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「……類様、如何なさいしましたか?」
「ん?………ん~」

「何か……気になる事でも?」
「…………ん~……」

「ねぇ、田村」
「はい」

「ペンギン保護区の異常は報告されて無いよね?」
「えぇ、島 及び対岸の保護区内に於いて、その様な報告は受けておりませんが…」

「……だよね……」
「何かありましたか?」

「どうやら保護区外で繁殖してるペンギンがいるらしいんだよね」
「おぉ、それは素晴らしいではありませんかっ!」

「そうなんだけどね……」
「……何かありましたか?」


**


梅雨明けと共に夏らしい気温になり、涼しい時間でもある早朝散歩の時、城門担当の衛兵の一人が話し掛けて来た。

ペンギン保護区に程近い居住区に住んでいる彼、自宅に隣接する物置小屋の脇にペンギンが巣作りしたらしい。
雛が巣立ちするまで見守る積もりでいるのだが、餌を運んでる親ペンギンが帰って来るまで心配で心配で……、何とかならないだろうか?と……。

保護区と居住区の間には太い道路があり、
その道路を横切らないと自分の巣には戻れ無い、と言うのだ。

『車になんて轢かれたら大変だ!ペンギンの交通事故なんて、悲しいだろっ』
『子供の帰りを待つ親の気持ちと似てるかもな?あっはは』

そう言って、優しそうに笑った顔が印象的だった。


**


「……と言う事があったんだよ…」
「ほう……それは、一度視察に行ってみませんとですね…事故が起こってからでは、つくし様が悲しまれます」

「………だよね…」
「この際ですから海岸線の調査も含め、回ってみましょうか、他にもあるかもしれませんし…」

「そうだね。早い方が良いだろうから日程は任せるよ、宜しく」
「承知致しました」


……本当に良い天気だな…今日も暑くなりそうじゃない?中庭から聞こえるつくしの声に耳を傾けると、

……あれ?呼んでる……
慌てて窓際まで寄ったら、何やら輪になって中心を見てる。

ちょっと待ってっ!……それっ!!!


「るぅーーいぃーーー!見てぇーー」
「つくしっ、どうしたのそれっ!?」

「さっきねぇー城門の外を歩いてるって聞いたから、見に行ったのぉーー」
「ちょ、ちょっと待ってて、今行くからっ」


ウチの城、海岸線から割りと離れてるよね?
こんな所まで来るんだっ!


急いでつくしの所まで行って、桃、菊を押し退けて覗き込んだら……
やっぱり!この子達、フンボルトペンギンじゃん!!

しかも4羽……凄く疲れてるみたいだけどどうしてこんな所まで来たんだろう?
もしかして迷子?それならすぐに保護区に連れ戻さなきゃ!


「あら?類君、つくしちゃんどうしたの?
どの子か具合でも悪いの?」

不意に後ろから声を掛けてきたのは出水先生。
今日もゲンコツコロッケ片手に後ろには小っちゃい俺が居る……また凪紗だね?


「ううん、そうじゃないんだけどペンギンさんがお城の外に居たから連れて来たの」
「えっ?!ペンギンが?」

「そうなの!見て?可愛いでしょう?」
「どれどれ……あら、この子達……」

出水先生はペンギンの前に座ってその子達を見て、身体にも触ったりしていた。
ついでに小っちゃい俺もその隣でペンギンを見てるから凄く不思議……ジッと「俺」を眺めていたら尻尾がポロンと出てきた。


「つくしちゃん、この子達……多分夫婦で、両方とも産卵前だわ」
「えっ!卵産む前なの?!」
「きゃああぁーっ!本当に?赤ちゃんが産まれるの?」

「多分、巣作り出来たらすぐ産みそうだわ。
その巣作りに適した場所を探してここまで来たんじゃないかしら」

「保護区に連れて行こうと思うんだけど」
「でも保護区の手前の海でしょう?
またウロウロして道路に入り込むかもしれないわ。危険ね……」

「でもさ、ここじゃ……」

って言った瞬間、俺の袖口をガシッ!と掴んだつくし……。
目をウルウルさせて「ここで卵を産ませてあげて!」と無言の圧力……。


俺達がそんな会話をしていたら、また4羽はヨチヨチと歩き出した。
確かに言われてみれば片方が丸々してて、それを庇うようにもう片方が寄り添って歩いてる。
何だかその仲睦まじい様子が……俺にもウルッと来た。


「何処に行くのかしら……」
「巣作りにいい場所探してるって言ったよね?」

「そうね……自分たちで選びたいでしょうからね」

出水先生も一緒になって見守っていると、4羽が辿り着いて、何だか嬉しそうな様子を見せたのがユキの小屋の横?!


メェ~~メェ~~

ユキも何が来たのかと不思議そうに顔を出したけど、4羽はどうやらそこが気に入ったみたい。

「類君、この子達は巣穴を土の中に掘ったりするんだけど、もうここまで来るのに体力を使ってるわ。
何か大きな岩みたいなもので囲いを造ると、そこを巣穴にするからやってみない?」
「……判った。すぐに探させるよ」

先生の言葉に従って衛兵達に岩を持ってこさせて、家みたいに組み立ててやった。
幾つか作ったらそれまで見ていたペンギンたちもソワソワしてて、出来上がったら中を覗き込んでいる。

「可愛いわねぇ……」
「うん、そうだね」

「ここで卵産んで赤ちゃん見られるかしら」
「……でも、餌ってどうするんだろう?」

「抱卵はオスとメスが交代で行うはずよ。だから片方が海まで魚を取りに行って戻ってくるのを片方が待つの」
「ここから海まで行くの?大変じゃない!遠いのよ?」

「でも、この子達は野生だからねぇ……人間が与えたものをすぐに食べるかしら」
「途中で事故に遭ったらどうするの?
可哀想だよね?類、可哀想だよね?!」


「…………だね」


とにかくここが気に入った二組のペンギン夫婦はそれぞれの巣穴を決めて中に小枝やユキの小屋用の藁を運び始めた。
それを少し離れた所で見ながら「可愛い♪」を連発……これはここで飼うことが決まったって事なのかな……。


「まぁ、保護区に戻すかどうかは雛の育ち具合とか色々考えてからだね。
ここより保護区の方がいいと判断したら戻してあげること。判った?つくし」


「うん!判った!でも、名前は必要よね!」

「………………」


また名前?もしかしてつくしのネーミングセンス炸裂?!


「そうねぇ……海の生き物だからねぇ……」
「…………うん」

「あっ!そうだ!波平と舟さんは?!」
「……まさかと思うけど産まれた赤ちゃんにカツオ、ワカメってつける気?」

「…………ダメなの?」
「一組じゃなくて二組だよ?」
「じゃあねぇ……」
「マスオとサザエとか嫌だよ」

そう言うと黙ったつくしだけど、結局は「海太郎とみかん」「波次郎とひまわり」に決まった。


理由は「夏っぽいから」……どうなの?それ。
まぁ…名前はいつものことか…。


それより…うーん…どうしよう……。

ペンギン達がここで子育てを始めたとして、終わったらちゃんと海に帰ってくれるのかな?
いやいや、それよりも子育て期間の餌か?
海に取りに行くっていったってここからじゃ遠すぎるし、まずはそこから……?
なんかさ…やることありすぎない?

こんだけ動物に振り回されっぱなしだとつくし不足で倒れそうなんだけど…!

って、当の本人は相変わらず無邪気な笑顔をふりまいてて、俺なんか眼中にないくらい。俺はいつだってつくしのことだけ考えていたいくらいなのに。

でもここはつくしのために頑張らなきゃね♪



翌日から近衛兵、街の建築技師、土木関係者達を総動員して作り始めたのは後に『ペンギンロード』と呼ばれる事になる、海までの安全な道。
だって城から海までは大きい道路とかバンバンあるし、人だって多いから自由に行き来出来ないだろうし。それを考えたら安全な道の確保が一番重要だもんね。

で、それとは別にもう一つ作ってる物があるんだけど……気に入ってくれるかなぁ?
ここを気に入ってくれたらとりあえずは安心なんだけど……。


「類?ちょっといいかしら?」

リビングから工事の様子を眺めてたらいつの間にかつくしが庭から戻ってきてた。

「ん?どうしたの?」

「あのね、今ペンギンさん達の道を作ってるんでしょ?でもそれとは別の何かを作ってる近衛さん達もいるみたいで何を作ってるのかな?って思って」

「あっそっか、言ってなかったもんね。
あのさ 道は作ってるけど、最終的にどうなるか分からないでしょ?だからね………」



「そうなの?すごいすごい!!
それならペンギンさん達も楽になるわよね!流石 類だわ~♪♪
なんか安心したらあの子達の顔見たくなって来ちゃった!行ってくるね~♪」



もう一つの計画を詳しく話したら成功さえ怪しい段階なのにつくしは飛びついて喜んだ。これだけでやってよかったなんて思っちゃうじゃん。いやいや…ちゃんと成功させないと……なんてちょっと身が引き締まったかもしれない。


その後はペンギンと工事を見守る日が続いてて、いつものように庭からはつくしとSP達の元気な声が聞こえてきてた。

そんなある日、つくしに呼ばれてペンギンの巣をちょっと離れた所から見てみたら、卵が生まれてた。


「ねっ!ねっ!凄いでしょ~♪
早く類に知らせなきゃって思って慌てちゃった~」


「順調なんだね。
工事の方も急がないとね」

「うん、でもあんまり無理言っちゃダメよ?」
「ん、分かってる」


ペンギンをまだ見てるっていうつくし達を残して執務室に戻って田村を呼んで工事の状況を事細かに聞き出したら、それは順調に進んでてここ数日で完成するらしい。


「楽しみでございますね」

「上手くいくといいけど……」


この目で確認しないと不安は拭えないけど、みんなで議論を交わして出来た結果なんだからきっと上手く行くよね。



数日後

本来のペンギンロードはまだまだ工事中。そりゃそうだよね、山が二つもあるんだもん。元々城から海までの距離を考えたらそう簡単にできる訳ないんだ。もちろんこっちも大急ぎで仕上げるけどさ。

で、今日はといえば第二のペンギンロード完成日♪

どこでどう嗅ぎつけたのか知らないけどあいつらまで集まってきて、みんなでユキちゃんの小屋からペンギン達の様子を窺ってる。


「あっ見て見て!海ちゃんが出てきたよ♪」
「もう一羽出て来たぞ!」

「うーん…あれは波ちゃんかな?」

「おっ、あいつら、入口の前で止まったぞ?」
「覗いてるな。中を確認してるんだろうな」
「あっ…あっ……入ってく?!」

「「「おお~!やったな!!」」」


入口付近は透明のトンネルになってて中の様子がよく見える。二羽は何の迷いもなくトンネルを進んでた。
暫くはそのトンネルを見守ってたけど二羽は地下へと潜って行った。そこで用意していたパソコンを見てみたら、暗いトンネルの中をヨチヨチと歩く姿が捉えられた。

「カメラもばっちりみたいだ♪♪
よかったね、つくし♪」

「うん♪」


第二のペンギンロード……これは実はあの人工の川に続いてる。
川幅を広げる護岸工事をして海にも繋げたから、川に入れば海の魚も捕れるはず。そこまでの道のりも最短距離でペンギン達に安全なトンネルを作った。

ついでに言えばあの橋は工事に邪魔だから落としといた♪
ペンギン達の為だから仕方ないよね♪♪
まさか闘司郎の襲撃を避ける為に作った人工の川が役に立つなんて思いもしなかったけど、結果オーライだよね!


「つくし、あとはリビングでゆっくりみようか♪」
「うん♪♪」

「「「それもそうだな」」」

「…………」

別にお前らに言った訳じゃないんだけど!

って言ってもどうせムダだろうからそれはぐっと飲み込んで、つくしといちゃいちゃしながら、後ろからの視線を無視して城に戻った。

「ねぇ 類?
あの子達ちゃんと帰って来れるといいね♪」

「そうだね。でもきっと大丈夫だよ。
カメラもあるし、暫くは交代で監視もついてるから♪」



どうやら、人口川に続くトンネルを通り、
川を下って海まで行って戻って来たらしい。
と知らせが届いたのは、次の日の夜遅くだった。
ユキの小屋の脇にあるペンギン達のスイートホームの中では、待ち構えてた みかんとひまわりに餌を分け与える海太郎と波次郎の姿。

海太郎と波次郎の帰りを気にしていたつくしは、寝室に持ち込んだパソコンの画面を嬉しそうに眺めている。

あはは……待ち構えていたのはみかんとひまわりだけじゃ無かったよね?
昨夜は、パソコンに抱きついて寝てたよね?


「ねぇ、つくし」
「……うん?」

「安心した?」
「うん♪良かったね。ちゃんと戻って来て」

「……じゃあ、今日は俺の相手もしてね♪」
「……///…うん…」



花沢城内で、可愛い子供ペンギンのヨチヨチ姿が見れるまで、後少し。





おしまい♪



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皆様、こんにちは~!
今日は類君でペンギンさんです!

12月18日に初めてラインに「ペンギンもいいよね♥」って会話が登場(笑)
1月にもペンギンが~、なんて言ってましたが話は進まず・・・。
3月、どうやらS様がテレビでペンギンロードを観たらしく、「ペンギンロードを作ろうよ~」って話になりました。
どうせなら卵を産ませて赤ちゃんペンギンを書こうじゃないか!!

でも、既にご存じの通りその頃は何匹もの動物が入り乱れ状態で「ペンギンまで?!💦」みたいになってので、動き始めたのは4月でした(笑)


ここで問題発生。
こう見えてGPSは意外と真面目に動物の生態を調べて書いているんです(えぇ、ド真剣に調べますとも!)

え?その割には有り得ない事が起きてる?
まぁまぁ、そこはファンタジーなので💦

起きた問題は「ペンギンの繁殖期」・・・皇帝ペンギンを頭に描いていたもんだから撃沈。
この時期に卵を産むのはフンボルトペンギンなら大丈夫だろうと言う事になり、色々探した画像が皇帝ペンギンだった私は2度目の撃沈(笑)


そう言う事でお遊び画像がなかったんで♪

**花沢城・飼えないシリーズ!!**

15637917680.jpeg

急いでS様に作ってもらいましたぁ♥
こりゃ飼えませんよね(笑)命懸けですもの💦


ふふふ、ペンギさんの赤ちゃん・・・さて、どうなるんでしょうか?


それではまた来週の火曜日にお会いしましょう~!!
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Comments 4

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2019/07/23 (Tue) 15:33 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

そうなんです~♥
今度はペンギンさんで、しかも二組(笑)
本当は赤ちゃんペンギンまで書きたかったんですが、長くなったので切り離したんです。

ペンギンさんが次に出てくるのは秋かな?(笑)
少し待ってて下さいね!

監視カメラ付きペンギンロードで海とお城を往復しております♥

あっ!うちも庭にキノコがはえてました(笑)
もうすぐ梅雨明けですね~💦

今日も蒸し暑かったので水が手放せませんでした💦

2019/07/23 (Tue) 19:38 | EDIT | REPLY |   
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2019/07/23 (Tue) 21:33 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

脱帽した女様、こんばんは!

可愛かったでしょ♥
そりゃもう、動物記書くなら絶対ペンギンは外せないよね!って話だったんですが、海だよね・・・って事でなかなか纏まらなかったんですよ。

だから大規模工事のペンギンロード(笑)
実はまだまだ工事は続くんですけどね💦

名前もいい感じだったでしょ?

桃太郎に菊次郎、金太郎に梅次郎(ネコ)、それならやっぱり太郎に次郎だよね!!
女の子は・・・ははは!作家さんからお借りしました💦

来週は総ちゃんです♥どんな鳥かな?(笑)


2019/07/23 (Tue) 23:51 | EDIT | REPLY |   

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