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ピピピピピピピ  ピピピピピピピ


「はい、見せて?」
「・・・・・・下がった?」

朝になって牧野に渡していた体温計を回収、その数字を見たら37度2分。微熱のままだった。

「まだ少し熱があるね。ただの風邪ならいいけどインフルエンザだったら隔離でしょ?それは困るから」
「そっかぁ・・・久しぶりに自分のお部屋に戻されちゃう?」

「インフルエンザならね。医者を呼んでくる。それに朝ご飯もここで食べなきゃね」
「・・・あっ、類・・・」

主治医にもう1度診察してもらおうと、ベッド横の椅子から立ち上がったらその手を牧野が掴んだ。やっぱりまだ熱い・・・。
どうしたのかと思ってベッドに手をついて顔を覗き込んだら、真っ赤な顔してモジモジしてる。

「あのね・・・いつもの、今日はナシ?風邪・・・うつる?」
「・・・あぁ!ごめんね?」


そんな事をこの状態で強請られるとは思わなかった。
いつもの・・・朝一番の俺からのキス。

そっと目を閉じた牧野に今日は軽めのキスをして「少し待ってて」って言うと、今度は俺を掴んでいた手を離した。

ヤバい・・・今の顔反則!・・・医者の所に行くくせに顔が赤いかも!
出会う使用人にも「どうかされたのですか?」「類様もお熱ですか?」を繰り返し聞かれるほど全身が火照ってた。

案の定、医者からは発熱を疑われ、ベッドを別けなかったことを話してもないのに怒られた。



「今の所インフルエンザの反応は出ておりませんね。高熱でもありませんので肺炎の心配も無いでしょう。ただの風邪、と言っては失礼ですがそういう事でしょうな。お薬はこちらですからキチンと3日間、飲んで下さいね。
それともう1度38度以上の高熱を出して関節痛があれば再度検査します。その時はすぐにご連絡を」

「はい、ありがとうございました」

「まだインフルエンザの可能性は否定できませんし、出来ましたらこの3日間も類様とはお部屋を別けていただきたいのですがねぇ・・・毎日ご一緒なのでしたら潜伏期間もほぼ一緒ですけどこればっかりは発症しないと判りませんしね」

「は、はぁ・・・えっと、本人に伝えますね」


本人って・・・俺はここに居るんだけど?
俺に対しての信用がゼロだから牧野に頼んでるんだね?どっちに言っても無駄だけどね。

水分も自分で取れていたから点滴の必要も無くて、主治医と看護師は朝の診察が終ったら屋敷を出て行った。



今日の朝食は俺の部屋でお粥だけ・・・それしかないの?って可哀想になったけど、牧野が「食べられないから充分」って辛そうに笑っていた。
俺だけが普通に食べるのも嫌だったけど「うつったらいけないからちゃんと食べて体力つけて!」って咳き込みながら怒ってる。

でも流石牧野・・・俺のプレートのオムレツを見たら「美味しそう・・・」のひと言。
それをスプーンですくったら嬉しそうにひと口食べて・・・気が付いたら半分食べてた。


「類、会社は何時から?」
「今日は昼から。もうすぐ支度して行かなきゃいけないけど、その前に桃太郎達にご飯あげてくるよ」

「いいなぁ・・・梅三郎に会いたいなぁ・・・」
「元気になったら遊んであげな。これからは時間が少しは出来るでしょ?」

「・・・うん、そうする・・・」


遅い時間に朝食を食べ終わったら、牧野はまた目を閉じた。

だからその間に犬舎に行って桃太郎達に餌をやり、そのまま加代と執事に昨日の話をしに行った。
牧野の素性を全く知らなかった2人は凄く驚いていたけど、牧野を花沢に迎えるつもりだと伝え、今後は彼女に不審者が近づかないよう注意しておくようにと頼んだ。


「まぁ、本当に初めは恋人ではなかったのですか?信じられませんわ、あのように類様が笑っておられたのに?」
「そうですよね?私も類様を笑顔にする方は初めてだと牧野様にお話ししたことがありますが?」

「演技、上手かった?」

「そんなのは自慢になりませんわ!」
「はははっ!私が思うに類様の方が早く恋に落ちたのではないですかな?牧野様が来られてすぐに感情豊かになられたから」

「・・・そうなのかな」

「あぁ、そう言えば牧野様は類様より桃太郎達の方がお好きだったかも」

「・・・・・・」

ここでも俺、犬に負けたって思われてるんだ。まぁ、いいけど。
兎に角今後は加代にはマナーや家の事を、執事には花沢物産の資料室で牧野に少しずつ色んな勉強をさせるから手伝って欲しいと頼んで部屋に戻った。



昼食は少しメニューが増えて牧野も嬉しそう。
熱は37度で落ち着いていたから食べ終わったら俺はスーツに着替えた。

「じゃ、今日は定時で帰ってくるからね。俺が居ないからって梅三郎の所に行かないようにね?」
「うん、ちゃんと寝てる。ありがとう、類・・・行ってらっしゃい」

「ん、行ってきます」


久しぶりに1人での出勤・・・車に乗る前に部屋の窓を見上げたら牧野が手を振っていた。
ベッドから降りられたんだ、って笑ってる彼女を見ると部屋に戻って抱き締めたくなる・・・それを我慢して社に向かった。



**



「皆さん、あけましておめでとうございます。 昨年は花沢が都内で商社を起ち上げましてから40年の記念すべき年となり、最新のエンタープライズシステムの導入や再生型エネルギー貯蔵システムの開発も行うことができました。この場をお借りして皆さんにお礼を申し上げます。年頭にあたり、本年度の目標として・・・」

新年、仕事始めの日・・・例年と同じように役員総会が始まった。
昨日の事件なんて微塵も感じさせない父さんの挨拶から始まったけど、母さんは副社長席で半分目を閉じてる・・・この2人はどうやら楽しい夜だったんだなって思ったけど、想像したくないから止めた。

俺達が大変だった時に・・・ってムカつくから。


「・・・クシュン!」
「・・・藤本、風邪なの?」

「ズル・・・いえ、そんな事は・・・クシュン!」
「そう言うの風邪って言うんだよ。うつさないでよね」

「・・・言うのはそれだけですか?」
「変な声。歌い過ぎ?」

昨日迷惑電話掛けたことは謝らないのか?っていう目で見てるけど、目が潤んでて鼻も赤くていつものこいつじゃない。余りに情けない顔してるから噴き出しそうになるのを必死に我慢した。


「・・・と、いうことで今年はヨーロッパでの地下資源共同開発事業を控え、皆さんには約半年の間非常に多忙となることが予想されますが、ご協力の程よろしくお願いいたします。
新しい年も我が社にとってよい年でありますように、また、皆さんにとっても素晴しい年でありますよう祈念いたしまして、私からの年頭の挨拶とさせて頂きます」


「クシュン!」
「・・・だからマスクしなよ!藤本」

「持っていません・・・買いに行くの忘れました」
「もうっ!」

そしてその後には営業本部長、海外事業部長の挨拶が続き、2時間ぐらい藤本のくしゃみを浴びていた。


定時になって帰る頃には藤本が身体の痛みを訴え発熱してダウン・・・仕方なくその片腕を支えながら医務室まで連れて行ったら、そこの医者に言われたひと言。


「インフルエンザですね。専務も気を付けて下さい」

「・・・・・・え?」
「申し訳ありません・・・専務」



その3日後・・・。
俺は牧野の風邪をもらわずに藤本のインフルエンザをもらってしまい、5日間の出勤停止と屋敷内完全隔離で牧野と引き離されることになった。




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Comments 4

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2019/01/26 (Sat) 07:32 | EDIT | REPLY |   
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2019/01/26 (Sat) 10:40 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは!

そうなんです、ここなんです(笑)

詳しい事は次回のお話しで書いてますが、もらったのは藤本さんでした(笑)
つくしちゃんと完全隔離・・・そうですね、完全回復したときが怖いですね💦

この類君なら・・・間違いありません!

よってつくしちゃんにも体力回復していただきましょう♡

私は本日からやっと起き上がれました!ご飯が美味しかったです♡

2019/01/26 (Sat) 20:15 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは!

あっはは!そんな型があるんですか?!
それならインフルになってもいいかなぁ・・・どんな症状になるんだろ?

無意識のうちに脱いじゃうとか、無意識のうちに脱がせちゃうとか
無意識のうちにちゃぷんしちゃうとか・・・はっ!それは総ちゃんか?(笑)

藤本の菌が類の体内で増殖中・・・あっはは!想像したくないですね💦


私は本日、80%ぐらい回復しました!
でも娘が完全ダウン(笑)本日大雪らしいです。寒そう・・・京都。

2019/01/26 (Sat) 20:19 | EDIT | REPLY |   

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