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クリスマスの日に牧野の返事を貰ってからすぐ、教授に挨拶をしに行った。

「必ず幸せにします。一生掛けて守りますから花沢国に連れて行ってもいいですか?」


……もっと気の利いた言葉はなかったのかと思うけど「お嬢さんをください」ってのは違うと思った。
牧野は「貰う」とか「あげる」とかって言う品物じゃないから。


教授の宝物を今度は俺が全身全霊で守る…その約束をしたかった。
教授は数分間黙って……そして頷いてくれた。

「娘を宜しく……」

ほんの少し涙が光ったのを見て、自分の責任の重さを痛感した。


そして新年には花沢国に一緒に帰って両親に会わせ、
春には婚約者として正式に連れて帰ることを告げたら「でかした!」のひと言。
牧野も照れながら「宜しくお願い致します」と俺の横で挨拶をしていた。


その年の3月には卒業……まだ咲き揃わない桜の頃に2人で花沢国に帰った。

結婚式は6月。
あいつらも招待して盛大に披露宴を行い、真っ白なウエディングドレスの牧野は凄く……綺麗だった。



そうして始まった新婚生活。
俺がまだ王子で仕事が少なかったって事もあって、兎に角一日中一緒。
誰に会っても、何処行っても「仲が宜しいですわね」って言われてた。


「うわっ!綺麗なわんちゃん達……類、この犬は?」
「ん?白い方がボルゾイで桃太郎。父さんの飼い犬なんだ。
黒い方がフラットコーテッドレトリバーの菊次郎。母さんの飼い犬……噛まないから触っても平気だよ」


「可愛い~!大きいねぇ~…………あっ」
「どうしたの?」

「…………琥珀、元気かなぁ……」
「……きっと元気さ…」

「そうよね、元気過ぎてパパを困らせてないと良いんだけど」
「あぁ、そこはどうかな?つくしと一緒で元気過ぎるからね」
「えぇ~、ひど~い」


つくしは、あっと言う間に桃太郎、菊次郎と仲良しになり、今では誰が主が判らない状態にまでなっている。

そんなある日のリビング、つくしは実家からの電話を受ける。


『あ♪つくし?元気にしてる?』
「ママ、うん元気よ。皆は?元気?」

『えぇ、お陰様で。皆、元気よ♪こっちに置いて行った夏物の洋服送ったから、その連絡よ』
「ありがとう、暑いなぁって思ってた、うふふ」

「ところで、琥珀は元気にしてる?」
『……それが……』

「ママッ!それがって何?何があったの?」
『昨日も帰って来なかったのよ…』

「昨日…って、その前は?」
『もう、3日になるわ』

「………3日…心当たりは?何か変わった事は無かったの?」
『……これと言って……あぁ、そうだわ!あなたの荷物を詰めてる時、妙に纏わりついて来てね、つくしが恋しいのかしらね?って……』


電話の途中から、つくしの様子がおかしいと思ってた俺は、急に泣きそうになったのを見て受話器をもぎ取った。


「お義母さん、何があったんですかっ?」
『類くん?琥珀が居なくなったのよ…』

「珀がっ!何時からですかっ?」
『3日前よ、つくしの荷物を送った時だから…』

「荷物は、荷物は航空便ですか?船便ですか?」
『船便で送ったわ』

「………もしかしたら、つくしの匂いを追ったのかもしれません。こちらでも探してみますので、そちらでもお願い出来ますか?」
『えぇ、そうするわ。宜しくお願いね 類くん』


目に涙を一杯ためて見上げてくる つくしを抱き締めて、荷物を追って船に乗ったのかもしれないと伝えた。
それなら、もう港に着いてる可能性ある、と。


「……ね?港に行ってみよう?珀が来てるかもしれない」
「……グスッ……ん……お腹空いてるよね?怪我なんかしてないわよね?…」


いつも元気なつくしの元気が無い事を、
桃太郎も菊次郎も感じ取ったのだろう。
彼女の両脇に陣取り、心配そうにしている。


「おまえ達も一緒に行こう…つくしの大切な友達なんだ…」

………ゎん……


泣きべそのつくしと何だか嬉しそうな桃太郎と菊次郎を連れて港に向かった。

港にはちょうど船が着いたみたいで乗降客で混み合っていた。その様子は特にいつもと変わらない…みたいだった。


もしかして…つくしの荷物に紛れて珀も一緒に来てるんじゃないか…?なんて思ったんだけど甘かったのかな……
もし…もしも珀が船に一緒に乗り込んでたら、もっと騒ぎになってるよね?


つくしの手前、落胆を隠してスタッフに荷物の確認をすると、i確かにお義母さんからつくし宛ての荷物が届いてた。
本来なら城に直接届けられる物だけど、手続きを済ませればその場で受け取る事が出来ると聞いてそうする事にした。


「……珀…どこ行っちゃったんだろう………」
「珀はあれで結構逞しいからすぐに戻ってくるよ。だから元気出して!
ほら、お義母さんから美味しい物が届いてるかもしれないよ?」


「……うん…」


はぁ……
流石のつくしでも珀が居ないとなれば食欲どころじゃないか……


「あの……類王子様、お待たせ致しました。
それで……あの……ちょっと問題が………」
「ありがとう。問題って?」


言いにくそうにしてるスタッフに声をかけながら、もしかしたら…?っていう期待が増していた。


「………申告されていた重さと違ったようで割増料金が発生しているのですが………」
「やだっ、ママったら!!
ごめんなさい、ちゃんとお支払いします!」



顔を真っ赤に染めて恥ずかしそうにつくしは財布を取り出して支払いをしようとしてる。


「ねぇ…その超過分ってさ……」
「ママってばきっとお金がなくて少なく見積もったのよ!もうっほんとに恥ずかしいんだから……」


すみません、本当にすみませんでした、って、繰り返し謝りながら支払いを済ませると暫くして荷物が届けられた。と同時に…。


わん♪
わんわん♪


それまで静かにしていた桃と菊が鳴き出した。


「桃、菊?」

わんわん♪♪


尻尾をぶんぶん振りながら荷物に向かって吠え続けてる。


やっぱりこれってそういうこと?
けどそれにしてはまるっきり反応がないんだけど………?
はっ……まさかまさか、3日間飲まず食わずで………珀っ?!


「誰か!ここでこの荷物を開けて!」
「……類?どうしたの?」

「いいからすぐに箱を開けて!もしかしたら……もしかしたら中に珀が居るかもしれない!」
「えええーーっ!!珀ーーっ!!」


係員が慌ててナイフを持ってやってきて、大きな箱が開けられた。
それを俺がバンッ!って開けたら……服?


わん♪
わんわん♪

いや、桃と菊がやっぱり吠えてる……って事はこの服の下に?

可愛らしい服をピラッと捲ったら今度はお菓子の箱。
その菓子箱をパカッと退かしたらまたワンピース……そいつをひらりと捲ったら、そこに茶色の毛皮が見えた。


このフォルム……ま、豆柴ぐらいの大きさだよね?


まさか……まさか……
まさか……まさか……

恐る恐る触ってみたら………

「………………スゥ」


寝てるのかーーーっ!!!


「きゃああぁーっ!珀ーっ!大丈夫なの?!
珀、起きてーっ!」

「………………」

わん♪
わんわん♪

「……わん?」

「類っ!珀、生きてるわ!良かったぁ~~~!!」
「………………うん、そだね」


つくしの服を皺クチャにして、菓子箱もぐしゃぐしゃにして、少しだけ痩せた珀をつくしが抱っこした。
そして胸に抱えて大泣き……!
それを見た桃と菊が嬉しそうに近寄って来た、その時だった!

ぐったりしてヨロヨロしてる珀がつくしの腕から降りて、自分の何倍もある桃と菊に向かって吠えたんだ!


ワンワンワン!!💢(つくしちゃんに近づくな!俺のつくしちゃんだぞ!お前達 何者だっ!!)

わん?(えっ?!そんな……)
わんわんっ?!(噛んだりしないよ?君、つくしちゃんの友達なんだろう?)

ワンワンワン!!💢ワワワンッ!!(そんなにデカいんだ、危ないじゃないか!つくしちゃんに危害を加えたら許さないぞっ)

わんわん💦(確かにあんたよりは大きいけど…)
わんわぉ~~ん💦(危害なんて加えないよ、君を皆で迎えに来たんだ。つくしちゃん心配してたんだよ?)

ワンワン?(ホントか?君達もつくしちゃんの友達なのか?)

わん!(僕達も、つくしちゃん大好きさ♪)
わんわん♪(てか、君、勇気あるんだな~)

……ヮン(…ごめん)

わん♪(いやいや、いいって)
わんわん♪(仲良くしようぜ!)


「……何話してるのかしら」
「……さぁ?」


………………パタっ!


「きゃああぁーっ!珀が倒れたぁ!」
「すぐ城に連れて帰ろう!食べて休めばきっと大丈夫だから!」



こうして琥珀は花沢城にやってきた。
どうやって荷物に潜り込み、何故封をするときに気が付かなかったのかは……誰も知らないけど。

そして目が覚めたらご飯を食べてまたぐっすり寝て、それを3日間繰り返したらすっかり元気になって庭を走れるようになった。


「珀ーーっ!こっちだよ~!桃ちゃんと菊ちゃんもおいでぇ!」

ワンワン!

わんわん♪
わんわぉ~~ん♪


それをバルコニーから見下ろす俺に父・国王と母・女王から言われた言葉は「もうすぐお前に譲位しようと思うのだが」だった。


「え?まだそんな歳じゃないのに?」

「はは、もう隠居して母さんとのんびりしたいのだよ」
「そうねぇ。あなたにも奥さんが出来たことだし、他国もそろそろ考えてるらしいし」

「……じゃあこの城を出て行くの?別荘に引っ越すの?」

「そうなるな」
「えぇ、でもそんなに遠くはないわ」

「……桃太郎と菊次郎は?」


2人は顔を見合わせ「出来たらここでお前達が飼ってくれないか?」と。


「……そうだね。つくしも花沢に来たばかりだし、俺が国王になると忙しくて1人になるかもしれないし」

「あぁ、だから新しい子と桃と菊でつくしさんを守ってあげなさい」
「それがいいわ。琥珀ちゃんは頼もしいけど、桃と菊の方が花沢城には詳しいわ。側についててもらえば安心ね」



こうして暫くしたら花沢国では国王の譲位が行われ、類が新国王となった。
その時につくしのSPとして任命されたのが「琥珀」、そして「桃太郎」「菊次郎」である。


「珀、これから忙しい俺の代わりにつくしを宜しく」

ワン!!

「桃太郎、菊次郎、お前達は珀のサポート、頼むよ」

わんわん♪
わん♪

「みんな、これからも仲良くしてね❤」

「「「わぉ~~~んっ♪」」」




このお話は第1話「誕生!!凄腕SP」へと続く。



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皆様、こんにちは~!!
大晦日は琥珀編でしたぁ♡

お嫁入りしたつくしちゃんに会うために頑張った琥珀、こうして花沢城に来たんですね~。
桃と菊の登場もこういう理由からだったのです♡

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いや、本当に驚きですねぇ(笑)
花沢城だけで60話超え💦立派な長編になってしまいました!
それに我が家には「豆話」もあるし、ホントに嬉しい限りです♡

そしてこれが2019年最後のお話となりました(笑)

お読みいただいた読者様に感謝感謝です♡


花沢城は来年1月7日を予定してまして、暫くは隔週でお届けすると思います。
今後ともGPS&愉快な動物たちを宜しくお願いいたします。


それでは皆様、良いお年をお迎え下さいませ。


また来年、お会いしましょう~~❤
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Comments 8

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2019/12/31 (Tue) 17:15 | EDIT | REPLY |   
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2019/12/31 (Tue) 18:05 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: GPSの皆様へ

りおりお様、こんばんは~!

コメントありがとうございます(笑)

って!!本当に驚きましたよっ!!(爆)

もーーーっ!!
コメント開いて読むまでにすっごい勇気が・・・💦
焦ったわ~~~~(笑)

「何処にもエロ要素がないのにどうして?!」って思いました。

S隊員が「催促されてる💦」だって!
少しずつ進めてますからもう少し待ってて下さいね(笑)
ただし、ご希望に添えるかどうかは・・・別ですからね?えへへっ!

また来年も宜しく&お手柔らかにお願い致します~♡

2019/12/31 (Tue) 23:27 | EDIT | REPLY |   
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2019/12/31 (Tue) 23:39 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

みわちゃん様、こんばんは。

コメントありがとうございます。
そして今年も大変お世話になりました。

時々真っ黒ワードが出てくるみわちゃん様に、私も何度も笑わせていただきました(笑)

花沢城・・・ははは!まだ色々あるんですが、諸事情によりゆっくり更新です。
来年も宜しくお願いします~!

Marionette・・・やっと終われる(笑)
書いておきながら倒れそうでした💦もう2度とこんなの書かないっ!!
(お正月の類君は可愛くしてみました!)

いろは・・・逆になんてアホな話でしょう💦
それなのにもうこんな話数になってることに反省です💦おかしいなぁ?どーしてかな(笑)
(お正月の総ちゃんは真面目な話にしてみました!)

娘が帰省してるのでゆっくりも出来ず、寧ろ喧しくて何も書けません(笑)
でものんびりと過ごします~!

お気遣いありがとうございます♡

2019/12/31 (Tue) 23:46 | EDIT | REPLY |   
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2019/12/31 (Tue) 23:50 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんばんは。

明けましておめでとうございます。

あら、そう言う事があったんですね~💦
思い出させて申し訳ありませんでした。

そうですね・・・どんなペットでも命あるものを飼うと必ず来るお別れですが、そう言うのは悲しいですね。
私も鳥ばかりですが、人間の不注意で命を落とした子も居るのでその時は仕事にも行けずに泣いたことがあります。

せめて花沢城の中では動物たちも仲良く楽しく、笑い溢れる話にしたいと思います。
どうぞ今年も宜しくお願い致します。

2020/01/01 (Wed) 00:13 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

お尻に感動した女様、こんばんは♡

明けましておめでとうございます。

って!!何処に感動してるのっ!!
そこじゃないって、そこじゃ(笑)

S隊員も爆笑してたわよっ!💦

私はつくしちゃんがお財布持ってた所に感動したわ(笑)
そこ、確かG隊員なのよ(笑)
もう何でもありだよね~💦


今年もゆっくりだけど書いていくから宜しくね~!
良いお年になりますように~!

2020/01/01 (Wed) 00:29 | EDIT | REPLY |   

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