雨の降る日はそばにいて (14)
そうして悩んでるうちにパーティー当日になった。
少しでも西門さんに恥をかかせたらいけないと思って、桜子に頼んで最高級のパックをわけてもらって
この一週間努力をしたんだけど・・・昨日西門さんに聞いたら「俺の方が美肌じゃね?」で終わった・・・
「だから、そのままでいいって言っただろうが!急に肌質なんて変わるのかよ!」
「せめてもの女心じゃないの!西門さんの為にやったのに!」
そう言ったときに少しだけ赤い顔してた。西門さんが照れるのは本当に珍しい。
今日のパーティーは夕方遅くに始まるからってのんびりしてたら昼過ぎに鳴ったチャイム・・・
まさか?って思ってドアを開けたらやっぱり西門さんが立ってる。
「あれ?もう時間なの?夕方って言ったよね・・・まだ12時半だよ?」
「何言ってんだ!もう12時半だろ?すぐに出るぞ。何もいらないからそのまま来い!」
はぁ?ちょっと待って!
確かにこの状態で西門さんに会う私もどうかとは思うけど、今の私はほとんどパジャマって格好なんだけど?
可愛くもないトレーナーに短パン姿・・・もちろん雑なポニーテールにほぼノーメイク。
だってこれから簡単に支度をしようと思ってたんだもの!
それなのに顔色ひとつ変えずに私を車に乗せて、どこかの高級サロンのような場所に連れて行かれた。
******
「いらっしゃいませ。西門様。この間のご注文のドレスでしたらご用意できてますわ。・・・こちらです」
品のいい美人な店員さんがもの凄い絵顔で西門さんを迎えた。
その後に私を見ると、その綺麗な顔は一変した。
「あの・・・こちらのお嬢様でお間違えありませんの?」
そりゃそうでしょうね・・・このお店にこんな格好で入って来る人なんていないでしょうよ!
そして連れてきたのがこの超がつく美形の西門さんならこの店員さんの反応も納得するわ。
「そう。彼女に注文したヤツを着せてメイクしてやって。後は宜しく。全部任せるから」
「西門様はどうされますか?奥のお部屋をご用意できますけど・・・」
「いや、いいよ。俺はこいつが変わっていくところをここで見てるから」
はい?それってどういう事?私が着替えるところを見るのっ?!
なんで?どうして?私が変わっていくところって・・・自分が一番わかってないんだけど?
何で西門さんはそんなに笑ってるの?・・・思わず自分の服を握りしめてしまった!
「お着替えは最後ですわ。まずはヘアメイクをいたしますから、こちらへどうぞ・・・」
******
「それではこちらにお座り下さい」
店員に言われてオドオドしながら牧野は鏡の前に座った。
まるで子供のようにキョロキョロして落ち着きがない・・・こんな店に慣れてるわけないから仕方ないか。
牧野はいつも化粧もそこそこで、あまり着飾ったりもしないけど、本当は磨けば光る女だってのは知っている。
学生の時でも何かと司や類に呼び出されてパーティーには出ていたからな。
その度にあいつらも牧野を飾り立てて連れ回してた。
子供だった牧野は訳もわからず引っ張り回されて毎回あきらが慰めてたっけ・・・。
俺はそん時から牧野には近づかないようにしてたから、こんな席に連れて行くのはこれが初めてだ。
あいつらがそうだったようにやっぱりワクワクするな。
今ならわかる気がする。こいつが自分好みに変わっていくのを見るのはいいもんだな。
「西門様・・・髪はどういたしましょうか・・・このドレスだとやはり上げた方がお似合いかと・・・」
「そうしてくれる?。ネックレスと揃いの飾りをつけて・・・そうだな。もう少しサイドに上げてみて?」
「かしこまりました」
プロの手によってどんどん牧野の表情が変わっていく。
子供のような大きな目元もアイメイクによって色っぽい大人の目元に変わった。
ブラウンとゴールドのシャドーが一気に女っぽさを引き出して、ヌードカラーしか見たことない牧野の唇には深紅の
ルージュが怪しく光る。ほら・・・店員の牧野を見る眼が変わってきた。
そしてその黒い髪はドレスに合わせてアップにしてサイドで纏めた。そこにはダイヤの髪飾りをつけて動かす度に
光り輝いた。それはまるで黒アゲハのような美しさだ。
「まぁ・・・お美しいですわね。さすが西門様がお連れになる方ですこと!」
来たときとは大違いの牧野に店員達がそれを褒めちぎる。
牧野自身も鏡に映る自分に戸惑っているのか、そのメイクが台無しになるほど不安な顔をしていた。
「なんて顔してんだ、お前は!しっかりしろよ!」
「だって・・・これ誰?って感じなんだもん」
喋らなければ一級品なんだけど、それも牧野のいいところだろう。
最後にドレスに着替えるから奥に入る。さすがにそこは見るわけにもいかないから俺も着替えに入った。
しばらくして戻ってきた牧野は別人に仕上がっていた。
俺が用意したのはブラックのフォーマルドレス。背中を大きく開けたおとなのデザインだ。
本当はオフショルダーにしたかったけど、スレンダーすぎる牧野には不安があったからホルターネックにした。
マーメイドラインなんだけど牧野の顔立ちに合わせて可愛らしさを出すためにシフォンを重ねている。
ダイヤがいくつも鏤められたネックレスが黒いドレスの上で輝いていた。
そして店員がピアスを持ってきた。
「あら・・・申し訳ございません。お嬢様はピアスホールを開けていらっしゃらなかったのですね?」
ハッとした牧野は自分の耳を触った。
店員は急いでピアスをイヤリングに変えて牧野の耳につけた。
「さすが、俺が選んだだけはあるな!すっげー綺麗になったな。牧野!」
「そう・・・かな?大丈夫かな・・・こんな高いヒール履いたことないんだけど?」
「マジで?そんくらいないと俺と釣り合わないからな。絶対転けるなよ?そんなドレスで転けたら笑いもんだからな!
会場に入ったら俺の腕にしがみついとけ。なんとかカバーしてやるよ」
サロンの店員がずらりと並んで俺たちを見送った。
車につくまでの僅かな距離も転ばないように俺の腕にしがみついてる・・・その姿が愛らしかった。

少しでも西門さんに恥をかかせたらいけないと思って、桜子に頼んで最高級のパックをわけてもらって
この一週間努力をしたんだけど・・・昨日西門さんに聞いたら「俺の方が美肌じゃね?」で終わった・・・
「だから、そのままでいいって言っただろうが!急に肌質なんて変わるのかよ!」
「せめてもの女心じゃないの!西門さんの為にやったのに!」
そう言ったときに少しだけ赤い顔してた。西門さんが照れるのは本当に珍しい。
今日のパーティーは夕方遅くに始まるからってのんびりしてたら昼過ぎに鳴ったチャイム・・・
まさか?って思ってドアを開けたらやっぱり西門さんが立ってる。
「あれ?もう時間なの?夕方って言ったよね・・・まだ12時半だよ?」
「何言ってんだ!もう12時半だろ?すぐに出るぞ。何もいらないからそのまま来い!」
はぁ?ちょっと待って!
確かにこの状態で西門さんに会う私もどうかとは思うけど、今の私はほとんどパジャマって格好なんだけど?
可愛くもないトレーナーに短パン姿・・・もちろん雑なポニーテールにほぼノーメイク。
だってこれから簡単に支度をしようと思ってたんだもの!
それなのに顔色ひとつ変えずに私を車に乗せて、どこかの高級サロンのような場所に連れて行かれた。
******
「いらっしゃいませ。西門様。この間のご注文のドレスでしたらご用意できてますわ。・・・こちらです」
品のいい美人な店員さんがもの凄い絵顔で西門さんを迎えた。
その後に私を見ると、その綺麗な顔は一変した。
「あの・・・こちらのお嬢様でお間違えありませんの?」
そりゃそうでしょうね・・・このお店にこんな格好で入って来る人なんていないでしょうよ!
そして連れてきたのがこの超がつく美形の西門さんならこの店員さんの反応も納得するわ。
「そう。彼女に注文したヤツを着せてメイクしてやって。後は宜しく。全部任せるから」
「西門様はどうされますか?奥のお部屋をご用意できますけど・・・」
「いや、いいよ。俺はこいつが変わっていくところをここで見てるから」
はい?それってどういう事?私が着替えるところを見るのっ?!
なんで?どうして?私が変わっていくところって・・・自分が一番わかってないんだけど?
何で西門さんはそんなに笑ってるの?・・・思わず自分の服を握りしめてしまった!
「お着替えは最後ですわ。まずはヘアメイクをいたしますから、こちらへどうぞ・・・」
******
「それではこちらにお座り下さい」
店員に言われてオドオドしながら牧野は鏡の前に座った。
まるで子供のようにキョロキョロして落ち着きがない・・・こんな店に慣れてるわけないから仕方ないか。
牧野はいつも化粧もそこそこで、あまり着飾ったりもしないけど、本当は磨けば光る女だってのは知っている。
学生の時でも何かと司や類に呼び出されてパーティーには出ていたからな。
その度にあいつらも牧野を飾り立てて連れ回してた。
子供だった牧野は訳もわからず引っ張り回されて毎回あきらが慰めてたっけ・・・。
俺はそん時から牧野には近づかないようにしてたから、こんな席に連れて行くのはこれが初めてだ。
あいつらがそうだったようにやっぱりワクワクするな。
今ならわかる気がする。こいつが自分好みに変わっていくのを見るのはいいもんだな。
「西門様・・・髪はどういたしましょうか・・・このドレスだとやはり上げた方がお似合いかと・・・」
「そうしてくれる?。ネックレスと揃いの飾りをつけて・・・そうだな。もう少しサイドに上げてみて?」
「かしこまりました」
プロの手によってどんどん牧野の表情が変わっていく。
子供のような大きな目元もアイメイクによって色っぽい大人の目元に変わった。
ブラウンとゴールドのシャドーが一気に女っぽさを引き出して、ヌードカラーしか見たことない牧野の唇には深紅の
ルージュが怪しく光る。ほら・・・店員の牧野を見る眼が変わってきた。
そしてその黒い髪はドレスに合わせてアップにしてサイドで纏めた。そこにはダイヤの髪飾りをつけて動かす度に
光り輝いた。それはまるで黒アゲハのような美しさだ。
「まぁ・・・お美しいですわね。さすが西門様がお連れになる方ですこと!」
来たときとは大違いの牧野に店員達がそれを褒めちぎる。
牧野自身も鏡に映る自分に戸惑っているのか、そのメイクが台無しになるほど不安な顔をしていた。
「なんて顔してんだ、お前は!しっかりしろよ!」
「だって・・・これ誰?って感じなんだもん」
喋らなければ一級品なんだけど、それも牧野のいいところだろう。
最後にドレスに着替えるから奥に入る。さすがにそこは見るわけにもいかないから俺も着替えに入った。
しばらくして戻ってきた牧野は別人に仕上がっていた。
俺が用意したのはブラックのフォーマルドレス。背中を大きく開けたおとなのデザインだ。
本当はオフショルダーにしたかったけど、スレンダーすぎる牧野には不安があったからホルターネックにした。
マーメイドラインなんだけど牧野の顔立ちに合わせて可愛らしさを出すためにシフォンを重ねている。
ダイヤがいくつも鏤められたネックレスが黒いドレスの上で輝いていた。
そして店員がピアスを持ってきた。
「あら・・・申し訳ございません。お嬢様はピアスホールを開けていらっしゃらなかったのですね?」
ハッとした牧野は自分の耳を触った。
店員は急いでピアスをイヤリングに変えて牧野の耳につけた。
「さすが、俺が選んだだけはあるな!すっげー綺麗になったな。牧野!」
「そう・・・かな?大丈夫かな・・・こんな高いヒール履いたことないんだけど?」
「マジで?そんくらいないと俺と釣り合わないからな。絶対転けるなよ?そんなドレスで転けたら笑いもんだからな!
会場に入ったら俺の腕にしがみついとけ。なんとかカバーしてやるよ」
サロンの店員がずらりと並んで俺たちを見送った。
車につくまでの僅かな距離も転ばないように俺の腕にしがみついてる・・・その姿が愛らしかった。
