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「それじゃあ、後は宜しくね!ほんの少しだけ遊んでくるけどすぐに戻ってくるから」
「つくしちゃん、くれぐれも身体には気をつけるんだよ?」

「はーい!行ってらっしゃい♡」
「・・・・・・」

そう言ってアメリカに両親が旅立ったのは一昨日。
言い残した「ほんの少し遊ぶ」の意味がよく判らなかったけど、2人は楽しそうに屋敷を出て行った。



そしてパーティー当日。

つくしは出来たてのドレスを着て綺麗にメイクもしてもらって大変身。何度も鏡を見ながら嬉しそうに微笑んでいた。
いつものように仕上げのネックレスとピアスをつけてあげるのは俺の役目・・・今日はドレスに合わせてゴールドとダイヤのアクセサリーを選んでつけてやり、最後にメイクを崩せないからおでこにキス。

「擽ったい!」ってケラケラ笑う表情は、とてももうすぐ母親になるとは思えないほど可愛かった。

「行こうか。絶対に俺から離れないでよ?」
「うん!今日は迷子にならない!」

その言葉・・・全然信用出来なかったけど。


会場のMホテルに向かうと、そこのエントランスには大勢の人と車で賑やかだった。流石、世界的企業の新会社設立記念パーティーだけあって、各国から招待客が集まってる・・・思ったより派手で豪華なメンバーのようだ。

花沢のリムジンが漸くエントランス前に入ったのは15分後、そこでつくしをエスコートすると俺達の周りにも凄い数の海外記者が押し寄せ、ホテルの係員が必死で止めてる。
こんな所でつくしを転けさせる訳にはいかないから、抱きかかえるようにしてロビーに入るとやっとそこでひと息・・・でも、そこにも大勢の人間が会場オープンを待っていた。


「類、つくしちゃん!」

そんな中から聞こえてきたのはあきらの声。
ロビーの奥から片手を挙げたあきらが手招きしてるのが見えて、つくしが喜んで俺の手から離れてあきらの方に向かった。

「つくし、走っちゃダメだって!気をつけな!」

「うん、大丈夫だよ、る・・・きゃっ!」
「OH!!」

俺の方に一瞬振り向いたつくしに横からぶつかってきた男が居た!
金髪の若い男・・・タキシードって事は招待客の1人だろうか。つくしは蹌踉けたけど倒れることはなく、その男の腕に抱き留められた。


「つくし!大丈夫?Thank you for helping me.(助けてくれて、ありがとう)」
「・・・うん、平気。sorry、Are you alright?(ごめんなさい、大丈夫ですか?)」

「こちらこそ、申し訳ない。急いでいたものですからよく前を見ていなかった」

「あら、日本語、お上手なんですね!ホントにごめんなさい・・・」
「いや、こんな可愛らしい人にぶつかったんだから嬉しいぐらいだよ。じゃあね、お嬢さん」


「・・・えっ?うそっ、類、お嬢さんだって!」
「・・・・・・」


なに?今の男・・・凄くムカつくんだけど!俺の言葉には返事がなかったよね?
そいつはまるで総二郎みたいにつくしにウィンクして、ロビーを通り過ぎて2階へと上がって行った。その軽薄な後ろ姿を睨んでいたらあきらも奥から出てきて俺の横に並んだ。


「来た早々何やってんだ?」
「俺達が悪いんじゃない、あの男が・・・」

うわっ・・・あきらのパートナー、何歳年上?!多分、秘書・・・だよね?
谷間を強調するようなドレスを着た妖艶な美人があきらの後ろから現れて、俺にニコッと微笑んだ。
一瞬だけど胸に目が行く・・・慌ててつくしの方に顔を戻したけど、つくしは俺の事なんて見てなくて、まださっきの男が消えて行った方を見ていた。


「あきら、今の誰か知ってる?」
「いや、初めて見る顔だな。今日の主催者はエバンスだろ?俺はイギリスでも結構取引してるから社長とも面識はあるけど、あんな男はエバンスの社内で見た事ないな。何処かの国の企業家じゃないのか?」

「流暢な日本語だった。見た目はあんなだけど日本に長く住んでるのかと思ったんだけど」
「さぁ?それよりつくしちゃん、久しぶり!元気だった?」

「はい!美作さんもお変わりないですねっ!」
「ふふっ、君は少しグラマーになったね?」

「・・・余計なひと言だよ、あきら」


何処かに消えた男の事は気になるけどつくしも無事だったし。
俺がずっと横に付いてれば問題ないかと思って、あきらと一緒にオープンされた会場に向かった。


**


会場の中に入ると始まったばかりなのにあちこちから聞こえてくる経営論。世界の一流企業のトップが勢揃いしてるかのような豪華な顔ぶれで、俺達のような年齢の招待客はあまりいなかった。

以前はこんな世界に怯えて俺の後ろに隠れていたつくしも最近は堂々としてる。
俺の腕を軽く持って真横に立ち、目の前を行き交う色んな国の人間と気軽に挨拶を交わしていた。
あきらも驚いたように「変わったねぇ、つくしちゃん!」なんて言うけど、自分の「居場所」がはっきりと決まったつくしには安心感ってものがあるんだろう。


以前みたいに、悲しそうに空を見上げるような事はもうない。
それに1人じゃない・・・「実感が湧かない」なんて言ってたけど、つくしは妊娠してから凄く強くなった。


「ん?どうかした?類」
「ううん、頼もしいなって思って」

「・・・は?なに言ってんの!こんな場所に慣れてないんだからしっかり守ってね?」
「勿論。あんたこそ逃げないでよ?」


お互いに顔を見合わせてクスッて笑ったのも束の間、すぐに後ろから予想外の声が聞こえた。


「よっ!つくしちゃん、体調どうよ?」
「・・・えっ、総二郎がなんで来てんの?お前には関係無い場所じゃない?」

タキシード姿の総二郎が後ろから声を掛けてきて、その隣には最近実業家としてデビューしたばかりの三条桜子の姿があった。・・・もしかして招待は三条の方で、総二郎がパートナー?
特別な関係って訳でもないだろうから腕も組まずに、お互いがまるで張り合ってるかのように目立ってた。

「西門さん、こんにちは!結婚式以来ですね~!」
「少し腹が出てきたのか?あんまり判んねぇんだな」

「出てきましたよ~!ほら、触ってみる?」
「おっ、どれどれ?」
「つくしっ!!そんなの触らせちゃダメでしょ!」

せっかく大きくなりはじめたお腹をカバーするドレスにしたのに!
総二郎の前に行って「はい!」って言いながらお腹を突き出すから慌てて後ろに回した。どうしてそんなに無防備かな、って睨んだら「えへっ!」って・・・。
それを見て面白かったのか、三条まで乗り出してきてつくしの前で腕組み・・・そうするとただでさえ大きな胸が強調されるんだよね。だから男3人は無言になって・・・無意識にチラッと見てしまう。

あきらのパートナーはまるで子供の喧嘩を見るように穏やかに笑ってるけど、やっぱり三条に対抗してか同じように腕組みして谷間の強調をしてた。


「あなたが花沢さんが夢中になったって言う九州のお嬢様?初めまして、三条桜子ですわ」
「初めまして。えっと、西門さんの彼女さん・・・ですか?」

「いいえ、ただのパートナーですわ。私、自分の隣には私と同じくらいの美貌を持った男性じゃないと置きたくありませんの。ですから今回は暇だった西門さんにエスコートを頼んだんです。だってやっぱり注目は浴びたいし、あなたも花沢さんが隣だからみんなに羨望の目で見られて嬉しいでしょ?」

「えっ?注目・・・」
「総二郎、暇だったんだ・・・」


つくしは同世代の友達が少ないからこう言うタイプの子は初めてだったんだろう。
自意識過剰、露出度高め、上から目線、挑発的な三条を見てポカンと口を開けたまま、視線はやっぱり主張しすぎの胸に。
「妊婦じゃございませんけど常にこの状態ですわ!」って自慢して、つくしは「いいなぁ・・・」って呟いてた。

「俺、別に胸の大きさとか気にしないから。つくしの片手半分サイズでも充分好きだし」

「・・・類、フォローになってねぇよ」
「片手サイズ・・・しかも半分なんだ」


全然タイプは違うのにあっという間に打ち解けて女子トークに入り込み、俺の腕から離れて三条と盛り上がってしまった。
それにムッとしてたら今度は会場の入り口が賑やかになって人が集まりだした。

「・・・来たか」
「・・・マジで?」
「まぁ、予想通りじゃないか?」


3人で入り口に顔を向けたら、その人集りの中から現れたのは・・・司だった。




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2019/05/02 (Thu) 06:50 | EDIT | REPLY |   
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Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

今回は桜子ちゃんを出してみました(笑)
そうなんですよね~、大好きなキャラです!

優紀ちゃんも滋ちゃんも苦手なんですが、桜子ちゃんは好きなんですよ~💦
書いてて面白いです。なのでシリアスな話の時には書けませんね(笑)

うふふ、このパーティーでは何が起きますか・・・。
事件の匂いがしてきました?(笑)

2019/05/02 (Thu) 15:33 | EDIT | REPLY |   

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