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今日もお昼ご飯は1人・・・エアコンが効いた部屋ばかりに居るから食欲もない・・・でも窓を開けたら蒸し暑い。

こんな土地に慣れていないし、3日前までは雪が降ってもおかしくない所にいたんだから調子が狂って当たり前・・・何だかつわりの時よりも気が滅入ってお昼間なのにベッドで横になっていた。

その時に部屋をノックされ、監視の女性が入ってきた。


『失礼・・・あら、具合が悪いですか?』
『・・・こんな所に閉じ込められて気分がいい訳無いでしょう?何か用ですか?それとも日本に帰してくれるの?』

『ごめんなさい、そうではありませんが・・・あなたにお客様ですので』
『えっ!類が来てくれたの?!』

『・・・いえ、それも違います。アルフレッド様のお母様ですわ』
『・・・・・・はい?』



監視の人の説明によるとアルフレッドさんは外出中だけど、日本から彼のお母さんが急に訪ねて来たらしい。
そして私に会いたいと・・・それを拒否していいのか悩む間もなく部屋の前にはその人が来たみたいで、女性は私の返事を待たずに「Please come in」と中に招き入れた。

入ってきたのは優しそうで上品な日本人のおばさん・・・と言うか、奥様って言い方の方が似合いそうなほど、派手じゃ無いけど身なりもきちんとしていて立ってる姿が綺麗だった。
その人に丁寧なお辞儀をされたから、慌ててベッドから降りて私も頭を下げた。

アルフレッドさんとよく似た目をしてる・・・彼のお母さんってイメージとは掛け離れていたけど、親子なんだなって感じさせた。


監視の女性は部屋を出ていき2人だけ・・・私は自分の部屋でもないけど「どうぞ」とカラフルなカウチに案内した。


「・・・えっと、あぁ!飲み物出しますね!私のじゃないけどこの部屋に冷蔵庫があって自由に飲んでいいって言われてるから。お母様、オレンジがいいですか?他にはですね、ライムとかマンゴーとかパパイヤのジュースもあるんですけど」

「あっ、いえ・・・お構いなく。あなたもどうぞお座り下さい」

「・・・じゃあ一緒にライムジュース飲みましょうか?私、結構気に入ってるんです」


アルフレッドさん以外では久しぶりの日本語。
それにこの人からは危険な感じがしない・・・穏やかで優しそうな表情だったから、安心して気軽に話し掛けた。

グラスにジュースを入れてトレーに乗せ、テーブルに置いたら「ありがとう」って言われた。その消え入りそうな声は、あの自信家のアルフレッドさんとは正反対。
遠慮しながら生きてきたのかなって思ってしまうほど、小さく踞るように座っていた。


「あの・・・それでここにはどんなご用件で?今回の事にお母様も関係してるんですか?」
「あっ、いえ・・・私は仕事の事とかエバンスに関係してないんです。会長さんとも・・・もう何年も音沙汰無しで・・・」

「そうなんですか。会長さんって表向きにはアルフレッドさんのお爺様ってなってるけど本当はお父様・・・なんでしょ?」
「・・・ご存じでしたの?えぇ、そうなんです。イギリスの奥様には申し訳ないのですけれど・・・」

それを言われるとなんと答えていいのか・・・確かに浮気は反対だけど、恋心は誰にも止められないしねぇ、なんて初恋がそのまま結婚になった恋愛経験1回の私には苦手な話だ。
だからその部分はオブラートに包む事にして話題を変えた。


「それでご用件ですけど?」
「・・・あなたにお詫びしようと思って来ましたの。聡がご迷惑をお掛けしてるんでしょう?」

「さとる・・・って誰ですか?」
「あぁ、聡というのはアルフレッドのことです。その名前は英名で、本名は緑川 聡・・・って言うんです。私達は結婚していませんからエバンスという名前は付けられません。でも会社ではその方がいいと言うことでアルフレッド・エバンスと名乗ってるんです。不思議な事に聡は髪の毛の色が黒ではなかったので、外人だと思われることも多かったから・・・」

「そうなんですか!うわっ、本当は緑川さんなんですね?」
「はぁ・・・そうなんです」


確かに外国人だと思った。類だってそんな顔立ちだし髪の毛も茶色だけど、それよりも金髪に近かったから。

はぁ・・・「緑川さん」。
すっごく不思議な感じがするし似合わない気もするけど、その方が親しみやすくていいんだけどなぁ・・・。


「実はこのところ、聡の様子がおかしいと思って会社の方にも色々と相談していたのです。そうしたら少し前に道明寺ホールディングスなんて大きな企業相手に勝手な行動をして怒りを買ったと聞きまして・・・その時にも戒めたのですが、そうでもしないとエバンスから認められない、一生表に出してもらえないと大声で私に怒鳴ったんです。そうしたら今度は花沢物産でしょう?
気になってまた会社の方に聞きますと、あなたを連れてシンガポールに行ったなんて聞いて・・・ごめんなさいね、何か無茶をしているのでしょう?」

「・・・はぁ、確かに無茶って言うか・・・私はシンガポールに来るだなんて知らずに飛行機に乗せられましたから」

「あの・・・もしかして妊娠されてます?それともそれが普通?」

「・・・妊娠6ヶ月です、お母様」


普通って何?それって幼児体型って言いたいの?幼児だってこんなにお腹だけ出てないでしょっ!
ほら!って感じでお腹を突き出したら「あら、失礼」なんて、また頭を下げられた。


「本当にごめんなさい。妊婦のあなたにこんな事して、何かがあったら責任が取れないのに・・・そうまでして表舞台に立たなくてもいいと言っても聞かなくてねぇ。随分辛い子供時代だったから色んな意味で見返してやりたいんだと思うんですけど、私はそれよりも落ち着いた静かな暮らしを望んでるのに・・・」

「辛い子供時代?何があったんですか?」

「・・・聡はインターナショナルスクールに通っていたんですが、そこで『父親に捨てられた子』みたいな言い方をされて来たんです。大人になってもエバンスでは働けない、父親はお前の事は見捨てた、なんて言われてしまって凄く荒れていました。
その理由が母親が日本人だから、なんて言う子供が居て随分と私にも反発していました・・・」


お母様の説明は続いた。
そんなイジメにも耐えて大学まで進学して経済学や経営学を学び、会長・・・つまりお父さんに会えたのは23歳の時。
彼の成績を見て役に立つかもしれないとエバンスホールディングスには入れたけど、エバンス一族には入れてもらえず「緑川聡」として南米の系列会社に入社した。

「だから類達は全然知らないのね?歳が近いのに不思議だって言ってましたから」
「・・・南米なんて私も驚いて止めたんです。知らない土地で1人暮らしなんて心配で・・・でも、子供じゃ無いからって飛び込んで行ってしまってね・・・野宿でもされたらどうしようかと」

「・・・・・・」

野宿経験者の私には何も言えない・・・段ボールでも意外と寝られますよ?って言ったら驚くだろうな。


そこでの功績が認められて2年後にはアメリカのエバンスホールディングスに「アルフレッド・エバンス」を名乗って異動し、そこでも多くの実績を残してやっとお父さんに認められて1度イギリスに呼ばれた。

でも、自宅には招かれなかった・・・日本人の愛人の子供として扱われ、異母兄弟からは蔑んだ目で見られたそうだ。


「私にはエバンスの財産なんて興味ないんです。確かに凄く歳の離れた人でしたけど、本当に好きでしたから子供が出来て嬉しかったんです。だから私だけで育てようと覚悟して産みましたが、会長は暮らしに困らないようにとマンションや金銭援助をしてくれました。それも聡が大学を出るまでにしてもらって、今はやり取りはなにもありません。充分過ぎるほど良くしていただきました。
でも、あの子にはそれだけでは我慢出来なかったんだと思います・・・だから必死になって周りが見えなくなってるんです」

「自分の能力を認めて欲しいんでしょうか?」

「・・・能力というか・・・多分、親子として優しい言葉が欲しいのではないかと思うんです。でも会長は厳しい人ですし、聡については23年間殆ど成長を見てないので可愛いという感情が無いのかもしれません。
アメリカに異動した時も子供とせずに孫扱いにして、ひと言だって会話もせずにエバンスに入れられた事がショックだったんでしょうね・・・。家族の1人としてでは無く、能力だけを求められて引き抜かれ、出来なかったら罵倒される・・・凄く悔しいんだと思います」


判るなぁ・・・その気持ち。
何処か私と似てる部分があるんだ。お爺様が欲しかったのは私の才能だけで、それを利用して不正までして会社を大きくさせた。失敗すると取り戻すまで五月蠅く言われ続けた・・・そして孤独だった。


でも、類と出会うことで人生が変わった。
アルフレッドさんにもそんな出会いがあれば、別の光を見付けられるんじゃないかしら。


「あなたの事は私からも聡に言ってみますけど、私には会社の事が何も判らないの。もう少しだけ我慢して下さいませんか?決して無茶はさせないから、あなたも自分から動いて危ない目に遭わないようにして下さい。本当にごめんなさい・・・お身体、大事にしてね」

「はい、お母様。お気遣いありがとうございます。多分類が・・・主人が助けに来てくれると思いますから、私は信じて待ちます」


お母様は優しい笑顔を残して帰って行った。
少しだけ彼の事が判ったのは良かったけど、類・・・今頃何処で何してるのかしら?




************************




「・・・ねぇ、絶対にバレない?」
「バレねぇよ!ってか、俺1人は許せねぇし!」

総二郎に1人でバーに行ってもらおうとしたのに、これまでの話がややこしいからってとうとう「瑠那」まで出動する事になった。


「だからさ、1回社長には会ってるんだよ?そりゃ話はしてないけど最近の事だし覚えられてるって!」
「だから見た目を変えようってんで買ったんだろ?いい加減に諦めろ。こんな事もあろうかと持って来たんだ、前回使ったネックレス。これでお前が録音しろ!」

「こんなの颯太が録音しても同じじゃん」
「ゴチャゴチャ言うな!つくしちゃん、助けたいんだろ?!」


それを言われたら拒否できない。
総二郎に言われたとおり、一時的に髪を黒に染めて黒目強調のカラーコンタクトを入れた。勿論あの時みたいに髪型もチェンジして後ろに流して固めた。

つけた事もないルビーのピアスに派手なネックレス、そこに光るクロスにはあきら特製の録音式盗聴器が内蔵されてて、時計はジャガー・ルクルト。服は黒のシャツにスリムジーンズ、勿論ボタンは2つ開け。
カジュアルなのに身に付けてる物は最高級って仕上げで「瑠那」の完成・・・。

総二郎は真っ赤なタンクトップに黒のスキニーパンツ。こいつはサラ髪のままでアクセサリーは同じくゴールドで統一、ロレックスの時計に重たそうなバングルまで付けて「颯太」の完成。
何故かブラウンのカラーコンタクト入れてるのがよく判んないんだけど。


「おい、それも外せ」
「嫌だ!!」

「結婚指輪してるホストなんて邪道だろう!外せ!!」
「絶対に嫌だっ!!」


「外さねぇならこの場で帰国するぞ」
「・・・・・・くそっ!」


庭で愛を誓い合った日から1度も外して無いのにっ!!




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2019/05/28 (Tue) 00:29 | EDIT | REPLY |   
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2019/05/28 (Tue) 01:26 | EDIT | REPLY |   
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2019/05/28 (Tue) 06:28 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんにちは。

ホントだ!!私もすっかり忘れてた(笑)
総ちゃんのことばっかり考えてるからですよ~!

本当にねぇ💦なんで茶色にしたかったんでしょう?そこは気にしないで下さい(笑)
今後の話になんの関係もございません(笑)

類君が黒にしたから?自分もやってみたかったのかしら?

「颯太と瑠那」・・・シリーズ化は出来ないのでここで勘弁して下さい💦
今回の颯太はちと不味い・・・でも瑠那では力不足(笑)

勝者・アマンダ・・・かも?!

2019/05/28 (Tue) 14:35 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんにちは!

ははははは・・・もう書かないと思ったのに書いてしまったホスト颯太&瑠那(笑)
どんどん可笑しな話になってる気がする・・・「嘘つき」は結構真面目な話だったのに~💦

しかも類君がどんどんおかしくなっている💦えーん!!どうしよう~!!

いやいや、少しはLOVE度をあげて、真面目な話に戻しますからね♡
それまでは颯太&瑠那でお楽しみ下さい(笑)

2019/05/28 (Tue) 14:39 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

ほほほ、実はお母さんはいい人なんですよ。
彼にも可哀想な過去はあるんです・・・でも、許されませんけどね。

目を覚まさせて、真っ当な道に戻してあげないといけませんよね。
制裁は・・・道明寺に頼みましょうか(笑)楓さんなら立ち直れないぐらいやってくれそうですし。


あっはは!イケメンホスト(爆)
いい仕事が出来るといいんですけどねぇ💦おばさんに勝てるかどうかが問題です・・・総ちゃん、頑張れ!!
2匹はもう少し後かな?ちゃんと出てきますよ~♡

2019/05/28 (Tue) 14:43 | EDIT | REPLY |   

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