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日本に戻ったらもう真っ暗・・・しかも凄く寒くて大雪だった。

暢気に真夏のシンガポールの服装で帰ったから成田に着いた途端3人で震え上がり、慌てて日本を飛び立った時のコートを荷物の中から出した。
桃太郎と菊次郎はむしろ気持ちいいのか飛行機を降りてからも元気良く走り回って、お迎えの車になかなか乗ろうとしない・・・だから類の大声が駐車場に響いた。

「桃太郎~、菊次郎~!寒い~!!早く乗ってよ~!」
「こら!早く乗れって!Viens!!(来い)」

ワンワン!!ワン!

「おーい!帰るぞー!」

ワンワンワン♪

・・・何故か西門さんのひと言で2匹は車に飛び乗った。それには類がご機嫌ナナメになって「いつから西門桃太郎、西門菊次郎だよ!」って真剣な顔で2匹に文句言ってた。
しかもリムジンの中でも西門さんの両側を陣取ってる・・・まぁ、それはそれで助かるんだけど。


そしてお屋敷に着いたら類と私と2匹が降りて、ここでやっと一安心・・・間もなく着きますと運転手さんが連絡を入れておいたから、すぐに玄関が開いて加代さんが走って出てきた。
少し遅れて小さな身体が転げそうな勢いで、庭園灯で明るくなってる横の庭から走ってくる・・・梅三郎だ!!


「類様~!つくし様~!よくぞご無事で~!!」
ワンワンワン♪

「加代さーん!ただいまぁ!!梅三郎、元気だったぁ?!」


「じゃ、類。このまま車借りるわ。で、例の件だけど、ザッとこんな感じ?紙で回すとヤバいだろ?」
「・・・・・・こんなに?!」

2人のそんな会話が聞こえてきて振り向いたら、西門さんのスマホを類が覗き込んで真っ青になってる。「どうしたの?」って聞いたら2人とも「「何でもない!」」って・・・西門さんは笑ってたけど類は震えていた。

・・・・・・何なのかしら?
良く判らないけど西門さんは嬉しそうに自宅に戻って行った。



**



お屋敷の中に入るとお義父様とお義母様がすっ飛んで来た。
そしてお義母様が私に抱きついてわんわん泣いて、お義父様まで両手で顔を覆って泣きだした。類がそれを見て「報告があるからこっちに来て!」って、お義父様だけ隅の方に引っ張って行った。

多分アルフレッドさんと江本課長達について・・・それは彼に任せることにしたから、私はお義母様と加代さんにお土産を広げて類達の会話を聞かないようにした。


「・・・・・・つくしちゃん?」
「つくし様・・・こんなに?」

「これがね、サニーヒルズのパイナップルケーキ!試食したけど美味しかったんですよ?こっちが焼シンガポールスリングフィナンシェでしょ?これだけあったらお屋敷の皆さんで食べられますよね?
あ!こっちは会社の人にパイナップルケーキとマーライオンマカダミアナッツクッキーと、同じくマーライオンマンゴーフレーバーチョコレートなんです♥勿論家用にもありますからね?」

「・・・・・・あなた、誘拐されたのよね?」
「確か強引に連れ去られたと聞きましたが?」

「そうなんです~!軽く軟禁状態でストレスでしたよ~!
あっ、こっちは雑貨なんですよ!色違いのアタバッグ!はい、赤がお義母様で緑が加代さんでピンクが私♥使って下さいね?こっちはお部屋に飾る、超ド派手なシンガポールプレートでしょ?あー!これこれ、執事さんにはタイガーバーム!」


「相変わらずねぇ!」「心配してたのに!」って2人とも大笑い。
確かに辛い初海外だったけど「楽しい思い出にすり替えるためにはこのぐらいしなくっちゃ」・・・そう言うと無理して笑っていた分、涙が込み上げてきた。


「・・・あら?つくしちゃん?」
「つくし様?急にどうしたんです?」

「・・・・・・ふぇっ・・・うぐっ・・・ホントは・・・ホントは怖かったんです~!!」


今度は私がわんわん泣き出した。
安心して嬉しくて、お義母様に抱きついてわんわん泣いてたら・・・急にガバッ!と身体を引き離された。


「・・・・・・え?」
「つくしちゃん・・・熱があるんじゃないの?」

「・・・へ?!」



お義母様の言う通り、熱を計ったら38度もあって吃驚した。
しかも私だけじゃなくて類も大風邪を引いて別々に隔離され、当然妊婦の私の方にお医者様は付きっきりだった。

お義父様もお義母様も類を放ったらかしにして私のお見舞いばかり・・・たまには類の顔も見てやってって言うと、「26年間見てるからいい」ってあっさり言われた。
本当は少し静かに寝たかっただけなんだけど、お2人が出ていったら今度は加代さんに執事さん。熱に魘されながら話ばっかりで逆にクタクタだった。


だから類の方が早く回復・・・今度は類が私の部屋から出て行かなくて鬱陶しかった。
どうやら西門さんだけは元気よく次の日もお茶会に出向いたらしい。でもお家元からのお叱りは凄くて、この先1ヶ月のお休みを取り上げられたとか?

