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plumeria

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「黙れ!!それ以上言うなーっ!!」
「桃太郎!菊次郎!!総二郎ーーっ!」

「きゃああぁーっ!」

私の目の前でアルフレッドさんが腕を大きく振り上げた瞬間、背中から聞こえてきた類の声に吃驚して耳を塞いだ!

次の瞬間には後ろに居た類が私の身体をふわっと抱きかかえて、そのまま自分をクッション代わりにベッドに倒れ込んだけど、すぐに私を下にして庇ってくれた!
お腹に何も当たらないように自分の身体を丸くして覆い被さって、私はその類の背中に銃弾が撃ち込まれるのかと思って彼の身体にしがみついた!

桃太郎か菊次郎、どっちか判らないけどアルフレッドさんに体当たりしたようなドスッ!と言う音が聞こえた時、「止めろ!来るなぁ!!」と言う怒鳴り声。「ワン!!」と大きく吠えたのは桃太郎?「ウウーッ!」と唸っているのは菊次郎?

でもどうして2匹がこんな所に居るの?!もう1匹呼んだのは誰?!まさか・・・梅三郎ーっ?!!
あの子達が撃たれたらいけないと、ジタバタしたけど類の力の方が強くて身動きが取れない!


パァーーン!!


乾いた音、だけど恐ろしい音が部屋に響いて「類!!」って大声で叫んだけど、彼の身体には何の振動もなかった。


「うっ・・・ぐっ・・・!!」

低い呻き声は確かに聞こえる・・・でも、それは私を抱きかかえてる類じゃなかった。
類もはぁはぁと荒い息を吐きながら大きな目を見開いてて、数秒後にバッと起き上がって後ろを振り向いた。

それでもまだ両腕は私の身体を守ってくれてる・・・その彼の腕の間から覗き込んだら・・・


「よっ!大丈夫か?つくしちゃん」
「・・・・・・」

「あれ?どっか怪我した?類も平気か?」
「・・・ん、大丈夫。少し腰捻ったけど」


えぇっ?!!西門さんが撃ったの?!
も、桃太郎に菊次郎はっ?!!



目の前には拳銃を構えたままこっちを見て笑ってる西門さんと、その両脇には桃太郎と菊次郎がアルフレッドさんを威嚇して身を低くして戦闘態勢だった!
アルフレッドさんは右手に拳銃は持ってるけど肩の辺りを押さえてる。そこが真っ赤になっていて、指先からは血が滴り落ちている・・・その血が彼の足元を赤く染めていた。


「う・・・う・・・」
「うん、撃っちゃった。ま、そうしないとつくしちゃんが危なかったからね」

「ありがとう、総二郎。意思疎通出来てるのか心配だったよ」
「任せとけって!弓道やってっからこういうの、得意なんだよ」


弓道と拳銃の何処が似てるのか良く判らなかったけど、西門さんは平然としてるし類もそこまで驚いてはいない。だけど私は吃驚し過ぎて腰を抜かしてしまった!
いくら相手が私を誘拐した人でも、目の前で怪我してたら手当てしなきゃ・・・そう思うけど足が震えて立つことも出来ない。
「あんたはそこで寝ときな」って、落ち着きを取り戻した類が立ち上がって西門さんの所に向かった。


「・・・くそっ!いつからこんなヤツが・・・」
「俺?ごめんな、類と一緒に不法侵入したんだけど、全部此奴の指示だから。恨むんなら類だけにしてくれ」

「巫山戯やがって・・・うっ・・・!」
「早く病院に行った方がいいと思うけど、ここの連中全員倒したからタクシーでも呼んだら?その前にこれまでの事を説明してもらおうか?」

「ちょっと!そんな暢気な事言ってないで手当の方が先でしょうっ!こんなに血が出てるじゃないの!」

「・・・さっきまで自分の頭撃てって叫んでたのによく言うよね?誘拐されたの、あんただよ?」


そう・・・言葉は出るけど身体が動かない。
片手だけ伸ばして類の腕を掴み、漸く立ち上がることが出来た。お腹は・・・・・・うん、大丈夫、痛くはなかった。
類もそれを気にして「痛む?」って聞いたけど「全然!」って言うとクスッと笑ってた。


いや!だから笑う場面じゃないからっ!!
アルフレッドさんの所に行こうとしたら類に引き止められ、私は1歩踏み出していたせいで、背中から彼の胸に倒れ込んだ。


「・・・類、でも怪我してるから!」

「このぐらいで死にゃしないよ。それに掠り傷で許してやるんだから逆に有り難く思って欲しいぐらいだけどね。それより聞いておかなきゃならないことがある・・・花沢内部の協力者は江本、それに間違いないよね?」


類を見上げたらいつもより何倍も怖い顔してる。
宮崎でお爺様を怒鳴った時よりもずっと冷たくて鋭い目・・・それを見たら何も言えなくなった。

この人にこんな顔をさせたのは私のせい・・・簡単に騙されてここまで来ちゃった私のせいだ。


「・・・・・・知らないな」

「知らない訳ないよね?あのパーティーで既に江本と接触してる事はバレてる。それにあんたが買収しようとする会社の人間を、まずエバンスの手先に仕立てる手法を取ってるのはもう知ってるよ」

「・・・くっ、五月蠅い!!」


アルフレッドさんは血だらけの右腕を左腕で支えて、また類にその銃口を突きつけた!でも、震えが酷くて引き金なんて引けそうにない・・・類はすぐに私の身体を自分の後ろに回して庇い、「桃太郎!菊次郎!」って叫んだ!

その声を聞いて2匹は西門さんの横から飛び出し、菊次郎がアルフレッドさんの身体に体当たり!それで倒れこんだ時に手放した拳銃を桃太郎が咥えて西門さんの所に持って行った。
西門さんはそれを受け取ると類に向かって投げて、自分が持ってる拳銃をアルフレッドさんの額に押し当てた!

菊次郎は血に汚れながらも前肢で彼を押さえ込み、反対からは西門さんに・・・それで完全に力を抜いて床に横たわった。


低い唸り声で菊次郎がのし掛かり、さっきまでおちゃらけてた西門さんも真剣な表情で引き金に手を掛けた。
類は投げられた拳銃を持ったけど撃つ構えはしない・・・私に「心配するな」って囁いてアルフレッドさんの足元に立った。


「もう1度聞く・・・協力者は江本だね?これが上手くいったらエバンスの幹部候補とでも言った訳?」

「・・・あぁ、そうだ。仕事好きなあんたの奥さんなら会社の為って言えばどんな無理難題でも引き受けるだろうってな。だからあんたのスケジュールを調べさせて社内に居ない時に実行したんだよ。成功報酬はあんたの言った通り、役員のポジションを約束してやった。そうしたらパーティー会場ですぐに承諾したんだ」

「ウィンリーコーポレーションのホテル建設は嘘じゃないけど改竄してホテルの規模を大幅に変えてる。どうするつもりだった?」

「・・・いずれにしてもこの計画はウィンリーコーポレーションの我儘で中止か縮小に持って行くつもりだったからな・・・花沢とデカいホテルなんて作るつもりはなかったさ」


類はこの話が終わった時にネックレスのクロスに手をやって、その指が何かを押した。
私がその仕草を見ていた事に気が付いて、「これで録音してたんだ」って・・・って事は、私の「頭撃って!」も録音されてたの?!



「1番初めの質問に戻ろうか・・・どうしてそこまで花沢を欲しがった?そんなに会長・・・あんたの父親に『土産』を渡したかったの?」

その言葉に彼は悔しそうな顔を見せた。
類の質問には答えようとしない・・・この人の肉親に対する憎しみみたいなものを感じた。


愛情と紙一重の憎しみ・・・振り向いて欲しいが為に繰り返した「罪」


「答えたくないならいい。でも、これでつくしは返してもらう。総二郎が撃った件と下の連中の怪我は、あんたがこれまでに花沢にした虚偽の契約持ち込みを帳消しにするって事でいいよね?騒ぎにするのはお互いの会社にとってもマイナスだから」

「・・・・・・逆に聞いてもいいか」

「なに?」

「さっき言ったよな・・・子供は見捨てないって。自分の目で成長を見届けたい・・・辛い事は我慢出来るし笑顔が見られたらそれでいいって・・・そいつは本心か?」

「勿論。俺はつくしと産まれてくる子供の為に生きてる。今はまだこの世に居ないけど、この2人が俺の希望だから」


西門さんが額に当てていた拳銃を外し、立ち上がった。
菊次郎も押さえ込んでいたアルフレッドさんの身体の上から降りて桃太郎と並んだ。

アルフレッドさんは目を閉じたまま仰向けに倒れ込んで、右腕が痛むのか苦しそうに眉を顰めてる・・・それは傷の痛みだけじゃなくて心の痛みなのかもしれない。

類の手を解き、私はバスルームにあるタオルを数枚とってきて倒れてるアルフレッドさんの所に向かった。


「つくし!」
「大丈夫・・・ちょっと待っててね、類」

そう言ったのに心配性の類は桃太郎を私の傍に来させた。

桃太郎を真横において彼の右手側に座り肩の辺りをタオルでギュッと縛った。
その時に苦痛な表情を浮かべたけど、出血の様子からそこまで深い傷じゃないみたい・・・西門さんがわざと掠める程度の場所に撃ったとしたら確かに凄いなぁって思いながら、もう1枚のタオルで傷口を軽く覆った。


「早めに病院、行って下さいね」

「・・・情けなんて掛けなくていい・・・どうせこれに失敗したら私はもうお払い箱だ・・・」

「それならそれでいいじゃない?気が楽になるでしょう?」

「何だと?!」


「・・・確かにあなたのお父様は酷かったのかもしれない。でも、ここまであなたの事を心配して来てくれるお母様が居るじゃない。そんな家族が1人でも居るって嬉しいものよ?あなたは1人じゃないんだもの・・・力を抜いて生きていけば別の楽しみが生まれるわ」





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2019/06/05 (Wed) 07:53 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは!

はい♡海を渡ってきた甲斐がありました♡
これで暑いシンガポールから帰れそうで何より・・・って帰ったらこのお話しの日本は冬なので風邪引きそう💦

アルフレッドさんにはここらで退場していただいて、これから200万円のお説教と総ちゃんへのバイト代でしょうか?(笑)
類君、命かけて頑張ったのにねぇ💦

ドタバタの初海外、これで何とか終われそうですね!


独りぼっち(?)の梅三郎、もう少し我慢しててね♡

2019/06/05 (Wed) 10:47 | EDIT | REPLY |   
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2019/06/05 (Wed) 14:23 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、こんばんは!

第一声が総ちゃん💦
そして類君のコメントの後に沢山ついてる「うん」が凄く気になります💦

腰ね、うん、大事にしないとね(笑)


桃太郎も菊次郎もよく頑張ったでしょ?
何気に総ちゃんに懐いてるところが気になるけど(笑)

落ちてる拳銃も何故総ちゃんに届ける?って後で思ってしまった💦


事件も終わったんで、後はほのぼのとラストに向かいまーす!!

2019/06/05 (Wed) 23:40 | EDIT | REPLY |   

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