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plumeria

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もうすっかり遅くなったから今日は花沢邸に泊まることになって、旦那様たちの許可が出たら明日の朝からバイトスタート。
自分の荷物はお昼に取りに帰りなさいと言われた。
まさか職業安定所で加代さんを呼び止めたが為にこんな豪邸に住むことになろうとは・・・人生何が起きるか判んないものだと小さく溜息をついた。


そして花沢家のお坊ちゃま、花沢類が夕食を食べている時に私の部屋に案内してもらった。

さっきの彼の部屋の斜め反対側。加代さんに「北向きだけど我慢してね」と言われて「寝られるだけで嬉しいです!」って答えたら変な顔された。
だって今住んでるアパート・・・隣部屋の人の鼾で寝られない時もあるんだもん。


しかもその部屋は二間続きのアパートの2倍の広さ!しかも簡単なバストイレ付き!聞けばこの部屋は花沢類が小さい時のお世話係の人の部屋だったとか。
すぐに駆け付けられるようにと目の前にお部屋を作ったけど、彼が中等部に入った時にお世話係がいなくなって以来、使われていないんだそうだ。

それを今になって再び?それには首を傾げたけど、説明はご両親からあると言われたので黙っておいた。


「牧野さん、こちらがあなたの夕食。今日はここで召し上がってね。それとこれはマナーに関する書籍です。大学のお勉強が終わってからでもいいので読んでいただくと助かるわ。先ほども申し上げましたが類様に教える訳ではなくて、あなたがここで働く為に必要な事だと思ってね」

「はい、有り難うございます」
「それでは旦那様がお戻りになったらお呼びしますから、こちらで待ってて下さいな」

「はーい!」


加代さんが置いていってくれた夕食・・・吃驚するほど豪華だった!
料理名も材料も何にも判らなかったけど、兎に角綺麗で美味しくて、豚バラ以外のお肉を久しぶりに食べて大満足!
・・・でも、こんな夕食が出てこの部屋を使って1ヶ月2万円の負担でいいんだろうか・・・もしかしたらとんでもない落とし穴があるとか言わないよね?

ご飯を食べたらベッドに寝転んで加代さんのくれた本を読んでみた。


「なになに・・・『挨拶する時は自然な笑顔で』・・・うん、これは大丈夫!笑顔なら自信あるし。『挨拶の言葉は省略せずに、最後まではっきりと発音する事を心がけましょう』・・・”おはよう!”じゃなくて”ございます”を付けろって事ね?
『挨拶をする際は、相手の方向を向き目をしっかり見るようにします』・・・普通はそうでしょ。『挨拶を終えるタイミングでお辞儀を添える』・・・えっ?!同時じゃないの?」

それ以外にも歩きながらはダメ!立ち止まって挨拶しなさい、とか階段では横にずれて目線が同じになったら挨拶とか。細々と書かれてて2ページ読んだ時には睡魔に襲われてダウンした。



**



『つくし・・・本当に綺麗ねぇ。あんたがこんなドレス着てお嫁に行くなんてママ、想像もしてなかったわ』
『うんうん、本当だよ。パパも嬉しいよ、つくし。大事にしてもらうんだよ?で、花婿さんは何処だい?』



なんだ・・・ママとパパじゃん。
どうして泣いてるのかしら・・・綺麗なドレス着た花嫁さん?私が?・・・言われて自分の姿を見たら、真っ白なウエディングドレスを着て真っ白な薔薇の花束を持っていた。
すごくいい香り・・・幸せってこんな香りがするのねぇ・・・。

え?花婿さん?花婿さんは・・・あら?何処に居るのかしら。
パパに言われて振り向いて見れば、随分向こうの森の中から歩いてくる人が居る。

やっぱり白いタキシード着てて薔薇のブートニア付けて・・・って事はあの人が私の旦那様?えーと・・・名前はなんだったっけ?


・・・・・・あれ?思い出せない。

あっ、目の前までやってきた。柔らかい茶髪でブラウンの瞳・・・優しい笑顔で思わずうっとりする超美形な旦那様♡
その旦那様が私を見下ろして・・・・・・はっ!なんで怒ってるの?!


『あんた、いつまでここに居るの?まだ追い出されてなかったの?』
『・・・は?』

『この屋敷じゃ子供は雇わない!判ったら早く自分の家に戻って高校受験の勉強でもしな!』



・・・思い出したわ!「あきらと総二郎と、それから類」の・・・類だーーっ!!



