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<宮崎・瀧野瀬邸 side五十嵐浩司>

瀧野瀬ではつくしを見つけてくれたって事で彼女の両親が拝むようにして出迎えてくれたが、それには適当に返事をして「もうすぐ会えますよ」なんて作り笑いをしておいた。
「流石、浩司君!」なんて言われたが俺が捜したわけじゃない。向こうから目の前に現れただけだけどな。

そんな両親とは早々に話を切り上げて会長の部屋に向かった。


「失礼します、会長」
「・・・おぉ、来おったか」

「ご機嫌が悪そうですね。何か嫌なことでもありましたか?」
「ふん・・・年寄りはあちこちが痛むものじゃ。機嫌のいい日などそんなに有りはせんよ」


おそらくこっちは悩んでいるんだろう。

花沢グループと聞けば日本で知らないヤツはいない。
その規模を考えたら五十嵐よりそっちを選んだ方が得策だと・・・だが、そうはいくものか。もう俺達は「同じ穴の狢」ってヤツだ。簡単に手が切れると思ったら大間違いだからな。


「つくしさんの事ですが、花沢からまた連絡があるそうです。素直に帰してくれるとは思えませんが・・・どうしますかねぇ」

「それより説明せんかい!五十嵐がどうして花沢と関係している?五十嵐は今でこそ日本の各地に支店を構えているが元々は宮崎中心の地方企業じゃ。花沢などと言う大企業に組み込んでもらえるような規模では無かろう。それに何故黙っていた?」

「あぁ、それですか。父が五十嵐に婿養子に入った人というのはご存じですよね?実はですね、父の実家は花沢家・・・父は現花沢社長の弟なのですよ」

「なっ、何だと?!弟・・・花沢物産の社長のか!」

今にも椅子から転げ落ちそうなほど驚いて・・・その弱った心臓には負担が大きい話だったようだな。
驚きすぎて目を見開き口は半開き、椅子のアームレストに置いた手が震えてる。そのまま倒れるんじゃないだろうな、と心配になるほど狼狽えていた。


「そうです。つまり現社長は私の伯父になるわけです。20年前に1度伯父とは会ったきり、それ以降は絶縁状態なんですけどね。父も母との結婚前から東京で色々と問題を起こして、当時の花沢社長・・・つまり私の祖父から勘当されたようです。
この私を花沢の後継者にしようとしたことも祖父母を怒らせ、まだ今の後継者が産まれる前にこっちに逃げたらしいですよ。
お話ししなかったのは、お情けで花沢グループの中に入れてもらっていたようなもので、一切の援助も関連会社との取引もなかったからですよ」

「それが何故今頃・・・最近の五十嵐の業績でか?」

「そうです。一応グループ企業ですから決算報告は見られますからね。社長では無い営業本部長辺りが数字を見て驚いたのでは?それで急遽パーティーの招待客に息子の私が選ばれたんですよ。どんなことがあっても父は花沢本社には足を入れさせないと言われたそうですから」

「無関係と同じではないか!そんなもの・・・グループが聞いて呆れるわ!」


分かり易い爺さんだ。
やはりこのままつくしの婚約者をあいつにしようとしている・・・そんな事が許されるか!

そんな事をするのなら責任を全て瀧野瀬に擦り付け、これまでの不正を世間に暴露してやる・・・五十嵐にも大打撃だがこっちには利用できる花沢類がいる。
もしそうなったらつくしを取引材料にして五十嵐を救済させる事ぐらい何でもない。


ふん・・・あの男はそのぐらいするだろうからな。




*********************




信じられない・・・まだ発症もしてないのに牧野と引き離されるだなんて!
いや、判るよ・・・判るけどさ!

確かに俺は藤本と半日一緒に居て、その咳を真面に受けたよ。
でも絶対にうつるって誰が決めたのさ!そんなの50%の確率じゃない?それに牧野は今日から仕事だって行ってないんだから、その50%に賭けて一緒に居たってよくない?

それで万が一うつったら今度は俺が絶対付きっきりで看病するし!


どれだけ俺が頼んでも加代は首を縦に振らなかった。
「牧野様がもし妊娠されていたらどうします?」・・・流石にそれを言われると反論できないけど、でもそれも50%の確率じゃない?

「もし、俺がインフルエンザでもなくて牧野も妊娠してなかったらどうしてくれるの?この1週間」
「・・・類様、今年で何歳におなりですか?」

「26だけど」
「答えなくても知っております!ホントにもうっ!牧野様でさえ納得しているのにあなた様がそんな事でどうします!」

「加代・・・この俺が頭下げて頼んでるんだよ?今までこんな事、お願いしたことないよね?」
「はい。何と言っても初めての恋人ですから頼まれたこともありませんわ」

「でもさ、加代がいいなら牧野だって良くない?」
「私はきちんと予防接種を受けております。ですが、類様の隔離期間は極力他の方とは接触致しません。マスクも外しませんし、旦那様、奥様、牧野様にはお会いしませんのでご安心を!」


くそっ・・・絶対に負けない気だな、加代!


「類様、隔離期間はお部屋の前にボディガードがつきますからね?私に黙って牧野様のお部屋に行こうとしても無駄でございますから」
「・・・そこまでするの?」

「宜しいですね?判りましたね?」と念押しして、加代は俺を部屋に閉じ込めて出ていった。
そしてドアの前にはホントに俺よりもデカい男が2人・・・最強なのを呼んだんだな?マジ・・・ムカつく!!



次の日には庭で桃太郎達と遊ぶ牧野を眺めてた。
また今日も菊次郎に押し倒されて、桃太郎に乗っかられ、梅三郎に舐められてる。我慢出来なくて窓を開けて叫んでしまった。

「牧野ーっ!!何やってんのさ!」

「あっ!類ーっ、熱出てない?」
「出てない!ダメじゃん、そんなに舐められてちゃ!そこ、俺だけのものでしょ!」

「・・・はっ?!」
「「「ワン?」」」


その声にバンッ!とドアが開いてボディガードに窓を閉められた。

食事を持って来るのは加代かそのボディガード・・・1人で食べるから味もしなくて毎回半分残した。
夜にはいつもより寒くて熱もないのに身体が震えた。
このベッド、こんなに広かったっけ。片手を伸ばしても冷たいシーツしか触れない・・・牧野、今どんな気分で寝てるんだろう。泣いてないかな・・・。



そして3日後・・・渡した体温計を見て加代が溜息をついた。

「・・・はぁ、39度5分。何処か痛みますか?」
「身体全体・・・背中が痛いかも・・・」

「間違いなくインフルエンザでしょうね。すぐに先生をお呼びしますからね」


この日から3日間、38度から40度という高熱で魘された。
薬で1度は下がるものの、それが切れればすぐに上がるから食事も食べられない。すぐに脱水症状を起こして点滴開始、それでも加代以外は入室禁止だった。

「類様、予防接種しなかったんですって?いけませんなぁ・・・確か義務だったでしょう?」

「・・・・・・そうだっけ?」

「来年からは注射針を恐れずに受けて下さい。こんなに長いこと点滴されることを思えば予防接種の方が楽でしょう?誰からもらったんでしょうねぇ・・・随分威力のあるインフルエンザ菌だ」


・・・この時に藤本の顔が浮かんでムカッとした。





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2019/01/28 (Mon) 01:09 | EDIT | REPLY |   
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2019/01/28 (Mon) 07:03 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、おはようございます。

あっはは!藤本・・・💦
いやいや、藤本もインフルになりたくてなったわけではないのですけどね(笑)

類君が復帰したら恐ろしい事が待ってそうですよね~💦

私、やっぱりSなんですかね?藤本虐めるの、好きかも(笑)

普通の家は隔離したくてもそこまで広くないんで(我が家はね)一緒に居るしかないんですけどね。
私は子供が何度かインフルエンザになりましたけど、その時はうつらなくて、子供が家を出てから3年連続かかりました。

それでも最高38度2分・・・類君じゃないけど仕事始めの日でした(笑)

今年はもらいませんように・・・!子供の行事が多いので心配です💦

2019/01/28 (Mon) 09:53 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、おはようございます。

そうですね・・・利用できるものは利用するつもりでしょう。
でも、そこは私が許しませんので(笑)

類君・・・ははは、我儘っぷりが凄いですね💦
いつもの事ですが、こんなお茶目な類君書いてるとオトナで物静かな類君を書きたくなります。

でも、そういう類君はホントに喋らないイメージなので困るんだけど(笑)

台詞が少なくても格好良く書ける・・・それに憧れます♡出来ないけど・・・。


あぁ、あのニュースですね。
私はO君ファンなので驚きましたが、何となく気持ちがわかるような・・・。
どうか自分の人生を自分の好きなように、楽しく過ごせますように・・・そう思います。

2019/01/28 (Mon) 10:03 | EDIT | REPLY |   

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