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シンガポールのホテルで目を覚ましてからすぐに部屋のパソコンでウィンリーコーポレーションを調べた。

藤本が住所を送ってくれていたからスマホで確認したけど、このホテルからそんなに離れていない・・・業務開始の9時になったらすぐにアポを取る為に電話番号を控え、ついでに何か判らないかともう1度ホームページを詳しく見ていた。

朝食はルームサービスで簡単なものを持ってこさせ、その殆どに手をつけずに珈琲だけ飲んで、最近の事業内容やこれからの予定などを探っていった。


でも以前藤本からもらった資料と大差は無いし、新しい記事なんかもなかった。
強いていえばアマンダ・ウィンリーのプロフィールがあの資料よりも多少詳しい程度・・・そこを読むと、確かに好きな国は「JAPAN」と書いてある。

その「JAPAN」が好きって言うのと、和風が好きって言うのは果たして同じ意味合いだろうか・・・?
趣味は音楽鑑賞と旅行、写真に映画鑑賞・・・全然そんなイメージ無かったけど?

もしかしたら日本が好きな理由って他にあるんだろうか・・・そんな気がして、今度はウィンリーコーポレーションではなく、夫人の名前で検索したら予想外の記事があった。


『アマンダ・ウィンリー、また日本のアイドルを自宅に招く!』
『人気若手俳優の自宅で張り込み、警察に補導されるアマンダ』
『日本の俳優が細い子が好きと言ったから、ダイエットで10㎏減らしてみせると公言!』

『日本のアイドルグループのコンサートの為に重要会議を延期』
『会社の経費をアイドルとの撮影旅行に使ったのではと疑惑の目を向けられたアマンダ』



「・・・・・・・・・」


好きなのは日本のイケメンアイドルって事?!
それも「和風」の括りなの?!



道理で桜や紅葉が判んない訳だ!歌舞伎のセリからアイドルが出て来る場面を期待したのか?!
あまりの衝撃にサーッと血の気が引いて気を失うかと思った・・・。


真っ白になった時間は3分ほど・・・その間に気分をリセットし、急いで藤本に電話を掛けた。
どう考えたってこんな経営者の元で大規模ホテル計画なんて有り得ない!特に最後の記事が本当なら、これを見落とした花沢にも問題ありだ!


『おはようございます、専務。まだ頼まれた調査は出来てませんが?』

「判ってる。ついでに調べてもらえる?この案件だけど、これだけの事業で初めての取引だから当然リスク管理室に調査依頼が行ってるはずなんだ。本当にその部署でウィンリーコーポレーションとその代表者が調査されたのか調べてくれ。もしかしたら小細工されて通過してるかもしれない」

『え?うちのリスク管理室を素通り?そんな事出来るんですか?』

「役職の人間が絡めば出来るかもしれないからね。紙ベースとは別にパソコンでデータ転送してるはずだからリスク管理室にそのデータが保存されてるかのチェックと管理室長に話を聞いて!」

『まさか素通りしたものが社長の決裁に回されたと?』
「その可能性もある・・・そしてこの計画自体が架空の可能性もあるから前に頼んだ建設予定地の調査、早急に頼む!!」

『畏まりました・・・』
「なに?その返事」

『いえ、こういう時は素早いな、と思っただけです』


素早くもなるよ!!つくしの無事が判んないんだからっ!
「いいから急げ!」と言って藤本との電話は切って、すぐに電話を掛けたのはロシアの司。



『・・・・・・なんだ、類』
「仕事中にごめん!悪いんだけど道明寺のプライベートジェット、貸して?」

『・・・どうしてだ?』
「つくしがあの男に連れ去られた。本気で花沢を手に入れようとしてるのかもしれないんだ。行き先はシンガポール、すぐに手配してもらえない?」

『何だと?!判った、その代わり絶対に負けるなよ!!』
「勿論!」


次に掛けたのは・・・


『もしもーし!なんだ、類か?つくしちゃんの件で掛けてきたのか?いつ来るんだよ』
「総二郎、それよりも現金200万持ってすぐにシンガポールに来てくれない?」

『・・・なんで?』
「つくしがシンガポールに連れ去られた。急いで成田に向かって司のプライベートジェットに乗ってくれる?その途中にうちに寄って桃太郎と菊次郎を連れて来て!」

『・・・悪い。お前が何言ってるのかさっぱりなんだけど?桃太郎って誰だ?弟いたっけ?200万って現金じゃないとダメなのか?』
「詳しい事はこっちで話す!俺はもうシンガポールに居るからさ、とにかく急いでるんだって!」

『でもさ、俺、今日の夜は飲みに行く約束してるんだわ。それまでに帰ってこれる?』
「こっちで飲ませてやるから!帰国の予定が判らないから家元にごめんねって言っといて!」

『俺が自分で言うのかよ?!怒鳴られるじゃねぇか、お前が言えよ!』
「・・・8700万円のことバラすよ」


『・・・すぐに行く』
「助かる!オーチャードにあるFホテルに部屋取ってるから!」


そして加代にも電話して桃太郎と菊次郎の旅支度を頼んだ。専用の餌の準備だけだけど。




*******************




着替えを済ませて1階に降りたら、昨日の監視の男性が立っていた。
そして奥がダイニングだと言われ入って行くと、そこの大きなテーブルに派手な花が置かれてて、美味しそうな朝食がズラッと並べられていた。
花沢家の朝の香りと違う甘ったるい匂い・・・何だかつわりが戻って来そうで気持ちが悪くなった。

正面に座っているのはアルフレッドさん。
今日も爽やかな笑顔を私に向けて、類みたいな茶色の瞳を細めた。


「おはよう、つくしさん。よく寝られましたか?」
「・・・おはようございます。こんな所に連れて来られて爆睡なんて出来ませんわ。でも、今日の夜には自分の家で寝られるんでしょうから問題ありません」

「・・・そうですか。まぁ、朝からそんな怖い顔しないで食べてくださいね。栄養摂らないといけないでしょ?」
「あなたにご心配いただかなくても大丈夫です」


朝食が用意されている席に座ったら、管理人さんと思われる女性が飲み物を持って来てくれた。
目の前にあるのはクロワッサンにパンケーキ、野菜がたっぷり入ったホットサンド。それにレモンヨーグルトとフルーツの盛り合わせ、グリーンサラダ。
「お好きなものをどうぞ」と綺麗な英語で言われてホカホカのオムレツを置かれた。

不味い・・・気分は怒ってるのに美味しそう。戻ってくるかと思ったつわりっぽさも引っ込んじゃった?
既に自分の顔が笑ってるような気がしてほっぺたを触ってしまった。


アルフレッドさんはそんな私を見てクスクス笑いながらトーストを食べてる。
黙っていれば本当に素敵なのに・・・。

「日本人にはお米は合わないかもしれないですが、パンは美味しいですよ。ほら、遠慮しないで?」
「遠慮なんかじゃありません!家じゃないから・・・いつもと違う朝だから調子が出ないんですよ」

「・・・そんなに自宅が好きですか?」
「そりゃそうでしょう、自分の家なんだから!あなただってそうでしょう?」

「・・・私は外の方が好きなのでね。自宅には殆ど帰りませんから」


この後、アルフレッドさんは俯いて目線を下げた。その時、この人の何処かに不気味なものを感じると同時に、悲しみを含んだ目をしてるって感じた。
その目・・・見覚えがあると思ったら自分が瀧野瀬に閉じ込められていた時と同じかもしれない。

あんな顔して過ごしていたなぁって、宮崎に居た時の孤独な自分を思い出していた。


でも、何故だろう・・・この人は何にも縛られずに自由に移動して普通に暮らしているのに。
笹本さんが類に話していた「彼の出生」に関係してるのかしら?


「私の顔に何か付いていますか?」
「あっ・・・いえ、ごめんなさい」

「ここの管理人はなかなか腕がいいでしょう?」
「・・・食べたら出掛けるんですか?せっかく用意してもらった服だけど、こんな格好で謝りに行くんですか?」


「・・・・・・あぁ、言い忘れていましたね。ウィンリー夫人はもうあなたには会う気はないそうですよ。あなたには別の仕事をしていただきます。暫くこの屋敷から出られないと思って下さいね・・・花沢つくしさん」


「・・・別の仕事?」


ニヤリと笑った彼の顔・・・また怪しく不思議な目に変わった。



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Comments 4

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2019/05/22 (Wed) 05:39 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、おはようございます。

動物検疫はあるんでしょうが・・・ははは!無視しました♡
普通の飛行機だとすぐには乗れないので、ここは司君に頼んだのですが、めっちゃ無茶な設定です(笑)

ええっ!総ちゃんには期待しないんですか?!(爆)

そしてこの間に可哀想なのが梅三郎・・・(笑)泣いてるんでしょうね💦
ごめんね、梅三郎~💦

2019/05/22 (Wed) 08:07 | EDIT | REPLY |   
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2019/05/22 (Wed) 08:34 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

みわちゃん様、こんにちは!

あっはは!気が付きました?(笑)
最後に書こうと思っていたのに~❤そうそう、類君はそんなもの知らないんですよ💦
カードの人ですからね!

恐らく自分で銀行のATMにも行ったことは無いと思います!

状況は誘拐ですが、お話しはおふざけ・・・困ったもんです💦


総ちゃん・・・ははは、どんどん闇が深くなる💦
でもかなり後半になったんですよ、これでも💦

真冬に始まったのにもうすぐ夏・・・いや、その前に終わるんじゃないかな?
こんな大袈裟な話になるとは思わなかったのは私・・・。

ラストは絶対に明るくするぞーーっ!って思いながら、闇の世界を毎日書いてます・・・。どんより💦

2019/05/22 (Wed) 10:56 | EDIT | REPLY |   

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