「いいんだよ、それでも機嫌良く働いてるから」
「コホッ・・・・・・そうなの?いい人だね・・・西門さんって・・・ゴホッゴホッ!」

「・・・まぁね」



**


ピピピピピピピピピ・・

「はい!体温計見せて」

「・・・・・・はい」
「・・・はぁ、まだ37度2分?まだ寝てなくちゃダメだね」

「もう寝るのに疲れたぁ・・・起き上がりたい~!!」
「ダメ!飲みものとお粥をもらってくるから大人しく寝ときな?」


月曜日にお屋敷に戻らずにシンガポールに行って、木曜の夜に日本に戻って来て今日はもう日曜日。
類は明日から会社に行くと言っていたけど、私はどうやらこのまま産休に突入らしい。
「退屈だなぁ~、何して遊ぼうかなぁ~」って言えば「室内で大人しくしときな!」って厳しい言葉が返ってきた。

それでも夕方になって熱が下がったから、起き上がってリビングまで降りて庭を眺めた。

桃太郎達が遊んでる・・・梅三郎がやっと仲間が戻ったから嬉しそうに追い掛けてるけど、やっぱり全然追い付かない。久しぶりにあの子達を見て類とクスクス笑ってしまった。


ポコン!

「あっ!久しぶりにこの子も動いた!」
「えっ!動かなかったの?大丈夫?」

「うん!あのね、類達が迎えに来てくれた後からは少し大人しかったの。お腹の中だったけど、この子も疲れたのねって思ったのよね。その上今度は風邪でしょう?きっとこの子も頭が痛かったんじゃないかしら?」
「・・・・・・は?」

「くすっ、冗談よ!でも、良かったぁ・・・やっとこの子も元気になった!」



その日の夜はやっとお風呂に入っていいって言われたから類と一緒に入った。
まだ自分で出来るのに類が髪を洗ってくれて、それが意外に乱暴で驚いた!

「痛いってば、類!あのさぁ、岩を砕くみたいに擦るの止めてよぉ!」
「えっ?ホント?このぐらいしないと洗った気にならないじゃん?」

「いや、充分洗ってるから!それ以上したら頭が割れるって!」
「あはは!割れるわけないでしょ?じゃ、お湯で流すよ?」

「はーい!」って答えたら、バシャーン!とお湯を掛け流されて、危うく窒息するところだった!

類に赤ちゃんのお風呂は任せられない・・・そう思った。


その後はいつものようにバスミルクを入れてお湯を白くして、彼の肩がくっつくぐらいに近寄って、2人とも真っ赤な顔してバスタブの中でお喋りをした。
なんて事ない会話・・・お腹の子供が男の子だったらこうしたいとか、女の子だったら名前はこれがいいとか、来年の今頃は何してるだろうとか。
どんなママになるか、どんなパパになるか・・・それを話し出すと自分たちの夢が多すぎて大笑いになった。


隔離も終わったから自分たちの部屋に戻り、久しぶりに一緒のベッドに潜り込んだ。
1週間ぶりの類の腕枕・・・抱き寄せられて眠る安心感で、私はすぐに瞼が落ちてきた。でも甘えん坊の類がそれを許さなくて、何度も私にキスをする・・・甘くて優しいキスをする。

「愛してるよ」って耳元で囁いて、甘いキスは唇以外のあちこちに落ちてくる。「擽ったい・・・」って逃げても無駄・・・類の両手は私の身体を抱き締めて離してくれないから。


ポコン!

「・・・ほら、子供から怒られた!大人しく寝なさいってよ?」
「うそ!違うよ、この子も撫でて欲しかったんだよ」


そうしたら彼がお腹に手を当てて蹴られるのを喜んで、そうしてるうちに2人で深い眠りについた。






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2019/06/08 (Sat) 07:13 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、おはようございます。

あはは!しっくりきました?
仕方ない・・・西門家の番犬になるか!(笑)
いやいや、総ちゃんお茶が点てられないかも~💦

いくらだったんでしょうね、バイト代(笑)ご想像にお任せします♡


江本・・・(笑)ここはビオラ様のご要望にお応えして行き先は決まっております♡
次回、判りますのでお楽しみに~♪
(人の処分を楽しみにしろとは💦性格悪い奴ですね、私(笑))

2019/06/08 (Sat) 10:02 | EDIT | REPLY |   

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