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怒鳴り合っていた連中はシーンとなった。
その会話で総て白状したようなもの・・・1人1人を睨みつけたらそれぞれが項垂れて言葉を失った。

「不正取引をしていたことは認められたようですので、それについてはグループトップである社長の方から話があると思います。それ相応の覚悟はしておいて下さい」

「覚悟?さっき公にしてないと言ったがまさか・・・この件を世間に公表するのか?花沢のブランドに傷がつくぞ。万が一切り捨てても行ったのは花沢グループの時だからな」

「私が決定する事ではありませんがされても文句はないですよね?花沢のネームブランドに多少の傷がついても膿を出す方が先決、社長はそう言う考えのようですからご心配なく。
それにこちらが手に入れている証拠書類は西門邸に関するもの以外も数点あります。本社、福岡支店、関西支店など総てを内部調査対象にされるとお考え下さい。
この期に及んで隠し立てなどしない方がいいですよ?どれだけ隠してもうちの監査部、優秀ですからね」

そんな言葉を口にしながらテーブルに置いたもの・・・別の封筒に入った例の写真。
今度は何だと言わんばかりに4人がこの封筒に目をやった。


「それではもうひとつの問題に移りましょうか。牧野・・・いえ、本当は瀧野瀬つくしさんでしたね。彼女と浩司君の婚約についてですが、まだ破棄するおつもりはありませんか?瀧野瀬会長、如何です?」

「・・・そ、それは・・・いや、つくしは宮崎から出す気は無い。この儂の傍に居て欲しいと思うておりますのでゴタゴタが片付いたら浩司君に嫁がせようかと・・・それについては気持ちは変わらんが?」

「それはこの先も事態が落ち着いたらつくしさんに為替取引を続けさせる為ですか?不正を暴き出されたあなたの会社は花沢との取引は100%有り得ません。それが決定したから、もうつくしさんと私の事など考える余地もない、そういう事ですか?」

「・・・誰もそんな事は言ってはおらん!つくしは昔から優しい子で儂の世話をしてくれとるのじゃ。それが急に居なくなって、儂の事をわかっておらん連中ばかりになって辛かったのでな。それだけの事じゃ・・・」


その優しい子にあなたは何を言った?
牧野があんたに電話した時、ひと言でも「無事だったのか、良かった」って言ってやった?

早く帰って仕事をしろ、どれだけ迷惑かけてると思うんだ・・・そんな言葉を掛けたんじゃないの?
そんなあんたのことを牧野は嫌いにはなれないって言ったのに。


「優しかったお孫さんなのに随分と束縛されてますよね?あなた・・・なにもご存じないんですよ。
彼女はね、ただ自由が欲しかったんです。そのために必死で東京に出てきたのはいいが、何も判らず金も持たず、公園でホームレスと過ごしたんですよ。それに危ない連中に捕まって裏の世界で働かされるところでした。偶然助けることが出来たので良かったが、あなたがそうやって彼女の世界を狭くしたために起きた事故だと言ってもいい。責任はあなたにあるんですよ」

「儂に?そんな馬鹿な!何不自由ない暮らしをさせたのに何が『自由が欲しい』じゃ・・・誰のおかげで贅沢が出来てると思ってるんだか!」

「・・・やはりあなたとは話が出来ないようだ。それならもう結構です。じゃあ・・・浩司君、君に直接言わせてもらうね」


・・・この偏屈ジジィは後回し。こうなったら浩司に直接写真を見せようと、封筒の中身を見るように言った。
浩司はさっきまで話してた証拠書類の事で頭が一杯だったのか、厳しい顔のままその封筒を手に持った。そして中を見て・・・今度はこれまで以上に驚いて目を大きくさせた。

鯉みたいに口をパクパクと・・・この状況なのに思わず噴き出しそうになった!


「なんだ?浩司・・・なんでそんな顔をしてる?」
「浩司さん、どうかしたの?あなた、まだ他にも危ない事してるの?」

「いや、何でも・・・待て!これはどうして・・・いや、何処から・・・じゃなくて誰から手に入れて、いつのものだ?!」
「何を言っとるんだ?さっぱりわからんじゃないか!もうこれ以上驚かんから見せなさい!」

「違う、これは違う!俺じゃない・・・似てるだけじゃないのか?!」
「浩司さん、いい加減にしなさい!もうっ・・・」

狼狽える浩司の手から奪い取った写真を見て、五十嵐社長夫妻は固まった。
そりゃそうだろうね・・・自分の息子のキスシーンなんだから。それにもう少しヤバい写真も入ってるけど、相手の女性のことは判るんだろうか。
瀧野瀬会長も何が起きたのかとチラッと覗き見て・・・「これは・・・!」と腰を抜かしそうになってた。


「なんだ!これは・・・浩司、これは誰だ!お前、いつからこんな女性を!」
「なんてこと・・・!これってS公園じゃないの?!って事は東京で?東京の女なの?だからあなた、東京によく出張に行くの?」

「いや、それは俺じゃなくて似てるヤツだ!こいつが・・・類が仕組んだんだ、俺じゃない!」


どうやら麻生のことを知らないようだ。
だから今度はあの時に録音していた物をテーブルに置いた。ネックレスから外した録音可能な超小型盗聴器・・・また4人がそれに目を向け、俺はスイッチを入れた。


「私の男ぉ?ん~・・・年は28歳で、君達とあんまり変わんないと思うわ。若いけど会社経営者の息子でね。でも東京じゃないの。九州の会社だからあんまりこっちには来ないの」

「九州なんだ?へぇ、それなのに続いてるの?」
「だってぇ・・・うふふ、その人と居るとお金には困らないんだもん。黙ってても月に100万円はお小遣いくれるし、東京に来た時も何でも買ってくれるの。あぁ・・・でも、一昨日来たけどすぐに帰ったわねぇ・・・何にもしないでさ!」

「一昨日東京に来てくれたんだ?それなのに何にもなかったの?忙しかったのかな・・・」
「ん~?なーんかねぇ、何処かの子供みたいな女を実家に連れて行くって言ってた。ちょっと見たのよ、そしたら犬なんて抱いて泣いてるみたいだったわよ?」




「こ、これは・・・!」

「驚きました?この声の女性・・・五十嵐物産東京支店の支店長秘書、麻生ルミ子さんの声です。『私の男は28歳、九州の会社の人。最近東京に来ていて帰る時には犬連れの女性と一緒』・・・まるで誰かのようですよね?浩司君」

「・・・・・・この写真の女か?浩司!」
「あなた、社内の女性に手を出してたの?」

「・・・くっ!」

「まだ続きがありますよ。聞いてて下さいね」


「えっとねぇ~!西門って茶道の家があるでしょ?そこの工事でトラブったみたいでさ。ふふふ、これ内緒だからね?
私が思うだけなんだけど~、多分西門って家から結構な額のお金、騙し取ったんじゃないかしら。大金持ちって金額誤魔化されても気が付かないみたいなのよねぇ・・・ヒック!ホントに内緒よぉ・・・?」



細かく止めるのは颯太と瑠那を出さないため。
凄く冷静に指を動かしてたけどホントは結構焦ってた。俺が潜入したなんて知られたくないし!


「誰だ!誰がそんなものを・・・よ、酔っ払ってる女の証言なんか当てになるか!知らない・・・俺は知らない!」

「うちには優秀な情報屋が居るんですよ。
浩司君・・・これはね、彼女があなたから裏切られないために誰かに頼んでわざと撮らせた写真だと思います。
因みに成城に自分名義のマンションを持ち、彼女に与えています。その金の出所もおそらく不正に得た資金でしょうね。現金即買いなんてしたから不動屋もよく覚えていたそうですよ」

「マンション?そんなものまで買い与えたのか?!」
「ただの女友達よね?そうなんでしょ、浩司さん!」

「ただの女友達・・・いいでしょう」


「・・・警察に捕まったりとかは大丈夫?」
「大丈夫よぉ!だって私は関係ないもん。あの人が1人でやっただけだし・・・あら、でもそうでも無いかも」

「どういう事?」
「・・・よくわかんないけどその時に彼から預かってる物があってね。絶対に無くすなよって・・・人目についちゃヤバいものでも入れてるのかしらねぇ・・・」



「この預かってるもの・・・これが先ほどの不正書類の出所です。念の為に予備として預けたのでしょうけど裏目に出ましたね。それともう1つ・・・」


「もう5年も前になるかしら。久しぶりに東京に来たからって夜通し頑張ったのにさ、次の日も勤務中に会議室でね・・・うふっ、そりゃ凄かったの。会社で嫌な事件があったからストレス溜まってたみたい。とにかくネチネチとしつこく絡むのが好きな人なのよ~!」


「・・・なかなかタフなんだね。これでも女友達で終わらせる?確か、他にも・・・」
「もういいっ!!くそっ・・・ルミ子、まさかこんなものを撮ってるなんて・・・!」


今度は写真を手で握りつぶした。
何度も何度も握って丸めて、最後には社長室の床に叩き付けるようにして投げ捨てた。

バカだよね・・・。
金を使えば麻生は裏切らないと思ってただろうけど、そこにお互いの愛情なんて存在してたの?
それがあるんだったらこんな写真は撮られなかったはず・・・結局麻生は金でしか浩司を見てなかったし、浩司は金を出すことで優越感に浸っていただけだ。


「どのくらい前からのお付き合いかは知りませんが西門の事件の時にはもう関係があった・・・となれば5年前からの恋人ですね?私がつくしさんを屋敷に住まわせたのは去年の秋の終わり・・・恋人となったのは年末です。そう考えるとそっちの方が随分前から不貞行為をしていたと言うことです・・・認めますよね?」

「・・・・・・」

「答えられない・・・つまり、そう言うことですね。
一応お伝えしておきますが本日の会話は総て録音していますが、これをそのまま公に出すつもりはありません。あなた方が今後当社の指示に素直に従っていただけるのなら内部処理が終わった後に破棄します」


浩司は麻生との関係を認めた。
これで婚約解消は牧野の方から申し立てても浩司はそれを拒否出来ない。

これ以上話合いに応じないのなら弁護士を立てると言えば、あっさりこの場で婚約は解消された。



「では瀧野瀬会長。明日、瀧野瀬家に行って最後のお話しをしましょうか。つくしさんのご両親にもお会いしたいので宜しくお願いしますね」

「・・・判った」


説教の仕上げは・・・この連中だな!
牧野、もう少しだからね!






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2019/02/27 (Wed) 00:46 | EDIT | REPLY |   
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2019/02/27 (Wed) 06:51 | EDIT | REPLY |   
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2019/02/27 (Wed) 10:42 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは。

そうそう!凄く真面目な顔して再生ボタン押してたんだと思います(笑)
きっと家でも練習したのよ(笑)

「隅々まで洗ってね!」も聞かれちゃマズいしね。

私、これを書くのに「盗聴は違法か」って検索して「盗聴と秘密録音」ってのに笑いが出て暫く読んでました。
どうやら類君の行為は違法ではなかったようです(笑)

颯太と瑠那・・・シリーズかぁ(ちょっと憧れるな)

2019/02/27 (Wed) 11:31 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

寡黙なはずの類君に長い台詞が多いこと(笑)
「これでも文句ある?」だけで本当は終わりそうな人なのに💦

残るは両親・・・バッサリ行く前につくしちゃんと会わなきゃ♥ですよね~!
宮崎まで来て1日ホテル泊とは申し訳ないですが、朝になったらお迎えに・・・

・・・・・・・・・素直に会えるかな?(笑)

今晩をお楽しみに♥

2019/02/27 (Wed) 11:45 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

みわちゃん様、こんにちは。

コメントありがとうございます!大丈夫ですよ~♥
あれね、不思議ですよね・・・何がいけないのかさっぱりですよね。

ふふふ、このお話ももうラストですね・・・類君のプチコメ長編は初めてでしたので楽しかったです♡

颯太と瑠那・・・ははは!
総ちゃんは毎度こんな感じですが、類君にホストさせたのはあんまりないでしょ?
二人を出すとめっちゃハイテンションになってキーボードも軽くなります♡

このお話では悪役(?)の千恵子さんと晴男さんに説教してきますね!
でも、もう少しだけ先ですけど。

類君のValentineStory・・・ははは!これもComedyにしちゃいました💦
総ては「私の・・・」の反動でございます。


その問題作・・・(笑)

どうしましょうかねぇ・・・(笑)
ここまで突き落としたら浮上させるのに相当時間が掛かりそうですが。
しかも第1話で途中経過、出してますからね(笑)

まだそこにさえ行き着いてない・・・やばいっ!この暗い話がいつまで続くんだ?
しかも・・・再会した後にどうなるか。


・・・・・・・・・誰か助けて(笑)

2019/02/27 (Wed) 17:32 | EDIT | REPLY |   
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2019/03/04 (Mon) 21:24 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

miz**様、こんにちは。

あはは!いつになく喋りまくりの類君でしたが、少しは格好良く書けていましたかしら?(笑)
そうだと嬉しいなぁ~!

うん、もう少しで会えますけどねぇ(笑)
まぁ、これまでの色々がありますからストレートじゃありませんが、再会まで楽しんで頂けたらと思います。

コメントどうもありがとうございました。

2019/03/05 (Tue) 15:14 | EDIT | REPLY |   

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