FC2ブログ

plumeria

plumeria

『結婚することにしたって・・・本当?牧野』
『え?・・・うん!そうなの。結局こうなっちゃうんだよね~!自分でもびっくり!私があいつとよ?』

『決めたのは牧野自身なんだよね?あんたの決断・・・そうなの?』
『・・・勿論だよ。だって自分の事だもん!他の人に言われて決めた訳じゃないよ』

『幸せになれる?あんた、ずっと笑ってる?』

『・・・・・・どうしてそんな事言うの?花沢類。どうして私の事を気にするの?』

『だって俺さ、牧野の事が・・・』



ピピピ ピピピ ピピピ・・・



「・・・・・・あぁ、夢か。なんだ・・・驚いた」

目覚ましの音で目を開けてぼんやりと天井を見た。ダメだ・・・まだ少しクラクラする。


今の会話・・・もう何年も前に花沢類とした会話だわ。
でも、最後の彼の言葉は違う。そんな事言わなかったし、私もあんな質問しなかった。

「ずっと笑ってる?」って聞かれた時、「当たり前じゃん!」って笑って答えたら花沢類も嬉しそうに笑ったもん・・・。
夢の中だけズルいよ・・・花沢類。


一昨日、花沢類と再会した後、雨に濡れたまま横になってたら大風邪引いて高熱を出した。
久しぶりの38度超え・・・頭がクラクラして真っ直ぐ歩けなくて、仕方なくお店を休んだ。そして丸1日中寝たら体温計がやっと37度2分。それでも身体がだるくて起き上がるとふらふらする。

でも、今日は行かなくちゃ・・・マスター1人だと大変だから。
真由美ちゃん、来るかどうかも判らないし。


「ピピッ!ピピ・・・」
「あぁ、ハク、ごめんね?水替えしてなかったよね・・・すぐに替えてあげるから」

鳥籠の中の水を替えて、餌も入れてやって、外からチョンチョンと突くと寄ってくる。その時に近くにあった鏡で自分を見てげっそりしてることに驚いた。

「うわっ!こんな顔でお店に出てもいいのかしら・・・一昨日、濡れた時にきちんと洗わなかったもんねぇ。はぁ、このぐらいで肌荒れするなんて!」

急いで保湿クリームやら美容液やらを付けてもう1度鏡を覗いた。
そこには学生の時と変わらないスッピンの「牧野つくし」が居る・・・派手なメイクの「華」じゃなくて私が映っていた。

あの顔・・・花沢類はどんな気持ちで見てたのかしら。
無理しちゃって・・・とか、似合わないのに・・・とか?そんなメイク、あんたらしくないって言いたかったのかしら。


チラッと目がいったメイク道具・・・確かに派手な色が並んでて、しかも安物だ。
きっと同じ色のものを使っても、メイクの上手な桜子や静さんや椿お姉さんなら上品に仕上げるんだろうけど、下手くそな私じゃケバい姉ちゃんで終わるのよね。

それでも良かったんだけどね・・・もう、誰とも恋なんてしないんだから。


冷蔵庫の残り物で簡単に食事を済ませ、お昼も少しだけ横になった。
病院になんて行かないから市販の風邪薬を飲んでひと眠り・・・夕方になったら少しは気分が良くなって仕事に行く支度を始めた。

今日は水色のワンピース・・・ちょっと可愛い感じだからお店に着ていかないものだったけど、何故かそれを選んだ。
お化粧をする時も手に取ったアイカラー、パープル系のものをいつも使っていたけどピンク系にした。口紅も真っ赤なのを手に持って唇に1度当てたけど・・・自然にその口紅を元に戻してコーラルピンクのルージュにした。

髪の毛はいつも大きくカールしてたけど、毛先だけ内側に巻いて・・・ハッとして鏡を見たらまるでデートに行くみたいな仕上がりになってる!

「えぇっ?!いつの間にこんな感じにしたの?うわっ、どうしよ・・・やり直すには時間が無いし!これでお店に・・・?!」


慌てたけど、もう部屋を出る時間!
いつもつけてるアクセサリーも忘れて、ネイルだって忘れて、ハクに声を掛けるのも忘れてアパートを飛び出した。

どうしてだろう・・・お店に行くのにこんなにドキドキしてる・・・!
熱出して寝込んだのに、あんまり食べてなくてお腹も空いてるのに胸がいっぱいでそれどころじゃない。挫いたはずの足だってまだ少しは痛かったのに、それすら忘れてバス停に向かって急いだ。



**



「・・・どうしたの?華ちゃん、その格好」
「イメチェン?可愛いじゃん!その方が似合ってるよ」

「・・・ありがとうございます。いえ、あの・・・風邪引いてたからあんまり時間無くて・・・それだけですから」


お店に出てたら常連さん達がみんな驚いてる・・・それが恥ずかしくてカウンターから出られなかった。
新鮮だね!とか若くなったね!とか、元々若いんだけど?って思いながらグラスを拭いていく。マスターでさえ何度も私を見てニヤニヤするから、思わず口がへの字に曲がっちゃう。

マスターにはこの変化の理由・・・見抜かれてると思うから。


チラッと時計に目をやった。

あの日、花沢類が来た時間がもうすぐだ。今日は来るのかしら・・・。
いや、あれだけイヤな態度を取ったんだからもう来ないのかな。うん、来なくてもいいんだけど、来ない方がいいんだけどって言いながら何度も時計に目が行ってしまう。