**



・・・きのさん?・・・牧野さん?・・・牧野さーん!!」

「・・・はっ?!」

「目が覚めましたか?牧野さん。ご主人様がお戻りになりましたからご挨拶に行きましょうか?」
「・・・ここは何処?」

「・・・花沢物産社長本宅です。あなたが働きたいと言った場所ですよ?」


ガバッ!!っと起き上がって部屋を見回したら・・・そうだった!さっき大きなお屋敷に来たんだったと思い出した。
なに?今のは夢?・・・花沢類が私の旦那様になってた?

いやいや、夢でも出て行けって怒鳴ったわよ・・・もう、最悪!

それでも働かなきゃ生きていけないから、首をブルンブルンと振ってさっきの夢を吹き飛ばし、ベッドから降りて立ち上がった。
そこで大きく深呼吸・・・「うーん!」と背伸びをしたら、慣れないフカフカのベッドのせいで腰が痛かった。



長い廊下を歩いて私の部屋のほぼ反対側まで行くと、その部屋のドアは一段と豪華だった。
ここが花沢家のご主人様の部屋・・・そう思うと流石に緊張する。

これは所謂「就職面接最終試験」・・・第一印象でほぼ決まるという大事な瞬間。
加代さんと田村さんが私の前に立ち、コンコンコンとノックをしたら「お入りなさい」と澄んだ声が聞こえた。


「失礼致します。お寛ぎの時間に申し訳ございません。昼間にお話ししました、類様付きの使用人として働きたいという方をお連れいたしました」

ドキドキドキ・・・田村さんの渋い声が私の鼓動を早くする!
目の前には今も加代さんと田村さんが居るからご両親は見えなかったけど、ぐるりとこの部屋を見回したら・・・何処かの王室かと思うぐらい豪華だった。


彼・・・花沢類の部屋とは全然違う。

派手な訳じゃないけどちゃんと観葉植物や花も飾ってあるし、壁には綺麗な絵も掛けられている。
絨毯はワインカラーで同色系のカーテン・・・やっぱり天井からはシャンデリア。とても個人の部屋だとは思えないほどの贅沢・・・でも羨ましいとは感じなくて、逆に気疲れしそうだった。


「それでは自己紹介していただきましょう。牧野さん、こちらが旦那様と奥様、類様のご両親様です」

「は、はじめまして。牧野つくしと申します。どうぞ宜しくお願い致します!」


もうここでさっきのマナー本の事を忘れて、私は挨拶よりも先に頭を下げてしまった。
つまり言葉は床に向かって出した訳で・・・。

慌てて背筋を伸ばしたら目の前に居たお2人は・・・やっぱり美男美女だった。花沢類、お母さん似なんだ?!


「・・・はじめまして、牧野さん。ははは、大きな声だったが床には誰も居ないようだよ?」
「あらあら、マナーは一から教えないといけないようねぇ、牧野さん」


不味い・・・もしかしたら不合格か?!




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2019/06/28 (Fri) 06:53 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、おはようございます。

そうなのかしら?!(笑)
再び怒鳴る類君💦夢でも怖いですねぇ~!

うんうん、これが現実にならなければいいけど💦


類パパと類ママ、少しだけの登場でしたが、こんな感じのご両親です(笑)
前回と違って少しはセレブっぽいでしょう?

ふふふ、つくしちゃん、頑張れるでしょうか?!

2019/06/28 (Fri) 07:59 | EDIT | REPLY |   
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2019/06/28 (Fri) 11:31 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは。

そうそう!豪華な使用人部屋なんですよ!
って言うか、トイレは兎も角、お風呂って・・・って考えたのね。

まさか花沢邸に大浴場があって泊まり込む使用人はそこで?・・・・・・う~ん💦

それが想像出来なかったからバストイレ付きにしてみました(笑)



そうねぇ、今回は類君と一緒には食べないかな(笑)
使用人だからね・・・きっと使用人専用の食堂があるんじゃないかしら?
そして気が付いたら類君の部屋で食べてたりしてね(笑)

これから類ママがどんな人か判ってくるかな~❤

お話がコメディだから、楓さんのような事はないと思う💦お楽しみに~!

2019/06/28 (Fri) 11:58 | EDIT | REPLY |   

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