dernier amour~最後の恋~(49)

「話があるんだけど」

今まで笑っていた類が急に真面目な声でそう言ってきた。

「どうしたの?また、何かあったの?」
「嫌なことじゃないよ。だけど・・・牧野次第かな」

類は私の手を取ってそこに黒い小さな箱を乗せてくれた。これって・・・まさか?

「大学に戻って間がないのにこんな事を言って悪いんだけど、俺が大学を卒業した時大学をやめて欲しいんだ」
「え?大学を辞める・・・退学しろって言うこと?」

突然の話しにびっくりしたけど類は真面目な顔のまま話しを続けた。


「そう。大学を辞めて一緒にフランスへ行って欲しいんだ。親からずっと言われてたんだけど、最近そのことで
話す機会があってね・・・俺の配属がフランス本社になったんだ。だからどうしても行かないといけない。
でも、牧野を置いていくなんて考えられない・・・だから、フランスへ連れて行くからね?」

そして、私の手に置いた箱からそれを取りだして、左手の薬指にはめてくれた・・・プラチナの指輪。


「これは、婚約指輪じゃないけど少し早いアニバーサリーリング・・・ってことで。一緒に行ってくれるよね?」

「向こうで類と暮らすの?私が?」
「そうだよ。二人で暮らそうよ・・・花沢の家じゃなくて、また二人でアパート探さない?フランスの不動産屋で」

クスクス笑う類の顔と、自分の左手を交互に見ながら私もつられて笑ってしまう・・・。

「学校に通いたいならフランスの大学に通えばいいよ。それも一緒に探してあげるから」
「私が嫌だって言ったらどうするの?」

「そんな事言わせない。あんたと俺はもう絶対に離れられないから・・・そう言ってるじゃん!」
「ふふっ・・・類がそう言うなら・・・それでいいんじゃない?」

類がゆっくりと私に近づいてくる・・・そして優しくキスをくれる。

「今度は行くときから二人だから寂しくないと思うよ。あと半年したら向こうに行くから、今のうちに
日本でしたいことをしておいて?ご両親にも会いに行くよ。フランスに行ったら牧野はしばらく帰れないから・・・
それに、ちゃんと報告もしたいしね」

もう、その言葉が嬉しくて今度は自分から類の手を引き寄せて・・・私からもキスをした。
類の手が私の身体を抱き締めてくれる・・・だからつい、自分の腕を類の背中にまわした・・・その時!!

ガッシャーン!!

「きゃあぁーっ!!類!また点滴がっ!点滴が外れたっ!」
「なにやってんのさ!今回は俺のせいじゃないからね?」

「うわっ・・・、ズルい!類、早く看護師さん呼んでーっ!」


******


「またですか?あなた達は一体なにをしてるんですか!!」

勢いよくドアを開けて入ってきた看護師長に本日2回目のお叱りを受けて、散々文句を言われながら
点滴を繋いでもらった。でも、看護師長もクスクス笑っている・・・。


また熱が上がって38度を超えた・・・もうクラクラして類の顔もよく見えない。
それでも安心していられるのは類がそこにいてくれて、ずっと手を握ってくれてるから・・・

「牧野・・・ゆっくり寝ていいよ。俺がここにいるから」

うん・・・わかってるよ。今は言葉が出ないけど、もう心配なんてしてないよ。
ちょっとだけ眼を開けた時に見えたんだ・・・類ったらいつのまにか自分の指にも指輪つけてるのが。
いつの間に用意したの?・・・驚かせるのが好きなんだね。
空港でもそうだった・・・いつも、いて欲しいときにそこにいてくれる大切な人・・・


薬が効いてよく眠れたんだけど、気が付いたらやっぱり類が私のベッドに潜り込んで私を抱くようにして眠っていた・・・。


「・・・類?寝てるの?」
「起きてるよ・・・どうしたの?」

「ううん。呼んでみただけ。・・・寝てていいよ」
「寝たりしないよ。これから先のことを考えてたから・・・」

「先のこと?どのくらい先のこと?・・・来年?」
「ううん。もっと先・・・子供が生まれたらどっちで育てようかなー・・・っとかさ」

「子供?ぷっ!いつになるの?それ・・・その前のことを全部飛ばしすぎだよ!」
「そう?・・・楽しいじゃない?さっきまでは子供が3人いたんだ・・・今は4人目を考えてた」


「・・・もう寝たら?」
「うん・・・眠たくなった・・・」

今度は本当に寝たみたい・・・隣から聞こえる規則正しい寝息の音がすごく幸せな音に聞こえる。
よく見たらまた左腕に包帯を巻いている・・・何度もこの人に傷を作らせてしまったのね。

ごめんね・・・でもあの時も絶対に来てくれるって信じてた。
たとえピアスがなくても、私がいる場所は必ず類に伝わるんだって信じていたよ。


類の右手と私の左手はこの日も離れることはなかった。


*******


「牧野さーん、おはようございまーす・・・・・・はっ?あ!きゃあぁぁぁぁ---!!」


いつもの若い看護婦の叫び声で目が覚めた。
だって・・・私は大丈夫だったけど類がいつもの癖で上半身裸だったんだもの・・・そりゃあ、叫ぶでしょうね。
何が起きたかわかってない類は、半分しか開いてない眼でベッドから身体を起こしてる・・・。

そしてまた何回目かのお叱りを受けて、その日のうちに病院を追い出された。


一番上の特別室・・・
手を振ってくれているのは看護師長だった。

お世話になりました・・・2人でそう呟きながら頭を下げてこの病院を後にした。

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花より男子

2 Comments

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2017/05/19 (Fri) 05:25 | EDIT | REPLY |   

plumeria  

Re: フフフ‥おはようございます

えみりん様、おはようございます‼

あはは!
そうですね🎵番外編でも書きますか!

うちも今から退院なんです。
やっと病院に行かずにすみますよ~❗
うちの子は病院のリハビリ室でボランティアで受付してたそうです。昨日、看護師さんからお礼言われて知りました。怪我人のくせになにやってんだか!

二人で手を振って退院してきます!( *´艸`)

いつもありがとうございます🎵

2017/05/19 (Fri) 07:15 | EDIT | REPLY |   

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