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牧野に会ってみろと司に伝えてから数日・・・なにも反応無しで少々苛立っていた。

本当は会わせたくなんかなかったのに、ああでも言わなきゃ牧野が自由にならないから。
会って話し合ったのか、まだ会ってないのかさえ判らない・・・だからって司を急かしても逆効果な気もするし藍微塵には行けないし・・・。


ただ、仕事の話で言えば道明寺の攻撃が止まってる。
あれからは何の行動も起こされてないし妨害行為もない。あの産業用ロボット開発の初回打ち合わせも道明寺の都合で引き延ばされてると聞いた。
アメリカの事業も新たな攻撃は受けてないし、むしろそっちも打ち合わせが中断したままだ。

それでも相変わらず社内ではエンジニアから責め続けられてるんだけど・・・


「専務、少し宜しいですか?」

ほら、来た!また道明寺に謝ってプロジェクトに参加できるようにしろって催促するつもり?何度も言うけど謝る事なんて何もないし、俺には疚しい事なんてひとつもない。

ムカついて藤本に顔を向けると・・・彼の表情は極普通で怒っても困ってもいなかった。


「どうかしたの?また常務から呼び出し?それなら適当に理由付けて断わってもらえると助かるけど」
「いえ、そうではありません。お客様がロビーでお待ちだそうですが」

「は?ロビーでって・・・誰?」
「受付に確認しましたが来れば判ると言われてお名前を名乗られないようです。しかも『俺に名前を聞くのか?』、と睨まれたそうで、受付の女性が半泣きで電話してきましたが?」


「・・・・・・あぁ、判った」
「・・・もしかして・・・ですか?」

「うん、其奴しか居ないでしょ、そんなの」


またそんな言い方してうちの受付を泣かせたのか。
まったく・・・確かにあの顔を知らないうちの社員も悪いのかもしれないけど、全世界の人間がお前の顔と名前を覚えてるわけじゃないんだからもう少し考えたらいいのに。

そしてわざわざロビーに俺を呼び出すなんて・・・俺の執務室には入りたくもないって事?

藤本を横に置いてエレベーターに乗り込み1階のボタンを押した。
まさかロビーで牧野の話を喚き散らすつもりじゃないよな?そんな事になったら本当にスキャンダルに聞こえるんだけど。

「その方はいつもこうなのですか?それとも専務だから・・・ですか?」
「どう言う意味?そこまで仲が悪いわけじゃない・・・俺はそう思ってるんだけど」

「では一方的に・・・って事でしょうか?」
「・・・だからどう言う意味だよ」

本当言えば司の考えてる事がイマイチ判らないけど、エレベーターはロビーに着き、俺は受付に足を向けた。


花沢の社員も来客もその空間にビビって誰も寄りつけない・・・ロビー全体が凍りついたかのようだ。
そして広く空いたそのド真ん中にボディガードに囲まれた司が居た。

どうしてそんなに威圧的に立ってるかな・・・と頭が痛くなる。
気が付いたら藤本でさえ俺の背中に隠れるようにして歩いてて、鬼の形相の司を見ないようにしていた。


「・・・どうした?こんな所に呼び出して」
「あまり時間がねぇから上がらなかっただけだ。その後ろの小さいヤツを外させろ」

「・・・藤本、少し外してて」
「畏まりました」


藤本がホッとしたような表情で俺から離れると、司のボディガードもこいつから離れた。
そしてツカツカと俺の真横に向かって歩いてきた。どうやら大声は出さないみたい・・・お互いに目なんか合わさずに真反対を見つめたままの会話が始まった。


「・・・会いに行ったの?どうだった?」
「昨日の夜、変な女に会った。ド派手な化粧に似合わねぇ服着たヤツ・・・悪いがそいつとお前のボトルの酒を飲んだ」

「・・・酷いな。ちゃんと許可取ってからにしてよ」
「うるせぇ!不味い酒だったじゃねぇか。俺の口には合わなかった」

「だろうね。で?解放してくれたの?」
「・・・さぁな。俺の言うことを聞かなかったからとどめを刺しておいた」

「はっ?何したの?」
「・・・言わねぇ。聞きたかったらあの女に会いに行け」


俺の方に向き直ってニヤリと笑った司・・・それを睨みつけたら後ろのボディガードの表情も変わったけど、それを司が手で制止した。
その後、また俺から視線を外して、今度はそこら中に居る社員に聞こえるようにデカい声を出した!


