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plumeria

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確かに有頂天にはなってない・・・なってないけど一応さっき大学まで行って、奇跡の合格を確認してきたのに!
アパートに戻って数分後、両親から衝撃的な事実を聞かされた。


「パパの勤めてる会社が倒産・・・だから今日は家に居るの?!そんな時に私の大学合格が決まったって入学出来ないじゃないのっ!行く前に言いなさいよッ💢!」

「違うんだって!朝は『本日自宅待機』って連絡があっただけで倒産なんて知らなかったんだよ!」
「そうなの!あんたが出ていって10分後に課長さんから電話があって、その時に言われたのよ!」

「そっ・・・そうなの?」


でも、まぁ考えようによってはこれで良かったのかも。
私もあんなセレブ校に行かなくてもいいし、家族の為に就職すれば良いんだし?大企業は今からじゃ探しようもないけど、そこそこの会社なら本気出せばいくらだって見付かるはずよ!

バイト経験豊富、成績優秀、明朗快活、体力満タン!!こっちの方が私らしいわ!

「判った・・・大学は辞めて私も働くわ。元々そうしようと思ってたんだもの、これから探して何とか4月から仕事に行けるように頑張るわ!」


手に持っていたお茶のコップにもう一杯注いで、それを一気にグイッと飲んだら気分は既に就職だった。
それなのに・・・!


「何言ってるの、つくしは大学に行くのよ?」
「そうだよ、つくし!あれだけ頑張って勉強して合格したんだから4年間、楽しんでおいで!」

「はっ?・・・何言ってるのよ、説得力無さ過ぎ。お母さんがパートでお父さんが無職で、しかも食い盛りの弟が居るのよ?どうして私だけがあんな大学に通えるの?いいのよ、未練なんて無いから!」

「いいえ!ダメよ!それだけは絶対にダメ!!」
「うんうん、つくしは英徳大学に入ったらいいよ。パパはまた仕事を探すから」


仕事を探すからって、その歳で数十回転職してる人を信用しろって言うの?最長で2年ぐらいしか同じ会社に出勤してないパパなのに?・・・って、それも今更だから言わないけど。
それに倒産はパパの責任じゃない。そんな会社を選んだのはパパだけど、それも今考えたって仕方がない。
2人が何を言ってもこの家計状態で4年間も通えるはずがないわ!

あー、これですっきりした!って背伸びをしたら・・・


「だからね、つくしはここに残って大学に行くでしょ?ママ達は進を連れて田舎に帰ってね、親戚の離れを借りて暮らそうと思うの」

「・・・はい?」

「パパ達、一生懸命考えたんだ。それが1番良いと思う!つくし、淋しいと思うけど、すぐに友達が出来ると思うから、自力で頑張って大学を卒業しなさい!」

「ちょっと!自力ってなによ、自力って!!」

「仕送りを約束できるかどうか判んないんだもん」


結局進も入れて話し合った結果、パパ達は新潟の親戚を頼って東京を離れることになり、私1人がここに残ることになった。
当分の生活費と入学に関わる費用だって言われて渡されたのは10万円・・・これで何とか大学生活をスタートさせてくれと涙ながらに言われたけど、泣きたいのは私の方じゃないの?

この10万円で英徳大学の入学準備が出来るの?!スーツは?鞄は?靴は?・・・来月分の家賃は自分で稼いで払えって?!


次の日、明るい昼間に夜逃げのように出ていく家族。
私は1人でそれを見送った。



**



兎に角バイト探さなきゃ・・・勉強もしないといけないけどバイトしなきゃ生きていけない!
パパ達を見送ったその足で、今度はバイト探しに出掛けた。登録なんてしてないけど職業安定所に行けばそれなりに求人は貼り付けてある。
時給と時間を見るのが先で、職種なんて後回し。目に付くものを一生懸命メモっていたけど、世の中はそんなに甘くはない。

真夜中の工事現場とか駐車場の警備員とか、「接客業」と書かれた飲み屋とか。
収入面がいいのは大抵資格を要するもので無理。そうなると時間的にも出来るのっていつものファミレスとか喫茶店?時給が安いのよね、と眉根に皺を寄せて掲示板を睨んでいた。


その時、職員さんに付き添われておばちゃんが1人、奥から歩いてきた。

何だか真剣な表情・・・お仕事が見付からなくて生活に困ってるのかと思ったけど、着てる服とかは凄く品がいい。髪だって綺麗に染めてるし、持ってる鞄も素敵。靴だって革のパンプス?


そうなってくると私の妄想が始まる。

このおばちゃんの旦那さんは会社経営者で、最近倒産したのよ。
だから社長夫人だったこの人もとうとう働かなきゃいけなくなったのね?だけど働いたことがないから困ってる・・・人に使われた経験なんてきっと無いんだわ。
そんなおばちゃんを心配して職員さんが付き添ってきた・・・この後、思い詰めて無茶な事しないようにって諭してるのかも。


「それでは野々村様、申し訳ありませんでした。またご紹介させていただきますので」
「・・・確かに大変なお仕事なのですが、たった1日で逃げられるとねぇ・・・最近の若い人は根性がありませんわね」

「はぁ・・・今後も応募してきた人には詳しく説明しますから」
「お給料は文句ないはずですものね。兎に角続く人でないと困るんです」

「畏まりました、野々村様」


マジで?このおばちゃん、働きたい人募集中の人なの?!しかも若い人で続かないとダメ?!お給料には文句がない?!
思わずその人達の会話に全神経を集中させて、身体がナナメになるぐらい!

