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ホントにお人好し・・・数日間自分を拘束していた男を簡単に許しちゃって。

総二郎も横で呆れてるし、菊次郎も大欠伸・・・桃太郎にはしっかりつくしをガードするように合図したからアルフレッドに向かって威嚇し続けていた。

もう抵抗する気も失せたのか寝転がって天井を睨んだまま動かない・・・その口が最後、悔しそうに動いた。


「家族・・・そんなものは俺にとっては色んなヤツから馬鹿にされる原因にしかならなかった。
大企業の経営者が父親であっても母親が愛人だったからって蔑まされて、裕福な暮らしはさせてもらったが借り物の暮らしだと馬鹿にされた。そんな暮らしをしたって将来は約束なんてされない・・・影みたいな存在だと笑われた」

「アルフレッドさん?」


「・・・父親は気に入った東洋人の愛人に子供が出来た事なんて邪魔でしかなかったんだ。だから決して認めようなんてしなかった・・・エバンスなんて名乗れるようになるまでどれだけ苦労したか!
いくら業績を上げても要求は止まらないし、それが出来なかったら罵って自分の本当の息子と比べるんだ。出来が良い奴等じゃないのに、本妻の子供だからって学生の頃から役員待遇で偉そうにしやがって・・・!」


自分の不幸な境遇を、何処を見る訳でもなく吐き出して、つくしはそれを真横でジッと聞いていた。
似ているわけじゃないけど共通点がある・・・家族からの愛情を受け損ねた子供時代。

誰にも言えずに1人で抱え込まなきゃいけなかった・・・その部分には同情しているのかもしれない。



「・・・あんた、自分だけが不幸な子供時代だったと思ったら大間違いだよ」

「・・・それこそあんたには判んないだろうさ!」

「確かに俺は本妻の子で後継者って事は確定してるから、そうじゃないあんたが受けた心の傷は判らない。俺じゃなくてつくしだよ。つくしは自分の家族から孤立させられて、中学生の頃から好きでもない仕事をするように命令されてたんだから。」

「・・・なに?」


天井を見つめていたアルフレッドの目が俺を見た。
逆につくしは「言わなくていいよぉ!」って頬を膨らませて振り返ってる・・・総二郎も少し驚いたように俺とつくしを見ていた。


「つくしの能力は語学だけじゃない。他にも色々特技ってものを持っててね、その力を利用されて子供の時から自分の爺さんの不正の協力者になったんだ。何も知らずに14年間・・・自分のしてることが違法だって事を知らないまま、毎日たった1人で誰とも接触しないで生きてきた人だよ。そこから抜け出したくて、勇気を振り絞って東京に出てきて俺と出会ったんだ」


「そうだったんだ?つくしちゃんにそんな過去があったなんて信じられねぇな!」
「あっはは、西門さん!・・・実はそうなのよ・・・」

「って事は8700万円はつくしちゃんのおかげで・・・」
「・・・ん?なぁに?」

「いや、何でもねぇよ!ありがと、つくしちゃん!」
「はっ?!」
「つくし、総二郎の戯言を聞いちゃダメ」



またアルフレッドは視線を天井に戻した。
悔しさと痛みで歪んだ眉の縦皺は一層深くなった気がする・・・つくしはそんなヤツの横を動かずに座ったまま。

「つくしの爺さんも彼女が失敗したら損失を取り返せと怒鳴ったんだって。つくしはそれが会社の為だと信じてパソコンを操作し続けたんだ。取り返せば自分は会社の・・・家族の役に立ってると思えるからね。
それなのに手に入れた金は爺さんの欲を満たすために使われ、不正取引の工作費用に使われたんだ。共犯の男と結婚までさせて、一生裏金作りに利用しようとしたのが自分の身内・・・それでも彼女は後ろなんか向かずにこうやって笑って生きてるんだ」

「・・・・・・不正の共犯・・・・・・身内に・・・」


「だからつくしにはあんたの気持ちが少しは判るのかもね・・・」




******************




もうアルフレッドさんから鋭い目の光は消えた。
悔しさはすぐには消えないだろうけど、自分がやってきた行為の愚かさに気が付いたのかもしれない・・・そして、別の生き方もあるって考えてるのかもしれない。

彼から敵意が消えた事で桃太郎は威嚇するのを止めた。


「アルフレッドさん・・・あなたのお父様の気持ちは私達には判らないけど、どうしても解り合えないなら別々の方向を見てもいいと思うんです。お父様の世界だけが総てじゃないって思いませんか?
企業人になるなら何処だっていいじゃない?あなたの能力を生かせる場所はいくらでもあると思うんです。だってそれだけ努力してきたんでしょう?」

「何処だっていい・・・?そうだろうか・・・でも、俺はエバンスの・・・」

「エバンスって名前に拘っちゃダメですよ。もう一つ、素敵な名前を持ってるじゃないですか。緑川聡さん・・・その名前で新しく暮らしてみたらどうですか?」

「・・・その名前は嫌いだ」

「でも、あなたのお母様が愛情込めて付けてくれた名前です。
私もね、本当は牧野つくしだったけどお爺様の命令で養子に出されて瀧野瀬つくしに変わったの。そして今は花沢つくし・・・この名前が今は大好きだわ。アルフレッドさんもそうなるといいなって思ってる。仮に付けられたアルフレッドじゃなくて、愛情の籠もった聡さんに戻って欲しいな。お母様の為にも・・・」


「・・・・・・母さんのため?」


その時、廊下でカタン、と音がして西門さんが菊次郎を従えて見に行ってくれた。
日本語で話し声が聞こえる・・・類も私もドアの方に目を向けて西門さんの姿を見ていたら、彼が手を引いて連れて来たのはアルフレッドさんのお母様だった。

ここに様子を見に来て類達が倒したって言う1階の人を見たんだろう。
怯えたような顔してドアに凭れ掛かり、私達に半分だけ姿を見せた。


「お母様!」

私が叫んで立ち上がったら、その向こうに倒れているアルフレッドさんの姿を見付けてしまった。腕を血で真っ赤にさせてる彼を見たお母様は驚いて、それまでオドオドしていたのに急に部屋の中に飛び込んで来た。

途中に立っていた類も押し退けて、真っ青な顔して・・・お母様の目には愛する息子の姿しか映らなかったんだ。


「聡!!大丈夫?!聡っ・・・何処を怪我したの?どうしたの!聡!」
「お母様、ごめんなさい!怪我させちゃって・・・すぐに病院に連れて行って下さい!救急車、呼びますから!」

「何があったんですか?どうしてこんな事に・・・この子が何かしたんでしょうけど、だからって・・・!」


お母様が私に掴みかかろうとしたから桃太郎が今度はお母様に低く唸り声を出して威嚇した。
それを手で制して動きを止め、私の両肩を掴んで泣き出したお母様を類が引き離そうと駆け寄ってきた。

凄い力だ・・・!

私の肩に食い込んだお母様の指・・・服が薄いから余計に痛くて私も「痛いっ!」って声が出てしまった。


「止めろ、母さん!悪いのはその人じゃない・・・これは自分で負った傷だ、誰のせいでもない!騒がしくなっても部屋から出るなと言っただろう!」

「アルフレッドさん?」
「・・・さ、聡?自分で怪我したの?馬鹿だね、もうっ!!」


「あぁ、馬鹿だから自分で怪我したんだよ・・・そんなに騒がなくていい。このぐらい・・・何ともないから」


この後、私達はお母様に拳銃を見せないようにして部屋を出て行った。
「もういいから、触るなって!」「だって、聡、こんなに血が出て!もうっ!」・・・そんな親子の会話が後ろから聞こえてきて、3人でクスクス笑ってしまった。


「早く治るといいな・・・」
「大丈夫でしょ。腕のいい総二郎が急所外してくれたんだから」
「俺としては肩のド真ん中狙ったんだぜ?少しズレて腕を掠めただけだったけど」

「「えっ!わざと掠めたんじゃないの?!」」

「まぁな~!」ってケラケラ笑ってるけど、弓道と拳銃はやっぱり違うのね・・・と類と苦笑いしながら階段を降りた。


そして類が言った通り1階には4人の監視の人達が倒れてる。
そのうちの1人、いつも挨拶していたお姉さんに西門さんが「ごめんな」って声を掛け、類は拳銃を気絶してる男性の身体の上に戻した。


「じゃ、日本に帰ろうか!」
「うん!!」
「マジ、疲れたなぁ~、全然遊んでねぇのになぁ!」

ワンワン♪

「って言うか、今更だけどなんで西門さんがここに居るの?桃太郎と菊次郎は誰が連れて来たの?」
「おっ!聞いてくれるか?つくしちゃん!」
「・・・暇なヤツは総二郎しか居なかったんだよ!」

ワンワンワン♪



門の外、植木の陰でも倒れてる人が2人。
その人達を明るい所まで桃太郎と菊次郎が引っ張り出してから、類が電話で救急車を呼んだ。その車が到着する前にここから消えようって話をして、私達は表通りまでの道を降りていった。


長い海外出張が漸く終わった・・・久しぶりに歩いた外は天気が良くて、凄く暑かった!




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2019/06/06 (Thu) 06:55 | EDIT | REPLY |   
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2019/06/06 (Thu) 08:38 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは。

これからは聡君で心機一転!花沢物産に入社してみたらどうだろう(笑)
絶対に類君に虐められますね💦それか道明寺に入ってみるか・・・拷問ですね。

あっはは!すぐに駆除しなくっちゃ!!
やっぱりここはのほほんとした類パパじゃなく、怒ったら怖い類ママに出てもらいましょうか(笑)

これでやっと梅三郎に会えます~♡書くのも住むのも日本が一番です💦

2019/06/06 (Thu) 17:52 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様 こんにちは。

たとえが汚いっ!!(爆)なんて表現してるんですか(笑)

でも、まぁそうね!これから幸せになっていただきましょう♡
気が付いたらちゃっかり仲良くなってたりして・・・笹本みたいに(笑)

これで総ちゃんの出番も終わっちゃった(笑)
瑠那&颯太、いずれ会える日が来るでしょうか?!(多分、もうない・・・)

2019/06/06 (Thu) 17:57 | EDIT | REPLY |   

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