FC2ブログ

plumeria

plumeria

会場がオープンして30分後、セレモニーの開始時刻になった。

またあきら達の所に戻って主催者が入って来るのを待つことにしたけど、既に司は恐ろしい顔になってるし、この業界に関係ない総二郎は面白がってる。
つくしは俺の腕を掴んでキョロキョロしながら興味津々みたいだけど、俺は始まる前から帰りたくて仕方なかった。


「それではお待たせ致しました。エバンスホールディングス会長、ウイリアム、エバンス氏と、お孫さんでこの度の新会社の代表を務められますアルフレッド・エバンス氏をご紹介致します」

進行係の声で正面に入ってきた人物に目を向けたら、驚いたのは俺とあきらとつくし。
孫だと紹介されたのはロビーでつくしとぶつかった男だった。

会長だと紹介された白髪の老人の傍で、さっきとは違う引き締まった表情で立っていて、俺達の方に視線を向けたらニヤリと笑った。

「あきら!エバンスの社長は知ってるって言わなかった?」
「社長は知ってるけど確か会長の甥のはずだ。会長だって殆ど公の場に出てこないのに、その孫なんて会ったことないって!イギリス本社には在籍した事ないんじゃないのか?」

「こうしてみるとやっぱり格好良い♡類に少し感じが似てるね!」
「は?俺に似て格好良い?何処が?!」

「花沢さん・・・ご自分に似ていて格好良いって言われてるのに否定するのやめません?」
「くくっ!類はつくしちゃんが他の男の話をしただけでジェラシー感じるから無駄無駄!」

「・・・・・・くそっ、あいつか。道明寺に喧嘩売りやがったのは」
「司、殴り合いはすんなよ?死ぬぞ、あいつ」


長々と挨拶があった後で、乾杯が行われ歓談が始まった。
エバンスも世界的企業だけど、ここには珍しく道明寺ホールディングスの後継者がいる。そのせいか俺達の周りにはどんどん人が集まってきて、何処を向いても国内外の代表者から話しかけられ軽くパニックになりそうだった。

総二郎はパートナーらしく「新進実業家・三条桜子」の売り込みのために流暢な外国語を披露、あきらも同じくイギリス商社の人間と既に商談中みたい。
花沢はと言うと・・・素晴らしいポルトガル語が隣から聞こえてきた。

「Eu também espero colocar esforço em Hanazawa para o desenvolvimento de recursos naturais」
(天然資源の開発には花沢も力を入れて行きたいと思っています)

「Então, devemos enviar os materiais? Vamos trabalhar juntos」
(では、資料を送りましょうか?是非一緒に仕事をしましょう)

「Sim! De boa vontade. Este é meu endereço.」
(はい!喜んで。これが私のアドレスですわ)

・・・どうやら1件、商談が纏まったようだ。
聞けばブラジルの天然資源開発会社の社長らしい。日本企業との提携を模索中だったらしく、つくしとの商談の後には勿論俺が挨拶・・・「素晴らしい奥様ですね!」と褒められた。


そんな中、近づいてきたのはアルフレッド・エバンス。俺達の方を見ながら近づいてきたけど、その少し手前で司がヌッと出てきてその歩みを遮った。
それと同時に会話と動きが止まる会場・・・「どしたの?」って言うつくしの声が会場内に響いた。


「・・・あぁ、何方かと思ったら道明寺司君・・・ですね?」
「一応俺の顔を知ってたのか。この前はとんでもねぇ話をうちの社長にしたそうだが?」

「とんでもない話・・・あはは、それは心外ですね。お互いに良い関係になろうと思っての話だったんですが、社長が何か誤解なさったんですよ。私は決して悪い話を持って行ったのではありませんよ?道明寺司君」

「なんだと?この道明寺を取り込んで傘下に入れる、それの何処が悪い話じゃねぇって?」

「調査したところ道明寺の後継者は短気で乱暴、自己中心的で無鉄砲、判断能力に問題あり・・・そうなっていましたので早いうちに安全な道を選ばせて上げようと思ったのですよ」

「・・・・・・んだと?」


うわっ!!この司にそんな事をっ!
いつもは仲裁役のあきらでさえ真っ青・・・総二郎、いち早く逃げの体勢に入るのどうかと思うけどっ?!

司の眉間にすっごい縦皺が寄って、アルフレッドを睨みつけた。
周りの連中が1歩2歩と下がっていくのに、本人達はまるで動かず向き合ってる。でも、アルフレッドは少し笑顔で司を挑発してるようだった。

マズい・・・こんな所で手を出したら企業トップとしては致命的。
司が身体を動かす前に止めないと、そう思ってこいつを会場から出す事を考えた瞬間、動いたのはつくしだった!

ブルーのドレスがゆっくりと2人の間に入っていき、顔を向けたのはアルフレッド・エバンスの方だ。


「……おい?お前」
「静かに、司。つくしに任せてみれば?」

何するんだろ・・・?
でも、何かがあったら困るから司をあきら達に任せて俺はそっとつくしの後ろに立った。


「・・・どうかしましたか?お嬢さん。いえ、花沢物産後継者の奥様、だそうですね?」

「はい。花沢つくしと申します。突然間に入ってごめんなさい。ひと言言ってもいいですか?」
「どうぞ?道明寺を説得してくださるのなら嬉しいですが」

「いえ、そうじゃなくて、あなたの考えをプラスに変えて頂けませんか?」
「はい?どういう意味ですか?」

その言葉に司もあきらも総二郎もキョトン。
俺は何となくつくしが何を言うのか判ったから、そっと彼女の肩に手を置いた。

やっぱり少し震えてる・・・でも1度俺の顔を見上げたら、安心したように言葉を続けた。


「短気だと思わずストレートに表現してるって思えばどうですか?乱暴なのではなく元気が良いだけです。自己中心的・・・それはリーダーシップがあるんじゃないかしら。無鉄砲な所がある人はある意味ではスケールが大きいんです。判断能力なんて誰にでもミスはあります。そのためにフォローしてくれる人が周りには沢山居るでしょ?」

「・・・え?」

「短所も長所に変えて考えれば大した問題ではありません。あなたが道明寺さんに言った言葉、多分本人も判ってて、自分なりにポジティブに考えてるんだと思いますよ?だから安心な道なんて選んであげなくても大丈夫です」

アルフレッドに笑顔でそう言うと最後に「本当にさっきはありがとう!名前を教えてくださったら良かったのに!」と。


そしてクルリと向きを変えて俺の隣に・・・えへへ!と笑うつくしは恥ずかしそうに顔が真っ赤だった。


ほんと、びっくり箱だよね。
なんとなくこれで場が鎮まり、司も戦意喪失・・・あきらに宥められてアルフレッドから遠離った。



「君は花沢物産のご子息ですよね?失礼、間違えてなければ花沢類君・・・かな?」

今度は俺に向かって言葉を出した。
つくしは自分の言った言葉で彼が怒ってると思ったのか俺の後ろに隠れた。さっきはあれだけ大きな声で喋ったクセに・・・。


「えぇ、花沢類と申します。初めまして・・・ですよね?随分日本語が上手だけど、ずっと日本で暮らしてたんですか?それにしてはお会いしなかったですね」

「私は産まれも育ちも日本ですから。マスコミ嫌いでね・・・表に出た事はないんですよ」

「くすっ、それなら私も同じです」

「それにしても可愛らしい奥様だと思ったのに、実はとても勇気がお有りになるんですね。このような場所でも咄嗟にあのような事が言えるというのは素晴らしい。素敵でした、つくしさん」

ここでもロビーと同じ凄い笑顔・・・男性と女性でそこまで表情変えられるヤツが総二郎以外にも居たんだって新発見。
しかもいきなり『つくしさん』なんて馴れ馴れしくないか?

俺の後ろからひょこっと出てきたつくしをもう1度押し戻したけど、やっぱり顔だけ出して申し訳なさそうに小さな声で謝っていた。


「ご、ごめんなさい。生意気言いました」
「彼女はとても前向きなんですよ。苦しいことも辛いことも乗り越えて来た人ですから」

「そうですか。もう1度ちゃんとご挨拶させて頂けますか?」


「・・・はい?」
「つくしにですか?」

俺にじゃなくてつくしにってどういう事?
ちょっとムカついたけど仕方ないからつくしを前に出し、俺はピッタリと後ろにくっついた。

アルフレッドは1歩前に出てきてつくしの前で一礼、その動きはまさに英国紳士でつくしも固まってる。ついでに言えば、周りの女性達の視線もアルフレッドに釘付けで、三条は「どうしてあの人だけ?」って怒ってるし。


「花沢つくしさん、先ほどは失礼しました。あなたの仰る通りですね。もう道明寺ホールディングスの話は過去のこと・・・わざわざ言葉に出した自分が恥ずかしい。
こんな私ですが、良かったら今後も企業人としてのお付き合いをお願い出来ますか?」

「はっ?!えぇ、あの・・・企業人というか、それでしたら私じゃなくて・・・」
「あの、失礼だがそれって彼女に言うことでしょうか?事業や経営に関する事でしたら私が聞きますが?」

「・・・私はあなたが気に入ったのですよ、つくしさん。是非、また会っていただけませんか?」


「・・・はっ?!」
「えっ?!」


アルフレッドの手がつくしの右手を取り、ゆっくりと自分の顔に近づけた。
まさか、ここでそんな事?!って思った瞬間、つくしの手に・・・

手にキスしたーーっ!!💢💢





1b76500f87a2e067a54fea7855a8e0f3_t.jpg
関連記事
Posted by

Comments 4

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/05/04 (Sat) 02:16 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/05/04 (Sat) 07:45 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様 こんにちは。

えぇ!めっちゃ怒ってるんです(笑)お子ちゃまな類君ですから♡
何回も後ろに隠すんです(笑)すぐに出てくるけど♡

格好良い類君は見られるんでしょうか?
凄く疑問ですが、お昼の反動で夜には楽しくなっちゃう私です♡

うふふ!楽しんでいただけたら嬉しいです~!
(かなりアホなお話しになってるので・・・)

2019/05/04 (Sat) 13:43 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

類君、この先もイライラMAXですよ(笑)
つくしちゃんの周りに男だらけですもんね!

笹本、江本、アルフレッド・・・ついでにF3も加わって、今回も○○と○○も登場します♡

大人で格好良い類君から少しズレてますけど許してくださいね💦

そして今回は大人しく東京に留まるでしょうか?

続編ですので長くない・・・はずですが、無事に赤ちゃんが産まれるまでお付き合いくださいませ♡

2019/05/04 (Sat) 13:51 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply