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「それではこちらが先日お話ししたボストンテリアでございます。
可愛がってあげて下さいませ」

道明寺城から西田さんがやって来たのは桜が舞い散る春の日のこと。
「まるで入学式みたい」ってウキウキして迎えたのはつくしだったけど、西田さんの様子がおかしい。

何故かソワソワしてるしバスケット持ってる手が震えてるし。
目が泳いでるよね?俺の顔、見ないようにしてるよ……ね?


「西田さん、どうかしたの?なんでそんなに震えてるの?」
「あら?うちは道明寺より寒いのかしら?道明寺って1番南だから暖かいもんね!」

「はっ!いえ、そうではないのですが……」
「気温じゃないならなんなの?風邪引いてるの?
ここに南の風邪菌とか持ち込まないでよ?」


「い、いえ風邪なども引いておりません。ご心配なく、花沢様」

「…………」

「えっと、じゃあこの子、見てもいいですか?」
「あっ!はい、どうぞ!」

「…………」

何なの?バスケット渡すのにそんなにドキドキしなくてもよくない?
もしかして……五匹居るとか言わないよね?一匹だけって話だもんね?

つくしは西田さんからバスケットを受け取って慎重にテーブルの上に置いた。
その足元では珀、桃、菊も興味津々なのかキチンとお座りして新入りを待ってる。

「珀、まだ子供だからいきなり吠えちゃダメよ?」
「…わん♪」

「桃ちゃんと菊ちゃんも、この子は小っちゃいんだから守ってあげてね?」
「「わんわん♪♪」」

「じゃあ開けるねぇ~!……きゃああぁーっ!可愛いーっ!!」


…………クゥ~ン


つくしが抱っこして俺に見せてくれたのは白と黒のボディカラーの小さいヤツ。
ちょっとムッとしたけどつくしの胸に凭れ掛かるようにして小さい身体を余計丸めてた。

「いやぁーん!本当に小っさいねぇ!見て見て、類!」
「……うん、子供だからね」

「可愛いっ!珀、桃ちゃん、菊ちゃん、ほら!お友達だよ~!」
「「「わんわん…わん♪」」」


…………クゥ~…


あれ?もしかして元気がないの?
まさか……この子が病気っ?!

「西田さん……この子、元気だったの?それともこれが普通のテンション?」
「はっ!いや、その……ですね」

「どういう事?まさか病気なのに花沢に持ってきたの?」
「とんでも御座いません!そういう事ではないのです!」

「じゃあどういう事?どうしてこんなに項垂れて顔を上げないの?!」
「花沢様、申し訳ございませんっ!!」


「類……私が嫌われてるのかしら……」

ぐったりしたボストンテリアを抱いたままつくしの目に涙が……!
それを見た珀がギロッと西田さんを睨んだら、桃太郎と菊次郎がゆっくりと彼の方に向かって歩いて行った。
その顔……マジで怖いんだけど!二匹ともっ!


「西田さん、説明して」

「実は……ですね。この子は司様の小司郎と大司郎と同じブリーダーから譲ってもらった犬なんです。
城に来るまでは三匹仲良く遊んでいたと聞いております。
ですが司様が犬をお育てになっている間、その二匹から引き離しましたら途端に元気が無くなりまして……」

「独りぼっちにさせたから?」
「どうして三匹とも司に任せなかったの……って司には無理だったね」

「そうなのです。二匹でも無理かと思いましたが、何とか二匹は司様に馴れてくれたのです。
ですが三匹目は司様が無理でしたので、それで花沢様に是非…と思ったのです。
ここに居ればあの二匹も時々は来るでしょうし、お二人なら可愛がって下さるでしょうし」

「それなのにどんどんこの子が元気無くなったの?」
「そうなのです。私ではもうどうしていいやら……花沢様、この子は元気になるでしょうか?」


…………判んないし!そんなの!
でもつくしはそんなテリアの頭を撫でて、流れる涙を拭いてるし。

「大丈夫だよ、ここには沢山のお友達がいるよ?
珀も桃ちゃんも菊ちゃんも優しいよ?
たまには鳥さんも来るし、真っ白なユキちゃんも居るよ?
黒ちゃんなら背中に乗っても怒らないし、池に行ったら足を洗ってもらえるよ?
小さい方がいいなら八子と潤君も居るから淋しくないからね……」



