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花沢類にも見られたくなかったけど道明寺にも絶対に見られたくなかった・・・こんな私の姿。
今日は特別自分に嘘ついてるから。

でも、もうここでは誤魔化さなくてもいいんだって思うと・・・自然と牧野つくしに戻っていた。


覚悟を決めて道明寺の前に立つと相変わらず怖い顔して私を見てる。
きっとこんな格好も髪型も化粧も見たことなから驚いてるんだろうけど、驚きと言うよりは呆れてるみたいだった。

そしてこの人は昔と少しも変わっていない。
知らない人が見たら凍ってしまうほどの怖い目付き、強烈な癖っ毛・・・だけど凄く格好いい。全身が何かの美術品みたいに整った道明寺は前より男っぽくなって・・・私が言うのも変だけど色っぽくなってた。

彼が花沢類のボトルを見付けて私にそれを注げと・・・確かにこのお酒がここでは1番高いものだし、それ以外の安いお酒なんて出したら怒るかもしれない。
仕方なく彼のボトルを手に持ってグラスに氷を入れてお酒を注いだ。


・・・どうしてそんなに見るのよ。毒なんて入れないわよ。


道明寺が私の手元を見つめているのがわかるから緊張して指が震えていた。


「・・・はい、どうぞ」
「無愛想なホステスだな。こんな店じゃその態度でも雇ってもらえんのか」

「いつもはもっと愛想良くしてるよ。どうして来たのよ・・・まだ何か言いたいことがあるの?」


何よ、自分だけいい感じに成長してさ・・・私なんか女なのに真逆だよ。
ズルい人・・・どうして別れてくれって頼んだ私がこんな嘘つきな女になってるのにあんたが格好良くなってんのよ。馬鹿みたいじゃない。

声には出せない独り言。
悔しいから道明寺に作ったのと同じお酒を自分にも作った。花沢類のボトル・・・もうここには来ないからカラになったって誰も怒らないし。


「・・・ここに来れば面白いものが見られるって聞いたから来ただけだ」
「面白くも何ともないくせに・・・笑いに来たんでしょ」

「あぁ、確かに笑えるな。よくもそこまでみっともねぇ格好が出来るもんだ」
「みっともなくて悪かったわね。あんたに言われなくても判ってるわよ、自分の事ぐらい。それでも・・・それでもこうしなきゃ暮らせなかったのよ!」

コクッとひと口お酒を飲んで今日も噎せて噴き出した。
それを見て花沢類と同じく溜息をつく・・・「馬鹿じゃねぇのか、お前!」って昔と同じ声で怒られた。

今日は薄くなんて作ってないから少し飲んだだけで頭がクラクラする・・・。
ホステスなのに椅子に座るってどうなのって思ったけど、我慢出来なくてカウンターの中の椅子に座り込んだ。それなのに道明寺はもうグラスを空にして私に差し出してる。

だから座ったまま氷を入れてお酒を注ぐ・・・気が付いたら何にもおつまみなんて出してなかったから、ミックスアーモンドをコロコロとお皿に入れてコトンと目の前に置いた。
くすっ、道明寺ったらそれを不思議そうに眺めてる。


「あんたが行く店は出さないかもしれないけど、普通はこれがお酒のおつまみなのよ。何か欲しいなら作ろうか?酔ってるから少し味が変になるかもしれないけど」
「・・・つまみ?お前、ここでも作ってんのか」

「作るわよ。お客さんにも評判なの・・・取り柄ってそのぐらいだからさ」
「・・・類にも作ったのかよ」

「私は作ってないわ。華・・・って子が作ってたけど」


道明寺には断りの言葉なんて掛けずに奥に入って簡単なおつまみを作った。マスターが下拵えなんてしなくていいって言うからなにも準備していない。だから数分で出来るもの・・・それにいつものヤツ。

隙間からチラッとカウンターを覗くと彼が見える。
両肘カウンターに付いたままジッとして動かない・・・何処を見てるんだろうって思うぐらい一点を見つめていた。


ホント、馬鹿な人・・・こんな所、あんたには似合わないわよ、道明寺。
そんな小さな椅子も、古臭い音楽も、薄暗い照明も、安物のグラスとお酒も・・・似合わないのに、なんで大人しく座ってんのよ。


「・・・はい、このぐらいしか出来ないけど」
「何だ?これ」

「もやしとベーコンのネギ塩炒めとタコとブロッコリーのイタリアンサラダ。それと出汁巻き卵・・・野菜あんまり摂らないんでしょ?」
「・・・初めて見る」

「でしょうね。いいから食べてみなよ」


花沢類と違って困ったような顔して食べてる。
もやしなんてこの人に出すの、私ぐらいだよねって可笑しくなる。そしてこの人が食べる庶民食、きっと私で最後だろうな。

道明寺が小さな声で「旨い・・・」って言った。
「そりゃそうよ、私が作ったんだから」って言うと鼻先で笑った。
その小馬鹿にしたような笑顔・・・昔はその笑顔にドキドキして、必死で後を追いかけてたなぁって・・・懐かしかった。

この人をこんな寂れた路地裏の飲み屋にまで来させたのは私だ。
きっとこの人もあの時の事で苦しんだんだろう・・・自惚れかもしれないけど、私と一緒で道明寺の時間も止まってるんだって思った。


だからお互いに動き出さなきゃいけない。
私も道明寺も・・・そして花沢類も。



「道明寺・・・私ね、ちゃんと約束守って花沢類には何も言ってないの。だからさ、攻撃するの止めてくれないかな」

せっかく穏やかな表情で食べていた道明寺の箸が止まった。
口に運ぼうとした出汁巻き卵を元のお皿に戻して箸も置いて、再び鋭い視線が私に向けられた。


「花沢類は私がここで働いてることを偶然知って来たみたいだけど、ここでは『華』で通してるから何も話してないの。道明寺に言われた事も言葉にはしてないし、あんたと別れた理由も教えてない。
花沢類は私を待ってるって言ってくれたけど、あの人の所に行くつもりはないの。だから彼の仕事を邪魔しないで?お願い、道明寺、この先も約束は守るから花沢物産に攻撃しないで!」

「お前、知ってんのか・・・」
「ここに来るお客さんから話を聞いたのよ、花沢物産が何かのプロジェクトから外されたって。その理由が花沢類で、言いだしたのが道明寺ホールディングスだって」

「・・・・・・」


道明寺が黙った。

私が出したお皿は端に寄せられ、またグラスを手に持ってお酒を飲んで・・・でも、やっぱり口に合わないのか眉間に深い皺を寄せた。
また俯いて指を組み、顎を乗せて何処ともなく見つめてる。
もう1度頼もうかと口を開き掛けた時に、道明寺の方が先に言葉を出した。


「・・・それより、こんな事までして東京に残りたかったのは何故だ」

「それ・・・は、この街しか知らないからよ。その他に理由なんてないもん」

「お前、嘘つくのが1番嫌いだって言ってたよな。だから2年前に俺の所に来て別れるって言ったんだよな。それなのに何で今は名前も変えて素性も隠して嘘っぱちな暮らししてんだ?」

「何処にも働く場所がなかったら夜に出ていくしかなかったのよ!名前は・・・ただ、つくしなんて名前だと子供っぽくて笑われると思ったから変えただけ。花沢類が来たときには丁度いいから華で通したのよ。それだけだって・・・」




******************


<side司>

花沢物産を攻撃するな・・・牧野はもう類が追い詰められてるのを知ってやがった。
その理由が自分にあるって事も当然判っていた。

全部判ってて俺に止めてくれと・・・牧野としては会ってないと変な理屈まで付けやがった。


クソ面白くねぇ・・・!
外面だけ変えやがっても類のために頼む時の目は昔と変わらねぇ。
俺の「この先」はあっさり切りやがったクセに、類の「この先」を守るために俺との約束を守るだなんて平気で言いやがる。

さっさと本当の事をあいつに言えばそんな嘘から逃げられたかもしれねぇのに、それさえしないであの時の約束を守ったってのか?
あいつの為ならそんな事も出来るのか・・・クソ面白くねぇ!!


「名乗らなくても会ったって事は事実で類はそれを見破ってる。って事は花沢を攻撃する理由にはなるだろう。あいつを潰すことは止めねぇ・・・そう言ったらどうする?」

「止めない?花沢類を潰そうって言うの?私の気持ちは何も伝えてないのに?」

「俺は会ったら潰すって言ったはずだ。伝えたかどうかなんて関係ねぇな」

「どうしたら止めてくれるの?お願い、花沢類に手を出さないで!本当にもう2度と会わないから手を出さないで!」


厚化粧した面で頼み事なんかすんじゃねぇ。
何も知らねぇ世界で・・・こんな薄暗い場所で息潜めて酒なんか作ってんじゃねぇよ!

自分の事がどうなってもあいつが好きだと・・・そんな目で俺を見るんじゃねぇ!!



「花沢を助ける方法は1つしかねぇけど・・・聞くか?」





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2019/04/15 (Mon) 06:55 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、おはようございます。

あぁ!成る程・・・未練が残りそうですね(笑)
そこは考えなかった!あはは!ごめんねぇ💦司君!

なんとなくもやしを司君に食べさせてみたかった(笑)

どっちだったかな・・・両方かな?
以前もやしを食べさせた時にも「もやしを食べさせるんかいっ!」ってコメントもらったので(笑)

私がもやし、大好きなんですよ♥出来たら自家製で作りたいぐらい(笑)


さて、司君・・・なんて言うんでしょうね。ふふふ、少し意外な展開かも?!

2019/04/15 (Mon) 08:50 | EDIT | REPLY |   
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2019/04/15 (Mon) 11:12 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様 こんにちは。

あはははは!爆笑っ!!
そうそう!もやしが好きなのよーーーっ!!

1回司君にも食べさせたかったのーーっ!!


え?その質問・・・・・・・・・?

う~ん・・・深く考えてなかったけど、イメージとしては「恋い焦がれる人が居る場合」はそうだと。
ちょっと憂いがある感じって言うかなぁ・・・。
両思いの時は「眩しいっ!」って感じでウキウキするけど、片思いの時のほうが艶っぽい感じがするので(笑)



・・・てか、そっちも野菜から抜け出せないのね?(笑)
でもさ、ゴーヤって類君だよね?(笑)

キュウリじゃなかった?てか、私がズッキーニに変えといたけど(笑)

2019/04/15 (Mon) 12:16 | EDIT | REPLY |   
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2019/04/15 (Mon) 13:44 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは!

あはは!今日は早くに見たんですよ(笑)

ごめんなさいね、ご指摘しちゃって♥
私もねぇ、R様が「キュウリ」ってラインに入れた瞬間

「それはダメやろーーーーっ!!」って笑って💦

急いで訂正したんです。
いやぁねぇ、瞬間総ちゃん書きに戻ってしまって・・・(笑)

でも、意外と長いことショック受けていたのはM様ですよ(笑)
今年の夏も期待してください(爆)

2019/04/15 (Mon) 15:13 | EDIT | REPLY |   

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