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公園でブランコに乗ってる子供が居る・・・遠くで良く見えないから近づいてみた。
少しずつ、少しずつ近づいて行ったらその子も私に気が付いてニコッと笑ってくれた。

柔らかい髪の毛・・・ショートカットだから男の子だろうと思うんだけど、女の子みたいに綺麗な顔立ち。
何歳ぐらいだろう?4歳?5歳・・・小学生よりは小さいよねって思いながらもっと近づいて目の前に立った。

その子はブランコに乗ってるから私に近づいたり離れたり・・・逆光ではっきり見えないんだけど、誰かに似てるなぁって思いながらジッと顔を眺めてる私。太陽が邪魔だなって目を細めてその子の動きを見ていた。
そして、その子が何回かブランコを漕いで私に近寄った時・・・・・・


・・・『牧野、捜したよ』



「ピピピッ!ピピ!」
「・・・・・・・・・あれ?」

・・・・・・カーテンの向こうが明るい。なんだ・・・今の夢だったんだ。

ムクッとベッドから起き上がって時計を見たら、今日はもうお昼を回っていた。だからハクが大騒ぎなんだね?凄く怒ってるんだ・・・いつまでも私が起きてこないから。
立ち上がったらズキンと頭が痛かった。これは昨日お酒を飲んだから・・・ホステスには向いてないのよね、ってこの時ほど思うことはない。

ふらふらしながらハクの所に行ってカバーを取ってやると、いつもよりバタバタと騒ぐから余計頭が痛くなった。

「ごめんって、ハク・・・少し大人しくして?すぐに小松菜あげるからさ・・・」
「ピピッ!ピピピッ!」

「はいはい、私が寝坊したのが悪かったって、謝ってるじゃん・・・」


ハクの水替えしながら自分の珈琲用のお湯も沸かす・・・お腹は空いてるけど何にも作りたくなくてぼーっとしたまま珈琲だけ飲んだ。
そしていつものようにスマホでニュース確認・・・でも、頭には入らなくて坂本さんの言葉が蘇って来た。


「華さん、子供好き?」


だからあんな夢見たんだ。
しかもあの子は彼にそっくりだった・・・馬鹿だなぁ、子供って言われたからって彼を子供にしちゃって。バレたら怒られるんじゃないの?
スマホ画面の文字なんて全然読まなくて、さっき見た夢の中の子供にもう1度会えたらなぁ、なんて思ってた。


それにしても坂本さん・・・私が返事をしなかったら何も言わなくなったけど、あれはどう言う意味だったんだろう。
何となく判るような気もしたけど、私の心が「考えるな!」って歯止めを掛ける。


「ピピピッ・・・ピピ」
「・・・ハク、大丈夫・・・ここには私以外、誰も来ないよ。傍に居るのはハクだけでいいよ」

「ピピ・・・」
「くすっ、撫でて欲しいの?甘えんぼだね」


擦り寄ってくるハクの頭を撫でながら、遠い昔・・・頭を撫でてくれた人を思い出していた。




*********************




日本に戻って3週間が過ぎた。

漸く主要企業への挨拶も終わり、日本本社が抱えている事業内容も把握し、こっちの役員とも気軽に会話出来るようになり仕事の方は思いの外順調だった。
ただ、牧野の事についてはあの日以来何も出来なくて進展なんてなかった。


それが急に動いたのはこの日の昼。

毎日続く会食にも飽きて、だからと言って昼食のために外に出掛けるのも面倒・・・それならここの社員食堂で済ませてもいいかと思って行ってみることにした。
役員室のすぐ下の階にあるcantine(カンティーヌ・社員食堂)に行くと、意外にもすごい人数が集まってて驚いた。


「ははっ、専務がこんな所に来られると社員の方が驚きますよ」
「ふうん、そんなものなの?で、次はどうすればいい?」

「ここでは社員証で精算を済ませ給料時に差し引かれるシステムです。専務の社員証をご準備ください」
「社員証、フランスのだけど対応してるの?」

「・・・では私ので精算しましょう」
「ごめんね」

藤本にやれやれ、なんて冷ややかに笑われながら社員の列に並んでみた。
ここで藤本が「特別席を用意するから座って待つように」って言ったけど、こんな風景も見たことがなくて面白い・・・社会勉強の1つだと言って一般社員と同じようにすると言い切った。

でも、俺の後ろには誰も来なくて遠くでみんなが足を止めてる・・・振り向いたらビクッとされるけど、俺、そんなに怖い顔してないと思うんだけど。

「だから言ったのに」なんて藤本は言うけど無視。
何故かほんの少しワクワクしてこの空間を楽しんでいた。


「・・・えっ?華さんって本名じゃないんだ?」

「そうみたいだぜ?随分前、飲みに行った帰りに鍵忘れただろ?取りに戻ったらマスターが華さんのことを別の名前で呼んだんだって!」


その会話は俺が立っている場所から少しだけ離れた所から聞こえた。
「はな」・・・ホステスにしては古風な名前だ、ぐらいにしか思わなくて聞き流していた。


「へぇ、華さん、本当はなんて言うんだ?」

「えっと・・・なんだっけ、珍しいんだよ。そんなの人の名前につけるのか?ってその時は思ったんだよな。春の草でさ・・・何だっけ、よもぎじゃなくてすみれじゃなくて・・・」

「草の名前?なんだそりゃ!」


「あぁ!そうそう、”つくし”だ!」



『つくし』・・・そう聞いた瞬間、俺の心臓が凄い音を立てた!


並んでいた所を離れて、その話をしていた奴等の所に行くと、スーツ姿の男2人は俺の勢いに驚いたのか「うわぁっ!」と悲鳴をあげてすぐ後ろの壁に体当たりした。
2人ともガタガタと震えてるけど「つくし」と言う名前が俺から平常心を奪ったんだ・・・1人の男の腕を掴みあげ、目の前で睨むように問い詰めた。


「今の話・・・どっちがした?」
「は?い、今の話・・・ですか?」

「そう、つくしって女性の話・・・あんたがしたの?」
「は、はい!そうですが、どうしたんですか?あの、せ、専務・・・ですよね?」

「いいからその話、詳しく聞かせて!」


藤本に頼んで彼等の食事まで用意させ、2人を引っ張って誰も座っていなかったテーブル席に向かい合って座った。当然なのかもしれないけど俺の前でガチガチになってる。
「固くならなくていいから早く話の続きを!」と言うと其奴らは話し始めた。


「Y町の路地裏に小さなバーがあるんですけどね、そこに可愛い子がいるんですよ。ただ謎の多い子で「華」って名前以外は誰にも何も話さなくて、どこに住んでるのかも誰と住んでるのかも知らないんです」
「歳は多分専務と変わらないか・・・いや、もっと下かな?それさえ言わないんですよ。出身も・・・でも地方訛りはないから東京の子だと思っていますけどね」

「・・・いつ頃からいるの?顔は?どんな感じ?」

「えっと・・・俺達がその店に行き始めたのは1年ぐらい前ですが、その頃にはもういましたよ。だからその前からでしょうねぇ」
「顔・・・どっちかって言うと幼い感じですよ。化粧しない方がいいと思うぐらいの。無理して接客用の化粧してるって感じですかね」


「他に何かない?特徴みたいなの・・・クセとか」

「クセですか?あぁ、よく独り言が多いって自分で笑っていますよ。だから気にしないでねって・・・でも、あんまり話す方じゃないんですよね。いつもニッコリしてて愛想がいいから人気者だけど、男には一線引いてる感じがします」
「あぁ、何処かの若社長!あの人、華さんのこと狙ってるけど毎回はぐらかされてるもんな!」

「狙ってる男?そんなのが居るの?」

「え?えぇ、居ますけど男としては見てないと思いますよ?」
「あとはですねぇ・・・料理が得意なんじゃないかな。いつも手製のつまみを作ってくれて、それが家庭的なものばかりだけど美味いんですよ!」


ここまでの話を聞く限り、その子は牧野に違いないと思った。


まさかこんなに近くに住んでるなんて・・・でも、その生活スタイルが牧野とは思えない。
だから逆に誰にも気が付かれなかったの?

俺は彼等にもう1度店の名前と場所を確認してから急いで専務室に戻ることにした。
藤本が「特製日替わり定食」ってものを持って走って追いかけてくるけど、それすら無視して階段を駆け上がった。


藍微塵あいみじん』と言う名のバーをネットで探した。
どれだけ小さい店なんだろうか・・・ネットでは検索できず、地図を探ったけど中々見つからない。冷めた定食を隣に置いたまま必死に隅から隅まで画面を拡大していったら・・・

見つけた!古い雑居ビルの1階に『藍微塵あいみじん』の文字。


「専務、冷めちゃいますよ?ってか冷めてますよ?1時半から営業会議ですからそれまでには召し上がっていただけますか?」

「うん、わかった。藤本、そのあとの今日のスケジュールは?夜には何も入ってない?」

「今日の夜には太田建設の部長と会食がございます。今度の新事業の取引先で・・・」
「ごめん、今日の5時から体調が悪くなるから断ってくれる?病名は任せる。埋め合わせは平日の昼間って事で」

「・・・はっ?」
「いいね?それと暫くは夜にスケジュールを入れないでくれ」



急な展開にすごく胸がドキドキしてる。
牧野に・・・牧野に会えるかもしれない。そう思ったら掌に汗をかいてる・・・指が震える。


今すぐにでも会いたくて俺の目は画面の中の『藍微塵あいみじん』から離れなかった。




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2019/03/16 (Sat) 08:07 | EDIT | REPLY |   
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2019/03/16 (Sat) 09:20 | EDIT | REPLY |   
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2019/03/16 (Sat) 11:24 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

私にしては早い段階で掴まえそうでしょう?(笑)
そうなんです、高田さん、実はちゃんと聞いてたんですねぇ♡

確かに出会っても・・・って感じですよね。

ここは類君に「スッポン化」してもらって、食い付いたら離さない根性で頑張っていただきたいと思います。


坂本くん・・・笹本みたいに可愛くはないですね💦
ヤバくなる前に消えてくれたらいいんですけどねぇ・・・(そこは、ほら・・・私だから)

2019/03/16 (Sat) 15:41 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ふじ様、こんにちは!

ご訪問&コメントありがとうございます。
はい、ちゃんと手掛かりは掴みました♡

後はお迎えに行くだけですが・・・さて・・・どうなるんでしょうか💦
つくしちゃんの気持ちが解けるのはもう少し先かも?

ちょっとずつ変化してきますので見守ってあげてくださいね♡

そんなに大きな事件は起こしませんので(多分)安心してくださいね(笑)
説得力ないけど・・・。

2019/03/16 (Sat) 15:46 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: No title

シナモン様、こんにちは!

そうそう!いいところ喋るのよ!!(笑)
そしてそう言う時に限って類君が社食に行くのよ(爆)

妄想って素敵・・・なんでもありありで♡

気が付いてくれました?よもぎちゃん・・・懐かしかったでしょ?
(ソウイチロウの話も書きたいんだけどねぇ💦)

2019/03/16 (Sat) 15:49 | EDIT | REPLY |   

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