…………ヤバい!俺までうるうる……


「…いいよ、判った。この子の心の病気はうちで何とかする。
西田さん、ちゃんと面倒みるから安心して」


「ありがとうございますっ!花沢様!!」
「……その代わり今回の橋の補修は全額道明寺に頼む」

「…………は、はい!」


ありがとう御座います、宜しくお願いします。と何度も頭を下げて帰って行く西田さんを見送り、
つくしに抱かれている小さいボストンテリアに視線を移した。
ソファーに座るつくしを囲むように、足元に座る三匹。その視線も彼女に抱かれいるそれに向いている。

皆、優しいんだよね……


「ね、皆で沈んでてもどうしようもないよ?まずは……名前からだね」
「…そ、そうよね♪皆で考えよう?」

「ねっ、桃ちゃん菊ちゃん、珀」

「「「わん♪」」」


窓の外を見れば、風に吹かれて旅立つ桜の花びらで、空気までもその薫りがするみたいだ。
同じ様に外を見ていた彼女が、


「ねぇ、こんなに桜が綺麗なんだもん、
桜って字入れたいよね?」

「……そうだな……」


それまで様子を伺うように控えていた田村が、思い付いたように声をあげた。

「桜は、ハルとも読みますよ」

「うわ♪そうなの?」
「うん、ぴったりじゃない?」

「じゃあ……琥珀、桃太郎、菊次郎の弟でもあるから……桜三郎(はるさぶろう)は?」


……毎度思うのだが……俺の奥さんのネーミングセンスって……どうなのかな?
そんな事を一瞬思った沈黙を善しと理解したらしい……


「君は、今日から桜三郎よ♪ハルちゃん楽しい事沢山しようね♪♪皆も宜しくね♪」

「「「わん♪♪」」」


つくしの膝の上で身体を丸め寂しげな表情だったハルの表情が、少しだけ嬉しそうに変わった気がした。

このまま、元気を取り戻してくれると良いな。


あれから、三週間。

最初の一週間はハルの事を可哀想だっ!と思った自分に嫌気がさした。
三匹の部屋と一緒にハルの寝床を作ったのだが……ハルの夜泣きが凄かった。
おやすみのハグをして電気を消して、寝静まると始まる夜泣き。
結局、つくしまでが泣きそうな顔で二人のベッドにハルを連れて来る。
もれなく、三匹も付いて来る。


ハルッ!!つくしの胸にしがみつくんじゃないっ!


出水先生の診断は、寂しさが一番のストレスになっているのでは?ボストンテリアは感受性が高いですから、との事。

お陰で最初の一週間、俺達は桃、菊、珀そして、ハルと寝ていた。

やっぱり……橋の補修工事が終わったのを見計らって壊してしまおうか…と思った事もあった。

桜の花びらが全部旅立ち、緑色に変わろうとする頃には、元気を取り戻したらしいハルが桃、菊、珀にじゃれながら庭で転がっているのを見られる様になった。

城内にいる動物達とも仲良くなったみたいだし、身体も少し大きくなったみたいだし、ボストンテリア持ち前の正義感の強さと紳士っぽさが出て来た。
そして、古参の三匹と同じ『つくし love❤️』には、田村と笑ってしまった。


「どうやら、SPのプレートを増やさないとですね」
「くくっ、見習いからだよね?」
「えぇ、見習いからですね」


わんわんわんっ!
わんわん!!

わわわん、わんわんっ!!!!!

聴いた事もない様な鳴き声に階下を見れば、
ハルが物凄い形相で何かを睨み付けていた。


その先を見てみるとそこにいたのは静司郎。その足元にはラスカルもいる。静司郎は相も変わらず微動だにしてないけど、その顔はハルの方を向いてた。


もしかしてちょっと動いた?
動かないと思ってた物が急に動いてびっくりして鳴いてる?

ちょっと面白くてバルコニーからその様子を眺めてた。


うー、わわん!!
わん!…わ……わん……?


始めの勢いはどこに行ったのか、鳴き声は尻すぼみになってる。

ぷぷっ。
あんまり動かないから何に吠えてるのか分かんなくなったとか?

鳴き声は止んだけど、耳は後ろに伏せたまま。なんだか妙に低姿勢になって静司郎に近づいてく。

ぷっ。匍匐前進してるみたい。
どうするつもりなんだろ?
ま、あいつ等がいるから大丈夫だよね?

ハルの後ろには珀、桃、菊がいて、尻尾を振りながらハルを眺めてる。


うー!
わん、わわん!!


あっ……。
ラスカル……。

静司郎の足元にいたラスカルがひょこひょことハルに近づいてく。その距離が縮まると同時にハルの鳴き声が響き渡る。

声に臆する事なく近づくラスカルと、怖じ気づいたのか固まったハル。

ラスカルはあいつ等で免疫が出来てるだろうけど、ハルは初めてだもんね。まだまだおこちゃまだし。

おっかなびっくりのハルに近づいたラスカルは首輪に手を伸ばそうとしてる。

池まで引っ張ってくつもりなのかな?

