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花火大会の日、総二郎は朝早くから千葉に行く支度をしていた。
そして玄関まで見送った時、靴を履く前に真面目な顔して言った言葉・・・

「戸締まり気を付けろよって言ってもマンションのセキュリティーは万全だから、お前自身の気の緩みだけどな」
「心の戸締まりって事?なによ、それ!大丈夫ですよーだ!」

「・・・じゃ、安全祈願しといてやる」
「はっ?あっ・・・んんっ!」

いきなりそこの壁に押し付けられて塞がれた唇・・・それだけじゃなくてタンクトップの上からだけど胸を揉まれて、片足の腿を私の足の間に入れ込んでスリスリと・・・!
3ヶ所同時に軽く攻められて思わず総二郎の腕にしがみついた。


「あぁっ・・・やだ、総二郎・・・っ!朝だって・・・」
「時間なんて関係あんの?欲しいならここでもいいけど?」

「馬鹿っ!玄関だよ!」
「誰も来やしねぇよ」

「ひゃあぁ・・・!」


・・・・・・10分後、ヤケにすっきりした顔で総二郎は玄関を出て行ったけど、私は無残な姿で玄関に寝転んでいた。
なんて男なの?!静かに出掛けようって気にはならないのかしら!

傍にあった鏡で自分を見ると・・・

「あーーっ!!こんな所にキスマークがっ!!」



**



「こんな感じで宜しかったですか?綺麗な浴衣ですねぇ~」
「はい♡ありがとうございます!」

「でも少し見えちゃうんですけど・・・」
「・・・む、虫刺されですから」

夕方近くになって美容院に行き、そこで髪を結ってもらって浴衣も着せてもらった。
そこでお姉さんが頻りに気にする首の紅い痣・・・やっぱり隠せない位置に付けたな?って思うとあの男が憎たらしい!

でもその憎たらしい男が選んでくれたラベンダーカラーの浴衣。
模様は水色と白の紫陽花柄で帯と小物はレモン色の可愛いヤツ!私もすごく気に入ったから、本当は総二郎の前で着たかったな、と少し残念だった。



待ち合わせの場所に行くと、友達は全員揃ってて私が1番最後だった。
「ごめんねぇ~!」と謝りながら下駄で駆け寄ると「1人だからって寝てたんでしょ?」ってみんなに笑われた。

1人で寝る・・・ある意味憧れるひと言だけど。



「ねぇ、つくしって本当に彼氏いないの?欲しくならない?」
「えっ?!いや・・・別に今は・・・」

「でもさぁ、この歳で1人だなんて淋しくない?やっぱり夏には思い出が欲しいしさ!」
「思い出・・・それも別に彼氏とじゃなくても全然・・・」


急に陽子と彩花の彼氏持ちがそんな事言い始めて、彼氏募集中の美咲と春菜もうんうん!って頷いてる。

その瞬間に嫌な予感がしたと思ったら・・・やっぱり私たちの歩いて行く先に男子5人組みが待っていた。
その中には陽子の彼氏も居て、なんとそこからは男女10人のグループに?!私は「そんなの聞いてない!」って叫んだけど、気が付いたら美咲も春菜もその中の男子と意気投合していた。
彩花も彼が居るくせに別の男の子と真っ赤になって話しちゃって。


「えっと・・・牧野さん?」
「・・・はい?!」

私の名前を呼んだのは、その中では割りと控えめそうなイケメン君・・・名前は三上君で同じ英徳の医学部4年だって言われて驚いた!

医学部・・・思い出すのは総二郎の白衣姿。
思わず赤面したら「熱でもあるの?」って額に手を当てられた。流石、未来のお医者様・・・赤くなったら具合が悪いと判断する訳ね?


「急に声掛けてごめん。今日の参加メンバーに牧野さんが居るって聞いたから・・・」
「は?私が居るから?」

「・・・うん。実はさ、道明寺さん達と知り合いだから遠慮していたんだけど、ずっと君の事が気になってたって言うか・・・その、高校も同じなんだけど、俺の事・・・気が付かなかった?」
「・・・ごめんなさい、全然覚えてなくて・・・」


いや、三上君だけじゃなく、殆どの同級生を覚えてないのよ。
あまりにも衝撃的な高校時代だったから・・・それに大学だと学部が変われば全然会わないし、道明寺と別れたって彼奴らはいつも回りに居たから他の男子を見る暇なんて・・・。

「その浴衣、可愛いね」って言われたら思わず「彼が選んでくれて」って言いそうになって口を押さえた。
「君のアパート知りたいな」って照れながら言われたら、都内有数のタワーマンションの名前を出しそうになる。
「この浴衣はバーゲンで」「アパートは誰にも教えてないの、ごめんね」・・・最悪感でいっぱいだけど、何とか切り抜けた。


兎に角この日は凄い人混み。まだ花火が始まるまで随分時間があるのに通りには大勢人が溢れてて、少し歩くだけでも誰かにぶつかるほどだった。
私は総二郎が買ってくれた浴衣が汚れないように・・・そればっかり考えて脚が止まってしまうから、いつの間にか彩花たちとはぐれてしまった。


「あ、あれ?彩花たちは・・・?」
「あぁ、池田さん達何処かに行っちゃったね。いいんじゃない?僕たちだけでも・・・ね?」

「え?えぇ、でも心配するんじゃないかしら」
「子供じゃないんだから大丈夫だよ。それに気を遣ってくれたのかもしれないし・・・」

「・・・は?」
「あぁ、あははは!何でもないよ」


私は前の方や横、後ろを見回しながら友達を探しているのに三上君はそんな素振りも無いし慌ててもない。それどころか私の手にさり気なく触れてきてビクッとする。
それで手を引っ込めたら「あ、ごめんね」って赤い顔するけど・・・絶対にわざとだったよね?

