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陽が生まれて1週間後、私達の退院の日。

その日は特別に類も会社を休んでくれて、退院の準備を手伝ってくれた・・・と言っても、類も陽が産まれてから1度も自宅に戻ってないから、実質親子3人の退院みたいなもの。
看護師さんからも「こんな事は初めてです」と呆れられていた・・・のを、類は知らないけど。

宮崎のお母さんは2日間居てくれたけど、お爺様と自宅が心配だからって戻って行き、今度お父さんと進を連れて上京すると言ってくれた。


病室に溢れかえっているお祝いの品物やお花を運び出すだけでもう1時間以上も掛かってる。
それにこれで最後だと思ったのか、看護師さん達が類にお祝いを持って来るから大騒ぎ。どれだけ師長さんが怒ってもこういう時の女子パワーは半端ない。

いつもは面倒臭そうにしてる類も、陽の事を言われると嬉しくなるのか、いつもより5割増しの愛想で頑張っていた。


「お鼻はお父様に似るともう少し高かったかもしれませんねぇ~!でもお可愛らしい小さな鼻ですわね♡」
「うん、そうだよね。母親似で低いけど可愛いでしょ?」

「まぁ、本当にお母様に似て真っ黒な髪の毛!新生児とは思えない根性のある髪ですね~。元気な証拠ですし、将来も剥げそうにないですね♡」
「くすっ、そうでしょ?生まれたてはもう少し柔らかいかと思ったけど、しっかりした髪だよね」

・・・・・・それ、褒めてないわよね?ってムッとしたけど、決まって最後には言うのよ。


「本当に可愛いよね♥つくしがもう1人居るみたいで」
「・・・・・・」

それを言うと殆どの看護師さんが諦めて帰っていく・・・嬉しいような?悲しいような・・・・・・やっぱり嬉しいのかも!


「よし、準備完了だよね。忘れ物ない?」
「うん!後は陽を抱っこするだけだよ」

そう言った途端に陽のベッドに伸びる手・・・類とお義母様だ。

「ここは俺でしょ?お婆様は引っ込んでたら?」
「お婆様?!グランマって言って!一気に老けるじゃないの!」

「年相応に老けられるいいチャンスだよ!いいから手を離して、陽は俺が抱っこするんだから!」
「私だって抱きたいんだもん!類こそ離しなさい!」


・・・そんな事ぐらいで大声出して喧嘩するから師長さんに怒られて、結局私が抱っこすることになった。多分、これが普通なんだと思うけど。
そして病院の玄関では院長先生からも花束が手渡され、看護師さん達に半泣きで見送られた。何の涙か判らないけど。



**



「「「お帰りなさいませ」」」
「お帰りなさいませ、つくし様。陽様のベッドの準備も出来てますよ」

「ただいま、加代さん。ただいま、皆さん、これからも宜しくお願いします!」


1週間ぶりの自宅の部屋・・・新しい私達の部屋は、男の子だって判ったからなのかブルー系のものが増えていた。
そしてあの時に注文してくれたベッドにもベビーブルーのフカフカのお布団が敷かれてて、その周りのリボンも全部ブルーになっていた。

「つくし様、こちらが陽様のオムツとお着替えの場所ですわ。そしてこちらが陽様専用のお風呂でございます。初めのうちはお手伝いしますからお一人ではなさいませんように。
そしてこちらがお召し物で、陽様専用のタオルとブランケットです。すぐにお洗濯できるようにこの奥にはランドリースペースもございますから必要でしたらお使いくださいませ」

「・・・はぁ」

「このお部屋は24時間空調システムで温度と湿度の調整をしております。陽様はまだご自分で体温調整が出来ませんからこちらのシステムで管理致しますが、後々は過度な空調システムの使用を控えませんとお身体の成長の妨げになります。
ご不明な部分がございましたら看護師にお尋ねくださいませ」

「・・・はぁ」

「それとこちらが今後の予定表でございます。予防接種は主治医がここまで来ますからつくし様がお考えにならなくて結構です。本日より3ヶ月は看護師資格のある使用人が毎日陽様の健康管理を致しますのでご理解くださいませ。
少しでもご様子に不安があればすぐに私にご連絡くださいませ!」

「わ、判りました」


流石花沢家・・・恐ろしいまでに管理体勢が整ってる。
そのうち陽を桃太郎の背中に乗せてやろうと思ったけど、そんな事したら加代さんに怒られそうだわ・・・。

加代さんの勢いが余りに凄かったから類に助けてもらおうかと思ったら・・・もう陽と一緒にベッドで寝ていた。


「寝ちゃった・・・くすっ、幸せそう・・・」

「類様はお小さい頃はお一人でしたからね。今でこそ奥様も旦那様も日本ですけど、当時は外国が長かったのですわ。だから自分のお子様とはずっと一緒に居たいのでしょうね」

「そうですか・・・」


穏やかな顔で陽におでこくっつけて・・・新米パパは幸せな夢の中だ。



**



陽と類が寝ちゃったから1人で犬舎に行ってみた。

私の姿を見て大喜びの桃太郎と菊次郎。
川本のお爺ちゃんに頼んで犬舎から出してもらったけど、産後の私はまだそんなに動けない。だからベンチに座って両隣に来た2匹を撫でてやって、いつものように顔を散々舐められた!


「もう~、舐めすぎだって!あっははは!桃太郎、くすぐったいよ~!菊次郎、重たいって!」
「ワンワン!」「ワンっ!!」

「今度陽を連れて来るね?歩けるようになったら遊んでやってよ」
「「ワン!!」」


「つくしちゃん、梅の子供ならこっちだよ」

川本のお爺ちゃんに言われて梅三郎と琥珀の赤ちゃんを見に行った。
勿論桃太郎と菊次郎も一緒。私の真横をくっついて、梅三郎の新居に入った。


「うわぁーっ!小っちゃーい!!」
「ははは!そりゃ豆柴のチビだからな」

そこに居たのは手の平にすっぽり入りそうな小っさい豆柴の赤ちゃん!
お父さんとお母さんと同じ茶色でまだ3匹とも寝っ転がってて、丁度琥珀のお乳を飲んだばかりだから寝てるんだってお爺ちゃんが教えてくれた。

「この1番大きなのがメスで葵。で、2番目に大きなものメスで瑠璃。1番小っこいのがオスで琥太朗・・・って、笹本さんが付けてたぞ」

「・・・男の子なのに1番小さいんだ?」
「はは、元気に育てば問題はなかろう?」

「・・・うん!だね!・・・って、あれ?梅三郎は?」
「梅はここにおるぞ」

「どこ?あっ、梅三郎~!!」
「・・・ワン」


どことなく元気のない梅三郎・・・それに驚いて川本のお爺ちゃんに聞くと、1度仔犬を見に来てくれた獣医さんに言われた話を教えてくれた。


犬のお父さんの出番は仔犬が生まれてから2~3ヶ月ぐらい経ってからだそうだ。それまでの子育ては母犬・・・つまり100%琥珀。
成長して活動的になると兄弟犬とのじゃれ合いが始まり感情表現を学ぶらしい。
他の仔犬との優位性を確認し合う遊び、所謂「戦闘遊戯」を行う中で、行き過ぎた攻撃を制御する方法を身につけ社会性を獲得する・・・難しくて判ったような判らないような?

その時に今まで仔犬の好きにさせていたお父さん犬・・・つまり梅三郎の出番!この辺りから威嚇したり軽く噛んだりして、してはいけない事、行ってはいけない場所なんかを教えていくらしい。


「犬は群れをなす動物だからな。その和を乱す行為を注意するのが梅の仕事だそうだ。
だから今はこの通り、独りぼっちなんだとさ。それでも仔犬の成長には欠かせない大事な役割が待ってるからな。なに、もう少ししたら梅の存在感も増すだろうよ」

「ワン!!」

「ふふっ!そうなんだ?頑張れ!新米パパ!」


さて・・・うちの新米パパもそのうち存在感が増すのかな?






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2019/06/16 (Sun) 07:56 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんにちは!

ははは!お仕事には行ったようですが病院泊ですね(笑)
恐らく毎日定時退社ですね・・・逆に鬱陶しかったりして💦

我が家は旦那がビビりで触ることが出来なかったので、本当に何にもしませんでした。
夜泣きも困るって言うから部屋は別でしたし、お風呂なんて全然!オムツも殆ど替えたことがありません(笑)

類君ほどしなくてもいいけど、もう少し出来なかったんだろうかと最近思います。


そう言いながら今日は父の日・・・遠くに住む子供からプレゼントが届き、旦那はご機嫌です♥

2019/06/16 (Sun) 11:11 | EDIT | REPLY |   

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