前に現れた。





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突然始まった総ちゃんの短編でございます。

連載が可哀想な総ちゃんのために頑張ってみました(笑)
更新は不定期です。目標は偶数日・・・ズレたらごめんなさい💦
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2019/01/16 (Wed) 13:48 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

花様、こんばんは~!

12月はお世話になりましたぁ!!
ホントにいつも忙しそうだね(笑)身体壊さないようにね?

私もね、今年は娘が卒業だから何かと忙しいのよ・・・って言うか気忙しいのよ💦
離れて暮らしてる分だけ状況が掴めなくてね~。

で、春から何するんだかも今から決めるという(笑)

普通の道を進んでくれれば有り難いのに、と思ったり夢があっていいなぁって思ったり。
親としては複雑ですわ・・・。


って事で、今年は頑張るの?パソコンは大丈夫?
連載完結(笑)楽しみにしてます!!


あっ!GPSにもコメントありがとう!G様から聞きました!

あのね・・・花沢城はメンバー見て判るとおり、際どい話は全部私に回って来るからやりませんっ!
アレこそ童話集なのよ♥花さんには物足りないかもしれないけどまた読みに来てねーっ!



2019/01/16 (Wed) 20:52 | EDIT | REPLY |   

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