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plumeria

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「茶道具屋さんは早かったですわね・・・」
「ホント!15分ぐらいしか居なかったんじゃないの?ここはやっぱり問題外だったのね」

「でも先輩!次は確実ですわ。祇園ですもの・・・何処に行くのかしら」
「祇園って言うだけでお店なんて知らないんでしょ?」

またタクシーの中から総二郎が出てきたお店を見て桜子とヒソヒソ話をしていた。いや、ヒソヒソしなくても総二郎には聞こえないけどさ。まるでストーカーしてる気分になって罪悪感があるだけ・・・それにどんどん雛乃さんに近づいてるんだと思うと緊張してきたんだもん!

それに少しずつ怒りも・・・私に黙って京都まで来て女の人に会うなんてどういう事?!
あれだけ「もう離れないからな」って言ったクセに!


「お客さん、今度は祇園?何しに行きはるんですか?」

タクシーの運転手さんが後ろを振り向いて言うから「舞妓さんを捜しに・・・」って言うと不思議そうな顔をされた。
「あはは!成る程ね」なんて、今までおじさんに囲まれた総二郎を尾行してたのに、急に舞妓捜しだなんて言うと誰だって理由は想像できるよね。

「その舞妓の名前は?」
「ひ、雛乃さんです」

「雛乃・・・雛乃ねぇ。ん~、今じゃ舞妓も100人以下だし少なくはなったけど、雛乃って言う子は知らんなぁ。いや、私が知ってるのは昔人気だった舞妓やからなぁ・・・芸妓じゃないんでしょ?」

「えっと・・・実は舞妓さんかどうかも判らないんです。芸妓さんと舞妓さんは違うの?」

「ははは!芸奴の見習いが舞妓って思うたらええですわ。見た目は全然違いますけどな、良くテレビで観る派手な着物が舞妓で黒い着物が芸妓と思われたらいいんですがね」


運転手さんに聞いたら「舞妓」は15歳から20歳までの芸妓を目指して修行をしている女性のことらしい。
舞妓さん達は「置屋」という舞妓養成所みたいな処に住み込み、小唄や日本舞踊、三味線などの芸事を習うんだって・・・そしてある程度実力がつくとお座敷で客に芸を披露し、お酌などでもてなす機会が増えるようになるんだとか。

総二郎がその人を知ってるって事は、過去に雛乃さんとお座敷で一緒になったってこと?
運転手さんはそれ以外に舞妓さんと知り合いになれるチャンスは無いって言った。


「街の中で見掛ける舞妓にはニセモノが多いんですわ。舞妓気分になって祇園を歩くなんてサービスも出てきてねぇ。ちょっと笑いが出ますがね。でもお茶屋さんでお座敷言うなら本物でしょう。問題は何処の舞妓か判らん言うんですな?」

「そうなんですの。その置屋さんとお茶屋さんは全然別物ですの?」

「置屋さんは舞妓さんの住まいでしてね。その家の前には名前を書いた札が掲げられてますが・・・さて、何処だろうなぁ?」

「何と言っても西門流ですもの。祇園でも1番の置屋さんってあるんですの?」
「なんであんたが本気なのよ!・・・あーっ!!総二郎が行ったわよっ!」


こんな事を話してる間に総二郎達は車に乗って次の目的地に・・・とうとう祇園に向かった!



**



「ほな、さっき言うた場所に中村っていう置屋さんがあるから行ってみたらええですよ。そこになかったら1つ道が違うけど山田さんね。お茶屋さんは店の名前が判らんと数が多いから行きようがないですわ。そろそろ舞妓が出掛ける時間ですから会えるといいですなぁ」

「が、頑張ります!」

「あぁ、それとお茶屋さんが判ってもお嬢さん達は入れませんよ?京都祇園の風習で『一見さんお断り』言うのがありますんでね。初めての人は入ることは出来ません。常連さんのご紹介とかご同伴じゃないとね。それを重ねて初めて自分も常連さんになれるんですよ」

「な、成る程・・・色々ご親切にありがとうございます!」
「先輩、急ぎますわよ!」

「ほな、お気を付けてぇ~!」


茶道具のお店から祇園に行くまでの間に運転手さんが祇園について教えてくれたけどイマイチよく判らなかった。
でも総二郎が雛乃さんと約束したのは19時・・・今が18時30分って事はこの時間から考えてもそのお茶屋さんで浮気するのよ?現場を突き止めるんなら『一見さんお断り』なんて突破するしかないじゃない!

総二郎達も祇園に着いたら車を降りて何処かに歩いて行ったし、その店が判らないから行き先を突き止めるのは「雛乃さん」捜ししかないっ!
桜子と置屋さんを探して、その家の前に「雛乃」の文字を見付けるしか・・・!


古い家や格子戸が並んでるし、オレンジ色の街灯や赤い提灯みたいなのもあって、テレビで見るような光景・・・観光客も多いしその中に派手な着物姿の人が居てドキッとした。あれが舞妓さんかしら?
近づいてきた舞妓さんは肌を白く塗って真っ赤な口紅・・・確かに若そうで、運転手さんの言う通りならこの人は私より年下って事よね?とてもそうは見えないほど大人っぽく見えた。

華やかな簪が揺れて、色柄の鮮やかな振袖、そしてこれが「だらりの帯」なのね?長い帯を垂れ下がるように結んで、高さ10cmぐらいありそうな下駄を履いてる。だから顔は小さいのに大きく見えて目立つこと!

桜子なんかは対抗心燃やしてるのかわざと腰振って真横を歩いてる。
そんな事、今はしなくていいからって腕を引っ張って舞妓さんの横から引き離した。

その時・・・!


「それじゃ、おかあさん、行ってきます~」

「あぁ、気ぃつけて行っておいで。雛乃、駒菊、西門様に宜しゅうな」

「はい、わかりました~」


私達のすぐ後ろから「西門さん」と聞こえて足が止まった!それに捜していた「雛乃さん」ここで発見?!

振り向いたら2人の舞妓さんが私達とは反対方向に向かって歩いていた。
ハッとして横を見たら普通の古い家の表札が「中村」・・・こんなんじゃ置屋さんだなんて全然判んないじゃないのーっ!舞妓さんの名前だって高くて暗いところに確かに掲げられてたけど、こんなの通りから見えないじゃん!

それでもラッキー!とばかりに桜子の腕を掴んで2人の後をつけていった。


この人達が行くお茶屋さんに総二郎が居る・・・そこで何する気よ!ってムカムカしながらだらりの帯を睨んでいた。

そして2人は歩いて5分ぐらいの所にある「桜や」ってお店に入っていった。
ここも置屋さん同様、お店って言うより普通の民家みたい。そこのオレンジ色の灯の中に雛乃さんが入った時に信じられない声が聞こえた。


「こんばんは~。今日は宜しゅうお頼申します~。ところで西門の若宗匠は来てはりますか?裏の宿で先に話がある言われとるんです~」

「あぁ、雛乃ちゃん、聞いてますよ。すぐにお呼びしましょうねぇ」
「おおきに~」


・・・・・・・・・。


何ですって?!お座敷の前に浮気するのーっ?!

「流石ですわ、西門さん・・・15分あればってのは本当なんですのね?」
「そんな事に感心してる場合じゃないわよっ!裏の宿・・・って事は出てくるのね?総二郎っ!」

「先輩!行き先だけ突き止めて15分後に突入ですわ!その最中じゃないと証拠になりませんもの!」
「・・・最中に突入?!」

「楽しみですわね♡」
「・・・あんた、何考えてるのよ」


いや、桜子の興奮なんかどうでもいいのよ!ホントに、ホントに私を裏切ってるの?

総二郎・・・嘘だと言ってーーーっ!!




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2019/02/19 (Tue) 12:41 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんにちは。

あっはは!ほんとだ!
あっちにもこっちにも女がいますねぇ!

爆笑!気が付かなかったわ💦私とした事が💦

いや、勘弁して言われても~♥
だって総ちゃんですもの、仕方ないですやん!
たまには間違いも起きちゃうのよ。

それを許してあげないと・・・って無理だよねっ💦

うんうん、きっとオママゴトしてるんですよ。

多分ねぇ・・・は?!って怒られると思う(笑)
だってコメディバレンタインだからそうなっちゃうのです!

落ち着いてお待ちください。
きっといいことがあると思う(笑)

2019/02/19 (Tue) 13:25 | EDIT | REPLY |   

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