FC2ブログ

plumeria

plumeria

「あれ?類、どうした?帰るのか?」
「おいおい!人数足りねぇって言っただろ?ヌケんのかよ!」

「・・・ん、帰って寝る。騒々しいの、好きじゃない」


総二郎とあきらに来いって言われたから顔を出した店、そこには数人の女の子も居てワイワイ楽しそうにやってた。
聞けばこの後夜になったら銀座まで行くとか・・・そんな事に自分の時間を使いたくなくて、暫く座ってたけどすぐにギブアップ。

知らない女の子に触られるのなんて嫌いだし、質問に答える義務もない。
可笑しくもないのに笑うなんてもっと無理だし。


どうして女の子って「好きな何か」を知りたがるんだろう。知ってどうするっての?
だからその質問にも「教えない」って答える・・・そして場がシラケるんだ。そうなったら慌てた彼奴らが「こいつ、変人だから許してやって!」とか言い出すんだよね・・・無理矢理誘い出したクセに。

その店を出て少しだけ歩いたけど、行きたい所も入りたい店も買いたい物もない・・・それよりは早く帰って寝たくてタクシーを止めた。





「お帰りなさいませ、類様。どちらにお出掛けだったのですか?」
「・・・総二郎達に呼び出されたけど面白くなかったから戻った。イチイチ報告しないといけないの?」

「いえ、そのような事は御座いませんが」
「・・・じゃあ聞かないでよ。子供じゃないんだから」

自宅に戻っても万事この調子・・・何処に行くのか誰と会うのかやたらと確認したがる田村にウンザリして、目も合わさずに自分の部屋に向かった。


部屋に入ったらすぐに裸足になってベッドにダイブ。
その瞬間が一番ホッとする・・・今日も同じようにボスッとベットに倒れ込んで目を閉じた。



みんなが俺の事を変人扱いしてることは知ってる。
自分でもたまにそう思うことがある・・・多分、人と少し違うんだろうなって。

色のないこの部屋が落ち着くのもその1つ・・・明るい色に不思議と嫌悪感に近い感情があって、部屋には何も置きたくなかった。着るものもモノトーンに統一してるし、余計なものは身に付けたくないし。
自分1人の時間が凄く大事だから邪魔されたくない・・・孤独と言えば淋しいイメージだけどそうじゃない。


俺は自分の空間が好きなだけ・・・そこに他人を入れたくないだけ。
やっぱり変人か?それならそれでもいいけど。

どうせそのうちこの時間も終わる時が来る・・・それまではのんびりさせてもらう。そう思ってるだけだ。



転た寝をしていたけどカーテン越しの日差しが眩しい・・・丁度俺の顔に掛かる所まで陽が傾いたようだった。だから起き上がってカーテンを閉めようかと思ったけど、何故かここで風に当たりたくなって窓を開けた。

まだ冷たい春の風・・・庭の桜の蕾はまだ固そうだな、なんて普段は気にもしない事を考えていたら久しぶりにバイオリンを弾いてみたくなった。
うん、この突拍子ない所もあいつらから「意味判んねぇ!」って言われることの1つだろうなって思う。


でも仕方ない・・・突然弾きたくなったんだから。


バイオリンを持って向かったのは庭の隅にあるガゼボ。これも今日の気分・・・花の季節でも新緑の爽やかな季節でもないのに、いきなり外で弾きたくなった。
そしてバイオリンを左肩に乗せ弓を持ち・・・何を弾こうかと考えていた時、加代が小さい女の子を連れて屋敷に戻ってきたのが見えた。

誰だ、あの子・・・この屋敷の人間じゃない。


それで気分は削がれた・・・って言うか、曲すら決めていなかったから丁度良かった。
結局1音も弾かずにバイオリンをケースに入れ、もう1度チラッと目をやったその女の子・・・一瞬何処かで見たような気もしたけど、思い出せないものは無理に思い出さない主義だからさっさと自分の部屋に戻った。

「どんだけマイペースなんだよ!」・・・またあいつらの声が聞こえそうだ。



部屋に戻って暫くしたら聞こえてきたノック音・・・多分田村か加代だろうと思って無視していた。
案の定、「失礼します」と入って来たのはその2人。ベッドの上に寝転んで起き上がりもしなかったけど、お構いなしに真横まで来て話し掛けてくる。
目を閉じてても寝てない事はバレてる・・・小さい頃からこの2人にだけは色んな嘘が見破られるから嫌だった。


「類様、おくつろぎの所申し訳ございません。類様付きの使用人として1人雇いましたので紹介したいのですが」
「・・・・・・また?どうせすぐに辞めるんだからいいよ、そんな事」

「そういう訳には参りません。せめて顔を覚えていただかねば・・・と言う訳で明日からこちらで働くことになった者でございます」
「・・・・・・いいのに・・・」


そう言えば2人の足の間にもう1人誰かの足が見える。
ちっちゃ・・・もしかして子供?いや、いくら何でも子供を俺に付ける訳ないか。


「それでは牧野さん、こちらが当家のご子息、花沢類様でございます。ご挨拶を・・・」

「はい!・・・あれ?類って何処かで・・・」
「ま、牧野さん!呼び捨てとはなんですか?類様です、さぁ、ご挨拶を!」


加代が叫ぶから聞いてしまったけど、俺の事を呼び捨てにしたって?
誰だ・・・牧野なんて知らないけど。

加代がサッと移動したら、その向こうから現れたのはさっき彼女が連れていた子供。溢れ落ちそうな瞳で俺をジッと見るから、ついムッとして睨んでしまった。
真っ黒なストレートヘアで印象的なデッカい目。痩せて小柄なんだけどポテッとしたほっぺたに色艶のいい唇。

こんな子を雇うって労働基準法や児童福祉法に反しないんだろうか・・・。


「牧野さん?どうしました?ご挨拶しなさい?」と、加代がもう1回急かしたらハッと我に返ったみたいだけど、雇い主に会ってビビるようじゃ使用人なんて無理じゃないの?
面倒だったけど身体を起こしてベッドの上で胡座をかき、その子の方に向いた。そうしたら急にピシッ!と姿勢を正して凄く大きな声で名前を名乗った。


「申し訳ありません!牧野つくしと申します、宜しくお願いします!」
「・・・あんた、何歳?」

「・・・はい?」
「歳・・・15歳じゃないよね?」

「はい。15歳じゃないですよ?」
「だよね?働けないよね」

「・・・えーと、すみませんが何歳だと思ってるんです?」
「中学生。15歳じゃないなら14歳?悪いけどそんな子に身の回りの世話なんてさせられない。田村、帰ってもらって」


ほらね!大人ならどんな事言ったってあんまり気にしないけど、流石に俺だって子供相手に命令出来ないし、泣かれでもしたらどうするのさ!親に泣いて訴えられたらって考えただけでも面倒だ。

全く・・・田村も加代も何を考えてこんな子供を雇おうとしたんだろう。
完全脱力してベッドに倒れ込んだら、ここで想像もしなかった言葉が飛んで来た。


「ちょっと待って・・・あなた、失礼じゃないの?!」
「・・・は?」

「牧野さん?」「ま、牧野さん!なんていい方を!」

「私はこう見えて18歳!今度から大学1年生なんだけど?!そっちこそご主人様かなんだか知らないけど、そうやって寝そべって人の話を聞くってどうなの?!せめて姿勢正して座りなさいよ!」

「・・・なんだって?」

「人の話を寝て聞くなって言ったのよ!それって家柄とか関係なく一般常識でしょうが!それに私は兎も角、この2人はあなたより年上なのよ?!立場がどうであれ、年上の人と話す時の態度じゃないわ!」

「・・・・・・誰に向かって言ってんの?」


「花沢類、あなたに向かって言ってんのよ!!💢」
「田村!今すぐこいつを追い出せ!!💢」







currants-2534931__340.jpg
関連記事
Posted by

Comments 4

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/06/26 (Wed) 07:47 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは!

そうなんですねぇ・・・つくしちゃんと類君の怒鳴り声からスタートしちゃいました(笑)
どうなるんでしょうか、この2人💦

こんな言葉を出す類君を初めて書くので、実はすごく楽しいです♡
この先も暴言が出るかも?(笑)

「こんなの類君じゃなーい!!」って言われることが怖いんですが💦
これからの変化を楽しんでいただけたらと思います。

2019/06/26 (Wed) 10:36 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/06/26 (Wed) 15:09 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんばんは!

でしょーーっ!!怒る類君(爆)なかなかないでしょ?!
怒ることはあっても怒鳴るイメージないですもんね!


・・・・・・・・・本当に怒り具合の話ですか?
(その割には❤マークが多いのは何故?)

今度怒鳴りながら・・・やってみましょうか(笑)

2019/06/26 (Wed) 21:05 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply