FC2ブログ

plumeria

plumeria

シンガポールに来て2回目の夜・・・やっぱり誰とも話をせずに部屋に閉じ込められたままで息が詰まりそうだった。
置いてある着替えは数日分用意されてるし、それを見たら日本に帰れるのがいつなのかと不安になる。

類とも連絡が取れないからどうしてるのかも判らないし、こっちから何も伝えられない。
昨日と同じ真っ暗な外を見ながら焦る気持ちを抑えるのに必死だった。


「でもきっと来てくれるはず・・・類なら絶対にここを見付けてくれるわよ。大丈夫・・・大丈夫。だって宮崎だって私より先に池で待ってたんだもん、絶対に来てくれるわ」

ベッドの中でそう言ったらポコン!とお腹を蹴られた。
「くすっ、あんたもそう思う?」ってお腹を摩ったらもう1回ポコン!・・・私を勇気づけてくれてるみたいで嬉しかった。

この子を守らなきゃって思うと同時に、今はこの子が居るから1人じゃないって気がする。
まだ姿も何も見えないし、男の子か女の子か判らないけど頼もしい・・・凄く力強い私の味方がここに居るんだって思いながら自分のお腹を抱きかかえるようにして眠った。

きっと類も1人で淋しく寝てるんだろうな・・・。
彼の方が淋しがり屋だから心配・・・添い寝してくれる人だって誰も居ないもんね。

ポコン!・・・くすっ、また蹴った。


「・・・最近はパパがずっと摩ってくれてたから今日はママが摩ってあげるね。おやすみ・・・」




そして次の日の朝・・・。

朝食だけは下に降りて一緒に食べると言われ、また監視の2人が両側にくっついたままダイニングに向かった。

そこには昨日と同じようにアルフレッドさんが居て、部屋には美味しそうな朝食の匂いがする。カラフルな花が飾られたテーブルの向かい側に座らされ、今日も彼を真正面から睨んだ。


「おはようございます、つくしさん。そんなに怖い顔をしないで下さい。いいお天気だ・・・庭からの眺めもいいでしょう?」

「・・・どんな天気だろうとこの状況で笑顔なんて出来ないでしょ。やっぱり今日もここに閉じ込めるの?こんなの長引かせたらあなたの罪が重くなるだけだと思うけど」

「大丈夫ですよ。ウィンリー夫人とは色んな意味で契約が出来てますから、あなたとは今でも話し合いの最中・・・そう言う事になっていますよ」

「・・・・・・私が戻らなければ花沢家が黙っていないわ」

「それも大丈夫です。日本の花沢物産ではあなたがシンガポールで頑張ってることになっているはずです。いい知らせが届けられるかどうかはあなたに掛かっているんですよ」

「・・・私が頑張ってるって・・・どういう事?どうして花沢でそんな話が出るの?」

「ふふっ、気が付きませんか?あなたを送り出した人が居るでしょう?」


私を送り出した人・・・って?!
まさか江本課長がこの人と繋がってるの?!


「課長が?あの人が・・・まさか、そんな!」
「日本は彼が上手く抑えてくれる手筈なのです。もしかしたらこの事業のエバンス側の担当者は彼になるかもしれませんね。ホテル建設が先か、合併が先か・・・それ次第ですね」

「・・・合併が上手くいけば彼をエバンスに雇うってこと?」
「それはまだ言えません。なにも話は進んでいないのでね」

「でも、類は絶対にこっちに来てるわ。あなただってそう思ってるんでしょう?その時点でこの度の事が疑われてるはずよ!いくら江本課長がそんな事言ったって・・・」
「それは彼があなたの事となると自分を見失うと周囲に知られているので問題ありません。きちんとした謝罪なのに慌てて追い掛けたって事になってると思いますよ?」

「た、確かにそうだけど・・・でも!」
「まぁまぁ、そんなに興奮しないでください。では、食事をしましょうか。栄養摂らないとお子さんが可哀想ですよ?」

「・・・ご心配なく!数日間食べなくても私の身体から幾らでも栄養をあげますから!」


グゥ~・・・そう言った途端に鳴るお腹。
自分でも信じられないと思ったけど、ここは子供のために出された朝食を残らず食べた。

悔しいけどこれが妊婦の現実・・・お腹が空いて我慢出来なかった・・・。


食事が終わったらまた部屋に戻って昨日と同じように1人で過ごした。

何もする事がない。
誰とも喋らない・・・たった1日で見飽きてしまった窓の外を今日も眺めていた。




***********************




朝、隣にほんわかとしたあったかいものを感じた。
そっと手を伸ばしたら・・・人肌がある。

なんだ・・・つくし、戻って来たんだ。道理で隣があったかいんだね・・・ってまだ目を開けられないけど嬉しくなった。
だから手を伸ばして、そのあったかいものを引き寄せた。


流石妊婦。引き寄せたけど前よりは動かない。
そうだよね・・・最近また少しお腹が出てきたから仕方ないよね・・・。

そんな事を考えながら自分の身体を少しだけ起こして”つくし”に近寄り、朝のキスをしようと顔を近づけた。

あれ?何だかちょっとゴツゴツしてる・・・つくし、身体は丸くなったのに顔は痩せちゃったんだっけ?
まぁ、いいか・・・。


「つくし、おは・・・」
「おはよ、類・・・どした?」


「・・・うわあああぁーーっ!!」


唇まであと10センチってところでその声を聞いて、ハッと目を開けたら俺の真下にあったのは総二郎の顔!!!
こいつもまだ寝惚けてて目を擦ってたけど、あまりの至近距離に驚いて後ろに飛び退いたらベッドから落ちた!

それをモゾモゾと起き上がって見下ろしてる総二郎・・・大欠伸しながら髪を掻き「どうしたぁ?」って惚けた声を出された。


「なっなっ、なっ・・・何で、総二郎が俺のベッドに居るんだよっ!!」
「はぁ?あぁ・・・だってよ・・・桃と菊が両隣で寝てるんだから暑くて暑くて・・・で、真夜中に抜け出してソファーで寝てたけど、身体が痛くなったからお前のところに来たって訳。ふあぁ~、よく寝た!」

「それなら俺を起こせよ!男が隣で寝てるだなんて思わないじゃん!」

「ははっ!女じゃなくて残念だったな!その言葉、つくしちゃんには黙っといてやるよ」
「そうじゃない!つくしだと思ってもう少しで・・・!」

「もう少しで?なんだ?」

「・・・何でもないっ!!」


もう少して総二郎にキスするところだったとか言えないし!!
まだドキドキしてる心臓・・・自分の胸を押さえながらヨロヨロと立ち上がったら、ドスン!と2匹に体当たりされて今度は顔面から倒れ込んだ!

「ワンワン!!ワンっ!!」
「ワン!!」
「・・・元気だね、お前達」

「類、先にシャワーするからモーニング、適当に宜しく!」
「・・・判った」


いや、このぐらいでガックリしてちゃいけない・・・今日はウィンリーに乗り込んで夫人から真実を聞き出すって決めてるんだから。そしてアルフレッドの潜伏先を探し出してつくしを救出するんだ・・・。

つくしが俺を待ってる・・・大きなお腹を抱えて不安に押し潰されそうになってるはずなんだから!
その為に2匹と総二郎をここに呼んだんだから!それなのにっ・・・!!


「「ワンワン!!ワオォ~ン!」」
「・・・遊びに来たんじゃないぞ、桃太郎、菊次郎!言うこと聞かなかったらシンガポールに置いて帰るからな!」

「「ワン?!」」



朝食を男2人で食べて、2匹にも餌を与え、準備は完了。
先ずはウィンリーコーポレーションに昨日と同じように電話を掛けた。


『おはようございます、ウィンリーコーポレーションでございます』
『昨日連絡をいただけなかった日本の花沢です。社長に会いたいのですが本日のご予定は?』

『・・・あぁ、それは大変申し訳ございませんでした。社長には伝えておりますが、忙しくてお時間が取れそうにないと言っておりましたわ。一応社長本人からミスター・ハナザワにお電話すると言っておりましたけど・・・』
『掛かっていないのは事実です。ところで本日はそちらにいらっしゃるのですか?』

『いえ、生憎と本日も出掛けておりますわ』
『・・・判りました。もう結構です』



直接「花沢」として会いに行っても無駄って事だよね。
それじゃ、やっぱり・・・やるしかないか。


「総二郎、出番だよ!」
「ん?何が?」





15566712620.jpeg
関連記事
Posted by

Comments 4

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/05/26 (Sun) 01:48 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/05/26 (Sun) 06:36 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは!

あっはは!惜しかったでしょ?10㎝♡

おばさんと類君なら類君の方がいいですか?(笑)

ふふふふ、それはね・・・駄目です。禁断のお話しは書けません💦
へへへへ、いつ、アウトになるかな?(笑)

2019/05/26 (Sun) 10:57 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは!

あはははは!惜しかったですか💦
万が一しちゃったら、総ちゃんも寝惚けて抱き締めそうですけど💦怖いよ~!

いやいや、類君のイメージをこれ以上崩す事は出来ません(笑)
ただでさえ格好いい類君からほど遠くなってるのに・・・。

お叱りの声が聞こえそうでビビってる私です(笑)

2019/05/26 (Sun) 11:02 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply