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「専務ならここには居ませんよ。休暇を取って旅行中らしいけど?」
「・・・・・・はい?」

格好いいおじさんが真顔でそう言った・・・聞き間違いじゃないよね?

「あっ、あの!休暇って・・・でも彼はこっちに来たばっかりですよね?それなのに休暇取って旅行に行ったんですか?」

「ふむ・・・そう言われればそうだけど、別に規定違反じゃなかったし、むしろ今はまだ本格的にこっちでの仕事を持っていないから彼が居なくても大丈夫だからじゃないかな」

「い、居なくても大丈夫?!そんなっ!」

「いや、今からは勿論必要なんだよ?忙しくなったら休みも取りにくいから許可したんだけど・・・」


その言葉に私の目の前は真っ暗になった。
こんな時に旅行?休暇を取って旅行ですって?・・・って事は私の休暇中には会えないって事?
私は明日の飛行機で日本に帰らなきゃいけないのよ?今日しか花沢類に会えないのよ?!

そ、それなのに・・・休暇で旅行!フランスに来て間がないのに仕事がないからって休暇なんて取ってるんじゃないわよっ!


「えーと、お嬢さん、どうしましたか?専務に会いたいのなら明日には帰ると思うけど?」
「・・・は?明日帰ってくるんですか?」

「確か予定ではそうだったと思うけど・・・なんなら我が家で・・・」
「判りましたっ!では、明日の朝、また来ます!!」

「えっ?!朝一番にはここに来ないと思うけど?」
「いいです!それで会えなかったら帰りますから!おじさん、どうもありがとうございました!」

「あっ!ちょっと待って、君っ!」

親切に教えてくれたおじさんに頭を下げて、私はその場から走り去った。
何故かって・・・花沢類がここに居ないって判ったら、今晩泊るホテルを大至急捜さなきゃいけないんだもん!あんな所でのんびりしていられないわっ!

花沢物産の前を適当に突っ走って、何処かにホテルの文字がないかを探した。



*****************


<side花沢社長>

「社長、何だったんでしょう、今のお嬢さんは」
「さぁ?類の言っていた会わせたい人・・・かな?ははっ、元気の良い人のようだね」

「あの人が類様の・・・なんかイメージが違いますが。それにしても何処に走って行かれたのでしょう?」
「それも判らんな。類に電話してみようか・・・」

♪~~~♪~~

『も、もしもしっ!俺だけど!』
「おお、類、今何処だ?」

『たった今シャルル・ド・ゴール空港から出たとこ!どうかした?俺、忙しいんだけど!』
「もう帰ってきたのか?あぁ・・・もしかして人捜しかな?黒髪の可愛らしいお嬢さん・・・確か・・・」

『えっ!!牧野、父さんに会いに行ったの?!』
「そうそう!牧野さんだ。いや偶然うちの社の前に居たんだよ。私を見て日本人だから声を掛けたんだと思うが、お前を呼んで欲しいと頼まれてな」

『良かった!すぐに行くからそこで引き止めててくれる?牧野、スマホの電源が入ってなくてさ』
「いや、それが居ないと言ったら急に何処かに走って行って・・・彼女、居なくなったんだよ」


『何だってーーーっ?!!』
「そんなに大きな声を出すな!うちの社の前を真っ直ぐ北に向かったから急いで捜しなさい。すぐに暗くなって危ないからな・・・って、類?おい、類?!・・・なんだ、もう切ったのか」


「類様は明日こちらじゃなかったんですか?もうお帰りに・・・って事はとんぼ返りじゃないですか?」
「はははっ!そうだな。さてはサプライズに失敗したな?まぁ、あの様子だと必死になって捜すだろう」

あれが類の初めて好きになったという女の子か。
ははっ、あの子が言っていたように普通の家庭の普通の子・・・だけど最高に明るくで元気をくれる人、その通りのようだな。

ちゃんと出会えて連れて帰ってくればいいがな。
いや、運命の人ならこういう時は必ず会えるもの・・・屋敷で報告を待つとしようかな。


「社長、お車が来ました」
「・・・あぁ、ありがとう」

「類様、見付けられるといいですねぇ」
「そうだな・・・まぁ、大丈夫だろう」


さて、運命の2人は何処で会うのかな?それを聞くのが楽しみだな。



*******************



「えっと・・・ここは高いホテルだよね?もう少し安いホテルはないのかしら・・・お金、あといくら残ってるんだっけ・・・」

恥ずかしながら花沢類と一緒に過ごせると思って持ってきたお金はギリギリ。
無理言って休ませてもらったから会社に持って行くお土産を買うぐらいしか持ってなかった。

ヤバい・・・クレジットカードぐらい持って来れば良かった。何かあったらいけないと思って置いてきたのに、ホントに何か起きるだなんて思わないじゃないの!
ブツブツ言いながら鞄からお財布を出して中身を確認・・・もう溜息しか出なかった。

ここは何処だろう?って周りを見たら大きな川がある。もしやこれがセーヌ川だろうか?って何気なく足がそっちに向いた時、後ろから凄い勢いで誰かに体当たりされて道路のド真ん中で倒された!

「きゃああぁーっ!いったぁ・・・なっ、なんなの?!・・・はっ!」


鞄がない・・・私の持ってた鞄がなーーーいっ!!

バッと前を見たら少年がもの凄い速さで走っていく!暗くてよく見えなかったけど、その手で振り回してるのは私の鞄じゃないのっ?!
冗談じゃないわ・・・その中には翻訳機に財布に類の誕生日プレゼントが入ってるのよーっ!!


「待てぇ!ドロボー!!誰か捕まえて、ドロボー捕まえてーっ!!」

周りの人が何事かと私を見てるけど、ここはフランス!
日本語で叫んでも通じないってのっ!

そんなの判ってるけど、判ってるけど・・・フランス語が判んないんだもーーん!!


どのぐらい走ったのか、ここが何処なのか、あの少年は何処に消えたのかさっぱり判らない!
私は星が見え始めたパリの街の中で何にも持たずに呆然と立っていた。


「何処かに日本人はいませんかー?!誰か助けてーっ!」

セーヌ川に向かって叫んだけど誰も返事してくれない・・・類、助けて・・・助けてーっ!!




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2019/02/20 (Wed) 13:32 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

そうなんです~!あれは類パパだったんですね♡
似てなかったのかなぁ?(笑)でも格好いいおじさんだったみたいです!

私のお話のつくしちゃん、ホントによく盗まれるんですよ(笑)
プレゼント、取り戻せるかしら・・・?

あと3話です。最後まで宜しくお願い致します♡

2019/02/20 (Wed) 21:01 | EDIT | REPLY |   

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