誰も注文してないのに出汁巻き卵の準備してる・・・何故か心臓がバクバク言ってる。


「・・・華ちゃん」
「はっ、はいっ!!」

「・・・くすっ、氷だよ。氷取ってくれる?」
「あっ、あぁ!氷・・・ごめんなさい、気が付かなくて!」

マスターが空になったアイスペールを差し出したから、奥に行って氷を出そうとしたら製氷機の扉に頭をぶつけて「痛ぁ!」って叫び声を上げてしまうし、アイストングは何処かにやって判らなくなるし。
新しいアイストングを出してきて、おでこを摩りながら手渡すと赤くなったそこを見て笑われた。

よく見たらアイストングは出汁巻き卵のボウルに入ってた。
「華ちゃんって意外とおっちょこちょいだったんだね」ってマスターに言われて、溜息つきながらおつまみを作った。


もう1回時計を見たら、もうあの日の時間は過ぎていた。
その時、カタンと音がしてドアが開いたから、ビクッとして入り口を見たら・・・・・・入ってきたのは坂本さん。

いつもこんな時間に来ないのに、今日は遅かったんだ。
それまでドキドキしてた心臓が急におとなしくなった。お店が暑いって思っていたのに・・・それもなくなった。


「いらっしゃいませ、坂本さん。今日は?残業だったんですか?」
「・・・・・・」

「あれ、坂本さん?どうしたんですか?今日もカウンターでいいの?」
「・・・華さん?」

「はい、私ですけど?」
「・・・いや、判らなかったから」


あぁ・・・そういう事?この人にも新鮮だったんだ。

まだ入り口で呆然と立ってる坂本さんに愛想笑いをしてカウンター席を用意し、そこに彼のいつものお酒を用意した。
ほんの少しだけネクタイを緩めて上着を脱いで、私がいつもそれをハンガーに掛けて壁際に持っていく。いつもと同じ事をしてるのに、彼の視線がずっと追いかけてくるからちょっと鬱陶しい・・・。


「そんなに見なくてもいいじゃないですか。今日はね、時間が無くて手を抜いただけなんですよ」
「あぁ、ごめん!本当にいつもと違うから驚いて、こんなお店で働いてる人じゃないみたいだって思ってさ」

「こんなお店って・・・くすっ、失礼ね、坂本さん」
「ああっ!ごめんっ!そういう意味じゃなくて、あのさ、なんて言うか・・・」

「いいですよ。意外と本当は子供っぽいんだって思ったでしょ?そうなの、実はこんなに童顔なんですよね~」


「・・・いや、凄く素敵だよ、華さん」
「はい?」


この人がそんな言葉を出すのは初めてじゃなかったけど、その言い方が初めて聞く感じだった。
いつもは誘うように囁いてるのに、今は真面目な声で照れてる感じ?それにびっくりして慌てて背中を向けてしまった。

それでも感じる視線・・・次ぎに何かを言われないために顔を見ないようにして奥のキッチンに逃げた。


この日、花沢類は結局来なかった。
やっぱりあの日だけの再会で、私の事は気にもならなかったってこと?

ううん・・・「牧野」なんて知りませんって突っぱねたのは自分じゃん、当たり前だよ。
「あそこから居なくならないならそれでいいから」って言ったのも、学生の時と同じ意味の優しさだったんだ。元気だったらいい、笑ってたらいいっていう友達としての優しさ・・・それだけだったんだね。



お店に最後まで居たのは今日も坂本さんで「もうそろそろ・・・」って言ったのは午前1時。
坂本さんを送り出して後片付けをして、マスターに「お疲れ様でした」って言って店を出たのはその30分後だった。




forget-me-not-316354__340.jpg


関連記事
Posted by

Comments 6

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/03/24 (Sun) 08:09 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/03/24 (Sun) 13:59 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

うふふ、判りました?そうそう、危ない人ですからねぇ~(笑)

やはりつくしちゃんは化粧濃いのって似合いませんもんね❤
あ!F4相手のドレスアップはきっと似合うんですようけど💦

私もこのお話考えた時に(実は10話程度を嘘つきより早く書いていたのですが)どうしてもつくしちゃんのホステスが想像出来なくて。
それで先に「嘘つき」を公開したんですよね~。

だから今でも何となくしっくりこない(笑)

でも、最後まで頑張らねば!!(笑)

2019/03/24 (Sun) 19:14 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんばんは。

そうそう!可愛いでしょう~!!

でもね、それは相手が類君だからです。
私だって相手が類君なら可愛くなるために努力します!

それなのに来たのが坂本(笑)

楽しみでしょ?(笑)

さて・・・この時類君は何をしてるんでしょう?

① 家で○○ビデオを見ている
② つくしに対抗して瑠那となってホストをしている
③ 総二郎の家の禁断の部屋に居る
④ 暗闇で待ち伏せている
⑤ 加代と一緒に晩ご飯食べてる

2019/03/24 (Sun) 19:20 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/03/24 (Sun) 23:15 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様 おはようございます。

あはは!私も総て同意見です!!

①にしたかったけどなぁ💦
これにしたらお話しのイメージが変わるだろうなぁ(笑)

うふふ、瑠那君♡
「颯太と瑠那」のお店でも開きますか!!(爆)

禁断は・・・あれはいいや(笑)
お尻のホクロを思い出しました・・・💦


と、言う事で正解は④でした♡

2019/03/25 (Mon) 08:25 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply