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瀧野瀬に私が東京に居ることがバレてから1ヶ月近くが過ぎた。

確かに25歳・・・子供じゃないからそうなのかなって思ったけど、それにしても「その後はどうなの?」って電話の1本ぐらいあっても良さそうなのに薄情な・・・。
なんて、自分も掛けないくせに実親の放任主義を批判してばかり。

それに掛けてこられても「じゃあ帰るね!」って答えるつもりもない。
でも、ここまで放っておかれると子供として見られてないのかなって悲しくなる。まさかと思うけど、お父様達・・・本当に進が独りっ子だと思ってないでしょうね?

お母様が1番始めに産んだの、私だからね?そのぐらい覚えてるよね?なんて呟いて・・・。


目の前には花沢物産のフランス本社の組織図があって、顔と名前を覚えるように言われたのに全員が同じ顔に見えて全然頭に入らないし。
見付かったら怒られるだろうけど、その資料にある写真に髭なんて書き足して落書きする始末。

「あら!この人イケメンだわ・・・まぁ、類には敵わないけどねぇ・・・」

なんて、本部長秘書の若い男性の写真に軍服を着せてみた。ついでに名前も「Napoléon Bonaparte(ナポレオン・ボナパルト)」に直してみた。プッ、似てるかも!

「ダメダメダメ!真剣にやらなきゃ加代さんに怒られちゃうんだって!」

はぁ・・・。


類はあれから私には言わないけど、密かに五十嵐物産の内部調査をしているみたいだった。
部屋の中でも時々難しい書類と睨めっこして、いつもの寝惚けたような目じゃなくて真剣そのもの。そうかと思えばいきなりその書類を投げ出して「わかんないっ!」って叫んで、その勢いで私の腕を抱き寄せる。

「どうしたのっ!?」って聞けば「頭がこんがらがったから休む!」って・・・その休むが寝るわけでもないのにベッドに直行。
キスから始まってあっという間に彼の指は私の服のボタンを外してく。その後はいつものように身体を重ねて類を受け止める・・・今では少しだけその行為に慣れたから、私が類を愛することもあった。

その時は凄く嬉しそうに私の髪を撫でながら目を細める・・・そんな類を見るのが好きで・・・・・・好きで・・・・・・


「はっ!!何考えてんの、こんな昼間っから!」

誰も居ないのに慌てて資料を閉じてキョロキョロして、自分の熱くなった頬を押さえていたらすごくタイミング良くスマホが鳴った!「うわあぁっ!誰よっ!」って1人で叫んで画面を見たら・・・さっきまで薄情者扱いしてたお母様だった。

うそ・・・悪口、聞こえたのかしら・・・?


「もしもし、お母様?」
『あぁ、つくし?あなた、何をしてるの?どうして帰って来ないの?』

「え?あぁ・・・だからお話したでしょ?私は東京で好きな人のお屋敷にいるって。私こそ聞きたいんだけど五十嵐さんとの婚約解消、どうなってるの?」

『その件ならお爺様はお許しになってないでしょう?あなたの婚約者は今でも浩司さんよ。それに五十嵐家ではあなたが見付かって居場所も判ってるからってすっかり安心なさって、花嫁衣装も準備してるって言ってきたわよ。
それなのに肝心のあなたがいつまでも帰らないから、私達もどうしていいのか判らなくて困ってるんだけど』


花嫁衣装?!私の・・・って事よね?
あれだけ話しても強引に事を進めようとしてるの?
結局、お爺様達には私の気持ちなんて伝わらなくて、瀧野瀬のために利用することしか頭にないんだ。そこまですれば私が諦めて帰ってくると思ってるのね・・・。


私は五十嵐さんのために花嫁衣装なんて着る気はない。
これを逃したら一生着ることが出来ないって言われてもいい・・・着る時には好きな人のために着たいもの。


「お母様、近いうちに戻ると思うけどそれは五十嵐さんと結婚するためじゃないから。私、自分で決めた人と一緒になりたいの。これまでお母様達とも引き離されて1人でいることが多かったでしょ?もうそんなの嫌なの。
自分が思いっきり笑って暮らせる場所で生きていきたいの。だから許してください・・・ごめんなさい、お母様」

『それが花沢物産の跡取りさんって言うんでしょ?つくし・・・そんな夢みたいな事言わないのよ。あなたみたいな田舎の女の子に似合う場所じゃないでしょう?そんなお屋敷、今は良くてもそのうち疲れてしまうわよ。早く自分の場所に戻りなさい。ここの方が気が楽でしょう?』

「気が楽?・・・そんなことなかった。楽なんじゃなくて何にも無かったのよ。楽しみも喜びも・・・私には地獄だったわ」


お母様がまだ何か言ってたみたいだけど、私から電話を切ってしまった。
これ以上悲しくならないために・・・。



「つくしちゃん、居るのー?!」

コンコンとノックの音がしたけど、今日もまた返事をする前にドアが開いて花沢のお母様がお部屋に入ってきた。
驚いてスマホを背中に隠して、ちょっと潤んでた目元を擦ったけどもしかしたら見られたかも・・・お母様は瞬間、驚いたような目をしたから。


「お、お母様、どうしたんですか?今日、金曜日ですよね?会社は?」
「うふふ!今度の日曜日にスペインからお客様が来て1日中仕事なの。だから今日がその代わりでお休みだから、つくしちゃんとお買い物に行こうかと思ったんだけど、ダメかしら?」

「お・・・買い物?」

「そう!もうすぐValentineでしょ?うちの男性陣にプレゼント買いに行きましょ?」
「Valentine?あぁ、もうすぐですね!」


家の人にプレゼントを買う、そんな事を牧野のお母様と一緒にした事もない。
類のお母様だけど、こんな関係でのお買い物・・・それを聞いただけで心が弾んだ。

久しぶりに自分の部屋のクローゼットでお母様と一緒にお出掛けの服を選んだ。そしてお母様が支度をするために部屋を出て行ったら、今度は1人で髪を整えてお化粧をして。
普段つけないピアスもネックレスも・・・ついでにネイルもしてみた。だってお母様も綺麗にしてるんだもん!

ワクワクしながら玄関まで降りたら、凄くゴージャスな毛皮のコートのお母様がニコニコして待っててくれた。

「さぁ、行きましょ!お買い物はいいストレス発散なのよ?こういう時は我慢しないの!」

「え?Valentineのお買い物でしょ?ストレス発散?」
「同じようなものよ!」



向かったのは私が行ったこともない六本木ヒルズ・・・ここでお母様は男性陣にって言ったのにご自分のお買い物の方に夢中になって、楽しそうに選んでた。
そして私を呼ぶとお洋服やアクセサリーをあててみて「似合うわよ~!」を連発。


「お母様!私のものは何も要らないので類のものを・・・お母様はお父様のものを!」

「あら!いいじゃない。こんなの夢だったんだもん。類は男だからお買い物なんて一緒に出来ないでしょ?
楽しいわぁ!娘が出来たら絶対にしたいことのナンバーワンがお買い物なの。あっ、これも素敵!つくしちゃん着てみない?」

「えぇっ?!またですか?」
「ほらほら、早くっ!」


私よりずっと楽しそうなお母様は色んなお店で私のものも沢山買い込んだけど、これは総て後から配達されるらしい。振り向いたら凄い人数の店員さんが並んでた。
そして口々にお母様にご挨拶・・・それを軽い返事で返しながらお買い物の手は止まらなかった。

もう足が痛くなるほど歩いたのに「今度はあっちよ!」って私の腕を掴んで歩き出した時、私の視界にウエディングドレスが飛び込んで来た。
真っ白でフワフワの・・・まるでお姫さまみたい。優しくて幸せなオーラに包まれたドレス。

それを見た瞬間足が止まって、お母様は躓いて転けそうになってた。


「どうしたの?つくしちゃん?」
「・・・・・・」


お母様も私が見ているドレスに目を向けた。
それは判ったけど、私はさっき聞いた五十嵐さんの用意している「花嫁衣装」って言葉を思い出して、綺麗なドレスを見ても悲しくなって目の前が歪んでしまった。

気が付いたら小さな涙が落ちてたみたい・・・お母様は驚いて私にハンカチを握らせてくれた。


「何かあったの?あのウエディングドレス・・・綺麗よね。なのに悲しいの?」

「五十嵐さん・・・私の花嫁衣装用意してるんですって。さっき母に言われたんです。だからいい加減に帰って来いって・・・それを思い出しました。私、そんなの着たくなくて」

「ふふっ!馬鹿ね。着なくていいじゃないの」

「お母様?」


「あなたのウエディングドレスは悪いけどこの私が選ぶの。類にだって口出しさせないわ。だから今から楽しみにしてるのよ?
フランスのデザイナーに頼んでこの世に1枚しかないつくしちゃんだけのドレスにするの・・・だから泣かなくていいわ。あのドレスはね、幸せになるために着るものよ?悲しい気持ちで着なくてもいいのよ」

「それ・・・本当に着ることが出来ますか?」

「うふふ!ちょっと頼りないけど類を信じましょ?きっと頑張ってくれるわよ!」


この言葉で涙なんて止まって2人でクスクス笑った。
こんなにも私の事を大事に思ってくれる人が居る・・・そう思ったら嬉しくて嬉しくて。


結局この日、お父様には家で着るセーター、類にはマフラーを買った。
何故か私達のお買い物のほうが数十倍も高かったけど、「気持ちよ、気持ち!」って2人で大笑いしながら帰った。





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2019/02/07 (Thu) 07:01 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

あはは💦このお話では晴男さんも千恵子さんもいい感じじゃないのでね~💦
原作が良い人なだけにホントは申し訳ない感じがしています。

ごめんね、牧野パパ&ママ!!

その代わり類パパと類ママを楽しく書いてるので許してくださいませ♡
そのうちきっと楽しい生活が・・・待ってるはず(笑)

応援してやってくださいね♡



2019/02/07 (Thu) 20:38 | EDIT | REPLY |   

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