FC2ブログ

plumeria

plumeria

「・・・ハックシュ!!・・・それではお先に失礼致します」
「早く風邪を治しなよ?なんなら明日、半休取ってもいいから病院に行けば?」

「珍しい・・・そんなに私の身体を心配してくれたことなんてないのに。ハックション!はぁ・・・どういう風の吹き回しですか?」
「だって休まれたら印鑑もサインも全部俺がしないといけないだろ?それに調べ物もあるんだし」

「・・・結局自分の事ですか?」
「何言ってるの。藤本が居てこその俺だよ?そのぐらい判ってるんだから。だから早く治して調査してね」

「・・・失礼します」

ホントに具合が悪いんだ?
ただでさえ小さめの身体を丸めて藤本が帰っていった。

こういう時には思い知る・・・実は藤本って事務処理能力めっちゃ高くて、あいつがダウンしたら俺の業務が凄く溜まるんだって事!今日は早く帰るって言ったクセに全然書類が進まないっ!


仕方なく2時間も残業して会社を出たのは星が見える頃になってから。
牧野にはメールしたけど怒ってないかな?食事を待たせたら「お腹空いたっ!」って怒鳴るから、早く帰らなきゃって思いながら、その光景は俺にとっては楽しいものだった。

誰かが待ってる家に急いで帰る、それがこんなにも嬉しいなんて昔は思った事もなかった。
これがずっと続くように早くケリをつけないと・・・車のエンジンをかけながらこれからの動きを考えていた。



屋敷に戻ると先に帰っていた両親は既に食事を終えていて、やっぱり牧野は俺と食べるからって部屋で待っていると加代から聞いた。
だから急いで自分の部屋に戻ろうとしたら、リビングからひょこっと顔を出してきたのは母さん。
「ちょっといいかしら」って手招きされて、そこに入ったら父さんが怒ったような顔して腕組みしていた。


「どうしたの?何かあった?」

「・・・これ見てくれる?」
「何?」

父さんは憮然としてひと言も口を開かない・・・そんな事が珍しい人だから少し驚いた。余程頭に来ることでもあったんだろうか。

そして母さんが俺にノートパソコンの画面を向けたからそこに映ってる写真を見たら・・・浩司と俺達だった。
この前の新年パーティーの時のもの・・・牧野は俺の陰に隠れて見えなかったけど、俺と両親を前に柔やかに話しかけている浩司の写真が映っていた。

「なんなの?どうしてこんなものが撮られてるの?」
「これね、五十嵐物産のホームページに貼られてる画像なの。トップに戻ってみて?」

「五十嵐の?」
「・・・・・・・・・ムカつく!」
「パパ、落ち着いて」

母さんに言われて画像から切り替えてトップに戻ると、そこにはつい最近見たのとは別に『五十嵐物産』の前に花沢のロゴが目立つように入っていた。
勿論そこには「グループ企業」としての記載がきちんとあり、問題はないんだけど少し前まではなかったものだ。

これを入れても文句はないだろうという意思表示・・・?
しかも最新記事がさっきの画像だった。タイトルは「花沢グループ関連企業による新年パーティーで、花沢社長と」・・・これに父さんは激怒してるって事なんだ?

「もう少し綺麗な角度はなかったのかしら。私、左ナナメが1番いいのよ」なんて母さんがわざと巫山戯てるけど全然表情は緩まなくて、むしろ余計に険しくなって慌ててた。


「でもさ、浩司って1人だったよね?出席者にも秘書なんてなかったでしょ?誰が撮ったの?」
「そうなのよ!浩司君、秘書なんて同行させてなかったのにこんないい写真があるなんてね・・・パパとも話してたんだけど、初めからこれがしたくて近づいて来たんじゃないかしら。ほら!やたら笑顔だったじゃない?」

「あぁ・・・そう言えばそうだね」
「おおかたパーティーコンパニオンにでも頼んで撮らせたんだろう。全く・・・Mホテルならそんなコンパニオンも居なかっただろうに、今度からあのホテルは絶対に使わないからな!」

「それか誰か連れ込んでたか・・・だよね?宿泊してる人なら紛れたって判らないでしょ?」
「えっ?東京にそんな人が居るの?」

「知るわけないじゃん、そんなの」


ホームページを変更したのは浩司に間違いないだろう。
「花沢社長と談笑中」って書いてあるけど、話してる内容は「20年ぶりでわかんなかった」って、確かそんなことだったはず。「これからは花沢物産とも協力して」って・・・いつそんな話したっけ?

これを機に一気に花沢のグループ会社だと知らしめたいんだ。


「うちにひと言断りを入れたのならともかく、勝手にこんな風に画像を公開するとは・・・!非常識にも程かある!いくら甥だと言っても許せん!」

「そうねぇ・・・いけないとも言えないけど事実と反した文章は納得出来ないわ。楽しい会話なんてしてないんですもの。
まぁ浩司君にしてみれば私達がつくしちゃんを帰さないんだから、この程度で文句言うならマスコミにでも・・・だなんて思ってるんでしょうけど」

「こんなものを放置していたらどんどん付け上がるんじゃないのか?類、早く決着をつけなさい!」


今度は怒りの矛先が俺?なんて思ったけど早くしないといけないのは本当だ。
こんなホームページの記事なんてどうでもいいけど、牧野を安心させてやりたい・・・そっちの方が強かった。


「瀧野瀬と五十嵐については調べ始めたし、今の仕事が一段落したら1度会いに行ってくるよ。もしも俺で太刀打ちできないほどの事態が起きたらすぐに報告する。悪いけどその時は助けてくれる?」

「判ってるわ。1つだけ言っておくけど非合法なやり方は禁止よ?事実調査は完璧に!あくまでも自分の気持ちと誠意だけで勝負してちょうだい」

「・・・了解。じゃ、部屋に戻るね」



**



自分の部屋に戻ったけど、そこには誰も居なかった。
ベッドにもバスルームにもキッチンにも・・・牧野の姿はここにはなかったから、久しぶりに隣の部屋のドアを開けた。

「牧野、居るんでしょ?」

こっちの部屋には電気も点いてない。でも小さな物音がして、モゾモゾとベッドの布団が動いた。

またそんなところで丸くなっちゃって・・・ベッドの端に腰掛けたら布団の端っこを掴んだ指が見えた。
そしてゆっくりとそれが動いて、大きな目が現れた。


「くすっ、何してるの?もう眠たいの?ご飯、食べてないんでしょ?」
「うん、お帰り・・・類」

「ただいま。出ておいで?向こうで一緒に食べようよ」
「・・・・・・メール、ありがと」

「メール?あぁ、うん。返事無かったけどね」
「ごめん、ぼーっとしてたの・・・」

「そお?ほら・・・出ておいで?俺、お腹空いてるんだよね。藤本が今度は風邪引いちゃって仕事が進まなくてさ」

それでもまだ出てこないから、口元まで布団が下がった時に一気に布団を剥がしたら「うわぁっ!」って凄い声を出した。そして慌てて布団を戻そうとする手を掴んで、今度は俺がそこに倒れ込んた。
今、牧野は俺のすぐ真下・・・困った梅三郎みたいな顔して俺を見上げてた。


「どうした?やっぱり怒られた?」
「・・・うん、怒ってた。すぐに帰って仕事しろって・・・私には花沢は似合わないって言われた・・・」

「そうなの?いいじゃん・・・何年も居たら似合うようになるよ」
「お爺様は私の能力だけが欲しいんだろうなって思ったの・・・可愛がられたのはそのためなんだって漸く判った・・・」

「ちょっとだけ愛情の方向がズレただけだよ。大丈夫、俺は牧野の全部が大事だからさ」


ちょん!と啄むだけのキスをしてニコッと笑ったら、それにつられて牧野もぷっ!と噴き出した。
その次にはただいまのキス・・・牧野の両手が俺の首に回ってきたから、唇を重ねたまま身体を起こした。


「じゃ、ご飯にしようか」
「うん!今日は何かな?加代さんに聞けば良かった!」



*******************



類に抱きかかえられて彼の部屋に戻って、そのまま内線で夕食を頼んだ。

運ばれて来たのは遅めの食事に気を遣ってくれたのか和食・・・このお屋敷での和食は珍しいけど凄く優しい味で美味しかった。
白身魚の煮付けに、タマネギとワカメの胡麻和え、それに白菜と鶏肉のミルク煮。
「美味しいね」って小さな声でいいながら向かい合って食べた。

それが終ったら久しぶりに類の膝の間に座って、2人でお笑い番組を見た。
私には全然判んない人達が大騒ぎするテレビの画面を類の説明付きで・・・私には芸人さんのトークよりも、それを見て笑う類の方が面白くて噴き出してばかりだった。


その後はお風呂・・・いつものようにバスミルクを入れて肩をくっつけて入った。
当然、それだけじゃ終らなかったけど。


そして今日も類の腕の中で眠る・・・これがずっと続きますようにって祈りながら彼の胸に顔を埋めた。





15472691000.jpeg
関連記事
Posted by

Comments 4

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/02/03 (Sun) 10:59 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おはようございます🎵

meimei様、こんにちは🎵

寒いですね~💦
と、いいながら今日も短パンの私ですが(笑)

雪ですか?うちは雨です~。雨も好き♥️
反抗期ではありませんが、晴天の日のほうが辛いんですよね。ちょっと目の病気があるんで💦

ふふ、実は意味があるんですよ。
そのうち判るんで待っててね♥️

コメント、ありがとうございました。

2019/02/03 (Sun) 11:21 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/02/03 (Sun) 11:55 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様 こんばんは。

あはは!病気しても「休んでいいよ、変わりはいるから」って言われなくて良かったですね♡
藤本さん、これから活躍していただかないといけないんで。

だんだん甘い時間が減ってくる~って思って入れた甘々な2人・・・え?この先ですか?

ドキッ・・・💦ど、どうしようかしら💦


困ったなぁ・・・ははは!(笑って誤魔化す)

2019/02/03 (Sun) 20:04 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply