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新しい年が明けて数日後の朝・・・腕の中でモゾモゾ動きだしたのはつくし。
「クシュン・・・」なんて小さなくしゃみして、寝てるのに鼻を擦ってる。

くすっ、ちゃんとパジャマ着てるのに寒いのかな・・・なんて思って、その小さな肩を抱いたら薄く目を開けて俺を見上げてきた。


「・・・おはよ、類・・・もう朝?」
「ん、朝だよ。でもまだ早いから寝てて大丈夫・・・あと30分したら起きようか?」

「うん・・・また起こしてね・・・」
「はいはい」

そう言いながらほんのちょっとだけ身体を寄せてくる・・・そうしたら大きくなってきたお腹が俺の身体に当たってドキッとする。

そっと布団の中でつくしのお腹を触ると・・・ポコッと出てる。
ここに自分の分身が居るんだと思うとニヤニヤが止まんない。つくしが起きない程度に摩っていたらポコン!と軽く蹴られた。


最近始まったっていう胎動・・・初めてこの手を蹴られた時には驚いて悲鳴あげたんだよね・・・俺。
怖かったとかじゃなくて感動して、だけどね。

よくこんなに蹴られてるのに寝てるよねって思うけど、つくしはまたスゥスゥ寝息を立て始めた。


正月は宮崎には帰らなかった。
つくしは帰りたいって・・・ガーデンウエディングに来なかった瀧野瀬の爺さんに顔を見せるんだって言ってたのに、爺さんが風邪を引いたから帰ってくるなって拒否られたんだ。

妊婦に何かあったらまた花沢から怒鳴られる!だなんて言ったらしいけど、本当かどうかも疑わしい・・・。


これまでしてきた事でつくしに申し訳ないと思ってるみたいだけど、ホントやることが子供染みてるんだから!
あれじゃあ拗ねて意固地になってるただの偏屈ジジィ・・・それでも「会いたかったなぁ」なんて呟いたつくしが可哀想だった。
きちんと撮った記念写真とは別にお手製のアルバム作って、東京で有名な菓子を沢山詰めて爺さん宛に送ったのに電話もなし。

つくしには悪いけど、この子が産まれても絶対抱かせてやらないからな・・・!


「う・・・ん、類・・・る・・・」

「ん?ここに居るよ、つくし・・・」
「うふ・・・うん、う・・・め・・・」

「・・・・・・」


もしかして、また梅三郎って言いかけた?
でも・・・いいや。こんなに幸せそうに笑ってるんだから。


大丈夫・・・この笑顔は俺が一生守るからね・・・。



**



「もうーっ!どうして起こしてくれなかったの?!急がないと会社に遅れちゃうじゃん!」
「・・・ごめん。ちょっと幸せに浸ってたら二度寝した・・・」

「いいから類も早く着替えてダイニングに行くわよ!私はもう制服着ないから楽ちんだけど、類は身支度きちんとしなきゃ。専務なんだからヨレヨレとかダメだからね!」
「・・・はい」

「顔も洗った?あぁっ、今日も寝癖が酷いなぁっ!あとでスタイリング剤撒かなきゃ!」


撒かなきゃって・・・肥料とか殺虫剤みたいな言い方しなくても。

でも、そんな部分の言い間違いを指摘したらご機嫌が悪くなるから取り敢えずやめておく・・・マタニティブルーなんて無かったみたいだし、逆に強くなったんだよね。
出会った頃も確かに元気だったけど、ほんの少しの遠慮もあったような・・・俺を見て真っ赤になったりして可愛かったのに。

このままだと母さんみたいになりそうで内心怖かった。
これまで小馬鹿にしてた父さんのこと、もしかしたら笑っていられないかも・・・。


「いつまで変な顔してるの?やだ!ネクタイ曲がってる・・・はい!こっち向いて!」
「・・・はい」

「ただでさえ寝てるみたいに見えるんだから、キリッとしないとダメだよ?判った?!」
「・・・はい」


変な顔で寝てるみたい・・・って、あんたが選んだ男の顔だよ?そこまで言わなくてもいいんじゃないの?
勿論この言葉も呑み込んだ。


何とか会社には間に合う時間にダイニングに行けたからご機嫌はここで回復。
今日も先に両親が並んで待っていて、俺達が入るとニッコリ笑って手招きされた。それを見たら嬉しそうな顔をして、椅子に座ったら「いただきまーす!」の元気な声が響いた。


今日の朝食、俺は焼きたてのパンでつくしはフルーツグラノーラ。
小さめのアサリ入りオムレツにソーセージとハッシュポテト。それに自家製ドレッシングのサラダとプレーンヨーグルト。
俺は珈琲でつくしは野菜ジュース。

それをぐるっと大きな目で見て、まずはすっごく幸せそうに笑うんだ。
そこで全員がクスクスするのが毎朝の光景になってしまった。ほら、加代までが肩を揺らして笑ってる。


「つくしちゃん、具合はどう?仕事はまだ大丈夫なの?あんまり無理しちゃダメよ?」

「はい!大丈夫です。今日はね、アメリカの機械メーカーの営業担当者が来るから会わなくちゃいけないんですよ。
MIT(Massachusetts Institute of Technology・ マサチューセッツ工科大学)と共同で開発中の次世代スーパーカーに使われてる超軽量ボディ、今度は医療ロボットにも対応できそうだから打ち合わせに参加しなくちゃ」

「・・・へぇ、それをつくしちゃんが担当してるのかい?」」
「担当者は別にいますよ?サブで付いてるんです。私なんかが1人で対応しませんよ~、お義父様。向こうのメンバーに女性が居るんですけど、意外にも趣味がケーキ作りで話が合うんです。だから仲良しになって会話が弾むんですよ」

「・・・・・・」


「そう言えばオーストラリアのメイソン夫人から素晴らしいお嫁さんね!って褒められたんだけど、何かあったの?」

「あぁ、オーストラリアのメイソンカンパニーですか?海底油田開発を来期から合同で行うんですよね?そのための資料作りをして通訳としてテレビ会議に出ただけです。その時に少しだけ世間話をしたんですけどね、メイソン夫人も犬がお好きなんですって!うちの桃太郎と菊次郎の話をしたら盛り上がっちゃって!」

「あぁ、それでオーストラリア支部で新たに共同事業の話を持ってこられたのかな?道明寺じゃなくてうちを選んだから不思議だと思ってたんだよ」
「まぁ!そうなんですか?良かったですね!」

「・・・・・・」


「類、あなたは何をしてるの?」
「きちんと仕事してるってば!」


つくし、働き過ぎだよ。
やめてくれるかな・・・両親の俺を見る目が痛いんだけど。


「それにしてもホントに良かったわぁ~!思ったより早くに活用できて!」
「何が?」

母さんの嬉しそうな顔。今日も父さんのパンに山盛りのジャムを塗りながらニコニコしてそう言った。
・・・ってか、そんなにジャム塗ったらまたお腹が出るんじゃないの?

そう言う俺も結婚したら1.5㎏太った・・・だって夜に運動できないから。


「つくし、今日からパンにジャムもバターも要らないから」
「え?そうなの?美味しいのに・・・」

「うん、あんたが出産するまで我慢する」
「・・・は?」

「で?何が活用できるの?」

キョトンとしたつくしを余所に母さんに返事を促したら、父さんは慌ててジャムたっぷりのパンを頬張って、口の周りをベトベトにしてた。サッとナフキンで父さんの口元を拭きながら、「パパが早とちりしたけど無駄にならなかったわ」って。


「・・・もう、まだ言うのかい?ママだって性別も判らないのに夜通し寝ないで名前を考えてたじゃないか!」
「気が付いたら注文ボタン押してたなんて驚きよぉ!しかも最高級の特注だったわよ?」

「あぁ!フランスから届いたベビーベッド?」
「・・・あはは、そう言えばそんな事がありましたねぇ」

「あなた達が嘘ついてるなんて思わないからパパが勘違いして頼んだヤツよ!大丈夫、まだ梱包のままだから綺麗よ!」

「「・・・ごめんなさい・・・」」


この時だけは2人で目を合わせてペロッと舌を出して苦笑い。あれからもう1年以上が経ったんだね・・・って。


辛い事も泣いた事も沢山あったけど、それよりも楽しい事の方が多かった。
悲しい事も悔しい事も沢山あったけど、乗り越えたらこんなに毎日が面白い。


つくしが居て、両親が居て、元気な犬たちに囲まれて・・・俺は今日も朝から笑ってる。



「じゃあ、仕事に行こうか」
「うん!行こう!」



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2019/04/27 (Sat) 07:26 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様 こんにちは!

あははは!賑やかでしょう?(笑)
どうやら女性が強い花沢家のようです♡

私は朝ご飯をそこまで沢山食べられないので、書いてて気持ちが悪い💦
それだけ食べたら元気が出るんでしょうけどねぇ・・・。

個人的にはちょっと太った類君が好きです♡可愛いですけどね、1.5㎏(笑)

今日は仕事に出てるんですが・・・何故か寒い!!
風が凄くて体感温度が低いのかな・・・?薄着で出たので風邪引きそう~💦

2019/04/27 (Sat) 13:10 | EDIT | REPLY |   

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