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嵐山でご飯食べたあと、今度は京都駅の近くまで戻って講演会会場に来ていた。
そこでは総二郎が1時間半ほど、「千利休」についてだとか「わびさび」についてだとかを喋ってて、私達はバレないように変装して潜り込んでいた。
こんなに広い会場でも見慣れたものがあれば気が付くかもしれないって言うから・・・でも、総二郎なら有り得る。

桜子が用意してくれた茶髪カールのウィッグをつけて黒縁の眼鏡まで。そして桜子が嵐山からここまで来る途中にコートを買ってくれて、タクシーの中でそれに着替えていた。
桜子は顔がバレないようにってサングラス掛けてたけど、会場内のサングラスって余計目立つと思うし役に立たないと思う・・・それを言ったら殴られそうだったから止めておいた。


「茶の湯独特の雰囲気や境地を世間ではよく『わび・さびの世界』などと呼ぶことがあります。その意味するところは、閑寂・清澄な世界、あるいは枯淡の境地をあらわしています。
もともと、『わび』という言葉は、動詞の『わぶ』、つまり”気落ちする・つらいと思う・落ちぶれる”から出た言葉で、また『さび』も動詞『さぶ』、こちらは”古くなる・色あせる”などから生まれた言葉です」


・・・毎回思うんだけど、よくあんな言葉を何も見ずに言えるわね。
普段の総二郎からは想像できないから嘘っぽく聞こえるのは私だけかしら・・・これ、本人に言ったら怒るだろうなぁ。


「『わび』『さび』という言葉が、美を感じさせる言葉に変化していくのには背景として和歌文学の伝統がありました。平安時代から鎌倉時代に至る和歌の世界で、閑寂・簡素・枯淡の境地が生み出されたという事ですね」


ずーっと会場の隅々を見ながら話してるから時々こっちも見てるよね?
何となくこっちを見る回数が多いような気がするんだけど大丈夫?バレてないかしら・・・ってドキドキしていたらもう最後の挨拶!

「桜子・・・桜子!寝てる場合じゃないわ、講演会終ったわよ!・・・ちょっと!」
「・・・ん?あ、あら?私、寝てました?」

完全に椅子に凭れ掛かっていた桜子を揺すりながら壇上を見たら、総二郎がこっちを見てるーっ?!
慌ててウィッグに手を掛けたらズルッと滑ってズレたから驚いた!


「は、早く出るわよ、桜子!」
「はいはい!ここでは不審な動きはありませんでしたわよね?西門さんに近づいてた女性っておばちゃんでしたよね?」

「さっき案内係みたいにしてた人?うん、おばちゃんだったわ!寝てたクセによく見てるわね!」
「美作さんじゃあるまいし、西門さんは若くてグラマーで綺麗な子が好きですものね!」

「・・・・・・」

それ、どういう意味よ!


とにかくこれから先、私達は総二郎達の行き先が判らないから、タクシーの運転手さんに尾行を頼んだ。
そして待つこと30分、関係者出入り口から出てきた総二郎はさっきの黒塗りの車に乗り込んで、これから向かうのは馴染みの呉服屋さんのはず!

「運転手さん、あの黒い車の後をつけてください!見失わないでね?!」
「はいよ!あんた達、尾行するには派手だねぇ」

「「・・・そう?」」
「あんたが派手なんでしょ!桜子!」
「そんな事より行き先は呉服屋さんですわ!少し離れた所で店内がよく見える場所に停めてくださる?」

「そんな都合のいい場所、あるんかいな?」


総二郎の乗った車は大きな呉服屋さんの前で停まり、店内からは沢山の人が出迎えに来た。その中には若い女の子は居なかったけど綺麗な人なら1人居たっ!
その人はわざわざ総二郎の隣まで来て真っ赤な顔して挨拶してる・・・それを桜子と確認して念のために写真まで撮った。

まさか舞妓さんじゃなくて呉服屋のお嬢さん?何歳かしら・・・私よりは年上に見えたし、色気は格段に上だわ。
実は私で物足りないからオトナの女性を・・・?


「なかなかの美人ですわね・・・まさか、この後店の中で・・・」
「何言ってんのよ!あれだけ人が居るのにそんなわけないでしょ!」

「でもここはお店兼自宅に見えますわ。お部屋なんて幾らでもありますでしょ?」
「時間制限ってもんがあるでしょうよ!この後も茶道具の専門店があるし、祇園に行くのよ?」

「あら!西門さんは15分あれば全部の工程をクリア出来るそうですわよ?違います?」
「確かに早い時は・・・って、何言わせんのよっ!」


「よくわからへんけど、あんた達の言うべっぴんさんはあの呉服屋さんの若奥さんだと思うよ?あの店の一人息子とアツアツだから
浮気なんてせぇへんと思うけど」

「「そうなの?」」
「そうよ、祇園のはずよ!」
「あっ、最後は祇園ですものね!」

「祇園ならすぐそこだよ。ここから歩いて10分もかかんないよ?」

「「そうなの?」」




********************




「・・・”わび”とは『貧粗・不足のなかに心の充足をみいだそうとする意識』というのが、もともとの意味です。万葉集の時代からその記述があるのですが確立されたのは室町時代あたりで・・・」


何だろう・・・めっちゃ寒気がする。誰かにすげぇ目で睨まれてる気がするんだけど気のせいかな・・・。
こうして話してても会場の何処かから刺すような視線が・・・あれ?あのコートは・・・あの真っ赤なコートは東京駅で見たのと同じじゃね?
いや、そんなの世の中に1つじゃないんだから有り得ねぇか?


「・・・そして”さび”は、寂、寂び、然びとも表わされ『閑寂のなかで自然に感じられる、奥深く豊かな美しさ』といった感じですね。ものが朽ちたり枯れたりした様子に美を見出す意識とも言えます。もっとわかりやすく言えば外装などに関係しない美しさのこと・・・と思っていただきたい」


そんなこんなで講演会が終わり、会場に向かって一礼。
だが拍手が鳴り響く中、やっぱり何処かからピリピリした空気を感じる・・・。
チラッと会場を見渡すと、どうしても彼奴らの所に目が行くんだよな・・・彼奴らだけ雰囲気が周りと違うからかな?

さっきの赤いコートの女の横には茶髪で眼鏡の女がいてめっちゃ慌ててる。頭なんか押さえてどうしたんだろう・・・まさか俺の講演聴いて頭痛がしたとか言わねぇよな?
それにしても派手な2人だ・・・茶人の講演聴きに来るようなタイプじゃねぇだろ?

変な奴等だな・・・って、もう1度目線を向けたら大慌てで出て行きやがった。



「あれまぁ・・・若宗匠、あそこに昼間と同じタクシーが停まってますわ。気味悪いですねぇ」
「タクシー?あ・・・ホントですね」

後援会の爺さんが指さした方を見たら確かに嵐山で見たタクシーと同じデザインの車が少し離れた所に停まっていた。でも、タクシー会社なんて同じデザインの車使ってるし観光都市なんだからタクシーだらけだ。
同じ会社の車が停まっててもおかしくはない・・・おかしくはないが、ただ嫌な予感がここでもするのはなんでだ?

全員で首を傾げながら会場を出て呉服屋に向かった。


「まぁまぁ、西門の若宗匠、ようお越しくださいましたなぁ!ささ、お入りくださいませ」

「お久しぶりです。これは東京の父からの品です。お口に合えばいいのですが」
「まぁ!お家元から?嬉しゅうございますわ。私共もご用意してますの。是非、お家元にお渡し下さいませね」

出てきてくれたのはこの店の隠居と現主人とその若奥さん、それに店員が揃って店の前に並びすげぇ歓迎ぶり。現主人が苦笑いで自分の嫁を俺の前に進ませて手土産を受け取らせ、つい無意識に俺まで得意角度で微笑んでしまった。

それにしてもこの若奥さんってのは超色っぽい美人・・・この着物脱がせたらすげぇだろうなって少し思ったが興味はない。

なんたって俺にはつくしがいるし。


「あぁ、ご隠居。今晩の件ですが大丈夫ですか?19時ですけど」
「はいはい、大丈夫ですよ。遅れんように頑張ります」

「お願いします。なんといっても売れっ子の舞妓なのでね」


ここで暫く世間話をしたら今度は茶道具で世話になってる店に向かった。
ここには爺さんと婆さんしか居ないから滞在時間は15分。さっさと車に戻ったが・・・またあのタクシーが居る。

どうも運転手の顔が同じような気がすんの、俺だけか?


「あのタクシー会社は京都で有名なんですか?」
「はぁ、まぁ車両の保有台数は多い会社ですがねぇ・・・こんなに行く先々で停まってるやろか?」





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2019/02/17 (Sun) 13:00 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは!

えみりん様、こんにちは!

あっそうそう!この前はご指摘ありがとうございました♥
おかしいのよね(笑)何故チェックしまくってる(つもり)のに平仮名を飛ばすのかしら・・・?(笑)

ホントにお手数掛けるけどこれからもチェック宜しくお願いします・・・♡


で、この2人、尾行って事を判ってないんだと思います。
赤い服自体が既にね・・・「私を見てちょうだい!」って感じですもんね!

私は京都のタクシーに初めて乗った時、凄く怖い思いをしました。
子供のアパート決めるときだったけど、どうやら乗った場所から子供が住む予定の場所までが遠かったらしく、
住所を言ったら「そんなんじゃ京都は走れませんな!」って言われたんですよ。

で、その意味が判らなくて「不動産屋さんに言われた住所ですが」って言ったら「その不動産屋に電話して!」って怒るんです。
京都の地名には色んな呼び方があるからって言われたんだけど、私は京都の人間じゃないからそんなの知らんし!ってなって。

で、不動産屋さんに電話して運転手さんが直接話して、何とか通じたんですが、今度は運転しながら指を鳴らすの!
あの喧嘩の時みたいに拳作ってポキポキと・・・。

後ろに子供と母が座ってて、2人共ビクビクしててね(笑)

で、走ってたら隣に川があって「これが鴨川ですか?」って聞いても返事なし。
マジで怖かったです・・・。


その日は雨が降ってたので気を遣って目の前で降ろしてくれればいいのに、凄く離れた場所に停めたんです。停めにくかったからって言われたけど、絶対にわざとだっ!!💢

不動産屋さんも「タクシーの運転手さんなのに地名を知らんとか言わなくてもねぇ」って呆れてました。


思いだしてちょっと腹が立った(笑)


向こうのお話し・・・えっ!5章・・・い、行くのかな?(笑)
でも、予感だけど・・・200は行くかも(笑)

桜は散ってるし、平成も終わってると思います・・・ははは。どうぞ宜しく♡

2019/02/17 (Sun) 14:36 | EDIT | REPLY |   

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