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「本当にごめんなさい!!何故か我慢出来なかったんです!申し訳ありません!」

「・・・・・・まぁ、もう言っちゃいましたからね」
「類様・・・久々に大きなお声でしたねぇ」

花沢類に大声で怒鳴った挙句、出て行けと言われて部屋から3人纏めて追い出された。そして舞い戻ってきた応接室・・・これで美味しそうなバイトの話は終わった、そう思った。

だから田村さんと加代さんを前にがっくり・・・出された高級そうなケーキすらこの私が食べられなかった。


「どうしましょうかねぇ・・・旦那様がお戻りになるのを待ちますか?」
「そうですわね。会食だと言われましたが遅くはならないようですわ」

「それでは牧野さんのお部屋は何処にしましょう?」
「類様のお部屋の反対にある小さな部屋が空いたままですわ。そこにしましょうか?何かと近い方が便利でしょうし」

「・・・・・・あの?」


私ががっくりきてるのにこの2人・・・どうして私の部屋を準備してるの?
あれじゃあどう見ても不採用じゃないの?あの人、追い出せ!って言ったのよ?

キョトンとした顔で前屈みのまま2人を見たら、特に怒ってる気配はなかった。むしろ嬉しそうに微笑んでる・・・それを見たら私の眉は余計にハの字になって口も尖ってしまった。

お坊ちゃまを怒らせた・・・はずなのに?


「ははは、気にしないで下さい、牧野さん。まぁ、そんなに落ち込まないで」
「えぇ、そうですわ。いつもの事なんです。怒鳴るのは本当に珍しいけど、初めて類様とお話しした方は大抵あなたみたいな顔になりますから」

「そうなんですか?でも追い出せって・・・」

「確かに類様は花沢家のご子息ですが、人事決定権はございませんの。それが旦那様と奥様でしたら私達も言う事を聞くしかないのですが、類様が学生の間は採用に関する決定権は持てない決まりなのです。ですからこの後旦那様と奥様に会っていただいて、その返事で正式に採用が決まると思って下さい」

「面接って事ですか?私、履歴書も何も・・・」

「そのようなものは後で形式的に出していただけたらいいんですよ」


そして加代さんは花沢類の事をもう少し詳しく教えてくれた。


花沢類・・・この春から英徳大学国際経済学科の2年生。
学年は1つ上だけど誕生日が3月30日だから丁度今は私と同じ18歳。

性格と言うか特徴というか、兎に角色んな事に無関心で必要最低限の会話しかしないらしい。人付き合いも苦手で唯一の趣味はバイオリン。腕前は先生もコンクールを勧めるほど上手らしいが本人は興味なし。気分の乗った時にしか弾かないそうだ。
友達がこの屋敷に来ることは滅多にない・・・って言うか、友達と呼べる人が3人の幼馴染みのみ。

どうやらその3人のうちの2人が「あきらと総二郎」って事なのね?


「見たら判ったでしょうけど兎に角お部屋もあのように淋しくしてますし、お洋服だって白黒グレーの3色以外殆どないんです。私達がお薦めしても『五月蠅い』で終わってしまうし、余り言うと部屋に引き籠もりますの」

「子供の頃に楽しい時間をお過ごしでなかったからそう言う感情に乏しいのです。お勉強は良く出来る方ですので成績は優秀なのですが、感情表現や対人関係が本当に苦手でしてね」

「子供の頃に楽しくなかったんですか?遊んだ事がないとか?」

「まぁ、そんな感じです。こんなお屋敷のお子様ですから常に大人の監視がつきますし、幼馴染みの中で独りっ子は類様だけですし・・・あぁ、動物はお好きですけどね。ここでは飼ってないのでたまに牧場までお出掛けになります」

「牧場!まさか牛ですかっ?!」

「いえ、馬を飼っておられるのです。乗馬をされるんですよ」


はー!吃驚した!あの顔で乳搾りするのかと思った!・・・そう言ったら加代さんに爆笑された。




*****************




・・・なんて言ったっけ。
ま、ま・・・・・・忘れた。まぁ、いいか。

しかしなんだったんだ?初対面の女の子にいきなり説教なんて、これまで1度もされたことないんだけど。
しかも何に対して説教されたんだっけ・・・これも忘れた。まぁ、いいか。


ゴロンとベッドに寝転んで天井を睨んでた。

まぁ、いいかって思うけどやっぱり凄く気になる・・・名前は忘れたけどあのデッカい目が焼き付いてる。あんな大きな目、初めて見たかも・・・もしかしたら人間の可視域外の部分まで見えてるんじゃないの?
いつも見てる自分の瞳の色素が薄いからだろうか、真っ黒でブラックホールみたいに吸い込まれるかと思った。

そのぐらい印象的な瞳・・・いや、なにを思い出してるんだ?


それに大学生・・・・・・あれで?
悪いけど英徳大学にたまに見学に来る中等部の子供の方が大人っぽいしメイクもしてると思うんだけど。
いや、肌は綺麗だったよね・・・あぁ、あきらが言ってたっけ。化粧しすぎると返って肌荒れするって。スッピンだから綺麗だったのか・・・?

生き生きした唇だったよね・・・いや、だからなに思い出してるんだ?

だめだ・・・あの子の顔しか浮かんでこない。


コンコンコン♪

その時、ノックの音がしたから何故かガバッ!と起き上がった。

まさかあの子が謝りに来たんだろうか・・・確かにそのぐらいして当然の振る舞いだったけど。
一回謝っただけで許すと思ったら大間違い。どうせ追い出されるんだろうから2度と会うことはないだろうけど、それでも「ごめんなさい」だけであの暴言が消えると思わないでよ?

この俺を呼び捨てにしたんだから・・・!


色々と言葉を考えながらドアまで行って珍しく自分から開けたら、そこにいたのは・・・名前が判らない使用人だった。
顔は見たことある。

「あっ!あのっ・・・夕食のお支度が出来ましたのでお呼びするように言われましたので・・・」
「・・・・・・」

「類様、あの・・・・・・夕食・・・」
「・・・判った。すぐに下りる」


バタンと閉めたら・・・何故か気が抜けた。何だろう・・・がっかりしてる?


「そんな馬鹿な・・・さっき会っただけの女の子なのに」

自分でもモヤモヤしたけど、ここで無視したら今度は加代が強制的にダイニングに連れて行こうとするから仕方なく部屋を出た。


ダイニングに行くと既に1人分のディナーの準備がされていて、使用人がカトラリーを並べているところだった。
そして今日のシェフが出てきて挨拶・・・毎日だから聞き飽きてるけど、これも此奴らの仕事だから文句は言えない。下げられた頭を無視して席についた。


「類様、本日のメニューでございますが」
「・・・超簡単に終わらせて」

「畏まりました。それでは本日の前菜ですが、とうもろこしの冷製スープと豚のリエットと鴨のフォアグラのパテでございます。メインはホタテ貝のソテー、季節の野菜のレモン風味と仔牛すね肉の煮込み、マレンゴ風でございます。お召し上がりでしたらデザートにはバニラ風味のミルフィーユ、沖縄のピーチパインとパッションフルーツのアイスがございますが」
「・・・要らない」

「食後の珈琲は如何しましょう?香りよいグアテマラがございますが」
「・・・飲みたい時は部屋で淹れるからいい」

「畏まりました。以上でございます」
「・・・・・・」


『ライスにおかずが2つです』・・・そういうのを超簡単な説明って言うんだよ。面倒だから言わないけど。


だめだ・・・今日も早く寝よう。





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Comments 4

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2019/06/27 (Thu) 07:30 | EDIT | REPLY |   
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2019/06/27 (Thu) 11:05 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様 こんばんは。

そうですね!一目見ただけなのに(笑)
よっぽどつくしちゃんのデッカい目が気になったんでしょうね❤

ふふふ、今回の花沢夫妻・・・「嘘つき」の類パパと類ママのようではないと思いますよ(笑)
あれは本当に巫山戯た設定してたねぇ~💦

今回は・・・どんなご両親でしょう?(笑)

2019/06/27 (Thu) 20:29 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんばんは!

あっはは!山羊のユキちゃんの乳搾りは出来ませんでしたが(笑)
長靴履いて牛の乳搾り❤いやん、沢山搾れそう~❤

牛も張り切りそうじゃない?(笑)

ご飯とおかず2つ・・・ははは!
説明いらんわっ!!💢って感じですよね~。

でも、この類君ならご飯と味噌汁と漬物でも黙って食べそう・・・。
出来たらカルシウム補充の意味で魚の干物とかね。
(はっ!干物は食べさせた事がないかも・・・)

↑またも花男二次初を狙う女(笑)

2019/06/27 (Thu) 20:35 | EDIT | REPLY |   

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