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plumeria

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薄暗い部屋の中・・・総の腕の中で夢のような時間を過ごしていた。

今日は平日なのに横浜まで仕事で来たついでに「夕食に誘われた」なんて嘘ついて鎌倉まで来てくれた。だから時間はそんなにないって・・・彼はすぐに私をベッドに運んだ。

そしてやっぱり私の願い通り電気を点けない暗い部屋で・・・今日も身体が壊れるかと思うぐらい愛してくれた。


「・・・・・・」
「どうした?やっぱ身体が痛くなった?」

「もうっ・・・少しは手加減してよね?骨がズレちゃうかと思ったよ・・・」
「くくっ、そりゃ悪かったな。夢中になったら周りが見えなくなるんだって・・・つくしの声が可愛いから」

「あっ!そんな似合わない言葉出しちゃって!」
「・・・なんだと?そんな事言うと・・・」

「あっ、いやっ・・・う、嘘だからっ・・・やぁあっ!」
「ダメ、許さねぇ・・・」


荒っぽいけど甘いキス・・・それを繰り返されてるうちに私の手はまた総の身体を抱き締めて引き寄せる。
火照った身体が重なって、1度落ち着かせたはずなのにまた燃え上がる・・・再び力強くなった彼のモノが私の中に入ってきて、何度も私を踊らせてしまう。

今日は朝までじゃないんだって・・・そう思ったら、私の方が彼を欲しがって離すことが出来なかった。


総が苦しそうな声を漏らして最奥を突いた時、私は無意識に彼を逃がすまいと肉壁に力を入れる・・・そして彼の精を搾り取るかのように締めつけてる。
そうしたら彼が私の名前を呼びながらまた激しく動き出す、その瞬間にこれまでの苦しみを総て消し去るかのような無責任な快楽が私を襲う。

そして私はそれに逆らえない。その繰り返しで過ぎてしまう時間の何と早いことか・・・。


「・・・はぁっ、すげ・・・つくし、どうしたんだ?珍しいじゃん」
「そ、そんな・・・はぁ、だって・・・」

「そんなに甘えたら帰れねぇし・・・」
「・・・ごめん」

「いや、嬉しいけどな・・・」


最後はおでこに軽めのキス・・・そして起き上がると脱ぎ散らかした服を拾って帰り支度をした。
私も同じように痛む身体を起こして服を着て、玄関に向かう総の後ろをついていった。


「・・・暫く色々と忙しいんだ。もしかしたらあんまりここには来られないかもな・・・淋しかったらあきらの所に行って小夜に相手してもらえ」
「え?あはは・・・そんな子供じゃないよ。私だって働いてるし、大丈夫だよ」

「そうか?電話は出来ると思うから」
「うん。まだ寒い時期だけど研究所は春前の作業で忙しいの。気にしなくていいよ」


そう言ってる総の目は私を見ていない。

忙しいのは茶道の事じゃない・・・披露宴が近づいててお屋敷が気忙しいのだとすぐに判った。
西門家の披露宴ともなると招待するお客様の数も凄いだろうし、当日出席出来ない人達からのお祝いや、各方面のお偉いさん達とのお食事会なんかもあるんだろう。

仕方がない・・・総の気持ちだけじゃ止められない、それは判ってるけどやっぱり・・・辛かった。


「じゃあな・・・また、時間見付けて来るわ」
「うん、無理しないで。私はずっと待ってるから」

「はは・・・そんなに待たせたくねぇけどな。俺が出たらすぐに鍵掛けろよ?」
「うん。判ってる・・・遅いから気をつけてね」

「あぁ・・・」


また今日も玄関でのお別れに時間がかかる。
繋がれた手が離れるまでの長い時間・・・それが解かれた時の心の悲鳴がどんどん大きくなる。

会えたのは嬉しい。でも、この関係をあとどのくらい続けるのかと思うと胸が張り裂けそう・・・。




******************


<sideあきら>

もう1度調査を急ぐように伝えた途端に入ってきた情報は、宝生に潜り込ませている近藤からだった。

内容は10年前まで宝生で働いていたと言う女性が現れたとのこと。
たまたま友人の葬儀で近くまで来て、ついでに先日紫の事を教えてくれた使用人に会いたいと屋敷を訪れたらしい。

その女性は現在千葉に住んでいて、東京の宝生家に来るのも辞めて以来初めて。
それを聞いた近藤は、女性が用を済ませて帰る時に屋敷を出てから引き止め、美作に来て欲しいと頼んだ。
当然戸惑った女性だが、近藤の必死の願いと、もう宝生との関係が無いことから渋々承諾・・・すぐに美作から車を呼び、屋敷に連れて来られた。

その時、俺は社内にいたが丁度急ぎの仕事が終わったばかりで、秘書に「急用だ」と言い残して執務室を飛び出した。
総二郎と一緒に話を聞こうと思って電話をしたがそれには出ない・・・仕方なく俺1人で聞くことにした。



その女性は川崎純子と言う60歳を過ぎた人だった。

流石宝生で長いこと働いていただけあって、美作のような屋敷を見ても特別驚いた様子もなくリビングに座っていて、傍では紫音と花音が遊んでいた。
小さい子を見るだけでも気分がリラックスするだろうと思ったから仁美に電話して頼んだんだが、今日も仁美は頭痛を訴え、そこに居たのは小夜だった。

そして戻って来た俺を見て、多少は緊張したのか微笑んでいた顔を強張らせて頭を下げられた。

「パパァ!今日はやぁ~い!」
「もう遊べるの?パパ!」

「いや、少しお客さんと話があるからお前達は部屋に戻りなさい。小夜、この子達を頼む」
「畏まりました」


「やだ、やだぁ!」と騒ぐ双子を連れて小夜がリビングを出て行くと2人きり。シーンとなってしまったせいか、彼女の緊張は高まったようだ。落ち着きなくハンカチで額を拭いながらその場に立っていた。


「あぁ、そんなに緊張しないで下さい。本日は無理を言いました。驚かれたでしょう?」
「は、はぁ・・・一体何でここに呼ばれたのかさっぱりです。近藤さんと言う知らない女中さんが追い掛けてきて昔の話が聞きたいと・・・どういう事なんでしょうか?」

「そうでしょうね、少しご説明しますからお座りください。ただし、お願いがあります。本日美作が川崎さんに話を聞いたという事は誰にも話さないで頂けますか?仲の良いという宝生の使用人にもです。
こちらもあなたから情報を得たと言う事は宝生に漏らしたりしません。このような言い方をして驚かれるでしょうが、真実が知りたいのです。私の友人の将来のため・・・ですが紫さんを救うためでもありますから」

「紫お嬢様?あの、紫お嬢様の事なんですか?」

「そうです。彼女の事です」


一気に顔色を変えた川崎純子は、紫と聞くと何故か俯いてしまった。膝の上で握られた手に持ったハンカチ・・・それがギュッと縮められて骨張った指先に力が入った。
眉間に寄せられた皺に閉じられた唇・・・話したくないと全身で訴えられているかのようだ。


「まだ何も聞いていないのですが・・・どうしました?」

「紫お嬢様の事は何も知りません。お尋ねになりたい事がなんなのか判りませんが、私に答えられる事は何もないですよ?」

「聞いてからの判断で構いませんよ?ご存じなら教えて欲しいのです。10年前まで勤務なら知ってると思うんだが?」

「・・・いえ、その・・・私はお嬢様付きではなかったですし、あの時も人から聞いただけで・・・」

「あの時?あの時とは?」

「はっ!あっ・・・いえ、なんでも・・・」


しまったとばかりに口を押さえて横を向き、カタカタと小さな肩を振るわせている。その様子からやはり何かを知っていると思ったから、先に今の紫の話をするしかないと思った。
それを聞けば紫の幼い頃を知っているこの人も話してくれるんじゃないかと・・・


「紫さんがご結婚されたのはご存じですか?」

「はい・・・ニュースになりましたから。もうすぐ披露宴もあるとか・・・本当に良かったと思っています」

「その相手、西門という家はご存じでしたか?」

「・・・はい。昔、何度かお見えになっていましたから。一昨年お亡くなりになった前のお家元・・・だと思うんですが」

「そうですか。実は私は紫さんと結婚した西門総二郎の幼馴染みです。彼と紫さん・・・2人の出会いから聞いて頂けますか?」


川崎純子に総二郎達の出会いから現在に至るまでの関係を話すと、一瞬驚いたようだったが・・・そのうち何故か納得したような表情を見せた。
「そうですか・・・」と小さく答えた声は紫達の悲劇を確信させた。


「総二郎には紫さん以外に恋人が居ます。今でも大事にしている人で、本当なら西門に迎えたかった・・・いや、今でもそれを諦めてはいません。そんな愛情のない関係をこの先ずっと続けることが紫さんにとっても良いとは思えないのです。
それに彼女も総二郎に愛情はない・・・何故か家元夫人に執着があるようですが、結婚してそれを手に入れられる状況になっても嬉しそうには見えない。むしろ苦しんでるのではないかと思うんです」

「紫様が・・・苦しんでる?」

「何かに縛られてるような気がしてなりません。それが何故なのか・・・何故西門に拘るのか知りたいのです。それには彼女の過去に何かがあったのではないかと思っているのです」

「・・・・・・」


「紫さんと薫さん・・・この2人の事件について聞いてもいいですか?」


この言葉でハッと顔をあげた。
驚きのあまり震えていた身体は止まり、逆に目を見開いて俺を直視した。


「私も総二郎もその事件があったと言う事は知っているのです。でも宝生に残っている使用人にその当時の事を覚えている人はいない・・・だから探していたんです。あの時の事を知っている人をね・・・」




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