「あぁ!言い忘れていたがお前の誤解が解けたから花沢もロボットの開発プロジェクトに呼び戻されるって話だったな。悪かったな、うちの秘書が何か勘違いして余計な話を持って来たようだ。
他の参加事業者にはそいつから連絡入れさせたから、もうすぐこっちにも連絡が入るんじゃねぇか?」

「・・・司?」

「後継者ってのは悪目立ちすると叩かれるって事だ。お前もよく覚えといたほうがいいぞ、類。
何処の企業も年寄連中は無意味に五月蠅いからな!足の引っ張り合いは自分の企業内でもあるって事だ」


司のひと言で振り向いたら・・・うちのエンジニアと常務、営業本部長がいる。
其奴らは俺達の方に顔を向けていたけど、流石に顔が強張って足が竦んでいるようだ。そして司の言葉のすぐ後に常務の秘書が来て何かを耳打ちし、全員走って何処かに消えた・・・。

って事はプロジェクト本部からの連絡でも入ったのか。


俺の誤解が解けた・・・それは牧野を解放するって事?
そしてここを選んだのはわざと大声で社の連中に伝えるため?クスッ・・・「華」並みの芝居だね、司。


「ありがとう、司。じゃあこれからも仕事の上ではパートナーで・・・それはいいけど、何したのさ。それ次第じゃプライベートは許さないけど?」

「ガタガタ言うな!念の為言っとくが俺は絶対に許さねぇからな。いや、もしかしたらまた気持ちが変わるかもな・・・昔を思い出したみてぇだったし」

「・・・・・・司、まさか!」
「冗談だ。命は取ってねぇから後は好きにしろ」


クルリと踵を返し、厳ついボディガードを引き連れて司は花沢を出ていった。


昔よりも更にデカくなった後ろ姿・・・牧野は司に会って何を思っただろう。
ほんの少し湧き上がるジェラシーで唇を噛み締めた。



そのすぐ後常務が俺の執務室に飛び込んで来て、産業用ロボットの開発プロジェクトに再び名前を連ねることが出来たと報告があった。
道明寺サイドが仕入れた情報に大きなミスがあり、花沢に対して謝罪があったらしい。そしてそれはすぐにフランスにも伝えられ父さんの耳にも入れたと。

営業本部長とエンジニア達は俺の前に並んで最近の非礼を詫び頭を下げていた。
俺のプロジェクト責任者としての立場も現状維持と言われたけど、道明寺は司がロシアで行われる新事業の指揮官になったという事で急遽責任者が交代。
司はすぐにアメリカに戻り、その後ロシアに向かうと情報が入った。


「あぁ・・・もう一つ情報がありましてね」
「なに?藤本」

「大河原家のお嬢様との婚約は一旦白紙だそうです。まぁ、噂だけで正式な報道発表はしていませんけどね」

「・・・へぇ、そうなんだ」
「親友・・・でしたよね?」

「うん、親友だけど1番のライバルだから」



**



その日の夜、久しぶりに藍微塵に行った。

でも、そこに牧野の姿は無かった。
カウンターには俺を睨みつける坂本、そしてその奥には悲しそうな目をしたマスターだけ。全然知らない女性がテーブル席で常連客と思われる連中と笑いながら話していた。


「マスター、華・・・いや、牧野は?」

「・・・彼女は昨日でこの店を辞めたんですよ。何処か遠くに行くそうです・・・東京から離れる決心がついたって言ってね」

「・・・え?」


牧野が東京から出て行く?
それじゃ、昨日司と会った時にはもうそのつもりだったの?


「あんたのせいじゃないの?」

酒に酔った坂本が俺に向かって言った。
初めに会った時とは全然違う酒の飲み方・・・テーブルに片肘ついて、ネクタイも緩めて顔が赤くなってる。


「俺のせい?」

「花沢物産が道明寺に睨まれて危ないって話した日から華さん、おかしくなったんだ。
あんたがこの店に現れてから彼女はそれまでの優しかった笑顔が消えて悲しそうになった・・・全部あんたのせいなんじゃないの?あんた、彼女のなんなんだよ!」


坂本の言葉に驚いた。
この男が何故それを知ったのかはともかく、牧野が花沢物産の事を知っていたなんて・・・!

司の馬鹿!肝心な事を俺に伝えなかったな?!




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2019/04/17 (Wed) 06:21 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様 おはようございます。

少しは司君を「男」に出来たでしょうか?(笑)
本当に難しいんですよね~💦

そして絶対にF4を険悪にはしたくないってのがあるのです・・・こう見えて(笑)
(いや、過去には書いた記憶もありますが)

もう書くのは諦めましたが、めっちゃブラックなあきら君対類君ってお話しも考えたことがあるんです。
でも、あきら君をブラックにする事に途中から嫌気が差してやめました(笑)


お話し・・・そして今度はつくしちゃんがお店に居ない・・・💦
さて、類君は間に合いますかねぇ~(笑)

2019/04/17 (Wed) 09:32 | EDIT | REPLY |   
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2019/04/17 (Wed) 12:02 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんばんは!

そう?少しは良かった?(笑)

(よしよしよし・・・もしかしたらつかつくが書けるかもしれないww)
(いや、フラれるシーンが書けるって事はダメなのか!!(爆))

よしっ!!1番気になってたシーンが終わったーーーっ!


これでラストに向かって走れる!!


いやいや、類君まだお酒飲んでないから💦
こんな時にのんびりお酒飲まないから(笑)

しかも目の前酔っ払いの坂本でしょ?飲まないでしょ~!!

勿論、行きますよ♥

2019/04/17 (Wed) 20:19 | EDIT | REPLY |   

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