FC2ブログ

plumeria

plumeria

会社の更衣室で同僚にからかわれた。最近よく言われるんだよね。
西門さんがよく会社の前に現れるようになってから・・・自分が目立ってることをわかってないのかな。
いや、わかってやってるのかもしれないけど。


「今日もあの超カッコいい彼が迎えに来てるの?牧野さん!ちょっと見に行こうかな~」

「え?あぁ・・・多分来てると思うけど見なくてもいいよ!そんなの・・・」

「すっごいよね~!あんな素敵な人とお付き合いなんて!どうやって知り合ったのよ?牧野さんっていくら誘っても
ほとんど飲み会にも顔出さなかったじゃない?」

ホントに・・・感心してしまう。
佐々木さんの時には何にも言わなかったのに、西門さんになったらもう毎日が質問攻めでウンザリしちゃう。
私の服装まで可愛くなったとか、お化粧が変わったとかそんな事までよく見てるんだから・・・。


「大学の先輩よ・・・この前、偶然再会したの」
「大学の?ってことは随分前からの知り合いでしょ?そしてあんな人が今まで彼女いなかったの?信じられない!
ねぇ・・・遊ばれてないでしょうね?」

「大丈夫だと思うけど・・・その辺は」

そうなのよ・・・むしろ、西門さんが積極的なんだけど。
この前のパーティーの日、西門さんとそういうコトになってからはマンションに行くことも多くなっちゃって・・・。
どうも私のアパートじゃ、・・・・・・その、気になるらしくて・・・音が?声が?


「何赤くなってんの?・・・彼のこと考えてたんでしょ!もう・・・早く行ったら?」
「引き留めてたくせにっ!お疲れ様でしたっ!」


会社の外に出たら西門さんはすでにその周りを大勢の女の子に囲まれていた。
毎回迎えに来てくれるときはこうなんだよね。だから、車で待ってて欲しいんだけど・・・。
この中に入っていくのに結構勇気がいるんだって・・・そんなことわかんないんでしょうね。


「お疲れさん!牧野、もう終わったんだろ?」

そうやって片手をあげて声かけてくれるのはいいんだけど、その女の子達の刺さるような眼が怖いんだって・・・!
女の子達を無視して私の所まで来て、いつものように腰に手を掛けてその集団から離れていく。
今は絶対に振り向けない!そんな私の気持ちなんて知らないで西門さんは笑顔を向けてくる。

「今日は久しぶりにメシ、食いに行こうぜ?うちにいた料理人が独立してこの辺で日本料理店を出したんだ。
お前のこと話したら連れてきてくれってうるさいからさ!すぐそこだから歩いて行くぞ」

随分とご機嫌なのね?仲のいい人だったのかな・・・
西門さんが自分の家の中で仲良くしてる人がいたなんて不思議だった。


******


「いらっしゃいませ!・・・総二郎様、お待ちしてましたよ!どうぞ、奥へ!」

元気のいい人・・・西門さんより少し年上かな?お店を持つには若い感じの人だった。


「結構いい店じゃん。雰囲気もいいし・・・良かったな!それと、こいつが前に話した俺の彼女ね」

俺の彼女・・・改めて聞くと無茶苦茶はずかしいんだけど!・・・絶対顔が赤くなってる!


「は・・・初めまして。牧野と申します」
「初めまして。西門でお世話になっていた高橋と申します。総二郎様の言ってたとおりの人ですねぇ!」

は?西門さんが言ってた通りって?しまったって顔してその高橋さんは調理場の方に戻っていった。
西門さんも苦笑いしてるけど、どんな話しをしたんだろう・・・子供みたい・・・とか?

部屋に入ってからちょっとしてから西門さんの仕事用の電話が鳴った。
店内では話しにくかったんだろうな・・・すぐに戻るって言ってお店の外に出て行った。
仕方なく1人で待っていたら高橋さんがお茶を持ってきてくれて、西門さんが戻るまで相手をしてくれた。


「さっきの話しですけどね・・・」
「さっき?あぁ・・・あの、気にしてませんから。どうせ子供っぽいとかでしょう?よく言われるから・・・」

そう言うと高橋さんは笑いながら手を振った。

「総二郎様と私は年が近いので昔から結構いろんなお話しをしたんですよ。そしたらこの前、大学の時から
気になっていた人がいて、その人と偶然出会って・・・また恋をしたんだって。本当に嬉しそうに言ってましたよ」

「西門さんが、そんな事を?」

高橋さんはテーブルの上に料理を並べながら、その続きを話してくれた。

「えぇ。その人は一般家庭の人だけど絶対一緒になるんだって。ちょっと子供っぽいところがあるんだけど
自分が変えていくんだって話してましたね。でも多分変わらなくても、そのままのあなたがお好きなんでしょう。
安心できて落ち着くって言っておられたから・・・見てすぐにわかりましたよ」

「そ・・・そうですか?」

高橋さんまで赤くなって話してる・・・。

「総二郎様は何かと西門では大変なお立場なので支えていってあげて下さい。意外と脆いところがありますし・・・。
あ、これ以上言うと、また怒られそうですね・・・失礼します!ゆっくりしていって下さいね。」

そう言って部屋から出て行くとき、入れ違いで西門さんが戻ってきた。
高橋さんは頭を掻きながら調理場へ戻って行って、西門さんはその背中をポンって押した。


「なに?どうかした?高橋のヤツ、なんか変な話したんじゃないだろうな?!」

「ううん。そんな事ないよ」


私のことをそんなふうに言ってくれてたなんて・・・それが嬉しくてつい顔が緩んでしまう。
そんな私を不思議そうに見てる西門さん・・・
この後に並んだ美味しお料理をいただきながら私はずっと笑っていた。


ここに来る前に西門さんが家元夫人と睨み合ったなんて、
そんな事も知らずに、西門さんとの時間を楽しんでいた。

ame10.jpg
関連記事

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply