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「改めまして。花沢類と申します。つくしさんのお父様とお母様でいらっしゃいますね?ご挨拶が遅れましたこと、お詫び申し上げます」

類と一緒に山を下りて瀧野瀬に戻り、1度はお爺さまからお説教されたけど、今は類が挨拶中。
あの花沢物産の跡取りである類が来た事に驚いてカチンコチンになっている両親は、返事を言葉ではなく首を縦に振るだけで精一杯だった。
お爺さまは相変わらず厳しい顔・・・ここでも喧嘩が始まるんじゃないかとヒヤヒヤした。

私の腕の中には梅三郎が居て、でも類も横に居るから嬉しいのか震えてはいなかった。


「それと詳しく知らなかったとは言え、勝手につくしさんを我が家でお預かりし、事情を知った後もすぐにはこちらに帰らせなかったこともお詫び致します」

「いえっ!と、とんでもございません!こち、こちらこそ家出した娘を助けて頂きありがとうございました!」
「お話しはつくしから聞いております。とても良くしていただいたそうで・・・本当にお世話になりました!これからは毎日顔が見られるかと思うと嬉しくて・・・はい、感謝しております!」

「・・・・・・会長、ご両親には昨日の事を話してないんですか?」
「・・・夜が遅かったから話しておらん。好きに説明すればいい」

「・・・?お父様、何かあったんですか?」


あのお爺さまが類に負けてる・・・バツが悪そうにお爺さまがプイッとしたのには驚いた。
さっき山の池で話は聞いたけど、類ったら本当にお爺さまにガツン!と言ったのかしら。まさか、声を荒げるような事はないだろうけど・・・。

ここで類は両親にも昨日の出来事を話した。
結論だけだから時間は掛からなかったけど、類の話に両親はただ驚くばかりで口を開けてポカンとしていた。


「・・・以上が昨日の話です。ご理解いただけましたか?」

「・・・は、はぁ」
「えっと・・・つまりはどう言う?」

「瀧野瀬コーポレーションと五十嵐物産は共謀して他の会社に妨害行為、贈収賄、文書偽造などを行い、不正に金銭を搾取したと言う事です。これを公にすれば当然ですが会社は潰れ、多額の罰金、追徴課税、損害金などが発生し、そちらで真面目に働いている社員に退職金すら払えないだろうと思います。
それにつくしさんに操作させていた為替取引で得た金で多くの不動産を手に入れています。私に見付からなければ今後もずっと続けていくつもりだったのでしょうね」

「お父様っ?!私達は法に触れる行為をしていたのですか?」
「そんな!お、お義父さん、本当ですか?」

「・・・・・・全部バレたのじゃから言うが、本当じゃ」


類が頭を抱えた・・・うん、無理もないわ。

私もだけど、これだけの事をしていて何も知らない両親って・・・。
一体この屋敷の中に真実ってどれ程あったのかしら。それさえ疑ってしまう・・・なんて寂しい家族だったんだろうって。


また類が気を取り直して、今度は五十嵐浩司さんの事について話し始めた。

「五十嵐浩司・・・私とは従兄弟になりますが、浩司はもう5年も前から恋愛関係にあった女性が東京に居て、その人に多額の金を貢ぎ、マンションに住まわせています。つい最近も東京に行ってますが、どうやら彼女のマンションで過ごしたようです。
私とつくしさんが想いを通わせたのよりも早い時期からの不貞行為により、瀧野瀬側からの婚約解消を申し出ました。そうですよね?会長」

「・・・・・・儂じゃのうてお前さんが言うたんじゃがの」

「・・・誰が言ったかはどうでもいいんですが、とにかく婚約解消は成立しました。よって、ここでつくしさんを花沢に連れて帰る事をお許しいただけませんか?」


お父様とお母様は顔を見合わせている。
どっちが答えるかで突き合いでもしてるのか、小さな声で何か言ってるけど、それはまったく文章になってなくて類を呆れさせた。

私も何だか両親を見てるとしょんぼりしてしまう。
瀧野瀬に養子に出されたと言っても私の両親はこの人達なのに・・・親子であることさえ忘れられたような気がして、目の奥が熱くなってきた。


「あ、あの・・・お義父さんがそれでいいと言うのでしたら・・・なぁ、母さん」
「え?えぇ、つくしは瀧野瀬に養子に出してるし、お父様がそれで納得なら私達は反対なんて・・・」

「・・・そうですか。それでは私からひと言申し上げてもいいですか?花沢物産とは切り離してお話ししたいと思いますけど、宜しいですか?」

「は?は、はい!どうぞ!!」


・・・あれ?類が怖い顔してる。
こんな顔見せたのはクリスマスパーティーで道明寺さんと話した時以来?チラッと横から見上げた類の目・・・いつも優しい瞳の色が変わって見えた。


「・・・あんた達、牧野の事なんだと思ってんの?養子に出したら後はどうでもいいわけ?爺さんの機嫌の方がそんなに大事?
誕生日だって祝ってやったことないんだって?一緒に何処かに出掛けたこともないんだって?学校行事ですら休ませて、仕事だからってパソコンだけ与えて閉じ込めて・・・!」

「はっ?!あの、花沢さん?!」
「る、類?!急にどうしたの?!」

「牧野がどうして自分の家を出て行こうとしたのかを真剣に考えた?
金がなくても、どんな場所でもいいから自由を手に入れたかったこの子の気持ちが判るの?牧野の心の中を何にも判って無くて、爺さんが恐ろしいってだけであんた達は動かなかったんだ!
どうして花沢に居ることが判った時、すぐに東京に来なかった?連絡がないからって1度でも電話した?牧野が嫌がってるのになんで浩司との事を真剣に聞いてやらなかった?そして今の事でもそうだろう!!」

「今の事?い、一体何の事で・・・」


類がすっごく喋ってる・・・1番それに驚いたのと、こんなに大きな声で怒鳴る彼は初めてだった。

本当に怒ってる・・・類が私の事で本当に怒ってくれてる。
そう思うと今度は胸が熱くなって目が潤んできた。

片手で抱いていた梅三郎も驚いて類を見上げてる。
その時に両親から見えない位置で類が私の片手を握ってくれた。
顔は真っ直ぐ両親に向けてるのに、伸びてきた指は私の指と絡めてギュッと強く握ってる・・・その指先から「心配すんな」って声が聞こえてきそうだった。


「東京に連れて行きたいって言った事に決まってるだろ!
不安じゃないの?自分の子供だろう!俺が言うのも変だけど、とんでもない世界に連れて行くって言ってるのにどうして不安がってやれない?どうして俺に質問しないの?何故、牧野が幸せになれるかどうかの確認をしないの?・・・それが彼女を1番傷付けてるってどうして気付かなかったのさ!」

「類、もういいから!ありがとう、ホントにもういいから!」
「良くない!あんたを傷付けるのは何であっても誰であっても許さない!」


やっと私の方に目を向けた類は悲しそうに怒ってた。
まるで自分の事みたいに悔しそうに怒ってた。ちょっとだけ目を赤くして・・・。


「・・・うん、傷付かなかったって言ったら嘘になるけど、もういいの。私は自分の居場所をちゃんと見付けたから・・・だから、もういいんだよ、類」

私が笑うと少しだけ不満そうに口をへの字に曲げたまま・・・少し気を鎮めたら、また両親に目を向けた。


「・・・失礼しました。声を荒げたこと、お許しください。
それではつくしさんは東京に・・・花沢に連れて帰らせていただきます。今後の事は必ず連絡を入れますからご安心ください」


「・・・・・・は、はい」
「花沢さん、返す言葉もありません。仰る通り、つくしは幼い頃からお父様が育てるから口出し無用と言われ、ずっと遠慮しているうちに親としての責任とか感情から遠離ったのかもしれません。私達がもう少し歩み寄れば良かった・・・今更ですが反省しています」

お母様がか弱い声でそう言ったけど、類はやっぱり許さなかった。
「今度から私が守りますから結構です」、そう言ってニコリともしなかった。


顔と口はすごく怒ってるのに繋がれた手ではVサイン・・・・・・梅三郎の頭に一粒、涙が落ちた。


「ワン?」
「ごめん、梅三郎・・・」




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2019/03/04 (Mon) 06:23 | EDIT | REPLY |   
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2019/03/04 (Mon) 07:49 | EDIT | REPLY |   
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2019/03/04 (Mon) 12:19 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんにちは!

あっはは!同じ事を言った方がいますよ(笑)
お裁き、上手でした?

そうそう!こんなに叫ぶ類君はあんまり居ないでしょ?(笑)
どっちかって言うと寡黙な人ですから(本当はそうだと思うのよ・・・)

私、本当にこの人のキャラを崩すのが好きみたい(笑)
まぁ、1番は「茶と華と・春の番外編」ですけどね。

ははは!たまには変わった類君をお楽しみください♥

2019/03/04 (Mon) 17:28 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

今回は情けない晴男&千恵子でしたねぇ💦
まぁ、これで宮崎のシーンは終わりなので忘れる事にしましょうか!

で、そうなんです(笑)
私の類君は良く喋るんです。

この3日間ぐらいずっと喋ってますよね(笑)
きっと類君、疲れまくったと思います。ははは!

この先は・・・え?えっと、普通に爽やかにエンドを迎えたいと思います・・・。
(ご期待していたら申し訳ないんですが、何もないですから・・・)

2019/03/04 (Mon) 17:33 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは。

さっきと随分違う字数に笑ってしまいました。

ふふふ、美味しかったですか?
よく叫びましたね・・・まるで類君じゃないかのように語らせてしまいました💦

はい!さっさと帰ろう!!お面被った梅ちゃん連れて!

2019/03/04 (Mon) 17:36 | EDIT | REPLY |   

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