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司がアメリカへ戻ったと聞いたのは次の日だった。
本当は牧野を連れて行く気だったんだろう、それをあんな形でしか表せなかった司をまだ許すことは
出来ないけど、不器用な幼馴染みがまた1人で戦うんだと思うと複雑だった。


そして俺にもフランスから電話があった。

「はい・・・わかりました。では、その話しは今度お二人が帰国した時にでも・・・はい。では・・・」


電話の相手はフランス本社の父親・・・花沢の社長からだった。
昨日の件を聞いて総二郎とあきらが来ていた時・・・2人には何も言わなくてもその内容はわかっただろう。
俺には電話の内容について聞いてくることもしなかった。

「とうとう、類もか・・・。仕方ねぇな、こればっかりは・・・」

総二郎が天井を見上げて、苦笑いしながら呟いた。そのまま続けて司の話に切り替えた。

「西田さんから聞いたんだけど、司、暫くはアメリカでおとなしくするらしいぞ。例のドイツの件で思ったより
損害がデカかったらしくて、かーちゃんから随分と絞られたらしいから・・・謹慎ってやつか?」

「ふーん・・・そう。仕方ないよね。司のせいなんだから」

「お前、いくら牧野が派手にやられたからってそんな言い方すんなよ。牧野は無事だったんだしさ!
相手はあの司だぜ?中身だけまだ子供なんだからわかってやれよ」

「何をわかってやるのさ!総二郎は牧野が何されたか、話しだけで見てないから言えるんだよっ!」

牧野のために細かいところまでは説明してないし。
いつまでも許さない訳じゃないけど、今はまだそんな気になれなかった。


あれから牧野は熱を出して寝込んでいる・・・今も2人には会わずにゲストルームで眠っていた。


「で?牧野はどうなんだ?司から襲われたって言うのは本当か?」

あきらは道明寺と花沢のSP達しかいなかったあの現場のことを何故か知っていたんだ。
もしかしたら、どちらかに美作の人間でも潜り込ませていたんだろうか・・・そうだとしたら怖いんだけど!

「襲われた・・・って言うわけじゃないよ。もちろん、その前に助けたよ!」

実は牧野には何も確かめてはない・・・
聞ける状態じゃなかったけど、あのあと俺にキスしてきた時に何もなかったんだって確信したから。


「司の事だから最後までは出来なくても、キスぐらいはされたんじゃねぇの?」
「それはあり得るな。そのくらいは司でも出来るだろう!近寄ればいいだけだからな!」

「なに勝手な事言ってんのさ!もういいだろ?終わったことはどうしようもないんだから!
ただ、あんな格好にされるから高熱が出ただけだよ!」


「「・・・されたんだな!」」

「・・・・・・!」


******


道明寺の家から帰ってすぐに疲労からなのか熱を出して寝込んでいた。
西門さんと美作さんがマンションに来てくれたらしいけどそれも全然覚えていない・・・。
何度も類が様子を見に来てくれて、お水を飲ませてくれたり汗を拭いたりしてくれたのもぼんやりとしか
覚えていないくらいだった。

そして次の日になっても熱は下がらなかった。むしろ悪くなってるかも・・・。

「はぁっ・・・熱い・・・喉が痛いなぁ・・・」


類は今日、大学へ行ってる。でもレポートを出したらすぐに戻ってくるって言ったよね・・・。
体力だけは自信があったのに、ここのところの事件続きですっかり弱ってしまった。


「あいたたた・・・身体が痛い!熱のせいだよね・・・」

ベッドから降りようとするだけで身体中がギシギシと音を出してるみたいに痛い。

冷蔵庫を開けて・・・なにか飲み物を取ろうとしたけど貧血なのか高熱のせいなのか立ちくらみがした。
そのまましゃがみ込んだら動けなくなって・・・キッチンで倒れてしまった。


「ハァ・・・ハァ・・・類、早く帰ってきて・・・」

意識が遠くなっていくのがわかる・・・キッチンの天井がどんどん暗くなっていった。
季節はもう夏前なのに・・・どうしてこんなに寒いんだろう。

そう思ったのが最後・・・完全に気を失ってしまった。



******



「ん・・・?あれ・・・・・・」

「牧野?眼が覚めた?・・・牧野?」

類の声が聞こえて少しずつ眼を開けたら・・・類が上から覗き込むように私を見ていた。

「また病院・・・ここ病院なの?類・・・」

周りを見渡したらここは最近までいた花沢の病院の特別室。
もう一度、類を見たら今度はもの凄く怖い顔に変わっている・・・あれ?怒ってるの?

「もう!おとなしく寝てないからびっくりするだろ!帰ったらベッドにはいないし、キッチンで倒れてるし
熱は40度に上がってるし!ジッとしてられないんだったらこのまま入院させるよ?!」



「花沢様・・・よくおっしゃいますよね?」

あの時の看護師長がカーテンの向こうからヌッと現れて思わず悲鳴が上がりそうになった。

「退院されてまだ間がないのに今度はどうされたんですか?・・・全くもう!!
そしてまたお二人でお泊まりですって?何度も申し上げますけどここはホテルじゃございませんよ?」

「すみません・・・」
何でだかわかんないけど私が小さい声で謝った。

「よろしいですか?もう一度言いますけど、今回は熱が下がれば退院です!それまではくれぐれも
おとなしくして下さいね!そして花沢様も二度も縫合したんですから腕枕は厳禁です!わかりましたか!」

「わかってますから・・・」
今度は類が小さい声でそう答えた。


「いいですか?点滴も付いてますからね!それでは失礼します!」

元気のいい看護師長はそれだけ言うと病室を出て行った。


「あの看護師長さん相当根に持ってるよね?」

類はもう怒ってなくて優しく笑ってくれて・・・やっと見られた類の笑顔にホッとする。
点滴のおかげか熱も下がっていて気分も良くなっていたから類に起こしてもらった。

「ごめんね。また何回も心配かけて・・・」
「牧野の心配なんてもう慣れてるよ。ちゃんと帰ってきてくれるんなら大丈夫だし、それにこれは
事件じゃなくて病気でしょ?気にしなくていいよ」

「西門さん達も来てくれたのに何も言えなかったね・・・美作さんにはお礼言わないといけなかったのに」

「お礼ならよく言っといたからそれも気にしないでいいんだって!それよりさ・・・」

私の肩を片方抱いたまま軽くキスしてくる類・・・!
また病院でそんな事をしたら大変なことになるってば!

「だって、司から取り戻した途端、あんた倒れたんだよ?ずっとこうしたかったんだから・・・」
「でも、ここは病院だし私はまだ風邪が治ってないから・・・」

何だか類は少し嬉しそうにやさしく笑っていた。
どうしたんだろう・・・何か良いことでもあったのかな?


「類・・・大学でいいことでもあったの?何だか嬉しそうだね」

「牧野が俺の所に戻ったから嬉しいんだとは思わないの?あのさ・・・話しがあるんだけど」


類の眼が急に真剣になった。

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2017/05/18 (Thu) 05:32 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おはようございます

えみりん様、おはようございます🎵

病院に行きました❗
ほんの少しの剥離骨折❗

ご心配おかけしました。
子供の病院に夜行って看護師さんに、
最後はお母さんですか?って、笑われましたよ❗

剥離骨折って、意外と痛いのね。

今度から会社の中を走らないようにします。

色んな意味でありがとうございました❤

2017/05/18 (Thu) 06:59 | EDIT | REPLY |   

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