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「え?来週パーティー?何も聞いてないけど?」

数日後の夕食時、突然母さんからパーティーの出席を言われた。つくしもキョトンとして俺を見てるけど、そんな予定は全然無くて、何のパーティーかも知らない。
面倒臭くてそんなのキライなのに・・・って、思いっきり顔に出したけど母さんには何の効果もなかった。

「うん、類には話してなかったもの。実はね、今アメリカの新規事業に加わってるんだけど、そこの会長からお孫さんの結婚式に招待されてるのよ。それでアメリカ支部の代表者に行かせる事にしていたんだけど、その彼が交通事故に遭っちゃって。
丁度それと今回のパーティーが重なったから、類には私達の代役として顔を出して欲しいのよ。もうそちらには息子夫婦が行きますって話しといたから」

「はっ?!つくしも行くの?」
「そうなの。そのパーティー、日本では珍しくパートナー同伴なのよ。主催者がイギリスの方だからねぇ」


それはイギリスの金融を中心とした大手企業、エバンスホールディングス。そこが日本に新しい会社を設立したらしく、お披露目パーティーのようなものだとか。
花沢としては今後の取引も考えて社長夫妻・・・つまり父さんと母さんが出席するはずだったが、現在進行中のアメリカの企業も無視は出来ない。

それで俺達が担ぎ出されたらしい。
「いいのよ、女性の秘書と行っても」ってニヤリと笑う母さんだけど、そんな事をする訳がない。


「・・・安定期には入ってるから大丈夫かな。ちょっと顔出すぐらいでいいと思うんだけど」

「うん、大丈夫。だってまだそこまで大きくないし、駆け足ぐらいなら出来るし」
「いや、それはしなくていいから」

「確認はしてないけど司君かあきら君は来るかもよ?道明寺も誰かが出席でしょうし、美作は夢子さん達がイタリアに居るはずだから、イギリス滞在中のあきら君のどっちかが帰ってくると思うわ。でも、気をつけてね?少し謎の多い企業だから」

「謎が多い?どう言う事?」

「うーん・・・何て言うのかしら。凄くいい評価をする人と、強引だという人と極端に違う噂を聞いたわ。まだ取引がないからそこを直接見極めようと思っていたんだけど、あなたに任せるわ、類」

「お義母様、類に任せるんですか?」
「つくし、どう言う意味?」

「・・・え、えぇ、任せるわ。類、頼んだわよ!」


俺の方が憂鬱なのにつくしはヤケにハイテンションで今度は母さんとマタニティドレスを選ぶ話で盛り上がっていた。


パーティーってなんかイヤだ。

つくしと初めて行ったクリスマスパーティーは司との事で喧嘩して、そのあとの新年パーティーでは浩司と出会って、婚約パーティは大騒ぎで疲れ果て、結婚式のガーデンパーティーは犬が走り回って笹本が泣いてたし。
何事もなく穏やかに終わったパーティーがなかったような気がする・・・今回は大丈夫なんだろうか。

つくしと俺の左手薬指の指輪・・・それが守ってくれるのかな。



次の日には早々といつものアトリエの店長が来て、つくしのドレスを選んでいた。
以前作ったドレスでも着られるだろうって思ったけど、本人が大喜びしたのは胸が入らなかった事。たとえ一時的な事とはいえ、それはかなり嬉しかったみたいだけど・・・それでも標準サイズらしい。


「妊娠・・・え?妊娠されてるんですの?それで?」
「えぇ、実はもう6ヶ月なんです~!お腹も出てますよ?ほら!」

「あら、ホントですね。幼児体型みたいですけど妊娠でしたのね?」
「・・・幼児体型?」

「ほら、幼児って寸胴って言うよりお腹が出てますでしょ?あら、失礼。それではドレスを選びましょうね」
「・・・・・・」


ここで絶対に笑っちゃいけない・・・そう思うと余計可笑しくなって、表情は変えなかったけど肩が震えた。


今回も色々悩んで、最終的に選んだのは艶感がなく深みのあるブルーのドレス。
ゴールドの細やかな刺繍が豪華なホルターネックで、落ち着いた色は大人っぽく見えた。首元から縦にタックが入っているからお腹も目立ちにくいし、柔らかいシフォン生地は、長時間着ていても疲れにくいらしい。
それにダイヤを鏤めたショールを羽織って、靴は少しだけ高さがあるもの。

シフォンの裾にもゴールドの刺繍を施して身体のラインを判りにくくするから、妊婦だって言わないと判らないぐらいだった。

「出産が終わっても、このままのお胸だったらいいですわねぇ・・・」
「・・・元に戻るのかしら」

「類様次第ですわ。毎日頑張ってくださいませ」

「「・・・・・・」」



**



その週末、本当に笹本が琥珀を連れてやってきた。
申し訳なさそうにしてる割には顔が笑ってる。嬉しそうに出迎えに行ったつくしに琥珀も大喜びだったけど、俺の横にはつくし以上に興奮気味の梅三郎が居た。

「ハッハッハッ・・・!」
「・・・なに興奮してんの?梅三郎。お前、幾つだよ」

「ワン?」
「そう、お前はまだ1歳半。結婚には早くないか?俺なんか26歳まで待ったんだ。それに桃太郎も菊次郎も独身なのに」

「・・・・・・ワン・・・」
「判ればいいんだよ」

何のことだか判ってないだろうけど。


笹本は琥珀を抱いたままつくしの案内で犬舎の方にやってきて、俺達が見えたら琥珀を下に降ろした。
梅三郎は俺と琥珀を交互に見ながら短い尻尾をフリフリしてたけど、ジロッと睨んだからしゅんとして動かない・・・可愛そうかな?って思った時に、つくしから「梅三郎!おいで」の声が掛かり、今度はダッシュして飛び出して行った。

そして琥珀とご対面。
琥珀の首に付けてる真っ赤なリボン、何気にお洒落させてんのかな。
あきる野市のドッグランに行った時には何もなかったのに。


「専務、お言葉に甘えて連れて来ました。それにしても広いですよね~、ドッグランの方が狭いと思うんですけど」

「・・・気分転換だよ。犬だっていつも同じ風景だと飽きると思って」
「うふふ!それに類にとっては数少ない外出なんです。誘わなかったら何処にも行かないんですもの」

「そうなんですか?家の中で何してるんですか?」

「・・・何って・・・」
「テレビ観てるか、昼寝してるか、ぼーっとしてるかです。言わなかったらご飯も食べずに寝てて、息をしてるのか確認するぐらい動かない時もあるんです~」

「そう・・・なんですか?」


止めてくれるかな・・・そんな「可哀想に」って感じの目で俺を見るの。
これで充分幸せだから放っといてくれるかな!


チラッと見たら琥珀と梅三郎、すごく楽しそうにじゃれ合ってる・・・って、言うか琥珀にやられてる。
それなのに梅三郎は遊んでもらってるって勘違いして喜んでる?

あっ!琥珀の右ストレートが梅三郎の左側顔面に・・・それ、軽く苛められてるんじゃないの?


「あぁっ!琥珀、止めなさいっ!」
「あはは!大丈夫ですよ、笹本さん。あの子達に任せましょ?きっと遊んでるんですよ」

「・・・・・・そうかな」

そう言う目で見るから思うのかな・・・琥珀の目、本気モードに見えるのは俺だけ?


「一応予防接種は今年もちゃんと受けてますから!乱暴ですみません!」

「あのさ、琥珀って証明書、あるの?」


豆柴って言うのは、日本豆柴犬協会及びKCジャパン(日本社会福祉愛犬協会)の犬籍(豆柴認定犬)であり、 豆柴認定に合格してないとそう呼べない。
豆柴の条件は「2代祖6頭全てが豆柴認定に合格していること」・・・つまり巷で「豆柴」って呼んでる犬でも、殆どが「柴の小型」って訳だ。

うちの梅三郎はこれの認定犬。
悪いけど彼の嫁さんには「認定犬」じゃないと認める気は無いから!


「類、いつから梅三郎のお父さんになったの?随分厳しいお父さんだねぇ?」
「専務、あの、琥珀も一応認定受けてますから・・・」

「そうなんだ。でも、嘘ついてたらいくら恋人になっても認めないからね」

「「・・・・・・」」


仁王立ちしてる俺の後ろでは2匹が楽しそうに転げ回って遊んでいた。






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2019/05/01 (Wed) 07:17 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様 おはようございます。

令和最初のコメント、ありがとうございます(笑)

そうそう!今回も行けば何かが起きるはず・・・?
人妻だろうが妊婦だろうが、つくしちゃんが出歩けば何かが起きる・・・類君、しっかり守ってね!

あっはは!ボルゾイと豆柴、レトリバーと豆柴!
大きさ関係なくLOVEになるものなんですね?それも面白いかもしれませんね♡
(言われたらすぐに考えてしまう私)

でも、類くんが許すかしら(笑)
自分の事は棚に上げて、犬の恋には厳しい類君ですからね💦

2019/05/01 (Wed) 08:17 | EDIT | REPLY |   

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