「類様……よろしいのですか………?」
「よろしくはないけど、大丈夫でしょ」
「は、はぁ……」


『珀~?桃ちゃーん?』
『菊ちゃーん、ハル~?』


わんわん♪
わわん♪


「くすっ。ほらね♪」


つくしの声に珀、桃は回れ右で猛ダッシュ。菊は新入りハルと呼ばれた方向をキョロキョロ。
肝心のハルはラスカルに首輪を捕まれてるから動けない。でもつくしの元に行こうと一生懸命足を踏ん張ってる。

「「あっ……」」

ラスカルの手が緩んだのか?それとも離したのか?
踏ん張ってた勢いでハルが後方に転がってった。

「大丈夫でしょうか……」
「………」

二人揃って心配で視線はハルに釘付けだった。

なのに!

起き上がったハルはブンブンと体を振るわせると、何事もなかったように菊と一緒につくしの元へと駆けていった。


「この城に来た時はどうなる事かと心配でしたが、もう大丈夫なようですね」
「だね」


つくし付きのちっちゃい見習いSP ハル。
これからどんどん逞しくなってくのかな?


「さあ、類様。
続きを済ませましょう」
「あい」




その後もハルは闘司郎に追いかけられたり、理雄、明日香、星花を追いかけて砂をかけられたり穴に入り込んで出れなくなったり、空から近づいてくる蒼穹と疾風に飛びかかったり。
わんぱくぶりを発揮させては俺達を笑わせてくれてる。

『見習い』がとれるのはいつになる事やら…。
ま、だいぶ先の話だろうね、くすっ。




おしまい




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皆様、こんにちは。plumeriaでございます。

今日は類君でわんこ!ボストンテリアでございます♥
GPSは私とS様が鳥族、G様が犬族ですんで、わんこ書いてるとG様がノリノリです(笑)

私は実は犬が1番苦手でして、実家で柴犬飼ってたんですが怖かったです。
しかも父が家の中で飼っていたのでそこら中を走る走る!
(兄が拾ってきた柴犬なんですが💦)

でも18年間、大きな病気にも事故にも遭わずに「父の友達」を務めてくれました。
わんこを書いてると思い出しますねぇ。

特に琥珀の画像を見るとヤンチャだったその子を見てるみたいで(笑)


さて・・・司くんがわんこを飼いました。
花沢城にもわんこが居ます・・・って事は?(笑)


それでは今日のお遊びコーナーです♥

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初めはこの画像をタイトルにしようと思ったんですが(笑)顔が見えないしね💦でも可愛いでしょ?

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砂だらけの写真に爆笑して作りました。穴掘り名人のうさぎさん達に負けるハルです(笑)

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そしてやっぱり最強なのは「美作 理雄」ちゃん(笑)


それではまた来週の火曜日に~♥
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Comments 4

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2019/04/02 (Tue) 18:29 | EDIT | REPLY |   
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2019/04/02 (Tue) 20:54 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

初めての女様(微妙な省略)こんばんは!

日本語って綺麗ですよね~♥
それは妖怪・・・じゃなかった妖精S様が教えてくれたんですよ。

ここで実は「梅三郎」って出たんですが(笑)

「それ、プルさん家のお話しでもう出てるよ」って(笑)

でね、三郎ってつくいい名前がないかって思っていたら、またS様が・・・

「北島三郎」

って言ったのよ!!(爆)

もう暫く「北島三郎」で盛り上がっていました💦


花沢城物語、1番悩むのは「名前」だったりします(笑)


あぁ!そうだった!

人参と大根・・・あとの2つはなんですか?ってみんなが言ってました。
いつか教えてくださいね!!

2019/04/02 (Tue) 23:57 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんばんは~!

うふふ♥楽しんでもらえました?

本当に初めは司君に中司郞で飼ってもらおうと思ったんですけどね💦

「司君に3匹は無理だろう・・・」
「って言うか、そもそも犬が無理なのでは?」
「でも書きたいのよ!!」

と協議した結果、こうなったんです(笑)

いやぁ、こんな事を真剣に相談する大人って・・・なんなんでしょうね(笑)

まだまだ終わりそうにありません、花沢城!!
来週も笑ってもらえるといいなぁ♥

いつもコメントありがとうございます~!

2019/04/03 (Wed) 00:01 | EDIT | REPLY |   

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