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「じゃあ今日はこのぐらいで終わろうか。
やっぱりあきらとの打ち合わせが1番スムーズに終わるね」


「総二郎と司だとおちゃらけてるのか喧嘩してるのか判んないからな」
「言えてる」


仕事の話を終えて握手を交わし……
さっさと城から追い出そうとしたら、俺の横をすり抜けて「牧野~!」って言いながらリビングに走って行くあきら!

だから牧野じゃないし!!何度言ったら覚えるんだ、こいつっ…!
いつもおっとりしてるクセにこの時だけは凄く素早い……気が付いたらもう廊下にはあきらの影も形もなかった。

急いで俺もリビングに向かったら、あきらは既につくしの真正面で、まるで此奴がここの王であるかのように座ってる。
そこ……俺の指定席なんだけど?って睨んだって効果無し!

全く、そういう所は2人と変わんないんだから!


「牧野、何見てんだ?」
「あきら、牧野じゃないから」

「つくし、何見てんだ?」
「だから!!つくしって言うな!俺の奥さんなんだから!!」

「……ん?ちょっと待ってね……今ね、色々と……」


あれ?珍しくつくしが真面目な顔して本を読んでる。
何を読んでるのかと思ったら……編み物の本?

えっ……もしかして、俺に編んでくれるのかなっ?!

…………いや、ここで珀達のマフラーだって言われたら流石に傷つくな。
つくしから言われるまで黙っとこ。

でも、チラッと見たら珀、桃、菊、ハルもつくしの横で尻尾振ってる。
まさかと思うけど……思うけど……思うけど……。


「つくし、言っとくけどSPにだけ特別なことをしたら城内の動物保護条例に反するからね?
みんな平等、みんな仲良し、依怙贔屓なし!!これ、決まりだからね?」


「なに言ってんだ?類」
「そうよ、なんの話?」

「……何でもない」

「あのねぇ……類にセーター編もうと思うんだけどね
「あっ!俺のなの?!」

「……類、お前……」
「何考えてたの?」

「……何でもない」

「あのね、特別なセーターにしたいのよね~。出来たら自分で染めたいなって思って。
でも、そんな事出来ないしねぇ……毛糸作るわけにもいかないし」

「……うん、流石に毛糸はね。羊毛とかないし」

「うちにあるぞ?」


「えっ!美作さん家、羊毛があるの?!」
「………………」


なんだろう、今、凄く嫌な予感がした。
背中がゾクッと……ザワッとしたんだけど。


「あぁ、この前うちのメリーさんの毛を刈ったばかりだから沢山あるぞ。
なんなら取りに来るか?どのぐらい必要か判らないし、毛糸職人もいるから聞いてみるか?」


「うんうん!行く~!!
ねぇ、類、私を美作さん家まで連れてって?♥」


「え!あきらの所に?」
「うん!いいでしょ?いいでしょ?
類も一緒に行きましょ?みんなで行きましょうよ~!!」


「あぁ、いつでも来いよ。牧野1人でも全然いいけど」
「だから牧野じゃないって!!」


昔の映画のタイトルみたいなお願いのされ方にちょっとはグラッとしたけどさ。
だけど本当に行くの?ねぇ、行くの?


「羊さん、何匹ぐらい居るの?」
「さぁ?放牧してるから数えたことはないけどなぁ……結構な数居るぞ?」

「きゃあーっ!見てみたーい!!」
「来ればすぐに見られるよ。丁度毛を刈ったばかりだから寂しいけどな」

「………………」
「………………」

「なんで俺の頭を見るんだよ、2人とも」


何だかよく判らないうちに話が決まり、つくしと俺は珀達を連れて美作城に行くことになった。

目的はメリーさんの毛……。
いっその事、俺の好きな毛糸を買ってこようかと毎晩悩んだけど、とうとうあきらの城に行く日になってしまった。


雨でも降ってくれれば いいのに…と思ったのは内緒だけど、今日は「これでもかっ!」と言う程の晴天。

……あぁ、青い空が眩しい。真夏の太陽も真っ白な雲も、めちゃくちゃ眩しい。

俺の愛妻は何だかとっても嬉しそうで、朝早くからお弁当作りに抜け出したようだ。
目が覚めた時、俺はベッドに独りぼっちだった。

………最悪っ!!

……ピクニックに行く訳じゃないんだから…
なんて言えるハズも無く、
あきらや碧のお弁当にまで気を配るのが、何だか気に入らない。

花沢御用馬車に珀達四匹と共に乗り込み、
何故だか知らないけど田村も同行。
美作の第一秘書の村山さんとも仲が良いらしい、
「村山と会うのは久しぶりなんですよ♪」
なんてニコニコしている。


「楽しみですね♪田村さん」
「えぇ、とても」

………チッ💢💢……

ここで、田村の弁当まで作ったの?なんて聞けるハズも無く、悶々としてるうちにあきらの城に着いた。

あきらと第一秘書の村山と碧に出迎えられて馬車を降りると、見知った奴等が勢揃い。
他人(ひと)ん家の池で洗濯しまくる奴、他人(ひと)ん家の庭に穴を掘りまくる奴……、
今日はつくしが来るのを知ってるから、花沢に行ってないんだ…と思ったらムカついた。


「じゃあ、早速メリーさん達の所に行ってみるか?」
「うん♪ありがとう」

「楽しみだね、類♪」
「……………」



「うわぁーーー!広~い♪♪」


つくしの声に驚いたのか、囲いの中のずぅーーっと奥にある大きな木の下に居た羊御一行が一斉にこっちを向いた。
……と思ったら、ワラワラと寄って来た。

うわっ!壮観だな……何匹居るんだろう…


「毛を刈って間もないから貧弱に見えるけど、来年の春はモコモコだぞ♪」
「可愛いわねぇ~♪」


メェ~メェェ~♪
メェェ~~♪♪


「皆、驚かせちゃダメよ」

「「「「……ゎん…」」」」


珀、桃、菊、ハルの四匹は、初めて見る羊の集団に興味半分、ビビり半分。
尻尾も振ったり丸めたりで、これだけ広い草原なら直ぐにでも遊びの催促をするハズなのに、それすらも忘れてるらしい。


「次は本題な♪毛糸職人の所だ。話は通してあるから、ゆっくり相談すると良い」
「うん♪何から何までありがとう、美作さん」

「あぁ、気にすんな」


………💢💢何でそんなに嬉しそうな顔してんだよっ!あきらはっ!💢



早速毛糸職人の元に案内されたつくしは、頬を緩ませてあれやこれやと質問攻めにしてる…みたいだ…。

………みたい
そう…みたい、なんだよ!

だって仕方ないじゃん!
つくしに『類は来ちゃダメ~ッ!!』って言われちゃったんだもん…。
だからこうして外から中を覗くしか確認する方法がないんだよ。

もちろん、つくしの後に続こうとしてたあきらもちゃんと阻止したし!!


「ぷっ。そんなにお姫様が気になるか?」
「………」


そういうあきらだってさっきっから隙あらば覗こうとしてるじゃん!!
絶対にさせないけどねっ!

一緒に閉め出されたSP達にあきらを監視させてちょっとでも動こうものなら……てね!


つまんないな…。
早く終わんないのかな?


そう思って中を覗くんだけどさ、にこにこしてるつくしの顔見たら『早く終わらせて帰ろ』なんて言えないじゃん!
ほんとつまんない!!


「……寝る」
「はっ?」

「珀、桃、菊………ハル…!
俺が寝てる間あきらをここに近づけちゃダメだよ?ちゃんと見張り出来るよね?」


「おいっ!」

「わん!
わんわん♪♪」


あきらの非難の声は無視!
SP達の頼もしい返事を聞いた俺は、窓際の下を陣取って壁に凭れて目を閉じた。





「類?お待たせ~♪る~い?」

どのくらい寝てたのかその可愛い声に目を開ければ、目の前につくしの顔が飛び込んで来た。
その後ろにはSP達がいて、更に向こうにはあきらがいて苦笑してる。

ふふっ。
うちのSP達頑張ったんだ♪♪
今日はご馳走でも用意してあげようかな♪


「やっと起きた~♪」

「…どうだった?楽しかった?」
「うん♪
だけどね……類…あのね」



言葉を詰まらせながらつくしが教えてくれたのは刈った羊毛が毛糸になるまでのあれこれ。
大変な作業なんだろうな~とは思ってたし、つくしがそれをどこまで理解してるのかな?なんて疑問にも思ってたけど、想像の範疇を超えててすでにキャパオーバー気味みたい。

ま、そうだよね。一日あきらの所に来た所で直ぐに毛糸が出来る訳ないんだし。かといって、あきらの城に毎日通うなんてお断りだし!


「それでね…類。私ちょっと考えたんだけど………」
「ん?」


………なんか、すっごくイヤな予感がする…。


「あのね…、私やっぱり今年はセーターは諦めようと思うの……類には申し訳ないんだけど」
「それでいいよ」


だってこれから毛糸作って、出来上がったらセーター編んで…じゃ二人の時間がなくなっちゃうしね♪
俺としては手作りのセーターは嬉しいけど、二人の時間の方が大事だし!

俺のイヤな予感もたまには外れるんだ……よかったよかった♪


「それでね……聞いた話だとね………」
「えっ?」


まだ続きがあるの?!


「羊さん一頭から4~5キロの羊毛がとれるんだって!それだけあればセーターも何着か編めるみたいだし、これから羊さんを飼い始めて、機材なんかも用意したら、お城で好きな時に自由に毛糸を作れるんじゃないかと思うの♪♪」
「…………それって」

「くくっ。それなら年が明けたら出産時期に入るから、気に入った子がいれば譲ってやるよ」
「はっ?」
「えっ?ほんとに?いいの?!」

「あぁ、俺は大歓迎だよ」
「わーい、嬉しい!美作さん、ありがと~♪♪」

「………」


ねぇ…俺の存在忘れてない……?
俺…『いいよ』なんて一言も言ってないんだけど?
やっぱり俺のイヤな予感って当たるんだ…


がっくりしてたら、つくしと目があった。もちろんいつもの通りその瞳は……キラキラしてる。

……うん…勝てる訳ないよね…
それにしてもあきらのニヤニヤ顔がムカつく!!


「分かった……いいよ。
ただし、つくしの編んだ物はこいつらにあげちゃダメだからね?お礼とかもなしだからね!分かった?」


訳分かんないって顔してるけど、そこは譲れないからね!!
じっと返事を待ってたらつくしは小さく頷いた。

「……この子達ならいい?」

未だあきらを威嚇し続けるSP達を見ながら、今度は目をうるうるさせてる。ほんとに俺の奥さんは………。

「前にも言ったけど城内の動物保護条例に違反しちゃダメだよ?みんな平等だからね?」
「うん♪」


すっごく嬉しそうに頷いてるけどほんとに分かってるのかな?
はっ…もしかして全員に作る気?
そんなことしたら俺との時間がなくなっちゃうって気付いてる?


とは思ったけど…あきらもいるし、いや、いなかったとしてもそんな事言えないし……。
あっ、俺が上手く誘導して作らせないようにすれば全部解決じゃん♪
忘れないように田村に伝えとかなきゃ!


あれっ?そういえば田村ってどこ行ったんだっけ?
ま、いっか!子供じゃないんだし。
これ以上問題が増える前にさっさと帰ろ!


「つくし、そろそろ帰ろ?」
「は~い♪
美作さん、今日はありがとう~!」


「あぁ、またな!」


来年になれば仔羊に会える嬉しさからなのか奥さんはご機嫌で、田村の存在は忘れてるみたいだ。

二人揃って馬車に戻ったら、当然の如く田村はそこにいた。

田村が事の成り行きを知って驚くのはもう少し後のこと………。




おしまい





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皆様、こんにちは!

きょうはあきら君で羊さんです♥

この酷暑にセーターの話(笑)しかもモコモコの羊の画像(笑)
マジで暑苦しいですねぇ~💦

書いたのは随分前なのでその頃は気にもならなかったんですが、今読み返したら・・・

「セーターとか止めてっ!!」

って気分でした(笑)


そして書くだけ書いてぶん投げた張本人はオチの事も考えず、
実は羊さんの毛を毛糸にするまでが大変だなんてこれっぽっちも考えず(笑)
残りの2人を悩ませたと言う(笑)

申し訳ないっ💦!!


で、気が付きました?
何故「メリーさん編」なのか・・・ははは!次はなんだ?って感じでしょう?
「待っててシリーズ」が誕生~!!(*^o^*)


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それではまた来週の火曜日にお会いしましょう~♥
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2019/08/14 (Wed) 12:57 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

気の毒に思う女様、こんばんは!

先週は馬から落とされ、今週は髪で弄られ(笑)
私に話ではとことん泣かされ💦本当に可哀想ですよね~。

でも、それが似合うのがあきら君!(決めつけ)

そうそう!本当はメリーさん家の羊ですよね(笑)
でも美作城では羊の名前が全員メリーさんなのです。

えっ?!名前を付けるのが面倒になったかって?
(そうとも言う)

来週は類君ですが、多分「気の毒に思う女 」様は喜んでくれると思います。
楽しみにしててね♡

2019/08/14 (Wed) 22:40 | EDIT | REPLY |   

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