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まだ雪がチラつくような季節・・・私は地区の公立高校から英徳大学を受験した。

何故一般家庭の・・・いや、どっちかって言うと貧乏な家庭で育った私が、そんな大企業の子女や医者や弁護士なんて言う「先生」と呼ばれる親を持つ子供が通うセレブ校を受験したかと言えば、総ては両親の見栄のせい。
「いつか玉の輿に!」なんて巫山戯た事をお呪いのように横で唱えられ、それが鬱陶しくて不合格覚悟で高い受験料を降り込んだ訳だ。
しかも極僅かしかない特待生枠・・・いくら高校の成績が良くってもそんなの簡単じゃないし!

まぁ、これで両親が諦めてくれて、私が何処かに就職する・・・この可能性の方が圧倒的に高かった。



そして今日が合格発表の日・・・玄関で靴を履く私の後ろには拝み倒す両親の姿があった。

「あのねぇ!受かったら受かったで大変なのよ?授業料免除の場合、成績維持が必須!1度だって順位落としたら授業料発生するんだよ?そうなったら半期分だってうちは払えないから即退学だからね?!」

「そりゃ合格してから考えようよ~!つくし、祈ってるからね!」
「頑張るんだよ、つくし!」

「・・・今日は発表だって。頑張るも何も試験は終わってるよ・・・」


やれやれ・・・頭が痛いわ!
グルンと安物の黄色いマフラーを首に巻いて、北風の冷たい中を俯き気味に英徳大学に向かった。



**



「・・・うそ!」

英徳大学の合格者番号が貼られてるボードの前・・・そこに立って見上げていたら、私の受験番号、不吉な「49」があった!
僅か5人しか受からないはずだったのに、その5人の中に入ってる?!

嘘でしょーっ!!って何度見ても「特待生枠」の合格者に「49」がある!!


「マ、マジで!!ホントに?!」って驚いていたけど、ここで疑問なのが他に誰も見に来ていないこと。
どうして私しかここにいないんだろうって辺りをキョロキョロしたら・・・凄いイケメンさん2人がこっちに向かって歩いてくるのが見えた。
足、長っ・・・それに顔、めっちゃ小っさい!でもって何処のブランドか知らないけど格好いい服・・・ザ・英徳って感じ?!


だ、誰?モデル・・・いや、芸能人?
テレビなんて殆ど見ないから知らないんだけど、この人達普通じゃないよね?それに今、大学は春休みのはずだし・・・?

そう思って2人を見ていたら黒髪のイケメンと目が合った。そうしたらニコッと笑って近づいてきた!


「あんた、受験生?番号あった?見てやろうか?」
「はっ?!・・・いえ、ありました!!ありましたから大丈夫です!!」

「そうなんだ?おめでとう♥春からここに通うんだ?」って、今度は男にしては長い茶髪の人が優しそうに微笑んで、黒髪の人の後ろからひょこっと現れた。


「そ・・・そうなるんでしょうかね?まだ判らないけど・・・あの、1つ聞いてもいいですか?」

「ん?どうした?」

「今日、合格発表の日なんだけど、どうして誰も来てないんでしょう?張り出されてるから間違いないんですよね?ほら、胴上げとかバンザーイ!とか・・・番号なかった人が泣いちゃったりとか。私だけってどうしてなのかしら・・・」


そう言うとイケメン2人組は顔を見合わせて・・・プッ!と噴き出した。

うわ・・・感じわるっ!
顔はいいけど性格悪いってヤツ?そう言う人、いるのよね・・・見た目がいいからって勘違いしちゃう人!

聞くんじゃなかったって、言った私がプイッ!と顔を背けると、それはそれで不思議そうな顔をする。自分達にそんな顔する女の子が居るとは思わなかったって?居るわよ、ここにっ!!


「くすっ、君・・・面白い子だね」
「教えてやろうか?それな、ここに見に来る必要が無い訳よ」

「・・・は?どう言う事ですか?見に来ない?」

「そうそう!最近はみんなネットで確認するからわざわざこんな所まで見に来ないの。自宅で確認して祝杯あげてるんじゃね?」
「規則だから張り出すけどね。毎年これを見に来のは極僅かだと思うけど?」

「あぁ、そう言う事?私んち、ネットなんて無いから」

「「はぁ?!今時?!」」


ムカつく・・・・・・悪かったわね。
高校までスマホだって持って無かったわよ。この度初めて買う予定・・・そのぐらい貧乏なんだからしょうが無いじゃん!

そう言う事なら仕方ない。私はここで確認するしか無かっただけで、別に悪い事してるわけじゃない。
「どうもご親切に有り難うございました!」って頭を下げて帰ろうとしたら、今度は腕をグイッ!と引っ張られて足を止められた!


「うわっ!何するんですか!」
「なぁ、折角だからお祝いしてやろうか?春休みったって大学内には研究生がいるからカフェなら開いてるし」

「はぁ?!い、いいですよ!初めて会う人にお祝いされる理由もないですし!」
「お堅いこと言うねぇ!えーと、名前なんて言うの?」

「牧野つくし・・・ですけど」

「「つくし・・・?ぶっははははは!!」」



・・・・・・いいって事よ。慣れてるわ、その反応。
えぇ!えぇ!つくしなんて名前はそうそう聞かないでしょうよ!笑っとけばいいじゃない!!

ギロッと睨んだら流石に不味いと思ったのか「悪い!」って片手挙げて謝ってるけど・・・目が笑ってるって!


「別にいいです。そんなのいつもの事ですから。えーと、先輩なんですよね?もしかして先輩達も研究しに来たんですか?」

「いや、俺達は教授に言われて研究の手伝いに来ただけ。科学部で超伝導体の磁気浮上実験ってのをやってんだけど上手くいかねぇから手伝えってさ!」
「ホント、迷惑な話だよな・・・俺なんて経済学部だぜ?関係ないのに」

「それを言うなら俺だって国文科だぜ?まぁ、仕方ねぇよな~!じゃ、行くか!あきら」
「だな。総二郎」


あきらに総二郎・・・そんなに格好いい名前じゃないじゃんっ!つくしと大差ないわよーだ!


「4月になったら茶でも飲もうぜ~」なんて軽い言葉を出して遠離って行く2人・・・英徳の男とはあんなのばっかりか?って、ここでも頭が痛くなった。
でも、2人が向かった先にはもう1人、男の人が居た。


うわっ・・・あの人も凄いイケメン!無表情だけど何処かミステリアスで神秘的と言うか、中性的というか・・・綺麗な人!
黒いジーンズに白いセーター着てグレーのコート・・・シックな彼は素敵な茶髪だった。

「あきらと総二郎」は足取り軽くその彼の所に歩いて行って「よっ!類」って声を掛け、3人仲良く校舎の中に消えて行った。


「あきらと総二郎、それに類」・・・4月になったらここでまた会えるのかな?



**



頭の中には合格の喜びよりも今後の不安でいっぱい・・・あんな大学で4年間、本当にやっていけるのかしら。
友達100人要らないからせめて1人だけでも出来るかしら。

そんな事ばっかり考えていたらいつの間にか自宅に着いていた。
あぁ・・・この後「合格」って言ったらここで「万歳三唱」、もしくは「胴上げ」されるのかしら。いやいや、そんな気分じゃ無いんだけど。

「ただいまー・・・」といつも通りに呟いて玄関を開けると、すぐにパパとママが飛び出してきた。
そう言えば今日はパパ、会社が休みなんだっけ?出掛ける時には緊張して聞かなかったけど。


「どうだった?つくし・・・やっぱり・・・ダメだった?」
「いやいや、頑張ったんだ!それだけでパパは嬉しいよ!つくし・・・泣くな!!」

「・・・合格したんだけど」

「そうなの、うんうん、仕方ないよ、なんたって英徳だもん・・・・・・は?!」
「・・・・・・今、なんて言った?!」


・・・・・・ここを出る時には祈ってくれてるんじゃなかったの?
そう言いたかったけど虚しくなるから止めて、さっさと靴を脱いで居間に向かった。って言っても二間しかないアパートだけど。
そうして特に喜ぶ訳でもなくお茶をコップに入れてゴクゴク飲んで、はぁっ・・・ってため息。


「・・・あれ?どうしたの?何かひと言言ってくれてもいいんじゃないの?」

「・・・・・・あ、あのそれが・・・」
「ごめん、つくし・・・実はな・・・」

「・・・なに?何かあったの?」


「あのね・・・パパの働いてた会社がね・・・」


何ですってっ!!パパの会社が・・・
倒産したぁーーっ?!!



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2019/06/22 (Sat) 00:31 | EDIT | REPLY |   
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2019/06/22 (Sat) 07:37 | EDIT | REPLY |   
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2019/06/22 (Sat) 08:41 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんにちは!

コメントありがとうございます!
そうなんです~!今度の類君は変わり者なんです~(笑)

かなり皮肉れてると言うか💦困ったお坊ちゃまなんです💦

まぁ、いつものドタバタで、最後には可愛く終われたらなぁ~なんて思って進めます♡
怖い事件も(多分)無いとおもうので、お気楽に読んでいただけたら嬉しいです。

どうぞ宜しくお願いいたします!

2019/06/22 (Sat) 17:53 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

あっはは!そうですね💦
合格したのはいいけれど・・・ってヤツですね。

そして総ちゃんとあきら君とはお話ししたけど、類君は気がついてない・・・。

まだまだ恋という文字は見えませんが、これが少しずつ動いていきますので見守ってやって下さいね!
今回も天然のつくしちゃん、豪快に類君を振り回すかも?(笑)

2019/06/22 (Sat) 18:01 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは!

だから!!これは類君のお話だって!(笑)
総ちゃんは通り過ぎただけでしょ!!💦

あっはは!そうねぇ・・・類君の台詞はいつかしら💦
今回はあんまり喋らない類君だと思うけど?

そうねぇ・・・合格をネットで知るのは増えてきましたよね。
私の娘も特殊な受験をしたのですが、合格はその場で言われたそうですよ(笑)

中学も受験しましたが、そこは見に行きました。
でも確かにその時でも他に人が居なくて、バンザーイ!って感じじゃ無かったし、
実は見に行く前に他のお母さんから「○○ちゃん、合格してたよ」ってラインが来たんです(笑)

「今から見に行くのに!!」って凄く腹が立ったのを覚えています(笑)

なんか見ないと落ち着かないのよね💦

2019/06/22 (Sat) 18:08 | EDIT | REPLY |   

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