そしておばちゃんが安定所を出て行った時、急いで後を追いかけた!


「すみません!あのっ、お話しが聞きたいんですが!!」
「・・・私?」

「はい!えっと・・・野々村さん、でしたっけ?ごめんなさい、さっき話を立ち聞きしてしまったんです。お仕事の話、私に聞かせていただけませんか?」

「あなたは?おいくつなのかしら・・・中学生じゃないの?」
「・・・・・・この春から大学生です」


つくしと言う名前を笑われるのと同様、「小学生?中学生?」と聞かれることにも慣れている・・・ここはグッと我慢しよう。
もしかしたらこの人は私にとって「金のなる木」かもしれないし!

おばちゃんは私の褄先から頭までを何度も見て「ホントに?」って言った。大学生の格好じゃないと思ったのか、今時高校生でもメイクしてるのに?とか思ったのかしら。
そんな目にも負けずにさっきの言葉をもう1度聞いてみた。


「どんなお仕事をするんでしょう?アルバイトでも出来ますか?」
「え?えぇ・・・朝と夕方から夜にかけてのお仕事だから大学生でも問題はありませんの」

「えっ!やっぱり詳しく教えてください!私、どうしても仕事しながら大学に行かなきゃいけないんです!お願いしますっ!」
「は、はい!判りました・・・では、喫茶店に入りましょうか?」


どんな仕事かしら。朝と夕方?それに夜・・・?凄く不規則な時間帯なのね?
でもお給料はいいって言ったわよね・・・時給1000円はあるとみた!!

おばちゃんはキョロキョロ見回して、少し離れた場所にある喫茶店を指さして「あそこにしましょう?」って。でも、そこは喫茶店と言ってもお洒落で高そう・・・凝った造りの外観が「高級感」に満ち溢れていた。

ここは私からの申し出だもの、払うのは私・・・だよね?もう少し安そうな店はないのかと、今度は私がキョロキョロしたけどおばちゃんはさっさとお店の中に入って行った。


そこはやっぱりハイレベルな喫茶店で、ウェイターさんも凄く上品で格好いい。ウェイトレスさんは採用条件に「容姿端麗」が入ってるのか全員が可愛くて愛想が良かった。

珈琲一杯・・・いくらなんだろう。話を聞く前に知ったらショックかもしれない・・・後で聞こう。


「少し待ってね、お屋敷にお電話入れるから」
「・・・はい」

お屋敷・・・やっぱり何処かの奥様なのかしら。私もまだ持っていないスマホを取り出して「お屋敷」に電話をかけた。


「もしもし?野々村です。お疲れ様です。申し訳ないんですが少し帰りが遅れそうですの。えぇ・・・働きたいというお嬢さんに出会ったのでお話しを・・・はい、終わりましたらすぐに。
あぁ、それと本日の夕食、奥様と旦那様はホテルでお客様とご一緒だそうですからシェフにそう言って下さいます?」

「・・・・・・・・・」


あれ?この人が奥様じゃないの?
奥様と旦那様がホテルでお客様とお食事・・・どんな家なの?それにシェフってお料理作る人だよね?普通の家庭にはそんな人、いないよね?


電話が終わるとおばちゃんは綺麗な手つきでスマホを鞄に戻し、私に向かって礼をした。
だから私も慌てて頭を下げて・・・チラッと上目遣いでおばちゃんを見た。


「それでは自己紹介から致しましょうか。私は野々村加代と申します。花沢物産社長本宅で使用人頭をしております。
私が探しているのは花沢家のご子息の身の回りのお世話をしていただく、明るく元気のいい方ですの。あなたの事を教えていただけるかしら?」


花沢家の・・・お手伝いさんって事?




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2019/06/23 (Sun) 07:17 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは!

そうですねぇ💦どれでしょう?(笑)
花沢家には色々と思惑があるようです・・・ははは!

強いていえば1番初めが近いかな?
つくしちゃんがド根性で続けないといけないのは確かですね💦

最近まで甘い類君を書いていたのでこんがらがってる私です(笑)

2019/06/23 (Sun) 13:32 | EDIT | REPLY |   
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2019/06/23 (Sun) 17:03 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんばんは。

あっはは!類君より先に加代さん💦
花沢家が職安で人を探すわけないと思いつつ(笑)こんな形で会わせてみました。

そうですねぇ・・・原作のメイドさんとは違うかな?
あの時は司君が既につくしちゃんの事を好きでしたよね?(違ったかな・・・)


今回はブリザードまでは行きませんが、そんな感じの類君ですから💦
つくしちゃんの熱で類の心が溶けていくといいですけど・・・♡

再びドタバタの予感ですが、のんびりお付き合い下さいませ♡

2019/06/23 (Sun) 22:14 | EDIT | REPLY |   

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