自意識過剰な女だって思われるのも嫌だけど、手の感触が総二郎のそれと違うと焦る・・・だから両手で手提げを抱え込むようにして三上君に触れないようにした。



その時にチラッと見えた紺地の浴衣。あれ・・・今の柄、何処かで見たことあるような気がするんだけど?
でも総二郎は今日千葉にお泊まりだって言ってたからこんな所に居る訳がない。

浴衣男子ってだけでも珍しいのにあの着熟し・・・いや、まさかだよね?



花火が始まるまであと15分になった。
早く彩花たちを見付けなきゃ、って小走りで人混みを進んでいたら、急に三上君が「こっち!」って叫んで、私の肩を掴んだ。


「見付かったの?あぁ、良かったぁ!」
「うん、こっち」

「みんな居た?」
「・・・・・・ううん、そうじゃなくて」

「・・・三上君?」


三上君は私の手を引っ張って細い路地に入っていった。
足元が暗くて人も歩いてない道・・・もしかしたら何処かに抜ける近道?ってぐらいに思って慣れない下駄で付いて行くと、今度は何処かのビルに入っていった。

えっ?!って思ったのも一瞬で、そのビルのエレベーターに私を投げ込んだら最上階のボタンを押した!


「なに?どういう事?三上君!」
「なにって・・・この上からだと花火が綺麗に見えるんだよ?それに誰も知らないだろうから2人っきりで楽しめるよ」

「2人で?いや、私はみんなを探してるのよ?何考えてんのよ!」
「・・・くす、だから言ってるだろ?花火大会なんだから花火を見るんだよ」

「それならビルじゃなくて大通りで・・・」
「俺は牧野さんと2人がいいんだ」


ドン!ってエレベーターの中で壁に押し付けられ、勿論逃げる場所なんてない。
このまま屋上に行けばどんな目に遭うかは誰でも想像出来る。嘘でしょ?って妖しく笑う三上君を見ていたけど、彼はホントに嬉しそうに私の動きを封じていた。


「実はずっと気になってたんだ。その首の痣・・・ホントは誰かと付き合ってるの?」
「はっ?!こ・・・これは虫刺されで・・・」

「虫刺されってね、噛んだ虫の口痕が残るんだよ?でも・・・無いよね?」
「・・・ち、小さな虫だったんじゃない?」

「くすっ、小さい虫ね・・・」


・・・専攻は皮膚科?!


エレベーターが止まったら三上君は私の手を掴んで屋上に上がり、そこで私は腕を振り切って逃げた。
1番端のフェンスまで行き、下を見たら少し向こうの大通りに沢山の出店と観客が見える。そして周りを見たらいくつかのビルの屋上には同じように花火を見ようとしているカップルが居た。

中には既に変な動きの人も居る。でも離れてるし暗いからはっきりとは判らない。
つまり・・・私たちがここで同じ事をしても誰にも判らないって事?


クルッと振り向いたら三上君がゆっくり私に向かって歩いて来る。時々その顔が何かの灯りで照らされるとゾッとした。

控えめそうな第一印象とはまったく違う今の顔。
でも私はこれ以上行き場がなくて、近づいてくる三上君を震えながら見ることしか出来なかった。


その時に黒い影が三上君の後ろで動いた。
「あれ?」っと覗き込むようにして見ると、三上君も気が付いたみたい・・・彼も振り向いて私と同じ方向に顔を向けた。


「お前、何してんだ?こんな所で人の女掴まえて」


そう言った黒い影が月明かりに晒された・・・その瞬間、思わずズリ落ちそうになった!!


紺地の浴衣、だけどその顔・・・・・・ウルトラマンタロウ?!




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2019/08/29 (Thu) 12:53 | EDIT | REPLY |   
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2019/08/29 (Thu) 14:33 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは!

えっ?!(笑)
そんなに緊張感が?そうかなぁ・・・毎度こんな感じじゃなかったかしら(笑)

だって顔隠さないとねぇ?お祭りだったらそれしかなかったんだもん。
確かに殆どの人は頭に付けるけど。

で、タロウにしたのは2つ理由があるんです。

1つは文字数。

ニシカドソウジロウ
ウルトラマンタロウ・・・ね?同じでしょ?

もう1つは明日判ります♡


あぁ・・・どんな感じになるのかは、それも明日判るから(笑)
でも付けたままは難しくない?表情描写が出来ないもん。

まぁ、ご満足かどうかはわかりませんが、お楽しみに~!

2019/08/29 (Thu) 22:03 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ただの******様、こんばんは。

あっはは!そのような名前を?
それは是非お邪魔したいですね~。

こっそりお部屋名を教えて下さいませ♡遊びに行きたいと思います♡
さぞや激しい総ちゃんなのでしょうねぇ💦

子だくさんだったりして(笑)

このお話は・・・ははは!何故続いているのでしょう?
本当は春の臨時のお話しで、7話程度の予定だったんですけど。
終わるに終われなくなって、次は何を書こうかと悩んでおります(笑)

可笑しいなぁ?

2019/08/29 (Thu) 22:08 | EDIT | REPLY |   

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